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事件 平成 29年 (ワ) 40178号 販売差止め及び損害賠償等請求事件
5
原告株式会社ジェイ・エス
同訴訟代理人弁護士 吉原崇晃
同 竹内瑞穂 10 同訴訟代理人弁理士 工藤一郎
被告株式会社ユメロン黒川 (以下「被告会社」という。) 15
被告A (以下「被告A」という。)
被告 ら 訴訟代理 人 弁護士早稲田祐美子
同 小野淳也 20 被告ら補佐人弁理士 安立卓司
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2018/12/20
権利種別 意匠権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
全容
25 第1 請求 1 被告会社は,別紙イ号物件目録記載の商品及び別紙被告会社商品目録記載の商 1 品を製造し,譲渡し,譲渡の申出(譲渡のための展示を含む。)をしてはならな い。
2 被告会社は,前項の各商品を廃棄せよ。
3 被告らは,原告に対し,連帯して1000万円及びこれに対する平成29年 5 12月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4 被告会社は,株式会社日本経済新聞社の発行する日本経済新聞に,別紙謝罪広 告目録記載1の内容の謝罪広告を,同2の条件で1回掲載せよ。
第2 事案の概要 本件は,原告が,@被告会社による別紙イ号物件目録記載の商品(アイマスク。
10 以下「イ号物件」という。)の製造,販売等は,自らが有する登録意匠第1276 735号(以下「本件登録意匠」という。)に係る意匠権(以下「本件意匠権」と いう。 の侵害に当たる旨, ) A原告が販売する別紙原告商品・表示目録記載の商品 (レッグウォーマー等。以下「本件原告商品」という。)の形態の特徴は原告の商 品等表示として周知・著名になっていたところ,被告会社によるこれに類似する15 別紙被告会社商品目録記載の商品(アーム&レッグウォーマー等。以下「本件被 告商品」という。)の製造,販売等は,不正競争防止法2条1項1号及び2号所定 の不正競争行為に当たる旨,B被告Aは被告会社による上記各行為につき取締役 の第三者に対する責任(会社法429条1項)を負う旨を主張して,被告会社に 対し,@意匠法37条1項及び2項に基づき,イ号物件の製造,譲渡等の差止め20 及び廃棄を,意匠法41条の準用する特許法106条に基づき,謝罪広告の掲載 を求め,A不正競争防止法3条1項及び2項に基づき,本件被告商品の製造,譲 渡等の差止め及び廃棄を,不正競争防止法14条に基づき,謝罪広告の掲載を求 めると共に,被告らに対し,B民法709条及び意匠法39条1項,不正競争防 止法4条及び5条1項,並びに会社法429条1項に基づき,損害賠償金4億425 748万円の一部である1000万円及びこれに対する訴状送達日の翌日であ る平成29年12月16日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅 2 延損害金の連帯支払を求める事案である。
1 前提事実(証拠等を掲げた事実以外は,当事者間に争いがない。なお,書証の 枝番号の記載が省略されている場合は,全ての枝番号を含む(以下同様)) 。
? 当事者 5 ア 原告は,健康器具・衣料用繊維製品の製造・販売等を業とする株式会社で ある。(弁論の全趣旨) イ 被告会社は,美容器具・健康器具の製造・販売等を業とする株式会社であ る。(弁論の全趣旨) ウ 被告Aは,被告会社の代表取締役である。
10 原告の意匠権 ア 原告は,本件意匠権を有している。本件登録意匠(部分意匠)は,本判決 添付の意匠公報(甲2の2。以下「本件意匠公報」という。)の【図面】記 載のとおりである。
登 録 番 号 意匠登録1276735号15 出 願 日 平成16年6月15日 登 録 日 平成18年6月2日 意匠に係る物品 アイマスク イ なお,本件登録意匠の審査段階において,原告は,特許庁からの平成16 年12月15日を起案日とする拒絶理由通知書(乙20)に対して,平成120 7年1月24日を受付日とする意見書(乙21。 「本件意見書」 以下 という。) を提出した。
本件登録意匠の構成 本件登録意匠の構成は,以下のとおりである(但し,下記オについては,被 告はこれを加えるべきであると主張し,原告はこれを争う。)。
25 ア アイマスクの左右端の上部又は下部から伸びた紐が左右端(左右同順)の 下部又は上部(上下同順)に到達する態様。
3 イ 上記紐の先端部と中間部の二箇所にビーズが設けられている態様。
ウ 上記先端部のビーズは上記紐に通されると共に上記中間部のビーズは上 記紐を束ねている態様。
エ 上記中間部のビーズは移動可能である態様。
5 (オ 紐が非弾性体からなるため,紐が伸縮しない態様。) カ アイマスクと紐の接合部から先端部までの長さとビーズの直径の比が約 20ないし22対1である態様。
キ 2つのビーズの形状は,いずれも略小球形である態様。
イ号物件の製造・販売10 被告会社は,遅くとも平成28年10月頃から,業として,イ号物件を製造 販売している。イ号物件は,アイマスクであり,本件登録意匠に係る物品と同 一である。イ号物件に係る意匠(以下「イ号意匠」という。)は,別紙イ号物件 写真記載のとおりである。
イ号意匠の構成15 イ号意匠の構成は以下のとおりである(但し,下記オ´については,被告は これを加えるべきであると主張し,原告はこれを争う。)。
ア´ アイマスクの左右端の上部又は下部から伸びた紐が左右端(左右同順) の下部又は上部(上下同順)に到達する態様。
イ´ 上記紐の中間部の一箇所にビーズが設けられている態様。
20 ウ´ 上記中間部のビーズは,上記紐を束ねている態様。
エ´ 上記中間部のビーズは,移動可能である態様。
(オ´ 紐がゴムを主成分とする弾性体からなるため,紐が伸縮する態様。) カ´ アイマスクと紐の接合部から先端部までの長さとビーズの直径の比が 約17.5対1である態様。
25 キ´ ビーズの形状は,略小球形である態様。
本件原告商品の販売 4 原告は,平成13年7月頃から,本件原告商品(レッグウォーマー等) 「イ を オンドクター」というブランド名で販売しており,その形態は,別紙原告商品・ 表示目録記載のとおりである。(甲4,弁論の全趣旨) 本件被告商品の製造・販売 5 被告会社は,遅くとも平成26年8月頃から,業として,本件被告商品(ア ーム&レッグウォーマー等)を製造販売しており,その形態は,別紙被告会社 商品写真一覧のとおりである。
2 争点 ? 被告会社による意匠権侵害が成立するか10 本件登録意匠とイ号意匠は類似するか(争点1) ? 被告会社による不正競争が成立するか ア 本件原告商品の形態は商品等表示に当たるか(争点2) イ 本件原告商品の形態は周知ないし著名か(争点3) ウ 本件被告商品の形態は本件原告商品の形態と類似して混同のおそれがあ15 るか(争点4) ? 被告Aは会社法429条1項に基づく責任を負うか(争点5) ? 原告の損害額等(争点6) ? 謝罪広告の必要性があるか(争点7) 3 争点に関する当事者の主張20 ? 争点1(本件登録意匠とイ号意匠は類似するか)について [原告の主張] ア 本件登録意匠とイ号意匠(以下,併せて「両意匠」ともいう。)の構成 前記前提事実?及び?のとおりである。なお,オ及びオ´の構成は含むべ きではない。なぜならば,本件登録意匠において, 【意匠の説明】では非弾性25 素材である旨の記載はなく,図面上も,紐が弾性素材か非弾性素材かは外観 上特定できないからである。【意匠に係る物品の説明】には記載があるもの 5 の,それは物品類否判断において影響を与えるものにすぎず,意匠を構成 することを意味しない。
イ 意匠の要部 本件登録意匠に係る物品の需要者は,明るいところで快適な睡眠に関心を 5 持つ一般消費者及びそのような者に商品を販売する取引者である。
快適な睡眠に関心を持つ者にとっては,紐部分の形状などから,アイマス ク本体から紐によって生み出される第一閉空間の面積が注目点となる。この 面積が自身の顔の目のある前面から耳の後ろにかけての面積と一致するこ とを求めるからである。また,一般消費者に商品を販売する取引者からすれ10 ば,商品の写真などを用いて宣伝をする場合や陳列する場合などにおいて, 載置されたアイマスクを広げても紐の作る輪郭が容易に乱れず,一定の秩序 を容易に保てることが注目点である。
そうすると,需要者からすれば,「アイマスクの左右端の上部又は下部か ら伸びた紐(平板状)が左右端(左右同順)の下部又は上部(上下同順)に15 到達する態様において,上記紐の中間部にビーズが設けられており,そのビ ーズが上記紐を束ねている」という構成が,一体となることで,1つの強い 意匠的効果を発揮しており,需要者は,上記の一体の美感に対して外観上の 強い興味を示すものである。
したがって,その製品を購入する際に需要者が最も重要視する部分は,上20 記一体としての構成であり,それが本件登録意匠の要部である。
ウ 両意匠が類似すること イ号物件は,本件登録意匠の上記一体としての構成と共通する構成を有し ており,本件登録意匠と共通の美感を発揮しているため,両意匠は,要部を 共通としているから,両意匠の類似性は明らかである。
25 なお,被告らは,イ号物件と本件登録意匠との違いとして第二閉空間の際 外側に配置される第二のビーズの有無を挙げているが,一部に差異がある場 6 合であっても,その差異が,ありふれた態様であったり,看者からみて美感 が同様であったり,あるいは容易に行われる改変であったりして,共通点の 有する美感を凌駕しない場合には,全体としての美感を共通にし,両意匠は 類似する。本件登録意匠とイ号物件の意匠とでは,左右の紐の先端部に上記 5 紐に通されている略小球状のビーズが配置されているか否かという点で異 なっているが,殊に「ありふれた改変」か否かでいえば,球状ビーズを「付 け加える」という改変ではなく,本件登録意匠に存在する球状ビーズ1つを 「削除する」という改変であるから,そこに改変としての特段の創作性はな い。そもそも一般的にイメージされるアイマスクが紐に何らの球状ビーズを10 有していない外観であることをも考えると,本件登録意匠のデザインからビ ーズ1つを「削除する」という改変が,ありふれた改変であることに疑いな い。したがって,その差異点をもって「共通点の有する美感を凌駕」するも のとは到底いえず,意匠の類似性を否定する根拠とはならない。
その他の被告らが主張する差異点についても,まず,紐が伸縮するか否か15 という点については,物品の外観上の比較から感得することができない差異 であり,意匠上の差異とはならない。アイマスクと紐の接合部から先端部ま での長さとビーズの直径の比については,特段注意を惹くほどに明確な差異 でも大きな差異でもなく,看者をして,意匠の全体的な美感に影響を与えな い。球状ビーズの大きさについては,一見して意匠全体の美感に影響を与え20 るほどの態様での変更であれば別として,本件では,そのような場合ではな く,更には形状や色に新たな創作性を有するわけでもないので,看者をして, 意匠の全体的な美感に影響を与えない。
したがって,本件登録意匠とイ号物件の意匠とは,要部を共通にしている という点からしても,全体としてみた場合に共通性を有する美感を凌駕する25 差異点が存在しないため「全体としての美感を共通にする」という点からし ても,類似していることは明らかである。
7 エ 被告らの公知意匠に係る主張について 被告らは,公知意匠(乙6ないし13)を挙げて,紐の中央部に存在する 球状ビーズが要部ではないと主張しているが,失当である。
まず,公知意匠(乙6,乙11ないし13)に係る物品が想定している需 5 要者は,本件登録意匠と需要者を異にしているから,本件登録意匠物品を 本件需要者等が見た場合に,当該公知意匠を思い浮かべて相違点を把握して デザイン上の特徴点を把握するとはいえず,本件登録意匠の要部認定に影響 を与えない。すなわち,@幼児用マスク(乙6)の需要者は,主として,幼 児の親であるところ,その幼児の親の関心事は,幼児に嫌がらずに着用して10 もらうことであると考えられるから,外観上は,マスク部分のデザインが幼 児の好むデザインであるか否かに強い関心をもつ。意匠公報(乙6)の意匠 に係る物品の説明でも, 「マスク嫌いな幼児の為」との記載がある。そうであ れば,各々想定される需要者を基準に考えた場合,幼児用マスクは,本件登 録意匠に係る物品とは外観上の興味のいきどころが全く異なる物品であっ15 て,本件登録意匠の要部認定に影響を与える公知意匠としての前提を欠くも のである。A公開特許公報(乙11)記載の物品については,その文言を表 面的・形式的に読めば「アイマスク」とされているものの,さらに踏み込ん で検討すれば,専ら「目の焦点を合わせるトレーニング」の用途であり(明 細書段落[0011], ) 構造上も, 「視界を遮ることがないように開口された20 開口部」が設けられている。そうであれば,本件登録意匠に係る物品が想定 している需要者すなわち快適な睡眠のために遮光性のある物品としてのア イマスクを前提とする需要者とは相容れないものである。公開特許公報(乙 11)記載の物品の広告(乙12,乙13)についても,公開特許公報(乙 11)の実施品であることから同様である。
25 また,前述のとおり,本件登録意匠については,それを構成する上記一体 としての構成が,強い意匠的効果を発揮していると考えられるところ,いず 8 れの公知意匠(乙6ないし13)においても,上記一体としての構成(要部) を備えていないから,上記一体としての構成(要部)が公知・周知となって いるとは到底いえない。
オ 被告らの出願経過禁反言に係る主張について 5 被告らは,原告の提出した本件意見書に「ストラップの結び目は現れず, 両ストラップ先端部にビーズを施し美的な処理がなされている点」との記載 が存在することを根拠として,上記の点が要部でないと原告が主張すること は,信義誠実の原則ないしは禁反言の原則に照らして許されないと主張する。
しかしながら,被告らが引用する記載は, 「・・・相違します。」と述べて,10 実際に存在している相違点を端的に指摘しているにすぎず,要部であると主 張しているものではない。
また,本件意見書では,併せて「本願意匠は,ストラップ中間部を移動す るビーズの位置より外側のストラップ紐が輪を成し,当該輪の円周上にビー ズが通され,ストラップ部の両端部が弧を成す形状となる」と主張されてい15 る。この主張において「外側のストラップ紐が輪をなす」ためには,先端部 のビーズは不要であることから,先端部のビーズの存在なく拒絶理由通知の 引用意匠との差異が表現できるものである。この点は,従前から原告が主張 する本件登録意匠の特徴点と合致するものである。
したがって,原告が「ストラップの結び目は現れず,両ストラップ先端部20 にビーズを施し美的な処理がなされている点」が要部でないと主張すること は,信義誠実の原則ないしは禁反言の原則に反するものとはいえない。
[被告らの主張] ア 両意匠の構成 前記前提事実?及び?のとおりである(オ及びオ´の構成も含むべきであ25 る。。
) イ 意匠の要部 9 本件登録意匠は,アイマスクに関するものであり,その需要者は快適な睡 眠に関心を持つ一般消費者である。
本件登録意匠は,アイマスクの耳掛け部に関する部分意匠であり,意匠に 係る物品の性質,用途及び使用態様からして,同物品の需要者は,本件登録 5 意匠の正面,左右斜め上から俯瞰して観察される外観に着目し,また,機能 や使用感に関連して,紐の伸縮の可否及びビーズの数に着目する。
そして,アイマスクの類似物品である衛生マスクの左右端の上部又は下部 から伸びた紐が左右端(左右同順)の下部又は上部(上下同順)に到達する 形態は,本件登録意匠の出願時において公知になっていた(乙6ないし9)。
10 アイマスク及び類似物品である衛生マスクの耳かけストラップに一つのビ ーズ形状が現れる形態は,本件登録意匠の出願時において公知になっていた (乙6.10)。アイマスク及び類似物品である衛生マスクの耳かけストラ ップの中間部において耳かけストラップを束ねる物体が現れ,同物体が移動 可能である形態は,本件登録意匠の出願時において公知になっていた(乙7,15 11ないし13)。アイマスクに現れるビーズの形状が略小球形である形態 は,本件登録意匠の出願時において公知になっていた(乙6,10)。
これらの公知意匠を踏まえて,需要者の目線で本件登録意匠を正面及び左 右斜め上から俯瞰して観察した場合,耳かけストラップの中間部及び先端部 の二箇所にビーズが現れる形態(構成イ)は公知意匠にはなく,かつ,需要20 者の目を引く部位である。アイマスクの耳かけストラップという紐とビーズ のみで成り立つ単純な組成にあって,中間部と先端部の二箇所にビーズが現 れる形態は需要者の印象に大きく残るものである。また,耳かけストラップ が非弾性体で作られている形態(構成オ)も,需要者の注意を惹く部分であ る。したがって,これらの形態が本件登録意匠の要部である。
25 さらに,原告も出願経過において,ストラップの先端部のビーズが施され ていることが公知意匠と異なる旨主張していたから,「耳かけストラップの 10 中間部及び先端部の二箇所にビーズが現れる形態」が本件登録意匠の要部で ある点を原告が争うことは,信義誠実の原則ないしは禁反言の原則に照らし て許されない(出願経過禁反言)。すなわち,本件登録意匠は,平成16年1 2月15日起案日とする拒絶理由通知書において,引用意匠(乙13)に類 5 似し,意匠法3条1項3号に該当するとされた(乙20)。これに対し,原告 は,平成17年1月24日に本件意見書(乙21)を提出している。本件意 見書において,原告は,ストラップ部の長さ調節を行うビーズが存在するこ とを本件登録意匠と引用意匠の共通点として確認をした後に,本件登録意匠 は,「ストラップの結び目は現れず,両ストラップ先端部にビーズを施し美10 的な処理が成されている点」において引用意匠と異なるとしている。このよ うに,原告は,本件登録意匠が登録されるまでの過程において,ストラップ 部の長さ調節を行うビーズの他に先端部にビーズを施している点を強調し ており,これによって本件登録意匠が登録されたのである。
ウ 両意匠の非類似性15 イ号意匠は,耳かけストラップの中間部の一箇所にビーズが現れるありふ れた公知の形態であって,本件登録意匠のように中間部と先端部の二箇所に ビーズが現れる形態とは全く異なるし,イ号意匠のストラップは弾性体で作 られており,伸縮する。したがって,本件登録意匠とイ号意匠は,すべての 要部において相違する。これらの相違は,需要者が着目する部位に関する意20 匠であると共に,本件登録意匠に特有の要部に関するものであるため,類否 判断に与える影響が大きいものである。
さらに,上記要部以外についても,相違点が存する。
したがって,本件登録意匠とイ号意匠とは,相違点が共通点を大きく凌駕 しているため,全体として美観を共通にするとはいえない。
25 争点2(本件原告商品の形態は商品等表示に当たるか)について [原告の主張] 11 本件原告商品に共通する形態の特徴は,不正競争防止法2条1項1号及び2 号における「商品等表示」に該当する。なお,被告会社は,平成18年6月に 開催された学術大会にて原告と隣接した展示ブースになった際,本件原告商品 の存在を認識し,その後,商品形態のみならず,製造方法や宣伝広告用写真を 5 も模倣して,本件被告商品を販売しており,このような自由競争の範囲を逸脱 した濫用的な行為であることも考慮されるべきである。
ア 形態としての顕著な特徴 本件原告商品に共通する形態の特徴として,「表裏ともにふわふわした厚 みのある周面で構成され腕,手首,首,ふくらはぎ,太もも,足首などの身10 体の一部にとおして着用させるための筒状であって,表面では筒開口と略平 行かつ等間隔にて表生地自体と同色の細い糸にて所定の間隔で複数のシャ ーリングが施されており,筒高さ方向と略平行で前記シャーリング間隔を高 さとするしわが生地表面全周にわたって多数あらわれるという点」 (以下「本 件特徴」という。)を挙げることができる。
15 それに対して,本件原告商品のうち最初の商品であるレッグウォーマーが 発売された平成13年7月ころ,一般に製造販売されているレッグウォーマ ーは,いずれについても本件特徴を有しないものであった(甲7) その後, 。
本件被告商品が発売されるまでの間,原告は,本件特徴を有する本件原告商 品を独占的に製造及び販売してきた。
20 ウォーマーの形態について,一般的に知られている他の商品(レッグウォ ーマーランキング(甲7)で上位に表示されているレッグウォーマー)の形 態の特徴と本件特徴とを比較すると,薄さ・厚さに関しては,薄手ものから, 厚手のものまで,幅広く分布しているが,薄手のものと比較して,厚みが増 えてゆくに従って装飾性が向上し,表面の模様やしわの入り具合などでおし25 ゃれに見せる傾向が増え,本件原告商品は,最も厚手であり,一見してその 相違が感じられる。また,立体的な縦横シワの規則性に関しては,本件原告 12 商品は,規則性のある縦シワと横シワが立体的にデザインとして形成されて おり,着用によって偶然形成される不規則なシワの発生を許さないデザイン であるから,規則性のある縦シワと横シワが強く強調されたデザインであり, 一般に知られている他のレッグウォーマーとは一線を画するデザインであ 5 る。このように,本件特徴は,一般的に知られている他のウォーマーの形態 の特徴とは全く異なる。
さらに,不正競争防止法2条1項1号及び2号の趣旨からすれば,商品の 形態の中で特徴となる形態がどこであるかを考えるに当たっては,特殊な製 造方法によってのみ生み出される形態であるかをも考慮すべきである。本件10 原告商品が備えているふわふわし,独立して机上に縦に置けるほどしっかり とした厚みがあり,等間隔のシャーリングが崩れないという特徴的な形態は, シャーリングを施した表面生地を裏返した反転シャーリング筒体と,綿材と 体側生地とからなり体側生地を裏側にした反転内筒体と,の両端部が接合さ れており,反転内筒体を筒状に縫合するための縫い目の一部分が途切れてい15 る,製品直前形態(甲435)によって生み出される特徴的なものである。
このように,本件原告商品は,特殊な製造方法によってのみ生み出される形 態である。しかるに,本件被告商品を解体したところ,本件原告商品の製品 直前形態と同様の形態を採用していることが判明した(甲437)。このよ うに,本件被告商品は,本件原告商品の製品直前形態を模倣し,特殊な製造20 方法によってのみ生み出される形態である本件原告商品の形態と同様の形 態を実現したものである。
したがって,遅くとも平成26年8月には,本件特徴は,他に類をみない 顕著な特徴となっていた。
イ 本件特徴が周知性を有すること25 原告は,本件特徴を有する本件原告商品を間断なく独占的に製造及び販売 してきた。その間においては,チラシ等で集客を図っていたことはもちろん 13 のこと,原告商品の際立った特徴が注目を浴び,原告によって長期にわたり 継続的かつ独占的に使用され続け,しかも多数の新聞や雑誌等の刊行物(甲 8ないし162)に掲載され,展示会にも多数回出品されてきた。刊行物に おける商品説明では,そのほとんどにおいて,商品の写真が掲載されている 5 ことに加えて,「シャーリング加工を施した」という説明書きが存在してお り,かかる形態の特徴に注意が行くように記載されている。
また,本件原告商品は,ウェブ上やカタログ上や新聞上に止まらず,全国 的に店舗数でいえば少なくとも500店舗にて実店舗販売されており(甲1 65),それにより,本件特徴は,多くの人に周知されてきた。まず,実店舗10 における本件原告商品の展示態様は,例えば,実店舗の中央部や通路そばに, その実店舗で扱われている他の商品と比較して相対的に広域なスペースを 確保して展示されている店舗もある(甲166)など,当該実店舗に入った 者にとっては確実に目に止まり,更には当該実店舗に入らないがその店舗前 を通りかかった者にとっても,目に止まりやすい態様である。そして,本件15 原告商品は,健康や美容に興味のある需要者が多く集まるような病院やエス テあるいはエアロビクス教室等において数多く取り扱われていることから, とりわけ需要者との関係では,効率的に特徴が知れ渡る状況であった。
さらに,本件原告商品は,多数の第三者のブログで,本件原告商品の写真 が添付された上で紹介されている(甲167ないし432) かかる事実は, 。
20 本件原告製品が,話題性が高いことを示しており,周知なものであることを 裏付けている。
これらにより,遅くとも平成26年8月には,本件原告商品は,本件特徴 をもって,原告の商品であることを需要者において広く認識されるに至って いたのであり,自他識別機能を有していた。
25 ウ 小括 以上から,本件特徴は,遅くとも平成26年8月には 「被告らがいう他の ( 14 同種商品の最も早い販売時期である平成23年9月までには」を含む。,不 ) 正競争防止法2条1項1号及び2号における「商品等表示」に該当するに至 っていたものである。
エ 同種商品に関する被告らの主張に対する反論 5 原告は,被告らが任意に抽出した要素ごとで各々が特別顕著であることを 主張するものではなく,本件原告商品に共通する本件特徴を全体としてみた 場合に,そのような特徴を全て有しているという形態がウォーマーとしては 特別顕著であると主張するものである。被告らは,「構成要素を組み合わせ ることは洋裁・ファッション業界においては容易であり」と主張しているが,10 それが仮に加工「方法」などの技術的な意味での容易性を述べるものであれ ば,不正競争防止法2条1項1号・2号が「表品等表示」としてのいわゆる 出所表示としての機能を保護する趣旨と相容れない。また,仮にデザインと して組み合わせることの容易性を主張するものであれば,そもそも一般論と してデザインを組み合わせることが不可能なデザインというものが考え難15 く,上記各号による保護が事実上あり得ないこととなる。さらに,仮に構成 要素を組み合わせることを「思いつくこと」が容易であるとの主張であれば, 機能上あるいはデザイン上においても組み合わせなければならない必然性 もなければ,例えばその時代の流行や取り立てた需要に基づく動機付けもな いので,組み合わせることを思いつくことが容易であったとは到底いえない。
20 また,本件特徴がありふれた形態である根拠として被告らが挙げるもの (乙22ないし24)は,規則性のある縦シワと横シワが立体的にデザイン として形成されていないもの(乙22,24)や,商品化されておらず需要 者が認識しないもの(乙23)であるから,失当である。
さらに,世界中又は日本国内のどこかで類似品が実は売られていたという25 事実があっても,それを需要者が認識する態様でなければ,その後も継続し て,特定の商品の形態につき「商品等表示」の周知性も高まっていくと考え 15 るのが合理的である。平成26年8月ころに至るまで,類似品(本件被告商 品あるいは第三者製品)は,一般の需要者に認識される態様では存在してお らず,一般消費者若しくは小売店舗などの需要者において,類似品の存在が 知られていることはなかった。そのような状況において,本件原告商品は, 5 平成26年8月ころに至って本件被告商品の露出が激しくなり需要者が本 件被告商品を現実的に認識するまでの間,継続して, 「商品等表示」 (特別顕 著性を含む。)としての機能を強め,周知性を高め続けていたものである。
[被告らの主張] ア 特別顕著性が認められないこと10 本件特徴からは,@表裏ともにふわふわした厚みのある周面で構成された 筒状の形状を有していること,A筒開口と略平行かつ等間隔にて複数のシャ ーリングが施されていること(その結果としてシャーリング間隔を高さとす るしわが生地表面全周にわたって多数あらわれる点も含む。, ) Bシャーリン グには表生地と同色の細い糸を用いていること,の3つの構成要素が抽出で15 きるところ,本件特徴は,以下のとおり,個別の構成要素を検討しても,ま た,それぞれの構成要素を組み合わせても,特別顕著性は認められない。な お,商品等表示性の検討に際して製造方法をも考慮に入れることには慎重で なければならないし,そもそも本件原告商品の製造方法は特殊なものとはい えない。
20 上記@については,保温効果を効果的に得るために,防寒具が表裏ともに 厚みのある周面で構成された筒状の形状になることは経験則上自明であり, 当該形状をもって特別顕著性を有しているものとは認められない。遅くとも 平成10年11月には,断熱空間部を形成するためにウォーマーに厚みを持 たせる構成は周知のものとなっていた(乙23)。
25 上記Aについては,シャーリングとは,「ギャザーで立体的な模様を表す 洋裁技法」 (乙14)又は「洋裁における細か目のギャザーを寄せて,立体的 16 な凹凸による陰影を作り,表面に波上の変化を持たせる手法・技法,または その手法を使った生地やアイテム」 (乙15)のことであり,特に,ゴムのよ うに伸びる点に特徴がある(乙16)。そして,シャーリングは,洋裁におい ては広く行われている技術(乙17,18)であるから,シャーリング加工 5 が施されていることをもって特別顕著性を有しているものとは認められな い。
特に,筒状の形状にシャーリングを施す場合,ボタンやファスナーを付け ることなく伸び縮みし,身体にフィットするという効果をもたらすことから (乙19),当該効果を求めて,筒状の形状にシャーリングを施すことは何10 ら珍しいことではない。遅くとも平成22年7月には,筒状にシャーリング を施す構成は周知のものになっていた(乙24)。
また,シャーリングが筒開口と略平行かつ等間隔で施されている点につい ても,縫製が均一な間隔で施されるデザインは,むしろシャーリングの特徴 であって(乙15,19)ありふれた形態といわざるを得ず,これをもって15 特別顕著性を有しているものとは認められない。遅くとも昭和52年6月に は,洋裁・ファッション業界において,シャーリングを用いて等間隔の模様 を作り出す構成は周知のものとなっていた(乙22)。
上記Bについては,縫い目を見えづらくするために,縫製作業において生 地と同色の糸を用いることがあるのは経験則上自明であり,当該加工方法を20 もって特別顕著性を有しているものとは認められない。
さらに,本件特徴はいずれもありふれた構成要素を組み合わせたに過ぎず, その構成要素を組み合わせた結果についても特別顕著性は認められない。上 記@ないしBの構成要素を組み合わせることは洋裁・ファッション業界にお いては容易である。
25 加えて,本件特徴の全て又は多くを備えた他の同種商品は,平成26年8 月の時点で,以下のとおり複数存在していた。このような状況において,本 17 件特徴自体からその出所を識別することは困難であった。@プードレッグ (乙2) (平成23年9月6日発売)。AMOCO モコウォーマー(乙3) (遅 くとも平成23年10月7日には発売)。Bウォッシャブルダウン足首ウォ ーマー,及び,ウォッシャブルダウンレッグウォーマー(乙4) (平成24年 5 11月2日発売)。Cふわふわチューブウォーマー(乙5)。Dヒーター付レ ッグウォーマー(乙25,26)(平成24年10月23日発売) イ 周知性が認められないこと 前述のとおり,筒状の形状にシャーリングを使用することは,洋裁・ファ ッション業界においては一般的なデザイン及び技術であるから,商品の写真10 が掲載されていること,及び, 「シャーリング加工を施した」という説明書だ けでは,原告の商品であることを需要者が広く認識することはない。
周知性立証のための甲号証には,他の商品とともに原告商品を掲載してい るため,原告商品の紹介スペースが小さくなっている雑誌及び新聞が多い (甲11の1,甲12等)から,証拠価値は相当程度減殺される。
15 原告は,通販カタログを多数証拠として提出しているが,通販の場合,商 品を掲載したカタログを広く頒布することは当然である。そのカタログにお いて原告商品は,他の多数の商品と一緒に掲載されており,それを見ても, 需要者が原告商品であることを広く認識されるに至ったものではない。
ウ 小括20 以上より,本件原告商品の形態について,特別顕著性及び周知性のいずれ も認められないから,当該形態は「商品等表示」にはあたらない。
争点3(本件原告商品の形態は周知ないし著名か)について [原告の主張] 上記 のとおり,本件原告商品に共通する形態の特徴(商品等表示)は,遅25 くとも平成26年8月には,全国の消費者の間で,原告の商品を表示するもの として周知かつ著名となっていた。
18 [被告らの主張] 争う。
争点4(本件被告商品の形態は本件原告商品の形態と類似して混同のおそれ があるか)について 5 [原告の主張] 本件原告商品と本件被告商品を比較したとき,いずれの商品についても,需 要者,取引者の層を共通とするものであること,形態の特徴が一見して区別が つかないほどに完全に一致していること,原告と被告会社以外の者が製造する 物には同一又は類似の形状を有している同種商品が存在しないこと,及び被告10 会社の販促物に掲載する写真等による商品の宣伝広告の仕方が原告の宣伝広 告の仕方と酷似していること(甲6)からすれば,被告会社の行為は,需要者, 取引者において,本件被告商品の製造販売主体を原告と同一であるか,又は何 らかの関係があると混同させる混同惹起行為であることは明らかである。
[被告らの主張]15 争う。
争点5(被告Aは会社法429条1項に基づく責任を負うか)について [原告の主張] 被告Aは,被告会社の代表取締役として,被告会社が意匠法あるいは不正競 争防止法に違反しないよう,善良なる管理者として注意すべき義務を負ってい20 たにもかかわらず,それに違反し,前記のとおり意匠権侵害及び不正競争防止 法違反に該当する行為を被告会社になさしめ,原告に対して損害を与えたもの である。
原告は,被告会社に対して,本件訴訟提起に先立ち,意匠権侵害と不正競争 防止法違反を指摘する文書を送付し(甲164) それに対して, , 被告会社は,25 本件原告商品の存在を認識していることは認めており,このことからすると, 被告Aは,少なくとも,本件原告商品の存在を認識していたものといえるから, 19 悪意又は重過失がある。
したがって,被告Aは,会社法429条1項に基づく損害賠償責任を負う。
そして,会社法430条が各取締役の責任を連帯責任として第三者の保護を図 っていること,及び共同不法行為の場合には不真正連帯債務となること(民法 5 719条1項前段)を考えれば,本件のように,代表取締役の意思決定に基づ いて会社が法令に違反して第三者に直接損害を生じさせた場合の会社と取締 役の責任は,上記に準ずるものとして連帯債務となると解すべきである。
[被告Aの主張] 争う。
10 争点6(原告の損害額等)について [原告の主張] 原告の損害額は,以下のとおり,合計4億4748万円となる。なお,被告 会社は,遅くとも平成26年8月には,原告が本件原告商品を販売しているこ とを知っていたから,被告会社には,不正競争行為について,故意又は過失が15 ある。
ア 意匠権侵害による原告の損害額 被告会社のイ号物件の平均販売個数は,一月あたり500個を下らないか ら,平成28年10月からの12か月間におけるイ号物件の販売数量は60 00個を下らない。被告会社の侵害行為がなければ原告が販売することがで20 きた原告の商品の1個当たりの利益は,930円であるから,意匠法39条 1項により,原告の損害額は558万円と推定される。
イ 不正競争行為による原告の損害額 被告は,平成26年8月ころから現在まで,本件被告商品を販売し,その 一月あたりの平均販売量は,別紙被告会社商品目録のうち,本件被告商品125 については900個,本件被告商品2については100個,本件被告商品3 については100個,本件被告商品4については150個,本件被告商品5 20 については100個,本件被告商品6については100個,本件被告商品7 については100個を下らない。
被告会社の不正競争行為がなければ原告が販売することができた原告の 対応商品及びその1個当たりの利益は,別紙「不正競争行為による損害額計 5 算書」記載のとおりであり,したがって,不正競争防止法5条1項により, 原告の損害額は4億0122万円と推定される。
ウ 訴訟代理人費用 原告は,本件訴訟の遂行を原告訴訟代理人弁護士及び同弁理士に委任した。
このうち,意匠権侵害,不正競争行為,不法行為と相当因果関係のある訴訟代10 理人費用相当額は4068万円である。
なお,会社法429条1項との関係においても,いわゆる不法行為と同視し 得る直接損害の賠償の場面であり,上記被告会社の場合の相当因果関係の問題 と同様に考えられるから,上記訴訟代理人費用相当額は相当因果関係の範囲内 にある。
15 [被告らの主張] 争う。
争点7(謝罪広告の必要性があるか)について [原告の主張] 本件被告商品は,本件原告商品に比べて縫製の精度等の品質が劣り,そのよ20 うな本件被告商品が原告の商品であると混同されることによって原告の営業 上の信用が毀損された。
また,本件原告商品を本来取り扱っていないはずの小売店で本件被告商品が 取り扱われることにより,原告の正規品を扱う取引先等に対し,あたかも原告 が商道徳上の信義に反し販路を拡大したかのような印象を与え,原告の営業上25 の信用が毀損された。
そこで,原告は,被告会社による不正競争行為及び意匠権侵害行為を周知し, 21 原告の営業上の信用を回復するため,意匠法41条が準用する特許法106条 及び不正競争防止法14条に基づき,別紙謝罪広告目録記載の謝罪文を掲載す ることを求める。
[被告会社の主張] 5 争う。
第3 当裁判所の判断 1 争点1(本件登録意匠とイ号意匠は類似するか)について 意匠の類否について 登録意匠とそれ以外の意匠が類似であるか否かの判断は,需要者の視覚を通10 じて起こさせる美感に基づいて行うものとされており(意匠法24条2項), この類否の判断は,両意匠の構成を全体的に観察した上,意匠に係る物品の性 質,用途,使用態様を考慮し,更には公知意匠にない新規な創作部分の存否等 を参酌して,当該意匠に係る物品の看者となる取引者及び需要者が視覚を通じ て最も注意を惹きやすい部分(要部)を把握し,この部分を中心に対比して認15 定された共通点と差異点を総合して,両意匠が全体として美感を共通にするか 否かによって判断するのが相当である。
? 本件登録意匠とイ号意匠 本件登録意匠に係る物品とイ号意匠に係 る物品はいずれもアイマスクであり,本件登録意匠は本件意匠公報の【図面】20 記載のとおりであり,イ号意匠は別紙イ号物件写真記載のとおりであり,両意 匠の構成は以下のとおりである。
なお,被告は,両意匠の構成として, 「オ 紐が非弾性体からなるため,紐が 伸縮しない態様。 及び 」 「オ´ 紐がゴムを主成分とする弾性体からなるため, 紐が伸縮する態様。 を加えるべきであると主張するが, 」 上記の点は,本件意匠25 公報の【図面】ないし別紙イ号物件写真によっても,視覚を通じて認識するこ とができないし,本件意匠公報の【意匠の説明】にも記載がないから,これを 22 両意匠の構成として記載すべきではない。
〔本件登録意匠の構成〕 ア アイマスクの左右端の上部又は下部から伸びた紐が左右端(左右同順)の 下部又は上部(上下同順)に到達する態様。
5 イ 上記紐の先端部と中間部の二箇所にビーズが設けられている態様。
ウ 上記先端部のビーズは上記紐に通されると共に上記中間部のビーズは上 記紐を束ねている態様。
エ 上記中間部のビーズは移動可能である態様。
カ アイマスクと紐の接合部から先端部までの長さとビーズの直径の比が約10 20ないし22対1である態様。
キ 2つのビーズの形状は,いずれも略小球形である態様。
〔イ号意匠の構成〕 ア´ アイマスクの左右端の上部又は下部から伸びた紐が左右端(左右同順) の下部又は上部(上下同順)に到達する態様。
15 イ´ 上記紐の中間部の一箇所にビーズが設けられている態様。
ウ´ 上記中間部のビーズは,上記紐を束ねている態様。
エ´ 上記中間部のビーズは,移動可能である態様。
カ´ アイマスクと紐の接合部から先端部までの長さとビーズの直径の比が 約17.5対1である態様。
20 キ´ ビーズの形状は,略小球形である態様。
? 本件登録意匠の要部 ア 本件登録意匠の需要者 本件登録意匠に係る物品はアイマスクであるから,その需要者は,快適な 睡眠に関心を持つ消費者であるといえる。そして,上記物品の性質,用途や,25 特にこれらの需要者がアイマスクを着用する際の使用態様等に鑑みれば,こ れらの需要者は,主に本件登録意匠の正面に注目するものと考えられる。
23 イ 公知意匠 本件登録意匠の出願日(平成16年6月15日)以前である平成元年6月 19日に発行されたと認められる意匠公報(乙10)には,アイマスクの耳 かけストラップに一つのビーズ形状が現れ,そのビーズの形状が略小球形で 5 ある形態が記載されており,かかる意匠が本件登録意匠の出願時において公 知になっていたものと認められる。また,本件登録意匠の出願日以前である 平成14年10月8日に公開されたと認められる公開特許公報(乙11), 平成10年11月15日に発行されたと認められる「DOS/V magazine22号 7巻」 (乙12,弁論の全趣旨)及び平成10年3月1日に発行されたと認め10 られる「月刊アスキー22巻3号」 (乙13,弁論の全趣旨)には, 「アイマ スクの左右端の上部又は下部から伸びた紐が左右端(左右同順)の下部又は 上部(上下同順)に到達し,上記紐の中間部の一箇所に物体が設けられ,上 記中間部の物体は,上記紐を束ねており,移動可能である態様」が記載され ており,かかる意匠が本件登録意匠の出願時において公知になっていたもの15 と認められる。
ウ 要部の認定 需要者がアイマスクを着用する際などに上記 認定の本件登録意匠の構 成を正面視において観察した場合,本件登録意匠が紐とビーズからなる単純 な構成のものであることや,本件登録意匠部分がそれ全体としてアイマスク20 を顔面に固定する用途で用いられるものであることも踏まえれば,その全体 が需要者の注意を惹くものと考えるのが自然である。
特に,上記イの公知意匠を踏まえれば,本件登録意匠の構成のうち「耳か けストラップの中間部及び先端部の二箇所にビーズが現れる形態」 (構成イ) は公知意匠にはないものであるから,上記構成イも強く需要者の注意を惹く25 ものと認められる。
したがって,「耳かけストラップの中間部及び先端部の二箇所にビーズが 24 現れる形態」 (構成イ)を含む本件登録意匠の構成全体が,需要者の注意を惹 くものであり,本件登録意匠の要部であると認められる。
これに対し,原告は,本件登録意匠の構成のうち「アイマスクの左右端の 上部又は下部から伸びた紐(平板状)が左右端(左右同順)の下部又は上部 5 (上下同順)に到達する態様において,上記紐の中間部にビーズが設けられ ており,そのビーズが上記紐を束ねている」という一体の構成が強い意匠的 効果を発揮して要部である旨主張するが,需要者が正面視において本件登録 意匠の構成を観察した場合に,「耳かけストラップの中間部及び先端部の二 箇所にビーズが現れる形態」 (構成イ)も目を惹く位置にあるから,あえて同10 構成を除いた原告のいう上記一体の構成のみが需要者の注意を惹くとは考 えがたい。上記イの公知意匠を踏まえれば原告のいう上記一体の構成はあり ふれた構成といえることも考慮すれば,尚更である。したがって,原告の上 記主張は採用できない。
なお,原告は,上記公知意匠(乙11ないし13)は「目の焦点を合わせ15 るトレーニング」の用途であるから,本件登録意匠に係る物品が想定してい る需要者とは相容れない旨も主張するが,上記?説示のとおり,意匠の要部 の把握に際しては,公知意匠にない新規な創作部分の存否等も参酌すべきで あるところ,上記公知意匠(乙11ないし13)が本件登録意匠に係る物品 と同じくアイマスクである以上,これも参酌して意匠の要部を認定すべきも20 のである。
エ 本件登録意匠の出願経過 以上の点は,本件登録意匠の出願経過からも裏付けられる。
すなわち,特許庁は,平成16年12月15日を起案日とする拒絶理由通 知書(乙20)において,本件登録意匠は,引用意匠(乙13に記載された25 上記公知意匠)に類似すると認められるので,意匠法3条1項3号に該当す る旨の拒絶理由を通知した。これに対し,原告は,平成17年1月24日を 25 受付日とする本件意見書(乙21)を提出し,そこにおいて,原告は, 「引用 意匠のストラップは先端部において結ばれ,その結び目又は結合箇所が両ス トラップ先端位置に現れている点で本願意匠の形状とは異なります。本願意 匠は,ストラップの結び目は現れず,両ストラップ先端部にビーズを施し美 5 的な処理が成されている点において引用意匠と相違します。また,本願意匠 は,ストラップ中間部を移動するビーズの位置より外側のストラップ紐が輪 を成し,当該輪の円周上にビーズが通され,ストラップ部の両端部が弧を成 す形状となる点においても,引用意匠のストラップ部の形状とは異なってお ります。従いまして,本願意匠は,美的処理がなされた外観の特徴において10 引用意匠とは類似致しません。 と記載している。
」 その後,本件登録意匠は, 平成18年6月2日,登録された。
上記のとおり,原告は,本件登録意匠の出願経過において, 「引用意匠のス トラップは先端部において結ばれ,その結び目又は結合箇所が両ストラップ 先端位置に現れている点で本願意匠の形状とは異なります。本願意匠は,ス15 トラップの結び目は現れず,両ストラップ先端部にビーズを施し美的な処理 が成されている点において引用意匠と相違します。」とした上で, 「従いまし て,本願意匠は,美的処理がなされた外観の特徴において引用意匠とは類似 致しません。 とする意見を特許庁に述べており, 」 このことは,耳かけストラ ップの先端部にもビーズが存する形態が本件登録意匠の要部に含まれるこ20 とを裏付けるものというべきである。
これに対し,原告は,本件意見書の記載は,実際に存在している相違点を 端的に指摘しているにすぎず,要部であると主張しているものではない旨主 張するが,上記説示のとおり,原告は,本件意見書において,耳かけストラ ップの先端部にもビーズが存する形態を相違点として挙げた上で,これを受25 けて, 「従いまして,本願意匠は,美的処理がなされた外観の特徴において引 用意匠とは類似致しません。」と記載しているから,上記相違点が類否判断 26 の上で重要である(要部に当たる)ことを指摘しているものというべきであ る。
? 両意匠の類否 両意匠を対比すると,両意匠は,「アイマスクの左右端の上部又は下部から 5 伸びた紐が左右端(左右同順)の下部又は上部(上下同順)に到達する態様。, 」 「上記紐の中間部にビーズが設けられている態様。, 」「上記中間部のビーズは 上記紐を束ねている態様。「上記中間部のビーズは移動可能である態様。「ビ 」 」 ーズの形状は,略小球形である態様。」という構成が共通する。
一方,両意匠は, 「本件登録意匠では,上記紐の先端部にも略小球形のビーズ10 が設けられており,上記先端部のビーズは上記紐に通されているが,イ号意匠 では,上記先端部のビーズがない点」「アイマスクと紐の接合部から先端部ま , での長さとビーズの直径の比が,本件登録意匠では約20ないし22対1であ るのに対し,イ号意匠では約17.5対1である点」が相違する。
以上を踏まえて検討すると,両意匠は,構成における共通点も多いものの,15 これらの点は,いずれも上記 イの公知意匠に既に現れているものであり,一 方,相違点のうち, 「本件登録意匠では,上記紐の先端部にも略小球形のビーズ が設けられており,上記先端部のビーズは上記紐に通されているが,イ号意匠 では,上記先端部のビーズがない点」は,上記 ウのとおり,同イの公知意匠 にはないものであり,強く需要者の注意を惹くものであって,本件登録意匠の20 要部に含まれるものである(出願経過における原告の意見もこれを裏付ける。。
) 以上によれば,両意匠を全体として観察した際に,看者に対して異なる美感を 起こさせるものというべきであるから,両意匠が類似しているとは認められな い。これに反する原告の主張はいずれも採用できない。
? 小括25 以上のとおり,原告の意匠権侵害の主張は理由がない。
2 争点2(本件原告商品の形態は商品等表示に当たるか)について 27 ? 商品形態の商品等表示性について 商品の形態は,商標等と異なり,本来的には商品の出所を表示する目的を有 するものではないが,例外的に,商品の形態自体が特定の出所を表示する二次 的意味を有するに至る場合がある。そして,このように商品の形態自体が特定 5 の出所を表示する二次的意味を有し,不正競争防止法2条1項1号及び2号に いう「商品等表示」に該当するためには,@商品の形態が客観的に他の同種商 品とは異なる顕著な特徴を有しており(特別顕著性),かつ,Aその形態が,特 定の事業者によって長期間独占的に使用され,又は短期間であっても極めて強 力な宣伝広告や爆発的な販売実績等により,需要者においてその形態を有する10 商品が特定の事業者の出所を表示するものとして周知になっている(周知性) ことを要するものと解するのが相当である。以下では,上記@の点について検 討する。
? 本件原告商品の形態の特別顕著性の有無について ア 原告は,本件原告商品に共通する形態の特徴である「表裏ともにふわふわ15 した厚みのある周面で構成され腕,手首,首,ふくらはぎ,太もも,足首な どの身体の一部にとおして着用させるための筒状であって,表面では筒開口 と略平行かつ等間隔にて表生地自体と同色の細い糸にて所定の間隔で複数 のシャーリングが施されており,筒高さ方向と略平行で前記シャーリング間 隔を高さとするしわが生地表面全周にわたって多数あらわれるという点」20 (本件特徴)が,遅くとも平成26年8月には,他に類を見ない顕著な特徴 となっていた旨主張する。
イ 後掲各証拠によれば,以下の事実が認められる。
「メーカーオフィシャルショップ パンジーストア」と題するウェブサイ トには,平成23年9月6日付けニュースとして,「新感覚のケータイブー25 ツ『プードレッグ』お洒落にデビュー!」 「高機能レッグウォーマー『プード レッグ』を商品化いたしました。 等の記載と共に, 」 本件特徴ないしこれと極 28 めて類似した特徴を有するレッグウォーマーの写真が掲載されている(乙 2)。
平成23年10月7日付け日経MJ(日経流通新聞)には, 「撥水加工のレ ッグウォーマー」 「メイダイ(中略)の寒い日の外出に重宝するレッグウォー 5 マー「MOCO(モコ)モコウォーマー(2枚組)」等の記載と共に,本件 」 特徴ないしこれと極めて類似した特徴を有するレッグウォーマーの写真が 掲載されている(乙27)。
株式会社メイダイのウェブサイトには,平成23年10月8日付けお知ら せとして,『日経MJ』10月7日号で弊社の新商品「MOCOモコウォー 「10 マー」を紹介していただきました。 などとして, 」 上記日経MJの記事が紹介 されている(乙3)。
株式会社ポーラのウェブサイトには,平成24年10月11日付けニュー スリリースとして,『ウォッシャブルダウン足首ウォーマー』 「 『ウォッシャ ブルダウンレッグウォーマー』発売」 「株式会社ポーラ(中略)は,ホワイト15 マザーグースダウンを使用した,軽くてあたたかなウォーマー『ウォッシャ ブルダウン足首ウォーマー』 (税込\4,620)と『ウォッシャブルダウン レッグウォーマー』 (税込\7,560)を2012年11月2日に発売しま す。」等の記載と共に,本件特徴ないしこれと極めて類似した特徴を有する レッグウォーマーの写真が掲載されている(乙4)。
20 株式会社山善のウェブサイトには,平成24年10月23日付けプレスリ リースとして, 「ヒーター付レッグウォーマー『ほっとウォーマー』新発売」 「ふわふわかわいいボワ生地」等の記載と共に,本件特徴ないしこれと極め て類似した特徴を有するレッグウォーマーの写真が掲載されている(乙2 6)。
25 なお,平成30年2月16日時点で, 「フェリシモの雑貨Kraso」と題 するウェブサイトには,「シャーリングでずれない! あったか自在の ふ 29 わふわチューブウォーマー」 「1個\3,980」等の記載と共に,本件特徴 ないしこれと極めて類似した特徴を有するチューブウォーマーの写真が掲 載されている(乙5)。
また,平成30年10月17日時点で, 「楽天市場」のウェブサイトにおい 5 て「レッグウォーマー 綿入り」で検索すると,本件特徴ないしこれと類似 した特徴を有しており「楽天市場」で販売されている多数のレッグウォーマ ー商品が検索される(乙29)。
ウ 上記アのとおり,原告は,本件原告商品に共通する形態の特徴である本件 特徴が,遅くとも平成26年8月には,他に類を見ない顕著な特徴となって10 いた旨主張するが,上記イ認定の事実によれば,平成23年ないし24年に は,本件特徴ないしこれと極めて類似した特徴を有する複数の商品が市販さ れていることが認められるし,平成30年時点においても,本件特徴ないし これと類似する特徴を有する商品が多数販売されていることが認められる から,少なくとも平成23年ないし30年頃において,本件原告商品に共通15 する形態の特徴である本件特徴が他に類を見ない顕著な特徴となっていた (特別顕著性を有していた)とは到底いうことができない。したがって,本 件原告商品の形態(本件特徴)が商品等表示性を獲得していたとは認められ ない。
これに対し,原告は,平成26年8月ころに至るまで,類似品(本件被告20 商品あるいは第三者製品)は,一般の需要者に認識される態様では存在して おらず,一般消費者若しくは小売店舗などの需要者において,類似品の存在 が知られていることはなかった旨主張するが,上記説示のとおり,平成23 年ないし24年には,本件特徴ないしこれと極めて類似した特徴を有する複 数の商品が市販されているものである以上,原告の上記主張は事実に反する25 ものであって採用できない。
また,原告は,本件原告商品は特殊な製造方法によってのみ生み出される 30 形態であるところ,本件被告商品はこれを模倣したものである旨も主張する が,上記のとおり,本件原告商品の形態と類似の特徴を有する商品が多数販 売されている以上,その製造方法は上記説示を何ら左右するものとはいえな い。
5 小括 以上のとおり,原告の不正競争防止法違反の主張は理由がない。
3 争点5(被告Aは会社法429条1項に基づく責任を負うか)について 原告は,被告Aが被告会社の代表取締役として被告会社が意匠法又は不正競争 防止法に違反しないよう注意すべき義務を負っていたにもかかわらず,それに違10 反したため,会社法429条1項に基づく責任を負う旨主張するが,前記のとお り,被告会社の意匠権侵害や不正競争防止法違反をいう原告の主張はいずれも理 由がないから,被告Aの責任をいう原告の上記主張もその前提を欠き理由がない。
4 結論 よって,その余の争点について判断するまでもなく,原告の被告らに対する請15 求はいずれも理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。
追加
20裁判官奥俊彦裁判官櫻慎平2531 (別紙イ号物件目録)1イ号物件(アイマスク)商品名「あたためほぐしアイマスク」5型式番号「i-001」「i-002」32 (別紙被告会社商品目録)本件被告商品1商品名「アーム&レッグウォーマー」5型式番号「K001」「K002」「K005」本件被告商品2商品名「ボディウォーマー」型式番号「K003」「K004」「K020」10本件被告商品3商品名「ボディチューブミニ」型式番号「K090」「K091」15本件被告商品4商品名「かぼちゃパンツCQ」型式番号「K030」「K031」「K032」「K033」「K034sen」20本件被告商品5商品名「マイクロミニ」型式番号「K011」「K012」本件被告商品625商品名「足首岩盤浴ウォーマーロング」型式番号「K071」「K072」33 本件被告商品7商品名「ボディチューブ」型式番号「K040」「K041」534 (別紙謝罪広告目録)1謝罪広告の内容謝罪広告5当社は,株式会社ジェイ・エス様の「イオンドクター」ブランドの商品の人気に乗ずることを意図し,株式会社ジェイ・エス様に無断で,同商品の特徴的な形状を完全にコピーし,一見して見分けがつかないほどに類似した自社商品を製造及び販売いたしました。
かかる当社の行為は,株式会社ジェイ・エス様の意匠権を侵害し,また不正競争10行為に該当するとのことであり,株式会社ジェイ・エス様に多大なご迷惑をおかけしたことを反省し,ここに謝罪いたします。
今後は,株式会社ジェイ・エス様を含む他者の意匠権侵害,あるいは不正競争行為に該当することがないよう,十分に注意いたします。
株式会社ユメロン黒川15(省略)2条件(1)掲載箇所・大きさ株式会社日本経済新聞社発行の日本経済新聞の社会面の2段×13セ20ンチメートルのスペース(2)文字の大きさ第一段「謝罪広告」の文字については,20ポイント活字その他の部分の文字については,12ポイント以上の活字2535 (別紙原告商品・表示目録)本件原告商品1(甲第4号証の1)商品名「レッグウォーマー41」5型式番号「L41」限界利益6,100円36 本件原告商品2(甲第4号証の2)商品名「ウエストウォーマー」型式番号「W35」限界利益4,900円5本件原告商品3(甲第4号証の3)商品名「ひざウォーマー」型式番号「OH10B」限界利益2,500円1037 本件原告商品4(甲第4号証の4)商品名「ウエスト付きパンツ型ウォーマー」型式番号「HP31」限界利益14,700円5本件原告商品5(甲第4号証の5)商品名「足首ウォーマー16」型式番号「A16」限界利益3,100円1038 本件原告商品6(甲第4号証の6)商品名「ファスナー付き足首ウォーマー」型式番号「L21」5限界利益4,700円39 本件原告商品7(甲第4号証の7)商品名「ロングレッグウォーマー58」型式番号「L58」限界利益9,200円5本件原告商品8(甲第4号証の8)商品名「ウエストウォーマーロング」型式番号「WL08」10限界利益8,800円40 本件原告商品9(甲第4号証の9)商品名「足首ウォーマーハーフ」型式番号「SL20H」限界利益2,800円5本件原告商品10(甲第4号証の10)商品名「シルク足首ウォーマー」型式番号「SL20」10限界利益4,900円41 本件原告商品11(甲第4号証の11)商品名「シルクレッグウォーマー」型式番号「SL12」限界利益6,100円5本件原告商品12(甲第4号証の12)商品名「ネックウォーマー」型式番号「NL15」10限界利益1,900円42 本件原告商品13(甲第4号証の13)商品名「ハンドウォーマー」型式番号「H11G」限界利益4,100円543 (別紙イ号物件写真)(正面図)5(背面図)44 (平面図)(底面図)545 (別紙被告会社商品写真一覧)被告会社商品1商品名「アーム&レッグウォーマー」546 被告会社商品2商品名「ボディウォーマー」547 被告会社商品3商品名「ボディチューブミニ」48 被告会社商品4商品名「かぼちゃパンツCQ」549 被告会社商品5商品名「マイクロミニ」5被告会社商品6商品名「足首岩盤浴ウォーマーロング」50 被告会社商品7商品名「ボディチューブ」51 (別紙不正競争行為による損害額計算書)1対応関係被告会社による不正競争による営業上の利益の侵害行為がなければ販売するこ5とができた本件原告商品は,以下のとおりである。
被告会社商品1は,本件原告商品1に対応被告会社商品2は,本件原告商品2に対応被告会社商品3は,本件原告商品8に対応被告会社商品4は,本件原告商品4に対応10被告会社商品5は,本件原告商品9に対応被告会社商品6は,本件原告商品7に対応被告会社商品7は,本件原告商品8に対応2被告会社商品ごとの損害額15(1)被告会社商品136か月で32,400個(一月あたり900個)×限界利益6,100円=金197,640,000円(2)被告会社商品236か月で3600個(一月あたり100個)×限界利益4,900円20=金17,640,000円(3)被告会社商品336か月で3600個(一月あたり100個)×限界利益8,800円=金31,680,000円(4)被告会社商品42536か月で5400個(一月あたり150個)×限界利益14,700円52 =金79,380,000円(5)被告会社商品536か月で3600個(一月あたり100個)×限界利益2,800円=金10,080,000円5(6)被告会社商品636か月で3600個(一月あたり100個)×限界利益9,200円=金33,120,000円(7)被告会社商品736か月で3600個(一月あたり100個)×限界利益8,800円10=金31,680,000円3上記2の合計額金401,220,000円53
裁判長裁判官 沖中康人