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関連審決 不服2002-11414
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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成10行ケ42審決取消請求事件 判例 意匠
平成15行ケ565審決取消請求事件 判例 意匠
平成18行ケ10367審決取消請求事件 判例 意匠
平成16行ケ138審決取消請求事件 判例 意匠
平成18ワ8794不正競争行為差止等請求事件 判例 意匠
関連ワード 意匠の創作 /  物品 /  形状 /  模様 /  意匠に係る物品 /  意匠が具体的 /  創作非容易性 /  創作容易(容易の創作) /  公然知られた(3条1項1号) /  広く知られた /  意匠の属する分野 /  寄せ集め /  登録意匠 /  具体的な意匠 / 
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事件 平成 15年 (行ケ) 538号 審決取消請求事件
原告 アイリスオーヤマ株式会社
同訴訟代理人弁護士 伊藤真
同 弁理士 福迫眞一
被告 特許庁長官今井康夫
同指定代理人 西本幸男
同 藤正明
同 涌井幸一
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2004/04/22
権利種別 意匠権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
請求
特許庁が不服2002-11414号事件について平成15年10月27日にした審決を取り消す。
当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯 原告は、平成13年6月1日、意匠に係る物品を「フェンス」(以下「本件物品」という。)とし、その形態を別紙審決書写し(以下「審決書」という。)別紙第1記載のとおりとする意匠(以下「本願意匠」という。)について、意匠登録出願(意願2001-15929号)をしたが、同14年5月31日、拒絶査定を受けたので、同年6月21日、これに対する不服の審判の請求をした。
特許庁は、同請求を不服2002-11414号事件として審理した上、平成15年10月27日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)を行い、その謄本は、同年11月6日、原告に送達された。
2 本件審決の理由 本件審決は、審決書記載のとおり、本願意匠が、その出願前に日本国内において公然知られた態様に基づいて、当業者が容易に創作することができたものとすることが相当であって、意匠法3条2項の規定に該当し、意匠登録の要件を欠くものであるから、意匠登録を受けることができないとした。
原告主張の審決取消事由の要点
本件審決は、判断の対象とすべき具体的な意匠と、そのような意匠の上位概念である抽象的な形態・模様を指し示す語とを混同して創作容易性を判断する(取消事由1ないし3)とともに、1つの意匠を3つの構成要素に分解して創作性を判断したことも誤りである(取消事由4)から、違法として取り消されるべきである。
1 取消事由1(矩形の枠体について) 本件審決が、「矩形(略正方形状)の枠体内をやや上方寄りで2分し、上下の区画に異なった形態を施すことは、拒絶の理由で示した外国カタログ「SilvanGartenholz 1997」第28頁所載の「さく」にみられるとおり本願出願前に公然知られており」(2頁)と判断したことは、誤りである。
すなわち、上記説示は、もっぱら形態形成に際しての「作業手順」又は「概念的な構造」を説明する文章であって、当該文章からは、「形状模様若しくは色彩又はこれらの結合」も「意匠」も特定することはできない。
また、上記に例示された外国カタログの意匠(以下「例示意匠」という。)も、「概念的な構造」が共通するのみで、その「形状模様若しくは色彩又はこれらの結合」又は「意匠」は、本願意匠とはかけ離れている。
本願意匠は、具体的に特定された意匠であり、その創作容易性の判断の基礎となる意匠(出願人に提示されるべき意匠)も、同様に具体的に特定された意匠としての美感を備えたものでなければならない。
2 取消事由2(竹矢来模様の竹垣の編組について) 本件審決が、「竹矢来模様の竹垣の編組・・・は、周知の形態である。」(2頁)と判断したことは、誤りである。
すなわち、「竹矢来模様の竹垣の編組」の語は、抽象的な形態・模様を示すだけのものであり、その語のみでは、「(具体的な)形状模様若しくは色彩又はこれらの結合」も「(具体的な)意匠」も特定して把握することはできない。
竹矢来には、様々な意匠がある(甲11の第3ないし第6号証、甲12)にもかかわらず、本件審決は、「竹矢来模様の竹垣の編組」という抽象的な概念に包摂される形態・模様は全て周知の形態であるとして、具体的な本願意匠までも、何ら根拠を示さず、周知の形態であると誤った断定をしている。
3 取消事由3(四つ目格子について) 本件審決が、「四つ目格子は、周知の形態である。」(2頁)と判断したことは、誤りである。
すなわち、「四つ目格子」の語は、「方形の目のある格子」という概念的構成のみを規定する語であり、抽象的な形態・模様を指し示すのみで、その語のみをもってしては、「(具体的な)形状模様若しくは色彩又はこれらの結合」も「(具体的な)意匠」も特定して把握することはできない。
四つ目格子には、様々な意匠がある(甲12)にもかかわらず、本件審決は、「四つ目格子」という抽象的な概念に包摂される形態・模様は全て周知の形態であるとして、具体的な本願意匠までも、何ら根拠を示さず、周知の形態であると誤った断定をしている。
4 取消事由4(3つの構成要素の分解について) (1) 本件審決は、「意匠法第3条第2項には、構成要素の数についての規定は無く、本願意匠を、三つの要素に分解して創作性を判断した点に誤りはない。」(3頁)と判断したことは、誤りである。
そもそも意匠は、単なる要素の集合ではなく、秩序をもった一つのまとまりであって、いかなる要素をいかなる秩序に統一するかに工夫がなされて作られたものであり、本来、各構成要素に分解して判断されるべきではない。
構成要素の分解が認められるのは、それを認めるべき「特殊な事情」が「客観的事実」として存在する場合のみであり、その場合であっても、意匠審査基準に示される(35頁「23.5.2 寄せ集めの意匠」)ように、物理的に2つの構成要素を組み合わせたものまでが創作容易と判断し得る限度であり、3つ以上の構成要素を組み合わせた意匠は、当業者にとってありふれた手法により寄せ集めたものとは認められない事例であって、創作容易とすることはできないのである。
(2) また、本願意匠と同種の構成を備える「フェンス」等の意匠が、既に多数登録されている(甲13ないし29)ことに照らしても、本件審決は、違法である。
被告の反論の要点
1 取消事由1について 本願意匠と例示意匠とを比較検討してみると、両意匠は、縦横の長さ比率、
上下分割の比率、枠材の太さにおいてほとんど共通するもので、本願意匠に格別の意匠の創作も認められず、当業者であれば容易に創作することができたものといわざるを得ない。なお、本願意匠が枠体を焼き杉仕上げとした点は、本件物品において普通に見受けられる防腐処理のための手段としたものであって、当業者であれば普通に行い得るであろう程度の改変の範囲に止まり、評価するほどのものではなく、この点が、本願意匠の創作容易性の判断に何ら影響を与えるものではない。
また、例示意匠のほかにも、本願意匠の出願前に、矩形状の枠体の中央やや上方で上下に分割して、上方部と下方部に異なった形態を施したものが、広く知られている(乙1ないし5)。
2 取消事由2について 「竹矢来」とは、「竹を粗く縦横に組み合わせて造った垣。角矢来・菱竹矢来の別がある。」とされ、「菱矢来」とは、「縦横に組んだ矢来子の隙間が菱形をなす矢来。」とされる(乙6)。また、一般に竹矢来といわれて想起するのは、時代劇における処刑場の仮囲いを形成する斜め格子状に組まれたいわゆる菱矢来であって、このような形態のものは、本願意匠の出願前に広く知られているところであり(乙2、4、7)、割竹を用いて矢来に組んで柵を形成したものも出願前より知られている(乙3)ところである。
そして、本願意匠の上方の区画に表された形状についてみると、厳密には菱矢来又は菱竹矢来というべきものであるが、割竹を斜め格子状に組んだ具体的な形状が、いわゆる竹矢来模様の範囲を出るものではないから、格別の意匠の創作をしたものと認められず、当業者であれば容易に創作することができたものといわざるを得ない。
したがって、竹矢来模様について、広く知られた形状であるとして、特に例示を示さず創作容易性の判断をした本件審決に、誤りはない。
3 取消事由3について 「四つ目」とは、「4個の正方形を組み合わせた形。四つ目垣、四つ目格子はこの例である。」とされ(乙6)、「四つ目格子」とは、「方形の目のある格子。」とされており(甲11の第2号証)、特に例示がなくとも、「四つ目格子」の文言から、正方形を組み合わせた格子の態様が普通に特定できるものであり、このような四つ目格子模様を表した態様のものが、本願意匠の出願前に広く知られているところである(乙1、3、8)。
そして、本願意匠の下方の区画に表された形状についてみると、方形状の目のある格子状に組んだ具体的な形状が、格子の寸法や、太さ、数及び配置を勘案しても、いわゆる四つ目格子の形状の範囲を出るものではないから、格別の意匠の創作をしたものと認められず、当業者であれば容易に創作することができたものといわざるを得ない。
したがって、四つ目格子について、広く知られた形状であるとして、特に例示を示さず創作容易性の判断をした本件審決に、誤りはない。
4 取消事由4について (1) 意匠は、それを創作するに当たって、物品の用途・機能を考慮した上、種々の形態を適宜選択し、組み合わせて秩序をもった1つのまとまりとして創作することがごく普通に行われているところであり、それらの形態(構成要素)が当該物品分野において、公然と知られており、また、それらを組み合わせることが当業者において容易に想到し得ると認められる場合は、当業者が容易に創作できる意匠であるといえる。そうすると、その物品分野の特段の事情がない限り、分解する構成要素の数自体が創作非容易性の判断の基礎となるものではない。
したがって、本願意匠について、本件物品の分野において格別創作が困難な事情を示す根拠が見い出せないことから、公知ないし周知の3つの構成要素に基づいて、創作が容易であるとした本件審決の判断に、誤りはない。なお、3つ以上の構成要素からなる意匠を創作容易と判断した判決は、多数存在する(乙9ないし11)。また、意匠審査基準において、「容易に創作することができる意匠と認められる例」として挙げられている事例は、2つの構成要素に分解した例であるが、
それらはあくまでも一例として示されているにすぎないのであって、それらの事例のみに限定して運用しなければならないわけではない。
(2) 他の登録事例の意匠は、枠体の構成等において、本願意匠とは異なるものであるから、本願意匠の創作容易性の判断に直ちに当てはまるとは一概にいえないものであり、その登録意匠の存在は、本件審決の正当な判断を左右するものではない。
当裁判所の判断
1 取消事由1(矩形の枠体について) (1) 原告は、本件審決が、「矩形(略正方形状)の枠体内をやや上方寄りで2分し、上下の区画に異なった形態を施すことは、・・・(注・例示意匠)にみられるとおり本願出願前に公然知られており」(2頁)と判断したことについて、上記説示が形態形成に際しての「作業手順」又は「概念的な構造」を説明する文章であって、当該文章からは「形状模様若しくは色彩又はこれらの結合」も「意匠」も特定することはできないと主張する。
しかしながら、本件審決において、本願意匠の創作容易性の判断の基礎とされた「公然知られた形状」の1つが、「矩形(略正方形状)の枠体内をやや上方寄りで2分し、上下の区画に異なった形態」を有する具体的な形状であることは、
上記の説示及び例示意匠の形態から明らかに理解できるところであり、「施すこと」との文言があるからといって、それが単に作業手順等を示したものでないことはいうまでもない。原告の上記主張は、上記説示を正解せずに論難するものであって、到底、採用することができない。
(2) また、原告は、本願意匠が具体的に特定された意匠であるから、その創作容易性の判断の基礎となる意匠(出願人に提示されるべき意匠)も、具体的に特定された意匠としての美感を備えたものでなければならないと主張する。
しかしながら、意匠の創作容易性の判断の基礎となる「公然知られた形状模様若しくは色彩」とは、図面や写真等によりその細部までが具体的に確定されたものに限られず、当該意匠の属する分野における当業者が、名称や説明などによって、その「形状模様若しくは色彩」を具体的に認識することができるものも含まれると解されるところ、本件審決においては、前示のとおり、「公然知られた形状」の1つとして、「矩形(略正方形状)の枠体内をやや上方寄りで2分し、上下の区画に異なった形態」を有する具体的な形状が理解できるのであるから、この形状に基づいて創作容易性を判断することに誤りはないというべきであり、原告の上記主張は、採用することができない。
(3) さらに、原告は、例示意匠が、「概念的な構造」が共通するのみで、その「形状模様若しくは色彩又はこれらの結合」又は「意匠」は、本願意匠とはかけ離れていると主張する。
しかしながら、本願意匠は、審決書別紙第1記載のとおり、「矩形(略正方形状)の枠体内をやや上方寄りで2分し、上下の区画に異なった形態」を有するものであり、同別紙第2記載の例示意匠と比較すると、例示意匠の方がわずかに細長いものの、両意匠は、上記形態の下に、縦横の長さ比率、上下分割の比率、枠材の太さにおいてほとんど共通するものであるから、原告の上記主張も、採用することができない。
2 取消事由2(竹矢来模様の竹垣の編組について) 原告は、本件審決が、「竹矢来模様の竹垣の編組・・・は、周知の形態である。」(2頁)と判断したことについて、「竹矢来模様の竹垣の編組」の語は、抽象的な形態・模様を示すだけであり、竹矢来に様々な意匠がある(甲11の第3ないし第6号証、甲12)以上、その語のみでは「(具体的な)形状模様若しくは色彩又はこれらの結合」も「(具体的な)意匠」も特定して把握することはできないと主張する。
しかしながら、株式会社彰国社発行「建築大辞典」(乙6)によれば、「竹矢来」とは、「竹を粗く縦横に組合わせて造った垣。目の形によって角矢来・菱竹矢来の別がある。」とされ、「菱矢来」とは、「縦横に組んだ矢来子の隙間が菱形をなす矢来。」とされている。また、株式会社岩波書店発行「広辞苑(第5版)」(甲11の第2号証)によれば、「竹矢来」とは、「竹で結った矢来。」とされ、
「矢来」とは、「竹や丸太を縦横に粗く組んで作った仮の囲い。」とされている。
さらに、当業者向けのホームページ(甲11の第3号証)では、「矢来垣」とは、
「丸太又は丸竹を組み合わせた柵を総称して矢来といいますが、これを垣根に転用したものを矢来垣と呼んでいます。竹を用いたものを竹矢来、丸太を用いたものを丸太矢来といいますが、組み方によって角矢来、菱矢来とがあります。」とされる。しかも、丸竹又は割竹を斜め格子状の矢来に組んで柵の一部を形成した形状のものは、本願意匠の出願前に周知であると認められる(乙3、4、7)。
したがって、本件物品に係る当業者であれば、「竹矢来模様の竹垣の編組」の語によって、竹を菱形あるいは格子状の矢来に組んで垣根(の一部)を形成したものとして、その形状を具体的に認識することができるものといえる。そして、竹矢来模様の竹垣の意匠を形成する際、使用される竹の形態や、菱形あるいは格子状の組合せ方法により、その形状に多少の相違が生じるとしても、その竹の形態や組合せ方法に意匠創作上の格別の工夫がなされていない場合には、これらの意匠は、
従来から周知の竹矢来模様の竹垣の意匠に基づいて、当業者が容易に創作することができたものといわなければならない。
これを本願意匠についてみると、その上方の区画に表された、割竹をわずかに菱形の格子状に組んだ形状は、極めてありふれた形態であって、看者の美感に影響を及ぼすような意匠創作上の工夫をした箇所は認められず、しかも、例示意匠の上部の区画に表されたわずかに菱形の格子状の形態とも同様のものと認められるから、周知の「竹矢来模様の竹垣」の形状に基づいて、当業者が容易に創作することができたものといえる。したがって、原告の上記主張を採用することはできない。
3 取消事由3(四つ目格子について) 原告は、本件審決が、「四つ目格子は、周知の形態である。」(2頁)と判断したことについて、「四つ目格子」の語は、「方形の目のある格子」という概念的構成のみを規定する語であって、抽象的な形態・模様を指し示すだけであり、四つ目格子には様々な意匠がある(甲12)以上、その語のみでは「(具体的な)形状模様若しくは色彩又はこれらの結合」も「(具体的な)意匠」も特定して把握することはできないと主張する。
しかしながら、前掲の「建築大辞典」(乙6)によれば、「四つ目」とは、
「4個の正方形を組合わせた形。四つ目垣・四つ目格子はこの例である。」とされ、前掲の「広辞苑(第5版)」(甲11の第2号証)によれば、「四つ目格子」とは、「方形の目のある格子。また、それをかたどった文様の名。」とされ、当業者向けのホームページ(甲11の第3号証)では、「四つ目垣」が紹介されている。さらに、木材や竹を使用した四つ目格子の垣根や塀、門扉も、本願意匠の出願前に周知であると認められる(乙1、3、8)。
したがって、本件物品に係る当業者であれば、「四つ目格子」の語によって、4個の正方形を組合わせた方形の目のある格子として、その形状を具体的に認識することができるものといえる。そして、四つ目格子の意匠を形成する際、縦横の桟の形態や格子の寸法、数等の組合せ方法により、その形状に多少の相違が生じるとしても、その組合せ方法などに意匠創作上の格別の工夫がなされていない場合には、これらの意匠は、従来から周知の四つ目格子の意匠に基づいて、当業者が容易に創作することができたものといわなければならない。
これを本願意匠についてみると、その下方の区画に表された、木材を方形状の目のある格子に組んだ形状は、極めてありふれた形態であって、看者の美感に影響を及ぼすような意匠創作上の工夫をした箇所は認められないから、周知の「四つ目格子」の形状に基づいて、当業者が容易に創作することができたものといえる。
したがって、原告の上記主張を採用することはできない。
4 取消事由4(3つの構成要素の分解について) (1) 原告は、本件審決が、「意匠法第3条第2項には、構成要素の数についての規定は無く、本願意匠を、三つの要素に分解して創作性を判断した点に誤りはない。」(3頁)と判断したことについて、構成要素の分解が認められるのは、それを認めるべき「特殊な事情」が「客観的事実」として存在する場合のみであり、その場合であっても、意匠審査基準に示されるように、物理的に2つのものを組み合わせたものまでが創作容易と判断しうる限度であり、3つ以上の構成要素を組合せた意匠は、当業者にとってありふれた手法により寄せ集めたものとは認められない事例であって、創作容易とすることはできないと主張する。
ところで、意匠は、物品の美的外観であり、当該物品に関する様々な形状模様又は色彩の中から、当該物品の用途・機能・性質等を考慮した上で、適切な構成要素を適宜選択し、これらの複数の構成要素を組み合わせて1つの形態を創作するのが通常といえる。そして、複数の構成要素からなる意匠について、それぞれの構成要素が、当該物品分野において公然と知られており、また、これらを組み合わせることが当業者において容易に想到し得る場合は、構成要素が複数であるからといって当業者が当該意匠を創作することに何らの困難性も認められないから、
その意匠は、容易に創作できる意匠であるといわなければならない。
したがって、物理的に2つのものを組み合わせたものまでが創作容易と判断し得る限度であるとする原告の主張は、合理的な根拠を欠く独自の見解であり、
原告が指摘する意匠審査基準の事例も、3つの構成要素からなる意匠が創作容易と判断されることを否定するものとは認められないから、この点に関する原告の主張も採用することはできない。
(2) また、原告は、本願意匠と同種の構成を備える「フェンス」等の意匠が、
既に多数登録されている(甲13ないし29)ことに照らしても、本件審決が違法であると主張する。
しかしながら、原告主張の登録意匠のうち、本願意匠と同様に、平成10年法律第51号により意匠法3条2項が改正されてから後の出願に係るものについて検討すると、これらの登録意匠には必ずしも本願意匠と同種の構成とはいえないものが含まれている上、このような登録意匠の存在により、当裁判所の前示判断が左右されるものでもないから、原告の上記主張も、採用することができない。
5 結論 以上のとおり、原告主張の取消事由はいずれも理由がなく、その他本件審決に、これを取り消すべき瑕疵はない。
よって、原告の本訴請求を棄却することとし、主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 北山元章
裁判官 清水節
裁判官 沖中康人
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