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事件 平成 12年 (ワ) 1455号 意匠権侵害差止等請求事件
原告 タカラベルモント株式会社
訴訟代理人弁護士 芹田幸子
同 飯田俊二
同 川口俊之
被告 株式会社大廣製作所
訴訟代理人弁護士 後藤秀継
同 玉置健
補佐人弁理士 早瀬憲一
裁判所 大阪地方裁判所
判決言渡日 2001/07/12
権利種別 意匠権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
当事者の求めた裁判
1 請求の趣旨 (1) 被告は、別紙1(イ号目録)記載の自動洗髪機、別紙2(ロ号目録)記載の理容椅子及び別紙3(ハ号目録)記載の理容椅子を、製造し、販売し、使用し、
譲渡し、貸し渡し、又はその譲渡若しくは貸渡しの申出をしてはならない。
(2) 被告は、別紙1(イ号目録)記載の自動洗髪機、別紙2(ロ号目録)記載の理容椅子及び別紙3(ハ号目録)記載の理容椅子を廃棄せよ。
(3) 被告は、原告に対し、金7億1865万円及び内金5億1705万円に対する平成12年3月3日から、内金2億0160万円に対する同年7月29日から、各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(4) 訴訟費用は被告の負担とする。
(5) 仮執行宣言 2 請求の趣旨に対する答弁 主文同旨
当事者の主張
1 請求原因 (1)(意匠権T) ア 原告は、次の意匠権(以下「意匠権T」といい、その登録意匠を「登録意匠T」という。)を有している。
出 願 日 平成3年4月5日 登 録 日 平成7年4月7日 登 録 番 号 第928572号 意匠に係る物品 理容椅子 登 録 意 匠 別紙4(意匠公報写T)記載のとおり イ 登録意匠Tの構成は、別紙4(意匠公報写T)記載のとおりであり、そのうち、看者の注意を引く部分すなわち要部は、次のとおりである。
(ア) 背もたれは、上底より緩やかな曲線をもって下底にかけて絞り込まれ、前垂れは、上底が下底より長い台形状となるように直線によって絞り込まれ、
足置きは、座部の幅に比して小さめであり、正面から見た形状は、全体として逆台形である。
(イ) 手すりは、座部後部から緩やかな角度をもって現れ、やがて手すり上面は座部傾斜とほぼ平行になり、前面上部は突出した形状をなし、その角部は丸みを帯び、前面部は、下方にかつ背もたれ側に円弧状をなしたラインを有し、座部付近の手すり基部に連なっている。手すり上面の下方には空洞部が形成されており、その内面形状は、上部がほぼ直線状で前部が曲線状である。
ウ 被告は、平成9年から、別紙2(ロ号目録)記載の理容椅子(商品名「ヴェルター」。以下「ロ号物件」という。)を業として製造販売している。
エ ロ号物件の意匠は、別紙2(ロ号目録)記載のとおりであり、その特徴的部分は、次のとおりである。
(ア) 背もたれは、上底より緩やかな曲線をもって下底にかけて絞り込まれ、前垂れは、上底が下底より長い台形状となるように直線によって絞り込まれ、
足置きは、座部の幅に比して小さめである。
(イ) 手すりは、座部後部から緩やかな角度をもって現れ、やがて手すり上面は座部傾斜とほぼ平行になり、前面上部は突出した形状をなし、その角部は丸みを帯び、前面部は、下方にかつ背もたれ側に円弧状をなしたラインを有し、座部付近の手すり基部に連なっている。手すり上面の下方には空洞部が形成されており、その内面形状は、上部がほぼ直線状で前部が曲線状である。
登録意匠Tとロ号物件の意匠は、@手すり空洞部の後部が、登録意匠Tは直線であるのに対し、ロ号物件は曲線である点、A手すり内面後方に配置されている操作部のスイッチの配置が異なる点、B台座部分が、登録意匠Tは角を丸めた正方形状であるのに対し、ロ号物件は円形状である点、C側面から見たポンプカバーの形状がいずれも厚みをもったL字状をなすが、登録意匠Tは前部を薄くして部分的に曲線を取り入れた形状であるのに対し、ロ号物件は前後の厚みの差のない長方形である点において異なる。
しかし、前記@について、ロ号物件の手すり空洞部の後部の曲線は、空洞部の前部の曲率の大きい曲線と異なり、直線に近い、曲率のきわめて小さい曲線であるから、登録意匠Tとロ号物件とで、手すり空洞部の後部において直線と曲線の違いがあっても、手すりの内面形状全体が看者に与える印象は同一である。また、前記Cについて、ポンプカバーの形状は、理容椅子が通常使用される状況下では看者の目に触れにくい部分であり、登録意匠T、ロ号物件のいずれのポンプカバーも、特に変わった形状でもないから、それが意匠の類否の判断に影響を与えることはない。さらに、前記@ないしCの差異は、いずれも部分的なものにとどまり、
それによって構成全体の印象を別異とするものではない。
被告は、登録意匠Tとロ号物件の意匠の構成の相違に関し、ヘッドレストの操作部の位置、操作スイッチの形状及び配置、座部の縫い目などの違いを指摘するが、これらは微差にすぎず、意匠の類否判断に影響を与えるものではない。
登録意匠Tとロ号物件の意匠は、要部の構成が同一であるのに対し、相違点はいずれも部分的なものにとどまるから、ロ号物件は登録意匠Tに類似する。
(2)(意匠権U) ア 原告は、次の意匠権(以下「意匠権U」といい、その登録意匠を「登録意匠U」という。)を有していたが、同意匠権は、平成10年9月14日の経過により、存続期間満了により消滅した。
出 願 日 昭和56年12月16日 登 録 日 昭和58年9月14日 登 録 番 号 第613624号 意匠に係る物品 理美容用椅子 登 録 意 匠 別紙5(意匠公報写U)記載のとおり イ 登録意匠Uの構成は、別紙5(意匠公報写U)記載のとおりであり、そのうち、要部は、次のとおりである。
(ア) 正面形状は、背もたれの肩部が上部にいくほど狭くなる緩やかな曲線であるほかは、ほぼ長方形である。
(イ) 側面には、座部の後部からほぼ45度の角度で板状の手すりが現れ、しばらくして座部と平行となり、手すりの下には操作部があり、手すりの前部の下方は空間となっている。
(ウ) 背もたれは、その左右が少し内側に折り曲げられた形状であり、背もたれのうち手すりより上の部分は緩やかな曲線で少し絞り込まれ、背もたれのうち手すりより下の部分は急な直線で絞り込まれた後垂直に座部に至っており、それに加え、逆台形で横長の直線的なイメージを与えるヘッドレストと、台形で縦長の同じく直線的なイメージを与える背面部材からなる。
ウ 被告は、平成8年から、別紙3(ハ号目録)記載の理容椅子(商品名「ムーヴ」。以下「ハ号物件」という。)を業として製造販売している。
エ ハ号物件の意匠は、別紙3(ハ号目録)記載のとおりであり、その特徴的部分は、次のとおりである。
(ア) 手すりは、への字状をした手乗せ板からなり、その前部の下は空間であり、その後部の下に操作部が設けられている。
(イ) 背もたれはその左右が少し内側に折り曲げられた形状であり、背もたれのうち手すりより上の部分は緩やかな曲線で少し絞り込まれ、背もたれのうち手すりより下の部分は急な直線で絞り込まれた後垂直に座部に至っており、それに加え、逆台形で横長の直線的なイメージを与えるヘッドレストと、台形で縦長の同じく直線的なイメージを与える背面部材からなる。
登録意匠Uとハ号物件の意匠は、@手すり部分において、登録意匠Uは、への字の形状をした手乗せ板の下に台形状の操作パネルが設けられているのに対し、ハ号物件は、台形の操作部が埋め込まれた胴部が手乗せ板の下まで及んだ形状をしている点、A操作部の前方の縁端が、登録意匠Uは直線的に構成されているのに対し、ハ号物件は、その下端角部に若干丸みをもたせている点において異なるが、これらの差異はいずれも微差にすぎず、手すり全体の印象を別異とするものではない。
被告は、登録意匠Uとハ号物件の意匠の構成の相違に関し、背もたれや座部のレザー張りや手すりの細部などの違いを主張するが、それらは微差にすぎず、意匠の類否判断に影響を与えるものではない。
登録意匠Uとハ号物件の意匠は、要部の構成が同一であるのに対し、相違点はいずれも部分的なものにとどまるから、ハ号物件は登録意匠Uに類似する。
(3)(不正競争防止法2条1項1号-自動洗髪機) ア(ア) 原告は、平成5年4月から別紙7(原告製品目録一-1)記載の自動洗髪機(商品名「Aqua Vibro(アクアバイブロ)」。以下「原告旧型洗髪機」という。)を製造販売し、その新型として、平成10年5月から別紙8(原告製品目録一-2)記載の自動洗髪機(商品名は原告旧型洗髪機と同じ。以下「原告新型洗髪機」という。)を製造販売している。
(イ) 原告旧型洗髪機は、正面向かって右に隅切りが施されているのに対し、原告新型洗髪機は、正面手前両角ともに控えを設ける反面、それらの度合を原告旧型洗髪機の隅切りに比して緩やかなものとして正面全体に丸みをもたせた点において、原告旧型洗髪機と原告新型洗髪機の形状は異なる。しかし、そのような差異があるにもかかわらず、原告旧型洗髪機と原告新型洗髪機の正面部全体の印象は、その余の各部の形態が共通であることと相まってほとんど変わらない。そこで、原告旧型洗髪機と原告新型洗髪機は、商品等表示としての形態は共通する(原告旧型洗髪機と原告新型洗髪機に共通する形態を説明するために、原告旧型洗髪機と原告旧型洗髪機を合わせて、以下「原告洗髪機」という。)。
(ウ)@ 原告洗髪機の形態は、次のとおりである。
(a)縦長の四角柱の前面の両端又は一端を角切りした肉厚の箱形の本体の内部にほぼ円筒形の作業空間が設けられている。
(b)本体の上底面は、前部に向かって緩やかな傾斜があるが、後記(c)、(d)、(h)、(i)を除いてほぼ平面である。
(c)本体の上底面の中央手前寄りにほぼ半円形の作業空間開口部を有する。
(d)開口部中央の手前の縁端部には、使用者の首筋を乗せるためのほぼ半楕円形の切り欠き台がある。
(e)開口部の上には、半楕球(長軸を中心に楕円を回転させてできた立体を長軸を含む面で半分に折半してできた立体の片方を、以下「半楕球」という。)をその頂点付近を通り水平面と約40度(底面とほぼ35度)の角度をなす平面で切断した形の、透明な開閉式の蓋(以下、原告旧型洗髪機、原告新型洗髪機、被告の製造販売する洗髪機等の自動洗髪機に共通の用語として、洗髪機上部の開閉式の蓋を「シャワードーム」という。)を有する。
(f)シャワードームの後部下端と本体の上底面の後部平面が金具でつながれ、そこを基点としてシャワードームが開閉される。
(g)シャワードームは、その切断面に、ちょうど人の顔面が過不足なく露出する程度の大きさの逆U字型の穴部を有し、穴部周囲にはその縁取りとして逆U字型のフェイスシールが設けられ、穴部周囲の中央及び左右の各1か所の合計3か所に、フェイスシールの位置を微調整するための円形のつまみと0字状の穴がある。
(h)シャワードームは、閉じたときに(d)記載の切り欠き台と(g)記載の逆U字型穴部が一体となってほぼ楕円を形成し、首筋を支え頭部の生え際を覆って、顔面のみが機械の上部平面から露出することとなるような位置に配される。
(i)本体の上底面において、シャワードームの向かって右側には、長方形のコントロールプレートがあり、コントロールプレートの後方には、ハンドシャワーつまみと温度調節つまみがある。
(j)本体の上底面において、シャワードームの向かって左側中央部に内蔵形式のハンドシャワーがあり、その後ろにトリートメントつまみとシャンプーつまみが横並びにあり、左隅にはトリートメント瓶とシャンプー瓶を置く溝があり、そこに供給用のパイプをもつ各瓶が並ぶ。
A このうち、シャワードームの形態が、半楕球をその頂点付近を通り水平面と約40度(底面とほぼ35度)の角度をなす平面で切断した形であること(前記(e)の一部)、シャワードームの後部下端と本体の上底面の後部平面が金具でつながれ、そこを基点としてシャワードームが開閉されること(前記(f))、逆U字型のフェイスシールが設けられ、シャワードームの穴部周囲の中央及び左右の各1か所の合計3か所にフェイスシールの位置を微調整するための円形のつまみと0字状の穴があること(前記(g)の一部)、本体の上底面において、シャワードームの向かって右側には、長方形のコントロールプレートがあり、
コントロールプレートの後方には、ハンドシャワーつまみと温度調節つまみがあること(前記(i))、本体の上底面において、シャワードームの向かって左側中央部に内蔵形式のハンドシャワーがあり、その後ろにトリートメントつまみとシャンプーつまみが横並びにあり、左隅にはトリートメント瓶とシャンプー瓶を置く溝があること(前記(j))は、原告洗髪機の特徴的形態であり、これらは、商品等表示としての形態に当たる。
イ 原告旧型洗髪機及び原告新型洗髪機は、多くの理美容室で使用された。
また、原告旧型洗髪機については、別紙13(原告旧型洗髪機報道宣伝目録)記載のとおり、原告新型洗髪機については、別紙14(原告新型洗髪機報道宣伝目録)記載のとおり、新聞記事への掲載、テレビでの放映、雑誌記事への掲載等の報道や、実演、理容関係雑誌への広告掲載及び多数回にわたるちらしの配布等の宣伝広告が行われた。宣伝広告に用いられたカタログ等の作成部数は、別紙17(カタログ等作成部数目録)記載のとおりであった。その結果、平成11年3月ごろには、
原告洗髪機の特徴的形態は、その出所を表示する周知の商品等表示となっていた。
ウ(ア) 被告は、平成4年10月に幕張メッセで開催された理容関係の展示会であるヘアー・ワールドに、自動洗髪機の試作機を出品し、平成5年10月から自動洗髪機を製造販売し、その新型として、平成11年3月から別紙1(イ号目録)記載の自動洗髪機(商品名「SHAMPLIZEU(シャンプリゼU)」。以下「被告新型洗髪機」という。)を製造販売している。
(イ) 被告新型洗髪機の形態は、次のとおりである。
本体の上底面前部のほか、上底面後部もほぼ平面であり、シャワードームは、半楕球の形状であり、シャワードームの後部下端と本体の上底面後部の平面が金具でつながれ、そこを基点としてシャワードームが開閉され、シャワードームは、水平面と約40度(上底面とほぼ35度)の角度をなす平面で切断した切断面を有し、シャワードームの穴部周囲にその縁取りとして逆U字型のフェイスシールが設けられ、穴部周囲の中央及び左右の各1か所の合計3か所にフェイスシールの位置を微調整するための円形のつまみと0字状の穴が設けられており、本体の上部平面のコントロールプレートの後方にハンドシャワーつまみと温度調節つまみが設けられており、本体の上部平面の向かって左側中央部に内蔵形式のハンドシャワーがあり、左隅にはトリートメント瓶とシャンプー瓶を置く溝が設けられている。
エ 被告新型洗髪機の形態は、原告の商品等表示である原告洗髪機の特徴的形態をすべて備えており、原告の商品等表示に類似するから、被告新型洗髪機を製造販売することは、原告の商品等表示と類似の商品等表示を使用することに当たる。
オ 自動洗髪機の取引者、需要者は、理容室の経営者等であるが、理容室の経営者等は、顧客が店舗やその設備に対して抱くイメージ等を考慮して自動洗髪機や理容椅子を選択するものであるから、自動洗髪機や理容椅子について、誤認、混同が生じるかどうかは、理容室の顧客を基準として考えるべきである。
被告新型洗髪機の形態が、原告の商品等表示である原告洗髪機の形態に類似することからすると、顧客の観点からみて、被告新型洗髪機を製造販売することは、被告新型洗髪機につき原告洗髪機と混同を生じさせる行為に該当する。
カ 被告新型洗髪機は、原告洗髪機を模倣したものであり、不正競争行為を行うにつき、被告には故意がある。
(4)(不正競争防止法2条1項1号-原告クリエ) ア(ア) 原告は、平成3年4月ごろから別紙9(原告製品目録二)記載の理容椅子(商品名「クリエ」。以下「原告クリエ」という。)を製造販売している。
(イ)@ 原告クリエの形態上の特徴は、次のとおりである。
(a)背もたれは、上底より緩やかな曲線をもって下底にかけて絞り込まれ、前垂れは、上底が下底より長い台形状となるように直線によって絞り込まれ、足置きは、座部の幅に比して小さめであり、正面から見た形状は、全体として逆台形である。
(b)手すりは、座部後部から緩やかな角度をもって現れ、やがて手すり上面は座部傾斜とほぼ平行になり、前面上部は突出した形状をなし、その角部は丸みを帯び、前面部は、下方にかつ背もたれ側に円弧状をなしたラインを有し、座部付近の手すり基部に連なっており、手すり上面の下方には空洞部が形成されており、その内面形状は、上部がほぼ直線状で前部が曲線状である。
A このような特徴を有する原告クリエの形態は、商品等表示としての形態に当たる。
イ 原告クリエは、国内の多くの理容室で使用された。また、原告は、別紙15(原告クリエ宣伝目録)記載のとおり、理容関係雑誌への広告掲載及びちらしの配布等の宣伝広告を行った。宣伝広告に用いられたカタログ等の作成部数は、別紙17(カタログ等作成部数目録)記載のとおりであった。その結果、原告クリエの形態は、遅くとも平成9年には、その出所を表示する周知の商品等表示となっていた。
ウ 被告は、前記(1)ウのとおりロ号物件を製造販売しているところ、ロ号物件の構成とその特徴的部分は、前記(1)エのとおりである。
エ(ア) ロ号物件は、原告の商品等表示である原告クリエの形態上の特徴をすべて備えており、原告の商品等表示に類似する。
(イ) 原告クリエとロ号物件は、@手すり空洞部の後部が、原告クリエは直線であるのに対し、ロ号物件は曲線である点、A手すり内面後部に配置されている操作部のスイッチの配置が異なる点、B台座部分が、原告クリエは角を丸めた正方形状であるのに対し、ロ号物件は円形状である点、C側面から見たポンプカバーの形状がいずれも厚みをもったL字状をなすが、原告クリエは前部を薄くして部分的に曲線を取り入れた形状であるのに対し、ロ号物件は前後の厚みの差のない長方形である点において異なる。
しかし、前記@について、ロ号物件の手すり空洞部の後部の曲線は、
空洞部の前部の曲率の大きい曲線と異なり、直線に近い、曲率のきわめて小さい曲線であるから、原告クリエとロ号物件とで、手すり空洞部の後部において直線と曲線の違いがあっても、手すりの内面形状全体が看者に与える印象は同一である。また、前記Cについて、ポンプカバーの形状は、理容椅子が通常使用される状況下では看者の目に触れにくい部分であり、原告クリエ、ロ号物件のいずれのポンプカバーも、特に変わった形状でもないから、それが意匠の類否の判断に影響を与えることはない。さらに、前記@ないしCの差異は、いずれも部分的なものにとどまり、
構成全体の印象を別異とするものではない。
(ウ) ロ号物件の形態は、原告の商品等表示である原告クリエの形態に類似するから、ロ号物件を製造販売することは、原告の商品等表示と類似の商品等表示を使用することに当たる。
オ 理容椅子の取引者、需要者は、理容室の経営者等であるが、前記(3)オのとおり、理容椅子について、誤認、混同が生じるかどうかは、理容室の顧客を基準として考えるべきである。
ロ号物件の形態が、原告の商品等表示である原告クリエの形態に類似することからすると、顧客の観点からみて、ロ号物件を製造販売することは、原告クリエと混同を生じさせる行為に該当する。また、ロ号物件は、原告クリエと販売価格帯が同一であるから、この点からも混同のおそれがある。
カ ロ号物件は、原告クリエを模倣したものであり、不正競争行為を行うにつき、被告には故意がある。
(5)(不正競争防止法2条1項1号-原告プライムハイテクノ) ア(ア) 原告は、昭和62年ごろから別紙10(原告製品目録三)記載の理容椅子(商品名「プライムハイテクノ」。以下「原告プライムハイテクノ」という。)を製造販売している。
(イ)@ 原告プライムハイテクノの形態上の特徴は、次のとおりである。
(a)正面形状は、背もたれの肩部が上部にいくほど狭くなる緩やかな曲線であるほかは、ほぼ長方形である。
(b)側面には、座部の後部からほぼ45度の角度で板状の手すりが現れ、しばらくして座部と平行となり、手すりの下には操作部があり、手すりの前部の下方は空間となっている。
(c)背もたれは、その左右が少し内側に折り曲げられた形状であり、背もたれのうち手すりより上の部分は緩やかな曲線で少し絞り込まれ、背もたれのうち手すりより下の部分は急な直線で絞り込まれた後垂直に座部に至っており、それに加え、逆台形で横長の直線的なイメージを与えるヘッドレストと、台形で縦長の同じく直線的なイメージを与える背面部材からなる。
A このような特徴を有する原告プライムハイテクノの形態は、商品等表示としての形態に当たる。
イ 原告プライムハイテクノは、多くの理容室で使用された。また、原告は、別紙16(原告プライムハイテクノ宣伝目録)記載のとおり、理容関係雑誌への広告掲載及びちらしの配布等の宣伝広告を行った。宣伝広告に用いられたカタログ等の作成部数は、別紙17(カタログ等作成部数目録)記載のとおりであった。
その結果、原告プライムハイテクノの形態は、遅くとも平成8年には、その出所を表示する周知の商品等表示となっていた。
ウ 被告は、前記(2)ウのとおりハ号物件を製造販売しているところ、ハ号物件の構成とその特徴的部分は、前記(2)エのとおりである。
エ(ア) ハ号物件は、原告の商品等表示である原告プライムハイテクノの形態上の特徴をすべて備えており、原告の商品等表示に類似する。
(イ) 原告プライムハイテクノとハ号物件は、@手すり部分において、原告プライムハイテクノは、への字の形状をした手乗せ板の下に台形状の操作パネルが設けられているのに対し、ハ号物件は、台形の操作部が埋め込まれた胴部が手乗せ板の下まで及んだ形状をしている点、A操作部の前方の縁端が、原告プライムハイテクノは直線的に構成されているのに対し、ハ号物件は、その下端角部に若干丸みをもたせている点において異なるが、これらの差異はいずれも微差にすぎず、手すり全体の印象を別異とするものではない。
(ウ) ハ号物件の形態は、原告の商品等表示である原告プライムハイテクノの形態に類似するから、ハ号物件を製造販売することは、原告の商品等表示と類似の商品等表示を使用することに当たる。
オ 理容椅子の取引者、需要者は、理容室の経営者等であるが、前記(3)オのとおり、理容椅子について、誤認、混同が生じるかどうかは、理容室の顧客を基準として考えるべきである。
ハ号物件の形態が、原告の商品等表示である原告プライムハイテクノの形態に類似することからすると、顧客の観点からみて、ハ号物件を製造販売することは、原告プライムハイテクノと混同を生じさせる行為に該当する。また、ハ号物件は、原告プライムハイテクノと販売価格帯が同一であるから、この点からも混同のおそれがある。
カ ハ号物件は、原告プライムハイテクノを模倣したものであり、不正競争行為を行うにつき、被告には故意がある。
(6) 被告による被告新型洗髪機、ロ号物件又はハ号物件の製造販売により、原告は、営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある。
(7)ア 被告は、平成9年2月15日から平成12年2月15日までの間に、ロ号物件を少なくとも1050台製造販売した。
被告は、ロ号物件を1台販売するごとに17万1000円の利益を得ているから、被告がロ号物件の販売により平成9年2月15日から平成12年2月15日までに得た利益は、少なくとも、1億7955万円である(17万1000円×1050台=1億7955万円)。
イ 被告は、平成9年2月15日から意匠権Uの存続期間満了日である平成10年9月14日までの間に、ハ号物件を少なくとも950台製造販売し、同月15日から平成12年2月15日までの間に、ハ号物件を少なくとも550台製造販売した。
被告は、ハ号物件を1台販売するごとに22万5000円の利益を得ているから、被告がハ号物件の販売により平成9年2月15日から平成10年9月14日までの間に得た利益は、少なくとも、2億1375万円であり(22万5000円×950台=2億1375万円)、同月15日から平成12年2月15日までの間に得た利益は、少なくとも、1億2375万円である(22万5000円×550台=1億2375万円)。
ウ 被告は、平成11年3月1日から平成12年2月29日までの間に、被告新型洗髪機を少なくとも840台製造販売した。
被告は、被告新型洗髪機を1台販売するごとに24万円の利益を得ているから、被告が被告新型洗髪機の販売により平成11年3月1日から平成12年2月29日までの間に得た利益は、少なくとも2億0160万円である(24万円×840台=2億0160万円)。
(8) よって、原告は、被告に対し、次のとおり請求する。
ア(ア) 意匠法37条1項又は不正競争防止法3条1項に基づくロ号物件の製造、販売、使用、譲渡、貸渡し、又はその譲渡若しくは貸渡しの申出の差止め (イ) 不正競争防止法3条1項に基づくハ号物件及び被告新型洗髪機の製造、販売、使用、譲渡、貸渡し、又はその譲渡若しくは貸渡しの申出の差止め イ(ア) 意匠法37条2項又は不正競争防止法3条2項に基づくロ号物件の廃棄 (イ) 不正競争防止法3条2項に基づくハ号物件及び被告新型洗髪機の廃棄 ウ(ア) @民法709条、意匠法39条2項又は不正競争防止法4条5条1項に基づくロ号物件についての損害賠償1億7955万円、A民法709条、意匠法39条2項又は不正競争防止法4条5条1項に基づくハ号物件についての損害賠償3億3750万円(ただし、民法709条、意匠法39条2項に基づく請求は、意匠権Uの存続期間中についての2億1375万円に限る。)及びB不正競争防止法4条5条1項に基づく被告新型洗髪機についての損害賠償2億0160万円の合計7億1865万円の支払 (イ) ロ号物件についての損害賠償1億7955万円及びハ号物件についての損害賠償3億3750万円の合計5億1705万円に対する不法行為又は不正競争行為の後である平成12年3月3日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払 (ウ) 被告新型洗髪機についての損害賠償2億0160万円に対する不正競争行為の後である平成12年7月29日(訴えの変更申立書送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払 2 請求原因に対する認否 (1)ア 請求原因(1)アの事実は認める。
イ 同(1)イの主張は争う。
ウ 同(1)ウの事実は認める。
エ 同(1)エのうち、ロ号物件の意匠が別紙2(ロ号目録)記載のとおりであることは認め、その余の主張は争う。
オ 同(1)オの主張は争う。
カ 同(1)カの主張は争う。
キ(ア) 登録意匠Tとロ号物件の意匠には、次のような相違点がある。
@ 背もたれについて 背もたれの前面が、登録意匠Tは、ヘッドレストを除いて上下方向に2分割されるように縫い分けられ、フラットになっているのに対し、ロ号物件は、ヘッドレストを除いて横方向に3分割されるように縫い分けられ、両側が前方にせり出し、座った者の背中を包み込むような形状である。
背もたれ全体の形状が、登録意匠Tは、高さ方向に長い範囲にわたって左右に広がっており、高さ方向の中央部分より下の幅が細くなった、全体的に丸みのある形状となっているのに対し、ロ号物件は、両肩部が左右に突出するように広がり、下方向に向かって次第に幅が細くなる形状である。
背もたれ背面のカバーの形状が、登録意匠Tは、中央部に上端部分が略四角形状にくぼんだ縦長の長方形状の領域を配置した略扇形の部分の両側に、
それぞれの斜辺を扇形の辺に接するように配置した二つの略直角三角形状の領域を付した形状であるのに対し、ロ号物件は、中央部に上方に向けて幅の狭くなる台形状の領域を配置し、その両側に、上端部で最も幅が広く、下方に向けて曲線的に幅が狭くなる略三角形状の領域を付した形状である。
A ヘッドレストについて ヘッドレストの操作ノブが、登録意匠Tでは、背もたれの背面カバーに設けられているのに対し、ロ号物件では、ヘッドレストに設けられている。
B 手すりについて 登録意匠Tでは、背もたれと座部の操作スイッチ及びオート・リターンスイッチが操作スイッチパネルの側辺部に縦並びに設けられているのに対し、
ロ号物件では、背もたれと座部の操作スイッチが、背もたれと座部の形状及び配置に対応した形状及び配置で、操作スイッチパネルの中央上部に設けられ、その下側にオート・リターンスイッチが設けられている。
手すりの前端から下側後方に向けてのフォルムが、登録意匠Tでは、ほぼ直線に近い二つの部分と、この二つの部分をつなぐ曲率の大きい急な曲線で構成されているのに対し、ロ号物件では、曲率の小さい緩やかな曲線で構成されている。
C ポンプカバーについて ポンプカバーは、登録意匠Tでは、上面と側面は緩やかな曲線を介してつながれており、左右の側面のロックベダルの後部が広い範囲にわたってくぼんでおり、アームを受ける部分(リンク部)の後端面はほぼ平坦であるのに対し、
ロ号物件では、上面と側面がやや角張ってつながれており、左右の側面にくぼみはなく、アームを受ける部分の後端面に、上方が広がった台形状の隆起部がある。
D フットスイッチについて フットスイッチは、登録意匠Tでは、ポンプカバーの後面に昇降スイッチだけが設けられ、ポンプカバーの両側面に突出する形でロックスイッチが設けられているのに対し、ロ号物件では、ポンプカバーの後面に、昇降スイッチとその両側のロックスイッチが並んで設けられている。
E 台座について 台座の形状は、登録意匠Tは四角形であるのに対し、ロ号物件は円形である。
F 座部について 座部は、登録意匠Tでは、1本の縫い目により前後二つの部分に分割され、座面全体がフラットであるのに対し、ロ号物件では、H字状の3本の縫い目により四つの部分に分割され、座面の中央部が落ち込んでいる。
G 足置きについて 足置きは、登録意匠Tでは、略正方形の形状であり、周囲の縁取りがなく、マットが足置き全体を覆っているのに対し、ロ号物件では、先端部が大きな円弧を形成し、前垂れ方向に曲線的に幅が細くなる形状であり、中央に配置されるマットの周囲が金属部で縁取りされている。
(イ) 登録意匠Tとロ号物件の間には、このような多くの相違点があることから、ロ号物件の意匠は登録意匠Tに類似しない。
なお、ロ号物件は、被告が有する登録番号第1042084号の理容用椅子に関する意匠権に係る登録意匠の実施品であり、同意匠は登録意匠Tとは非類似であるとされて意匠登録になっているのであるから、被告がロ号物件を製造販売することは意匠権Tを侵害するものではない。
(2)ア 請求原因(2)アの事実は認める。
イ 同(2)イの主張は争う。
ウ 同(2)ウの事実は認める。
エ 同(2)エのうち、ハ号物件の意匠が別紙3(ハ号目録)記載のとおりであることは認め、その余の主張は争う。
オ 同(2)オの主張は争う。
カ 同(2)カの主張は争う。
キ(ア) 登録意匠Uとハ号物件には、次のような相違点がある。
@ 背もたれ等について 登録意匠Uでは、背もたれ及び座部のレザー張りに模様がないのに対し、ハ号物件では、背もたれ及び座部のレザー張りは、しわを付けたルーズ張りクッションになっている。
登録意匠Uでは、背もたれの前面に幅方向に並んだ二つのクッション張り用ボタンが設けられているのに対し、ハ号物件では、背もたれの前面に、下方が略台形となるように上下2分割する縫い目が施されている。
A 手すりについて 登録意匠Uでは、手すりの下の部分が操作スイッチパネルと側面カバーに分割されているのに対し、ハ号物件では、手すりの下の部分の側面カバーが、操作スイッチパネル部を含む一体形状である。
手乗せ板の延長部分が、登録意匠Uでは、側面カバーの上の部分までしかないのに対し、ハ号物件では、側面カバーの下側まで回り込んでいる。
手すりの先端部分の金具は、登録意匠Uでは、手すりの前端とそれに続く上面を覆い、側面がL字型の形状であるのに対し、ハ号物件では、その前端、後端ともほぼ垂直で、側面が略長方形状である。
登録意匠Uでは、手すりの先端部分の金具に装飾部品は取り付けられていないのに対し、ハ号物件では、手すりの先端部分の金具に、その先端面から両側面に回り込むコの字状の金色の装飾部品が取り付けられている。
手すりの下側の部分は、登録意匠Uでは、先端部分の金具の後端の位置よりも奥まで切れ込んでいるのに対し、ハ号物件では、先端部分の金具の後端の位置まで切れ込んでいる。
手すりの下側の切れ込みの部分の後端下部は、登録意匠Uでは、垂直に立っているのに対し、ハ号物件では、ラウンド形状となっている。
B ポンプカバーについて 登録意匠Uでは、上面と側面が角張ってつながれており、カバー全体が角張り、前後に長い形状であるのに対し、ハ号物件では、上面と側面の境界が緩やかな曲面で構成されており、カバー全体が丸みを帯びた形状になっている。
フットスイッチ取付け部分のポンプカバーの側面の下端が、登録意匠Uでは、くぼんでいないのに対し、ハ号物件では、フットスイッチ操作時に足で蹴られないように内側にくぼんでいる。
C フットスイッチについて フットスイッチは、登録意匠Uでは、ポンプカバーの後面に昇降スイッチだけが設けられ、ポンプカバーの両側面にロックスイッチが設けられているのに対し、ハ号物件では、ポンプカバーの後面に、昇降スイッチとその両側のロックスイッチが並んで設けられている。
(イ) 登録意匠Uとハ号物件の間には、このような多くの相違点があることから、ハ号物件の意匠は登録意匠Uに類似しない。
(3)ア(ア) 請求原因(3)ア(ア)の事実は不知。
(イ) 同(3)ア(イ)の主張は争う。
(ウ) 同(3)ア(ウ)の主張は争う。
イ 同(3)イの事実は不知。
商品形態それ自体が周知の商品等表示となり得るのは、それが特異な形態であるか、長期間の独占使用や強力な宣伝によって二次的に商品主体の識別機能を獲得したといえるような特殊な場合に限られる。
原告が原告洗髪機の特徴的形態として主張するところは、昭和50年ごろ製造販売された株式会社菊星の自動洗髪機にも見られ、自動洗髪機として一般的なありふれた形態にすぎず、原告洗髪機を特徴づける特異なものではない。また、
自動洗髪機について需要者が関心を有するのは洗髪機能や操作容易性であるから、
需要者が一番注目するのは洗髪槽内であり、洗髪機の外観ではない。したがって、
原告洗髪機の形態には、識別機能や出所表示機能はないし、周知性もない。
ウ(ア) 同(3)ウ(ア)の事実は否認する。
被告は、平成11年12月ごろまで、シャワードームの切断面の中央及び左右の各1か所の合計3か所にフェイスシールの位置を微調整するための円形のつまみがある被告新型洗髪機を製造販売していたが、3か所に円形のつまみがあるシャワードームについては、平成12年3月17日、その金型を廃棄し、同月22日、在庫として保有していた分を廃棄し、現在では、3か所に円形のつまみがあるシャワードームを備えた被告新型洗髪機は、製造販売していない。
(イ) 同(3)ウ(イ)の主張は争う。
エ(ア) 同(3)エの主張は争う。
(イ) 原告洗髪機と被告新型洗髪機には、次のような相違点がある。
@ 洗髪槽内について 自動洗髪機について需要者が関心を有するのは洗髪機能や操作容易性であり、原告洗髪機及び被告新型洗髪機の洗髪槽内は外部から容易に見ることができるから、需要者が一番注目するのは洗髪槽内である。
原告洗髪機の洗髪槽内は、回転式の弓状のノズル棒に5か所、固定式のほぼ直線状のノズル棒に3か所及び洗髪槽内に3か所の合計11か所に固定式の水の噴出口が設けられているのに対し、被告新型洗髪機の洗髪槽内は、洗髪槽内に17か所、洗髪槽上にコの字状に飛び出して設置されたバーに2か所の合計19か所に噴出方向が可変式の水の噴出口が設けられている。
洗髪槽の上から見た形状は、原告洗髪機が弓状のノズル棒の回転に合わせた丸みのある馬蹄形であるのに対し、被告新型洗髪機は多角形である。
洗髪槽の底面は、原告洗髪機は一面であるのに対し、被告新型洗髪機は、底面が階段状になっており、上の底面に水の噴出口が設置され、一番低い底面の上方に網が設置されている。
排水口の水切りは、原告洗髪機が多数の丸い穴が開いているのに対し、被告新型洗髪機は多数の細長い穴が放射線状に開いている。
A シャワードームについて シャワードームの開閉構造は、原告洗髪機は、シャワードームの外側に2本の平行ロッドのある矩形構造により取り付けられているのに対し、被告新型洗髪機は、シャワードームの内側に幅の広い蝶番のある構造で取り付けられている。
シャワードームを開けた状態で正面から又はシャワードームを閉じた状態で真上からその形状を見ると、原告洗髪機のシャワードームは馬蹄形であるのに対し、被告新型洗髪機のシャワードームは四角形である。
B 電源パネル等について 電源パネルの取付位置は、原告洗髪機は正面右側寄りであるのに対し、被告新型洗髪機は、右側面中央である。
原告洗髪機には緊急停止スイッチが設けられていないが、被告新型洗髪機には右側面後方上部に設けられている。
C 商品名について 原告洗髪機には「Aqua Vibro」という商品名が表示されているが、被告新型洗髪機には「auto shampoo SHAMPLIZEU」という商品名が表示されている。
(ウ) 原告洗髪機と被告新型洗髪機の間には、このような多くの相違点があることから、被告新型洗髪機は原告洗髪機に類似せず、被告新型洗髪機を製造販売することは、原告の商品等表示と類似の商品等表示を使用することには当たらず、原告洗髪機と混同を生じさせる行為に該当しない。
オ 同(3)オの主張は争う。
被告新型洗髪機の需要者は理容室の経営者等であり、被告新型洗髪機は1台130万円もする業務用の機械であって、購入に当たっては、メーカーのセールスマン等から詳しい説明を受け、洗髪機能を重視して製品を十分に吟味した上で購入を決定するものであるから、購入に当たって出所について混同を生じることはあり得ない。
カ 同(3)カの事実は否認する。
(4)ア(ア) 請求原因(4)ア(ア)の事実は不知。
(イ) 同(4)ア(イ)の主張は争う。
イ 同(4)イの事実は不知。
原告クリエの形態には、識別機能や出所表示機能はない。
ウ 同(4)ウに対する認否は、同(1)ウ及びエに対する認否と同旨。
エ(ア) 同(4)エ(ア)ないし(ウ)の主張は争う。
(イ) 原告クリエとロ号物件には、次のような相違点がある。
@ 背もたれについて 背もたれの前面が、原告クリエは、ヘッドレストを除いて上下方向に2分割するように縫い分けられ、フラットになっているのに対し、ロ号物件は、
ヘッドレストを除いて横方向に3分割されるように縫い分けられ、両側が前方にせり出し、座った者の背中を包み込むような形状である。
背もたれ全体の形状が、原告クリエは、高さ方向に長い範囲にわたって左右に広がっており、高さ方向の中央部分より下の幅が細くなった、全体的に丸みのある形状となっているのに対し、ロ号物件は、両肩部が左右に突出するように広がり、下方向に向かって次第に幅が細くなる形状である。
背もたれ背面のカバーの形状が、原告クリエは、中央部に上端部分が略四角形状にくぼんだ縦長の長方形状の領域を配置した略扇形の部分の両側に、
それぞれの斜辺を扇形の辺に接するように配置した二つの略直角三角形状の領域を付した形状であるのに対し、ロ号物件は、中央部に上方に向けて幅の狭くなる台形状の領域を配置し、その両側に、上端部で最も幅が広く、下方に向けて曲線的に幅が狭くなる略三角形状の領域を付した形状である。
A ヘッドレストについて ヘッドレストの操作ノブが、原告クリエでは、背もたれの背面カバーに設けられているのに対し、ロ号物件では、ヘッドレストに設けられている。
ヘッドレストを支持するガイドが、原告クリエでは1本のフラットバーであるのに対し、ロ号物件では2本のパイプである。
B 手すりについて 原告クリエでは、背もたれと座部の操作スイッチ及びオート・リターンスイッチが操作スイッチパネルの側辺部に縦並びに設けられているのに対し、
ロ号物件では、背もたれと座部の操作スイッチが、背もたれと座部の形状及び配置に対応した形状及び配置で、操作スイッチパネルの中央上部に設けられ、その下側にオート・リターンスイッチが設けられている。
手すりの側面に設けられた操作スイッチパネルが、原告クリエはつや消しの樹脂部材でできているのに対し、ロ号物件はつやのある樹脂部材でできている。
原告クリエでは、刈布掛け棒全体が、太い樹脂被覆棒であるのに対し、ロ号物件では、刈布掛け棒が、先端部と根元の太い金属棒である。
手すりの前端から下側後方に向けてのフォルムが、原告クリエでは、ほぼ直線に近い二つの部分と、この二つの部分をつなぐ曲率の大きい急な曲線で構成されているのに対し、ロ号物件では、曲率の小さい緩やかな曲線で構成されている。
C ポンプカバーについて ポンプカバーは、原告クリエでは、上面と側面は緩やかな曲線を介してつながれており、左右の側面のロックペダルの後部が広い範囲にわたってくぼんでおり、アームを受ける部分の後端面はほぼ平坦であるのに対し、ロ号物件では、上面と側面がやや角張ってつながれており、左右の側面にくぼみはなく、アームを受ける部分の後端面に、上方が広がった台形状の隆起部がある。アームを受ける部分の幅は、原告クリエは広く、ロ号物件は狭い。
D フットスイッチについて フットスイッチは、原告クリエでは、ポンプカバーの後面に昇降スイッチだけが設けられ、ポンプカバーの両側面に突出する形でロックスイッチが設けられているのに対し、ロ号物件では、ポンプカバーの後面に、昇降スイッチとその両側のロックスイッチが並んで設けられている。
E 台座について 台座の形状は、原告クリエは四角形であるのに対し、ロ号物件は円形である。
F 座部について 座部は、原告クリエでは、1本の縫い目により前後二つの部分に分割され、座面全体がフラットであるのに対し、ロ号物件では、H字状の3本の縫い目により四つの部分に分割され、座面の中央部が落ち込んでいる。
G 足置きについて 足置きは、原告クリエでは、略正方形の形状であり、周囲の縁取りがなく、マットが足置き全体を覆っているのに対し、ロ号物件では、先端部が大きな円弧を形成し、前垂れ方向に曲線的に幅が細くなる形状であり、中央に配置されるマットの周囲が金属部で縁取りされている。
足置きの表面のマットの模様が、原告クリエは横方向のライン模様となっているのに対し、ロ号物件は小さい円の集合模様である。
(ウ) 原告クリエとロ号物件の間には、このような多くの相違点があることから、ロ号物件の形態は原告クリエの形態に類似せず、ロ号物件を製造販売することは、原告の商品等表示と類似の商品等表示を使用することには当たらず、原告クリエと混同を生じさせる行為には該当しない。
オ 同(4)オの主張は争う。
理容椅子の需要者は理容室の経営者等であり、購入に当たっては、メーカーのセールスマン等から詳しい説明を受け、製品を十分に吟味した上で購入を決定するものであって、購入に当たってメーカーの確認がされないようなことはあり得ない。そして、ロ号物件の背もたれ背面には「Veltar OOHIRO」のエンブレムが付されているから、需要者がロ号物件を原告クリエと混同するおそれはない。
カ 同(4)カの事実は否認する。
(5)ア(ア) 請求原因(5)ア(ア)の事実は不知。
(イ) 同(5)ア(イ)の主張は争う。
イ 同(5)イの事実は不知。
原告プライムハイテクノの形態には、識別機能や出所表示機能はない。
ウ 同(5)ウに対する認否は、同(2)ウ及びエに対する認否と同旨。
エ(ア) 同(5)エ(ア)ないし(ウ)の主張は争う。
(イ) 原告プライムハイテクノとハ号物件には、次のような相違点がある。
@ 背もたれ等ついて 原告プライムハイテクノでは、背もたれ及び座部のレザー張りに模様がないのに対し、ハ号物件では、背もたれ及び座部のレザー張りは、しわを付けたルーズ張りクッションになっている。
A 手すりについて 原告プライムハイテクノでは、手すりの下の部分が操作スイッチパネルと側面カバーに分割されているのに対し、ハ号物件では、手すりの下の部分の側面カバーが、操作スイッチパネル部を含む一体形状である。
操作スイッチパネルの形状が、原告プライムハイテクノは長方形であるのに対し、ハ号物件は菱形である。
手乗せ板の延長のレザー張りの部分が、原告プライムハイテクノでは、側面カバーの上の部分までしかないのに対し、ハ号物件では、側面カバーの下側まで回り込んでいる。
手すりの先端部分の金具は、原告プライムハイテクノでは、その前端、後端とも下方が後方に下がるように傾斜しており、側面が略平行四辺形の形状であるのに対し、ハ号物件では、その前端、後端ともほぼ垂直で、側面が略長方形の形状である。
原告プライムハイテクノでは、手すりの先端部分の金具に装飾部品は取り付けられていないのに対し、ハ号物件では、手すりの先端部分の金具に、その先端面から両側面に回り込むコの字状の金色の装飾部品が取り付けられている。
手すりの下側の部分は、原告プライムハイテクノでは、先端部分の金具の後端の位置よりも奥まで切れ込んでいるのに対し、ハ号物件では、先端部分の金具の後端の位置まで切れ込んでいる。
手すりの下側の切れ込みの部分の後端下部は、原告プライムハイテクノでは、垂直に立っているのに対し、ハ号物件では、ラウンド形状となっている。
B ポンプカバーについて 原告プライムハイテクノでは、上面と側面が角張ってつながれているのに対し、ハ号物件では、上面と側面の境界が緩やかな曲面で構成されている。
原告プライムハイテクノでは、ポンプカバーの下方の全周にライン装飾が施されているのに対し、ハ号物件では、ポンプカバーの下方の側面から前面にかけてライン装飾が施されている。
フットスイッチ取付け部分のポンプカバーの側面の下端が、原告プライムハイテクノでは、くぼんでいないのに対し、ハ号物件では、フットスイッチ操作時に足で蹴られないように内側にくぼんでいる。
C フットスイッチについて 原告プライムハイテクノでは、フットスイッチの両サイドのロックスイッチに滑り止めの凸ラインが施されておらず、中央の昇降スイッチには滑り止めの凸ラインが施されているのに対し、ハ号物件では、フットスイッチの両サイドのロックスイッチに滑り止めの凸ラインが施されており、中央の昇降スイッチには滑り止めの凸ラインが施されていない。
原告プライムハイテクノでは、フットスイッチの上面と側面が斜めの面を介してつながっており、各面の接合部分が角張っているのに対し、ハ号物件では、フットスイッチの上面と側面のつながりが丸みを帯びている。
(ウ) 原告プライムハイテクノとハ号物件の間には、このような多くの相違点があることから、ハ号物件の形態は原告プライムハイテクノの形態に類似せず、ハ号物件を製造販売することは、原告の商品等表示と類似の商品等表示を使用することには当たらず、原告プライムハイテクノと混同を生じさせる行為には該当しない。
オ 同(5)オの主張は争う。
理容椅子の需要者は理容室の経営者等であり、購入に当たっては、メーカーのセールスマン等から詳しい説明を受け、製品を十分に吟味した上で購入を決定するものであって、購入に当たってメーカーの確認がされないようなことはあり得ないから、需要者がハ号物件を原告プライムハイテクノと混同するおそれはない。
カ 同(5)カの事実は否認する。
(6) 請求原因(6)の事実は否認する。
(7) 同(7)アないしウの事実は否認する。
(8) 同(8)の主張は争う。
3 抗弁(権利濫用) (1)(ア) 意匠権Uは、昭和56年12月16日に意匠登録出願されたが、それ以前に、同年4月1日付け及び7月1日付けの新聞「東京理容タイムズ」並びに雑誌「理容展望」の同年5月号及び9月号には、「マキシム」という商品名の理容椅子(以下「マキシム」という。)の写真入りの広告が掲載されていた。
(イ) 登録意匠Uとマキシムは、手すりの形状がへの字状である点、手すりの下の部分が、操作スイッチパネルと側面カバーに分割されている点、操作スイッチパネルの椅子作動スイッチが同一形状である点、手すりの下の空洞部の下面から手すりの前方にかけてレザー張りが施されている点、ポンプカバー全体が角張った形状である点、昇降用アームのカバーの上面と側面との境が角張っている点、手すりのレザー張りの後端部が側面カバーの後端面までである点において同一であり、
登録意匠Uは、マキシムの意匠に類似する。
(2) 登録意匠Uは、出願前に公知であったマキシムの意匠に類似し、意匠権Uには無効理由が存在することが明らかであるから、意匠権Uに基づくハ号物件についての損害賠償の請求は、権利濫用に当たり許されない。
4 抗弁に対する認否 (1)(ア) 抗弁(1)(ア)の事実は不知。
(イ) 同(1)(イ)の主張は争う。
登録意匠Uは、マキシムの意匠に類似しない。
(2) 同(2)の主張は争う。
理 由1(意匠権T) (1) 原告が意匠権Tを有すること、被告が平成9年からロ号物件を業として製造販売していることは、当事者間に争いがない。
(2) 別紙4(意匠公報写T)によれば、登録意匠Tの基本的構成は、次のとおりであると認められる。
ア 背もたれがほぼ垂直に設けられ、背もたれの背面に、背もたれに接して背面部材が設けられており、
イ 背もたれの上部中央付近にヘッドレストが配置され、
ウ 背もたれの下方に接して、前方に向けて、背もたれとほぼ直角をなすように座部がほぼ水平に設けられ、
エ 座部の両側面に、背もたれ及び座部とほぼ直角をなすように手すりが配置され、
オ 座部に接して、座部の前部下方に、座部とほぼ直角をなすように前垂れが設けられ、
カ 前垂れの下方に接して、前方に向けて、前垂れとほぼ直角をなすように足置きがほぼ水平に設けられ、
キ 座部の下に、座部に昇降運動等を伝えるアームが配置され、アームの下端部にアームを受けるアーム受け部があり、アーム受け部のカバーと一体をなして油圧ポンプを覆うポンプカバーが設けられ、
ク ポンプカバーの下に、水平な底面を有する台座が設けられている。
(3) 別紙4(意匠公報写T)によれば、登録意匠Tの具体的構成は、次のとおりであると認められる。
ア 背もたれの上辺は、ヘッドレストの上辺を含めて、上方に向けて膨らんだ曲率のきわめて小さい曲線を描き、両端において、曲線をもって垂直に近い側辺に連なる。側辺は、ほんのわずかに外側に張り出して湾曲し、手すりの上部と同程度の高さにおいて、比較的角ばった角を形成して内側に向けて屈曲し、下方に向かい、内側に向けて張り出した曲率の小さい曲線を描いて湾曲し、座部後端の左右両端に至る。背もたれ全体の形状は、上方が広く下方が狭い形状をなす。背もたれの幅は、上辺が下辺より若干広く、側辺の屈曲点付近において最も広い。
背もたれの前面には、上下方向に2分割するように、横方向に縫い目が付けられている。縫い目は、背もたれ両側面の屈曲点の少し上から内側下方に向かって斜めに延び、手すりより少し内側に入ったところで曲線を描いて水平となり、背もたれ中央部において水平となっている。
背もたれは、上から見ると、ヘッドレストの下方部分が最も後部に位置し、ヘッドレストの左右端付近から、背もたれの両側が前方にわずかに湾曲している。正面視では、背もたれ前面の左右両端部の下部には、手すりに隠れて見えない部分がある。
背面部材の最下部には、座部の後端面全域を覆うように、座部の厚さとほぼ同じ幅の横長の部分がある。背面部材の上辺は、ヘッドレストの下辺の全域に接し、上方に向けて膨らんだ曲率の小さい曲線を描き、手すりの上部と同程度の高さにおいて、比較的角ばった角を形成して内側に向けて屈曲し、背もたれの外縁と等間隔でこれに沿うように下方に向かい、内側に向けて張り出した曲率の小さい曲線を描いて湾曲し、背面部材最下部の横長の部分の左右上端に連なっている。背もたれの外縁と背面部材の外縁との幅は、上辺の部分で広く、両側辺の部分で狭く、背面部材の側辺の屈曲点と背もたれの側辺の屈曲点の高さがほぼ同じため、背面部材全体の形状は、背もたれ全体の形状に比べて、屈曲点の上部が扁平となっているが、上方が広く下方が狭い形状で、側辺の屈曲点付近において幅が最も広くなっているところは、背もたれと同様である。背面部材の中央部には、ヘッドレストの下辺の幅とほぼ同じ幅の縦長の部分が、背面部材の上辺から、最下部の横長の部分の上に接するまで続いており、その縦長の部分のうち、上部4分の1ほどが、他に比べてへこんでいる。縦長の部分の両側には、縦長の部分の左右端の上下方向の辺を長辺とし、背面部材の上辺の屈曲点までの曲線部分を短辺とし、屈曲点から縦長の部分の左右端の上下方向の辺の下端部までをもう一辺とする略逆三角形の部分が形成されている。
イ ヘッドレストは横長の略長方形であり、その上辺は、曲率のきわめて小さい曲線を描き、背もたれの上辺に連続している。
ウ 座部は、正面視で略長方形であり、その両端上に手すりが直角に立ち上がっている。座部の後方から約2分の1の部分は、その前方部に比べて、左右両端が、手すりの幅の分だけ狭くなっている。座部の左右両端の幅の狭くなった部分には、手すりの下端部がはまるように設置されている。
座面の中央から少し前方寄りには、座面を二分割する横方向の縫い目があり、この線は、座部の幅が変わるところの左右両端から斜め前方に少し延び、曲線を描いて直線に連なり、座面中央部において直線となっている。座面の縫い目に沿った部分が若干へこんでいる。
エ 手すりの輪郭は、座部の後端から前方へ向け、斜め上方に向かう曲線を描いて延びる。この曲線は、背もたれの半分程度の高さに至ったところで、前方に向かう水平線に連なる。この水平線は、座部の前端の少し後方に至って、突出した鋭角をなして下方に屈曲し、屈曲後は、背もたれの上方を中心とする円の円弧の一部をなす線を描いて手すり前面を形成して下方に延び、座面の中央より少し前方付近で、座面と同じ高さに至り、そこで再び下方に向かって屈曲し、下方に延び、座部下面に至る。
手すりの前方部には、手すり上部内側の水平線と手すり前面内側の曲線を2辺とし、突出した鋭角の反対側にもう1辺を有する略三角形の空洞部が設けられている。
手すりの輪郭線内のうち、手すり前方の空洞部より後ろの部分は、側面カバーによって覆われ、側面カバー上に操作スイッチパネルが配置されている。
オ 前垂れは、上辺が下辺よりもわずかに長い縦長の台形であり、上辺の幅は、座部の幅の約半分である。
カ 足置きは、角に丸みを帯びた略正方形であり、一辺の長さは、前垂れの上辺の幅よりも少し長い。
キ ポンプカバーは、ポンプを覆う部分が下にあり、後方のアームを受ける部分が台形状に突出した形状となっている。
ク 台座の形状は、角に丸みを帯びた略正方形であり、一辺の長さは、座面の幅と同程度である。
(4) 登録意匠Tの要部について検討する。
甲第269号証、第299号証の1ないし12、第300号証の1ないし6、第301号証、乙第68ないし第85号証及び弁論の趣旨によれば、理容椅子は、理容室において、散髪等の施術を受ける顧客が座るために用いられ、ヘッドレストや足置きなどがないものもあるが、ほとんどのものが、背もたれ、ヘッドレスト、座部、手すり、前垂れ、足置き、アーム、ポンプカバー、台座を基本的な構成要素とし、その位置関係もほぼ同様であり、基本的構成が、登録意匠Tと同様であること、そして、各構成要素の形状の違いによって理容椅子それぞれの美感に差異を生じていることが認められる。また、理容椅子において、全体の構成のうち、床面と比較して高い位置にある背もたれ、ヘッドレスト、座部、手すりは、看者の目に付きやすいが、前垂れ、ポンプカバー、台座なども、通常の使用状態において看者の目に触れ得るところであり、これらの形態も、看者の注意を引き、その他の部分と相まって全体の印象を左右し、理容椅子の美感に相当程度の影響を与える場合のあることが認められる。
したがって、理容椅子の意匠において、要部は、各構成要素の具体的構成であり、具体的構成のうち、背もたれ、ヘッドレスト、座部、手すりの構成は要部に含まれるが、それ以外の部分の構成も要部に含まれるものと認められる。
(5) 別紙2(ロ号目録)及び甲第11号証によれば、ロ号物件の意匠の具体的構成は、次のとおりであると認められる。
ア 背もたれの上辺は、ヘッドレストの上辺を含めて、上方に向けて膨らんだ曲率のきわめて小さい曲線を描き、両端において、外側に張り出した曲率の大きい円周に連なり、その円周は、手すりより高い位置で、背もたれの側辺に連なる。背もたれの側辺は、前記円周の終端部から、下方内側に向かう斜めの線をなしており、座部後端の左右の端に至る。背もたれ全体の形状は、上方が広く下方が狭い形状をなす。背もたれの幅は、上辺が下辺より若干広く、外側に張り出した曲率の大きい円の円周の部分で最も広い。
背もたれの前面には、ヘッドレストを除いて横方向に3分割するように縦方向に縫い目が付けられている。この縫い目は、ヘッドレストの左右下の角から、
外側に膨らんだ曲率の小さな曲線を描いて下方に延び、座部後端に至っている。この縫い目により、背もたれの前面は、ヘッドレストの下の部分と、縫い目の外側の縦長の部分に分けられる。
背もたれは、上から見ると、ヘッドレストの下方部分が最も後部に位置し、左右の縫い目の外側の縦長の部分が前方に湾曲している。正面視では、背もたれ前面の左右両端部は、手すりに隠れることなく現れている。
背面部材の最下部には、座部の後端面全域を覆うように、座部の厚さとほぼ同じ幅の横長の部分がある。背面部材の上辺は、ヘッドレストの少し下方に位置し、上方に向けて膨らんだ曲率のきわめて小さい曲線を描き、背もたれの左右側辺に近い位置で下方に向けて屈曲し、内側に向けて張り出した曲率の小さい曲線を描きつつ、下方に延び、背面部材最下部の横長の部分の左右上端に連なっている。背面部材の幅は、下辺が最も広く、上辺がそれより狭いが、側辺が内側に向けて張り出した曲線をなしているから、上から4分の1程度の位置で、幅が最も狭くなっている。背面部材の中央部には、上辺が下辺より短い台形の部分があり、その台形の上辺は、背面部材の上辺の一部をなし、台形の上辺の長さは、ヘッドレストの下辺より少し短く、台形の下辺の長さは、座部後端の長さにほぼ等しい。
イ ヘッドレストは横長の略長方形であり、その上辺は、曲率のきわめて小さい曲線を描き、背もたれの上辺に連続している。
ウ 座部は正面視で略長方形であり、その両端上に手すりが直角に立ち上がっている。座部の後方から約2分の1の部分は、その前方部に比べて、左右両端が、
手すりの幅の分だけ狭くなっている。座部の左右両端の幅の狭くなった部分には、
手すりの下端部がはまるように設置されている。
座面は、前後に延びる2本の直線とその2本の直線を横方向に結ぶもう1本の合計3本の直線からなるH字状の縫い目により4つの部分に分割され、横方向の縫い目は、座面の前からほぼ3分の1の位置にあり、座面の縫い目に沿った部分がへこんでいる。前後に延びる2本の直線の後端は、背もたれ前面に付けられた縦方向の縫い目の下端の位置に当たっている。
エ 手すりの輪郭は、座部の後端から前方へ向け、斜め上方に向かう曲線を描いて延びる。この曲線は、背もたれの半分程度の高さに至ったところで、前方に向かう水平線に連なる。この水平線は、座部の前端の少し後方に至って、突出した鋭角をなして下方に屈曲し、屈曲後は、背もたれの上方を中心とする円の円弧の一部をなす線を描いて手すり前面を形成して下方に延び、座面の中央より少し前方付近で、座面と同じ高さに至り、そこで再び下方に向かって屈曲し、下方に延び、座部下面に至る。
手すりの前方部には、手すり上部内側の水平線と手すり前面内側の曲線を二辺とし、突出した鋭角の反対側にもう一辺を有する略三角形の空洞部が設けられている。
手すりの輪郭線内のうち、手すり前方の空洞部より後ろの部分は、側面カバーによって覆われ、側面カバー上に操作スイッチパネルが配置されている。
オ 前垂れは、上辺が下辺よりもわずかに長い縦長の台形であり、上辺の幅は、座部の幅の約半分である。
カ 足置きは、後方の辺より前方の辺の方が若干長く、前方の辺が緩やかな円弧を形成し、側辺がより小さい曲率で湾曲した略台形であり、前方の角が丸みを帯びている。後方の辺の長さは、前垂れの上辺の長さとほぼ等しい。
キ ポンプカバーは、ポンプを覆う部分が下にあり、後方のアームを受ける部分が台形状に突出した形状となっている。
ク 台座の形状は、円形であり、その直径は、座面の幅と同程度である。
(6) 登録意匠Tとロ号物件の意匠の類否について検討する。
ア(ア) 登録意匠Tとロ号物件の意匠は、ヘッドレスト(前記(3)イと(5)イ)、手すり(前記(3)エと(5)エ)、前垂れ(前記(3)オと(5)オ)、ポンプカバー(前記(3)キと(5)キ)の具体的構成が一致する。また、背もたれの具体的構成において、背もたれの上辺がヘッドレストの上辺を含めて、上方に向けて膨らんだ曲率のきわめて小さい曲線を描いている点、背もたれ全体の形状が、上方が広く下方が狭い点、背もたれの幅は、上辺が下辺より若干広い点、背面部材の最下部に、座部の後端面全域を覆うように、座部の厚さとほぼ同じ幅の横長の部分がある点、座部の具体的構成において、座部は正面視で略長方形であり、その両端上に手すりが直角に立ち上がっており、座部の後方から約2分の1の部分の左右両端が、その前方部に比べて手すりの幅の分だけ狭くなっており、座部の左右両端の幅の狭くなった部分に、手すりの下端部がはまるように設置されている点は、一致する。
(イ) 登録意匠Tとロ号物件の意匠の基本的構成が一致し、手すり及びポンプカバーの具体的構成が一致することからすると、登録意匠Tとロ号物件は、側面から見た場合の美感が一致するものと認められる。また、前垂れの具体的構成が一致することに加え、背もたれの具体的構成の一部が前記(ア)のとおり一致することからすると、登録意匠Tとロ号物件の全体又は背もたれの部分を正面から見たときの印象として、上方が広く下方が狭く、上部に丸みがあるとの印象を共通に受ける可能性のあることは否定し得ない。
イ(ア) しかし、登録意匠Tとロ号物件の意匠の具体的構成には、次のような相違点がある。
@ 背もたれについて、登録意匠Tでは、上辺は、両端において、曲線をもって垂直に近い側辺に連なり、側辺は、ほんのわずかに外側に張り出して湾曲し、手すりの上部と同程度の高さにおいて、比較的角ばった角を形成して内側に向けて屈曲し、下方に向かい、内側に向けて張り出した曲率の小さな曲線を描いて湾曲し、座部後端の左右両端に至り、背もたれの幅は、側辺の屈曲点付近において最も広いのに対し、ロ号物件では、上辺は、両端において、外側に張り出した曲率の大きい円周に連なり、その円周は、手すりより高い位置で、背もたれの側辺に連なり、側辺は、前記円周の終端部から、下方内側に向かう斜めの線をなしており、座部後端の左右の端に至り、背もたれの幅は、外側に張り出した曲率の大きい円の円周の部分で最も広い。
背もたれの前面には、登録意匠Tでは、上下方向に2分割するように、横方向に縫い目が付けられており、縫い目は、背もたれ両側面の屈曲点の少し上から内側下方に向かって斜めに延び、手すりより少し内側に入ったところで曲線を描いて曲がって水平となり、背もたれ中央部において水平となっている。これに対し、ロ号物件では、ヘッドレストを除いて横方向に3分割するように縦方向に縫い目が付けられており、この縫い目は、ヘッドレストの左右下の角から、外側に膨らんだ曲率の小さい曲線を描いて下方に延び、座部後端に至っている。この縫い目により、背もたれの前面は、ヘッドレストの下の部分と、縫い目の外側の縦長の部分に分けられる。
背もたれは、上から見ると、登録意匠Tでは、ヘッドレストの下方部分が最も後部に位置し、ヘッドレストの左右端付近から、背もたれの両側が前方にわずかに湾曲しているのに対し、ロ号物件では、ヘッドレストの下方部分が最も後部に位置し、左右の縫い目の外側の縦長の部分が前方に湾曲している。正面視において、登録意匠Tでは、背もたれ前面の左右両端部の下部には、手すりに隠れて見えない部分があるのに対し、ロ号物件では、背もたれ前面の左右両端部が手すりに隠れることなく現れている。
背面部材について、登録意匠Tでは、背面部材の上辺は、ヘッドレストの下辺の全域に接し、上方に向けて膨らんだ曲率の小さい曲線を描き、手すりの上部と同程度の高さにおいて、比較的角ばった角を形成して内側に向けて屈曲し、
背もたれの外縁と等間隔でこれに沿うようにして下方に向かい、内側に向けて張り出した曲率の小さな曲線を描いて湾曲し、座部後端の左右両端付近に至る。背もたれの外縁と背面部材の外縁との幅は、上辺の部分で広く、両側辺の部分で狭く、背面部材の側辺の屈曲点と背もたれの側辺の屈曲点の高さがほぼ同じため、背面部材全体の形状は、背もたれ全体の形状に比べて、屈曲点の上部が扁平となっているが、上方が広く下方が狭い形状で、側辺の屈曲点付近において幅が最も広くなっているところは、背もたれと同様である。これに対し、ロ号物件では、背面部材の上辺は、背もたれの上部中央に配置されたヘッドレストの少し下方に位置し、上方に向けて膨らんだ曲率のきわめて小さい曲線を描き、背もたれの左右側辺に近い位置で下方に向けて屈曲し、内側に向けて張り出した曲率の小さい曲線を描きつつ、下方に延び、背面部材最下部の横長の部分の左右上端に連なっており、背面部材の幅は、下辺が最も広く、上辺がそれより狭いが、側辺が内側に向けて膨らんだ曲線をなしているから、上から4分の1程度の位置で、幅が最も狭くなっている。
登録意匠Tにおいては、背面部材の中央部には、ヘッドレストの下辺の幅とほぼ同じ幅の縦長の部分が、背面部材の上辺から、最下部の横長の部分の上に接するまで続いており、その縦長の部分のうち、上部4分の1ほどが、他に比べてへこんでいる。縦長の部分の両側には、縦長の部分の左右端の上下方向の辺を長辺とし、背面部材の上辺の屈曲点までの曲線部分を短辺とし、屈曲点から縦長の部分の左右端の上下方向の辺の下端部までをもう一辺とする略逆三角形の部分が形成されている。これに対し、ロ号物件では、背面部材の中央部には、上辺が下辺より短い台形の部分があり、その台形の上辺は、背面部材の上辺の一部をなし、台形の上辺の長さは、ヘッドレストの下辺より少し短く、台形の下辺の長さは、座部後端の長さにほぼ等しい。
A 座面について、登録意匠Tは、座面の中央から少し前方寄りに、座面を2分割する横方向の縫い目があり、この線は、座部の幅が変わるところの左右両端から斜め前方に少し延び、曲線を描いて直線に連なり、座面中央部において直線となっており、座面の縫い目に沿った部分が若干へこんでいる。これに対し、ロ号物件では、座面は、前後に延びる2本の直線とその2本の直線を横方向に結ぶもう1本の合計3本の直線からなるH字状の縫い目により四つの部分に分割され、横方向の縫い目は、座面の前からほぼ3分の1の位置にあり、座面の縫い目に沿った部分がへこんでいる。
B 足置きは、登録意匠Tでは、角に丸みを帯びた正方形であり、一辺の長さは、前垂れの上辺の幅よりも少し長いのに対し、ロ号物件では、後方の辺より前方の辺の方が若干長く、前方の辺と側辺とが緩やかに湾曲した略台形であり、前方の角が丸みを帯びており、後方の辺の長さは、前垂れの上辺の長さとほぼ等しい。
C 台座の形状は、登録意匠Tでは、角に丸みを帯びた略正方形であり、
一辺の長さは、座面の幅と同程度であるのに対し、ロ号物件では、円形であり、その直径は、座面の幅と同程度である。
(イ) これらの具体的構成の相違点が美感に与える影響を検討する。
登録意匠Tの背もたれは、手すりの上部と同程度の高さに存在する側辺の屈曲点付近で最も幅が広くなっており、背もたれの前面には、横方向に縫い目が付けられていることから、登録意匠Tの背もたれは、横方向に広がりを感じさせ、
全体の形状としては下方が狭くなっているにもかかわらず、安定感を感じさせる。
これに対し、ロ号物件の背もたれは、外側に張り出した曲率の大きい円周の部分で最も幅が広く、その部分は、手すりより高い位置にあるため、上方が広く下方が狭い印象が強められている。また、ロ号物件の背もたれの前面には、縦方向に縫い目が付けられており、この縫い目により、背もたれの前面は、ヘッドレストの下の部分と、縫い目の外側の縦長の部分に分けられているが、このような縦方向の縫い目により、ロ号物件の背もたれは、縦方向の長さが強く印象づけられている。さらに、この縫い目を境として、その外側の部分が前方に屈曲しているため、背もたれ両側部の前方への屈曲が強調されている。正面視において、登録意匠Tとロ号物件では、背もたれ前面の左右両端の下部に、手すりに隠れる部分があるか全部見えるかの違いがあり、この差異により、登録意匠Tの背もたれは重厚な印象を与えるのに対し、ロ号物件の背もたれは、両側部の前方への屈曲と相まって、よりめりはりのきいたシャープな印象を与える。
登録意匠Tの背面部材は、全体の形状が上方が広く下方が狭い形状であり、側辺の屈曲点の付近で最も幅が広くなっている上、中央の縦長の部分及びその両側の略逆三角形の部分によって形成される上方に開いた扇形の輪郭が目立つため、上方が広く下方が狭い形態が強く印象づけられている。これに対し、ロ号物件の背面部材の全体の形状は、下辺において最も広く、上辺においてそれより狭く、
上から4分の1程度の位置で最も狭くなっており、背面部材の中央部には、上辺が下辺よりも短い台形の部分があり、その台形の部分が目立つため、下方が広く上方が狭い安定感のある形態が強く印象づけられている。
座面について、登録意匠Tでも、ロ号物件でも、座面の縫い目に沿った部分がへこんでいるが、登録意匠Tの座面には、座面を前後に分割する横方向の縫い目が付されているのに対し、ロ号物件では、座面には、H字状の縫い目が付されているので、ロ号物件の方が、座面の凹凸が目立ち、座面に立体感が感じられる。
また、登録意匠Tの背もたれ及び座面の各横方向の縫い目、ロ号物件の背もたれの縦方向の縫い目と座面の前後方向の縫い目は、それぞれ背もたれと座面を統一的なデザインにしており、この点でも登録意匠Tとロ号物件の意匠は、看者に異なった印象を与える。
足置き、台座の具体的構成についての相違も、背もたれや座面の相違と相まって、看者に与える印象を相違させている。
ウ 背もたれの全体、前面及び背面部材の形状並びに座面の形状は、看者の目に付きやすく、これらの具体的構成について看者の印象を異にするような相違がある上、足置き、台座の具体的構成にも相違があることから、登録意匠Tとロ号物件が看者に与える印象は大きく異なるものと認められる。したがって、登録意匠Tとロ号物件は、基本的構成及び具体的構成の一部に一致点があることを考慮に入れても、なお、美感は異なるものと認められ、ロ号物件は、登録意匠Tに類似しない。
2(意匠権U) (1) 原告が意匠権Uを有すること、被告が平成8年からハ号物件を業として製造 販売していることは、当事者間に争いがない。
(2) 別紙5(意匠公報写U)によれば、登録意匠Uの基本的構成は、次のとおりであると認められる。
ア 背もたれがほぼ垂直に設けられ、背もたれの背面に、背もたれに接して背面部材が設けられており、
イ 背もたれの上部中央付近にヘッドレストが配置され、
ウ 背もたれの下方に接して、前方に向けて、背もたれとほぼ直角をなすように座部がほぼ水平に設けられ、
エ 座部の両側面に、背もたれ及び座部とほぼ直角をなすように手すりが配置され、
オ 座部に接して、座部の前部下方に、座部とほぼ直角をなすように前垂れが設けられ、
カ 前垂れの下方に接して、前方に向けて、前垂れとほぼ直角をなすように足置きがほぼ水平に設けられ、
キ 座部の下に、座部に昇降運動等を伝えるアームが配置され、アームの下端部にアームを受けるアーム受け部があり、アーム受け部のカバーと一体をなして油圧ポンプを覆うポンプカバーが設けられ、
ク ポンプカバーの下に、水平な底面を有する台座が設けられている。
(3) 別紙5(意匠公報写U)によれば、登録意匠Uの具体的構成は、次のとおりであると認められる。
ア 背もたれの上部中央にヘッドレストの上辺がわずかに出っ張り、背もたれの上辺は、ヘッドレストの左右から横に延び、曲線を描いて側辺に連なる。側辺は垂直に近いが、外側に張り出して若干丸みを帯び、下方がわずかに広がる曲線を描き、手すりの上部より少し下の高さで内側に屈曲し、手すりの内側に至るまで横に延び、手すりの内側に至ったところで更に下方に向けて屈曲し、垂直に下方に延び、背もたれの下部に至る。背もたれの最下部には、座部の後端面全域を覆うように、座部の厚さとほぼ同じ幅の横長の部分がある。
背もたれの前面には、ヘッドレストを含めた背もたれの半分の高さのところに、ヘッドレストとほぼ同じ幅で、横方向に並んで2個のクッション張り用ボタンが設けられ、ボタンを結ぶ線及び各ボタンから下方へ垂直に延びる直線上に、縫い目が付けられている。
背もたれの背面のヘッドレストの下から背もたれの最下部まで、ヘッドレストとほぼ同じ幅で、縦方向に背面部材が設けられている。背面部材の上辺は下辺よりも少し短く、背面部材の角は丸みを帯びている。
イ ヘッドレストの形状は、上辺より下辺が少し短い台形である。
ウ 座部は、前後方向に若干長い長方形であり、正面視で厚みがあり、左右両端部が中央より高くなっている。
座面の縦方向に前から4分の1ほどのところで、かつ、横方向に左右からそれぞれ4分の1ほどのところに、横方向に並んで2個のクッション張り用ボタンが設けられ、ボタンを結ぶ線及び各ボタンから背もたれの方向へ手すりと平行に延びる直線上に、縫い目が付けられている。
エ 手すりの上面をなす手乗せ板は、座部の後端から上方約45度の角度をもって前方に向けて延び、背もたれの少し前方で屈曲して座面と平行になり、更に前方に延び、座面の前端の手前付近まで至っている。
座部の側面には、座部の前端から後端付近までを横辺とし、座面付近から座部の下付近までを縦辺とする横長の長方形に近い形の側板が設けられている。ただし、側板の後方の上隅の角は、手乗せ板の斜めの部分に少し削られているから、
側板は五角形のような形となっており、前方の上隅の角及び後方の下隅の角は丸みを帯びている。
側板と手乗せ板の間の部分のうち前方は、空洞部となっており、その輪郭は、上辺を手乗せ板の下側、下辺を側板の上側とするコの字状であり、後方内側の角は、上下の角とも直角であり角張っている。空洞部の横の長さは、手乗せ板の座面と平行な部分のうちの前方約半分を占めている。側板と手乗せ板の間の部分のうち、後方には、手乗せ板を支えるように、手乗せ板の屈曲部の内側に、上辺を手乗せ板の水平部分の下側、下辺を側板の上側、後ろの辺を手乗せ板の斜めの部分の内側とする台形状の部材が設置されている。
側板の前方の下で前垂れの後方に当たる部分には、上辺が下辺よりも少し長い、縦長の台形の飾り板が付けられており、飾り板には、横2列に3個ずつの円形の飾りが付けられている。
オ 前垂れは、座部とほぼ同じ幅であり、縦辺が横辺よりも若干短い横長の長方形である。
前垂れの前面には、横方向に並んで2個のボタンが付けられている。
カ 足置きは、四隅の角に丸みを帯びた略正方形であり、一辺の長さは、前垂れの下辺とほぼ等しい。
キ ポンプカバーは、横から見た場合の側面が、前後方向に長い長方形に近い形状であり、後ろから見た場合、その横方向の幅は、背もたれの背面部材の幅とほぼ同じである。
ク 台座の形状は、円形である。
(4) 登録意匠Uの要部について検討する。
前記1(4)のとおり、理容椅子の意匠の要部は、各構成要素の具体的構成であり、具体的構成のうち、背もたれ、ヘッドレスト、座部、手すりの構成は要部に含まれるが、それ以外の部分の構成も要部に含まれるものと認められる。
(5) 別紙3(ハ号目録)及び甲第13号証によれば、ハ号物件の具体的構成は、
次のとおりであると認められる。
ア 背もたれの上辺は、ヘッドレストの上辺を含めて、横方向の直線に近い線を描き、両端で角張った角を形成して側辺に連なる。側辺は垂直に近いが、外側に張り出して若干丸みを帯び、下方がわずかに広がる曲線を描き、手すりの上部より少し下の高さで内側に屈曲し、手すりの内側に至るまで横に延び、手すりの内側に至ったところで更に下方に向けて屈曲し、垂直に下方に延び、背もたれの下部に至る。背もたれの最下部には、座部の後端面全域を覆うように、座部の厚さとほぼ同じ幅の横長の部分がある。
背もたれの前面には、ヘッドレストを含めた背もたれの半分の高さのところに、ヘッドレストより少し長い縫い目があり、その縫い目は背もたれに深く食い込んで切れ目のようになっている。ヘッドレストの下辺と、この切れ目のような縫い目の間の台形の部分には、縦方向に、背もたれ表面の合成皮革のしわが形成されている。さらに、この切れ目のような縫い目の左右の端から、背もたれの下側の左右の角まで縫い目が連続しており、これらの縫い目により、背もたれの下半分に台形の部分が形成され、この部分にも縦方向に合成皮革のしわが形成されている。
背もたれの背面のヘッドレストの下から背もたれの最下部まで、ヘッドレストとほぼ同じ幅で、縦方向に背面部材が設けられている。背面部材の上辺は下辺よりも少し短く、背面部材の角は丸みを帯びている。
イ ヘッドレストの形状は、上辺より下辺が少し短い台形である。
ウ 座部は、前後方向に若干長い長方形であり、正面視で厚みがあり、左右両端部が中央より高くなっている。
座面の縦方向に前から4分の1ほどのところに、横方向に縫い目が付けられており、この縫い目の長さは、座面の横方向の長さより若干短く、この縫い目の左右の端から、座部の前部の隅に向けて、また、背もたれに向けて、いずれも縫い目が付けられている。横方向の縫い目とその左右から背もたれに向けて延びる縫い目に囲まれた座面の中央部は、台形状を呈し、深くへこんでいる。
エ 手すりの上面をなす手乗せ板は、座部の後端から上方約45度の角度をもって前方に向けて延び、背もたれの少し前方で屈曲して座面と平行になり、更に前方に延び、座面の前端の手前付近まで至っている。
手乗せ板の下から座部の下面までを一体の側板が覆っている。側板の、座部より下方の部分には、手乗せ板と平行に、前方が水平で後方が下に向かって傾斜している線が形成され、その線の下方がへこんでいる。
手乗せ板の下方部分のうち前方は、空洞部となっており、その輪郭は、上辺を手乗せ板の下側とするコの字型であり、後方内側の角は、上の角は直角に近い角張った角であるが、下の角は丸みを帯びている。空洞部の横の長さは、手乗せ板の座面と平行な部分のうちの前方約4分の1を占めている。手乗せ板の屈曲部の内側近傍には、上辺を手乗せ板の水平部分と平行とし、後ろの辺を手乗せ板の斜めの部分と平行とする略台形のスイッチパネルが設置されており、スイッチパネルの下辺は、座面の高さとほぼ等しい。スイッチパネルは、側板の一部を切り抜いた形で設けられ、手乗せ板前方の空洞部とスイッチパネルの間には、側板の一部が手乗せ板の下面まで及んでいる。
オ 前垂れは、座部とほぼ同じ幅であり、縦辺が横辺よりも若干短い横長の長方形である。
前垂れの前面下方には、4本の飾り線が付けられている。
カ 足置きは、四隅の角に丸みを帯びた略正方形であり、一辺の長さは、前垂れの下辺とほぼ等しい。
キ ポンプカバーは、横から見た場合の側面が、前後方向に長い長方形に近い形状であり、後ろから見た場合、その横方向の幅は、背もたれの幅とほぼ同じである。
ク 台座の形状は、円形である。
(6) 登録意匠Uとハ号物件の類否について検討する。
ア(ア) 登録意匠Uとハ号物件は、ヘッドレスト(前記(3)イと(5)イ)、足置き(前記(3)カと(5)カ)及び台座(前記(3)クと(5)ク)の具体的構成が一致し、また、背もたれの具体的構成において、背もたれの側辺が、ほぼ垂直に近いが、外側に張り出して若干丸みを帯び、下方がわずかに広がる曲線を描き、手すりの上部より少し下の高さで内側に屈曲し、手すりの内側に至るまで横に延び、手すりの内側に至ったところで更に下方に向けて屈曲し、垂直に下方に延び、背もたれの下部に至る点、背もたれの最下部に、座部の後端面全域を覆うように、座部の厚さとほぼ同じ幅の横長の部分がある点、背もたれの背面のヘッドレストの下から背もたれの最下部まで、ヘッドレストとほぼ同じ幅で、縦方向に背面部材が設けられており、
背面部材の上辺は下辺よりも少し短く、背面部材の角が丸みを帯びている点、座部の具体的構成において、座部の形状が前後方向に若干長い長方形であり、正面視で厚みがあり、両端が中央より高くなっている点、手すりの具体的構成において、手すりの上面をなす手乗せ板が、座部の後端から上方約45度の角度をもって前方に向けて延び、背もたれの少し前方で屈曲して座面と平行になり、更に前方に延び、
座面の前端の手前付近まで至っている点、前垂れの具体的構成において、前垂れが、座部とほぼ同じ幅であり、縦辺が横辺よりも若干短い長方形である点、ポンプカバーの具体的構成において、横から見た場合の側面が、前後方向に長い長方形に近い形状である点は、一致する。
(イ) このような一致点からすると、登録意匠Uとハ号物件の印象として、
全体に安定感があり重みのある印象を共通に受ける可能性のあることは否定し得ない。
イ(ア) しかし、登録意匠Uとハ号物件の具体的構成には、次のような相違点がある。
@ 背もたれの上辺から側辺にかけての形状について、登録意匠Uでは、
背もたれの上部中央にヘッドレストの上辺がわずかに出っ張り、背もたれの上辺は、ヘッドレストの左右から横に延び、曲線を描いて側辺に連なるのに対し、ハ号物件では、背もたれの上辺は、ヘッドレストの上辺を含めて、横方向の直線に近い線を描き、両端で角張った角を形成して側辺に連なる。
背もたれの前面について、登録意匠Uでは、ヘッドレストを含めた背もたれの半分の高さのところに、ヘッドレストとほぼ同じ幅で、横方向に並んで2個のクッション張り用ボタンが設けられ、ボタンを結ぶ線及び各ボタンから下方へ垂直に延びる直線上に、縫い目が付けられているのに対し、ハ号物件では、ヘッドレストを含めた背もたれの半分の高さのところに、ヘッドレストより少し長い縫い目があり、その縫い目は背もたれに深く食い込んで切れ目のようになっており、ヘッドレストの下辺とこの切れ目のような縫い目の間の台形の部分には、縦方向に、
背もたれの表面の合成皮革のしわが形成され、さらに、この切れ目のような縫い目の左右の端から、背もたれの下側の左右の角まで縫い目が連続しており、これらの縫い目により、背もたれの下半分に台形の部分が形成され、この部分にも縦方向に合成皮革のしわが形成されている。
A 座面について、登録意匠Uでは、座面の縦方向に前から4分の1ほどのところで、かつ、横方向に左右からそれぞれ4分の1ほどのところに、横方向に並んで2個のクッション張り用ボタンが設けられ、ボタンを結ぶ線及び各ボタンから背もたれの方向へ手すりと平行に延びる直線上に、縫い目が付けられているのに対し、ハ号物件では、座面の縦方向に前から4分の1ほどのところに、横方向に縫い目が付けられており、この縫い目の長さは、座面の横方向の長さより若干短く、
この縫い目の左右の端から、座部の前部の隅に向けて、また、背もたれに向けて、
いずれも縫い目が付けられており、横方向の縫い目とその左右から背もたれへ向けて延びる縫い目に囲まれた座面の中央部は、台形状を呈し、深くへこんでいる。
B 手すりについて、登録意匠Uでは、座部の側面には、座部の前端から後端付近までを横辺とし、座面付近から座部の下付近までを縦辺とする横長の長方形に近い形の側板が設けられており、ただし、側板の後方の上隅の角は、手乗せ板の斜めの部分に少し削られているから、側板は五角形のような形となっており、前方の上隅の角及び後方の下隅の角は丸みを帯びている。側板と手乗せ板の間の部分のうち前方は、空洞部となっており、その輪郭は、上辺を手乗せ板の下側、下辺を側板の上側とするコの字状で、後方内側の角は、上下の角とも直角であり角張っている。空洞部の横の長さは、手乗せ板の座面と平行な部分のうちの前方約半分を占めている。側板と手乗せ板の間の部分のうち、後方には、手乗せ板を支えるように、手乗せ板の屈曲部の内側に、上辺を手乗せ板の水平部分の下側、下辺を側板の上側、後ろの辺を手乗せ板の斜めの部分の内側とする台形状の部材が設置されている。さらに、側板の前方の下で前垂れの後方に当たる部分には、上辺が下辺よりも少し長い、縦長の台形の飾り板が付けられており、飾り板には、横2列に3個ずつの円形の飾りが付けられている。これに対し、ハ号物件では、手乗せ板の下から座部の下面までを一体の側板が覆っている。側板の、座部より下方の部分には、手乗せ板と平行に、前方が水平で後方が下に向かって傾斜している線が形成され、その線の下方がへこんでいる。手乗せ板の下方部分のうち前方は、空洞部となっており、その輪郭は、上辺を手乗せ板の下側とするコの字状であり、後方内側の角は、
上の角は直角に近い角張った角であるが、下の角は丸みを帯びている。空洞部の横の長さは、手乗せ板の座面と平行な部分のうちの前方約4分の1を占めている。手乗せ板の屈曲部の内側近傍には、上辺を手乗せ板の水平部分と平行とし、後ろの辺を手乗せ板の斜めの部分と平行とする略台形のスイッチパネルが設置されており、
スイッチパネルの下辺は、座面の高さとほぼ等しい。スイッチパネルは、側板の一部を切り抜いた形で設けられ、手乗せ板前方の空洞部とスイッチパネルの間には、
側板の一部が手乗せ板の下面まで及んでいる。
C 前垂れについて、登録意匠Uは、前垂れの前面に横方向に並んで2個のボタンが付けられているのに対し、ハ号物件は、前垂れの前面下方に4本の飾り線が付けられている。
D ポンプカバーについて、後ろから見た場合の横方向の幅が、登録意匠Uは、背もたれの背面部材の幅とほぼ同じであるのに対し、ハ号物件は、背もたれの幅とほぼ同じである。
(イ) これらの具体的構成の相違点が美感に与える影響を検討する。
背もたれの上辺から側辺にかけての形状について、登録意匠Uでは丸みを帯びた印象を与えるのに対し、ハ号物件では、直線的で角張った印象を与える。
背もたれの前面について、登録意匠Uでは、2個のボタンと縫い目が付けられており、ボタンをアクセントとして表面がなめらかな印象を与えるのに対し、ハ号物件では、ヘッドレストを含めた背もたれの半分の高さのところに、背もたれに深く食い込んだ切れ目のような縫い目があり、その上下の台形の部分に、縦方向に合成皮革のしわが形成されていることから、表面に凹凸があり柔らかで膨らみのある印象を与える。
座面について、登録意匠Uでは、2個のボタンと縫い目が付けられており、ボタンをアクセントとして表面がなめらかな印象を与えるのに対し、ハ号物件では、横方向の縫い目とその左右の端から背もたれへ向けて延びる縫い目に囲まれた座面の中央部の台形状の部分が、深くへこんでおり、座面に立体感が感じられる。また、登録意匠Uでは、背もたれ前面と座面にそれぞれ設けられた2個のボタンと直線状の縫い目が統一感を与えているが、この点でも登録意匠Uとハ号物件とは異なっている。
手すりについて、登録意匠Uでは、座部の側面に長方形に近い形の側板が設けられ、側板と手乗せ板の間に、手乗せ板を支えるような台形状の部材が設けられていること、手乗せ板前方の空洞部の長さが、手乗せ板の座面と平行な部分のうちの前方約半分を占めていることから、手乗せ板、側板及びその間の台形状の部材が、別個の部材として印象づけられている。そして、空洞部の後方内側の角が、
上下の角とも直角であり角張っていることから、横から見た形状について直線的で角張った印象を与える。これに対し、ハ号物件では、手乗せ板の下から座部の下面までを一体の側板が覆っており、スイッチパネルも、側板の一部を切り抜いた形で設けられており、空洞部の横の長さは、手乗せ板の座面と平行な部分のうちの前方約4分の1を占めるにすぎないから、手すり全体が一体の板状のものとして印象づけられる。また、空洞部の後方内側の角は、上の角は直角に近い角張った角であるが、下の角は丸みを帯びているから、全体として角張った印象はそれほど受けない。
登録意匠Uでは、側板の前方の下で前垂れの後方に当たる部分に縦長の台形の飾り板が付けられているにの対し、ハ号物件は、そのような飾り板はなく、
簡素な印象を受ける。
前垂れについて、登録意匠Uは、前垂れの前面に2個のボタンが付けられ、背もたれ前面、座面及び前垂れに統一した印象が与えられているが、ハ号物件の前垂れの前面下方には4本の飾り線が付けられており、凹凸がある背もたれ前面や座面に対して前垂れだけが全くの平板とならないような構成とされている。
ポンプカバーについて、後ろから見た場合の横方向の幅が、ハ号物件の方が広いので、ハ号物件の方が、下方に重みを感じさせ、より多くの安定感がある。
ウ 背もたれの上辺から側辺にかけての形状、背もたれの前面の形状、座面の形状並びに手すりの形状は、看者の目に付きやすく、これらの具体的構成について看者の印象を異にするような相違がある上、前垂れの前面及びポンプカバーの具体的構成にも相違があることから、登録意匠Uとハ号物件が看者に与える印象は大きく異なるものと認められる。したがって、登録意匠Uとハ号物件は、基本的構成及び具体的構成の一部に一致点があることを考慮に入れても、なお、美感は異なるものと認められ、ハ号物件は、登録意匠Uに類似しない。
エ(ア) ところで、甲第6号証及び弁論の全趣旨によれば、原告は、登録意匠Uを本意匠とする下記の類似意匠(以下、その登録意匠を「類似意匠」という。)の意匠権を有していることが認められる。
出 願 日 昭和63年1月5日 登 録 日 平成2年4月25日 登 録 番 号 第613624号の類似2 意匠に係る物品 理美容用椅子 登 録 意 匠 別紙6(意匠公報写V)記載のとおり (イ) 別紙5(意匠公報写U)及び別紙6(意匠公報写V)によれば、登録意匠Uと類似意匠の相違点は、次のとおりであることが認められる。
@ 背もたれについて、登録意匠Uでは、背もたれの上部中央にヘッドレストの上辺がわずかに出っ張り、背もたれの上辺は、曲線を描いて側辺に連なるのに対し、類似意匠では、背もたれの上辺は、ヘッドレストの上辺を含めて、横方向の直線に近い線を描き、両端で角張った角を形成して側辺に連なる。
背もたれの前面について、登録意匠Uでは、ヘッドレストを含めた背もたれの半分の高さのところに、ヘッドレストとほぼ同じ幅で、横方向に並んで2個のクッション張り用ボタンが設けられ、ボタンを結ぶ線及び各ボタンから下方へ垂直に延びる直線上に、縫い目が付けられているのに対し、類似意匠では、ヘッドレストを含めた背もたれの半分の高さのところに、ヘッドレストより少し長い縫い目があり、この縫い目の左右の端から、背もたれの下側の左右の角まで縫い目が連続しており、これらの縫い目により、背もたれの下半分に台形の部分が形成されている。
A 座面について、登録意匠Uでは、座面の縦方向に前から4分の1ほどのところで、かつ、横方向に左右からそれぞれ4分の1ほどのところに、横方向に並んで2個のクッション張り用ボタンが設けられ、ボタンを結ぶ線及び各ボタンから背もたれの方向へ手すりと平行に延びる直線上に、縫い目が付けられているのに対し、類似意匠では、座面の縦方向に前から4分の1ほどのところに、横方向に縫い目が付けられており、この縫い目の長さは、座面の横方向の長さより若干短く、
この縫い目の左右の端から、背もたれの下側の左右の角まで縫い目が付けられ台形を形成しており、これらの縫い目に囲まれた座面の中央部は、へこんでいる。
B 登録意匠Uにおいて側板の前方の下で前垂れの後方に当たる部分に付けられている縦長の台形の飾り板が、類似意匠にはない。
C 前垂れについて、登録意匠Uは、前垂れの前面に横方向に並んで2個のボタンが付けられているのに対し、類似意匠は、前垂れの前面に装飾がない。
D ポンプカバーについて、後ろから見た場合の横方向の幅が、登録意匠Uは、背もたれの背面部材の幅とほぼ同じであるのに対し、類似意匠は、背もたれの幅とほぼ同じである。
(ウ) 類似意匠の構成で、登録意匠Uと相違する点のうち、背もたれの上辺が、ヘッドレストの上辺を含めて、横方向の直線に近い線を描き、両端で角張った角を形成して側辺に連なる点、背もたれの前面について、ヘッドレストを含めた背もたれの半分の高さのところに、ヘッドレストより少し長い縫い目があり、この縫い目の左右の端から、背もたれの下側の左右の角まで縫い目が連続しており、これらの縫い目により、背もたれの下半分に台形の部分が形成されている点、登録意匠Uにおいて側板の前方の下で前垂れの後方に当たる部分に付けられている縦長の台形の飾り板がない点、ポンプカバーについて、後ろから見た場合の横方向の幅が、
背もたれの幅とほぼ同じである点は、ハ号物件の構成にも共通して見られるところである。
しかし、別紙6(意匠公報写V)と別紙3(ハ号目録)、甲第13号証によれば、類似意匠とハ号物件を比較すると、類似意匠の背もたれの前面は、台形の輪郭を描く縫い目が付けられているものの、それ以外はほぼ平坦であり、登録意匠Uの背もたれの前面が、ボタン及び縫い目以外でほぼ平坦であるのと同様であるのに対し、ハ号物件では、横方向の縫い目が背もたれに深く食い込んで切れ目のようになっており、ヘッドレストの下辺と縫い目の間の台形の部分及び縫い目と背もたれの下辺の間の台形の部分に縦方向に合成皮革のしわが形成されている。また、
類似意匠の手すりの手乗せ板、側板並びにその間の空洞部及びその後方の台形状の部材の形態は、登録意匠Uの手すりの手乗せ板、側板並びにその間の空洞部及びその後方の台形状の部材の形態と一致するのに対し、ハ号物件の手すりは、具体的構成が前記2(5)エのとおりであり、手乗せ板の下から座部の下までを一体の側板が覆っており、手乗せ板の下の前方の空洞部の形態やスイッチパネルの配置も登録意匠Uと異なっている。
背もたれの前面や手すりは、理容椅子の意匠のうちでも看者の目に付きやすい部分であり、このように、背もたれの前面や手すりの具体的構成について、
類似意匠は登録意匠Uに近く、ハ号物件は更に大きく登録意匠Uと相違することからすると、類似意匠が登録意匠Uにのみ類似するものとして登録されていることを前提としても(なお、登録意匠Uと類似意匠との上記のような差異に照らすと、類似意匠が登録意匠Uとかなり異なった美感を看者に与えることは否定することができず、類似意匠が登録意匠Uに類似するといえるか疑問であるといわざるを得ない。)、ハ号物件は、登録意匠Uに類似しないといえる。
3(不正競争防止法2条1項1号-自動洗髪機) (1) 甲第7ないし第9号証、第14号証の1ないし18、第15ないし第34号証、第47ないし第62号証、第68号証、第76ないし第88号証、第91号証、第92号証、第95ないし第97号証、第99ないし第101号証、第103号証、第104号証、第106ないし第110号証、第137ないし第141号証、第145ないし第147号証、第149ないし第151号証、第153ないし第162号証、第164号証、第165号証、第167号証、第168号証、第190ないし第211号証、第213ないし第266号証、第268号証、第272ないし第274号証、第276ないし第278号証、第279号証の1及び2、第280ないし第282号証、第285号証の1ないし5、第290号証、第291号証、乙第13ないし第18号証、第63号証の1ないし8、第65ないし第67号証並びに弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。
株式会社菊星は、昭和50年1月から11月までの間、三洋電機株式会社が製作した別紙11(菊星洗髪機目録)記載の自動洗髪機(以下「菊星洗髪機」という。)を300台販売し、150台の返品を受けた。その後自動洗髪機は製造販売されていなかったが、原告は、菊星洗髪機と同様に洗髪槽内の回転式の弓状のノズル棒と固定式の直線状のノズル棒に水の噴出口をもつ自動洗髪機を開発し、平成4年10月に開催されたヘアー・ワールドに出品し、実演を行った。他方、被告は、
水道関係機器メーカーである東陶機器株式会社と、洗髪槽内と洗髪槽上のバーに噴出方向が変わる水の噴出口をもつ自動洗髪機を開発し、ヘアー・ワールドに試作機を出品し、平成5年10月、別紙12(被告旧型洗髪機目録)記載の自動洗髪機(商品名「SHAMPLIZE(シャンプリゼ)」。以下「被告旧型洗髪機」という。)の製造販売を開始した。
原告は、原告旧型洗髪機を約2400台販売し、原告旧型洗髪機については、別紙13(原告旧型洗髪機報道宣伝目録)記載のとおり、原告新型洗髪機については、別紙14(原告新型洗髪機報道宣伝目録)記載のとおり、新聞記事への掲載、テレビでの放映、雑誌記事への掲載等の報道や、実演、多数回にわたる理容関係雑誌への広告掲載及びちらしの配布等の宣伝広告が行われ、その多くには、原告旧型洗髪機又は原告新型洗髪機の写真が掲載され、宣伝広告に用いられたカタログ等の作成部数は、別紙17(カタログ等作成部数目録)記載のとおりであった。
一方、被告旧型洗髪機もテレビで紹介されたり、新聞記事に掲載されたこともあった。被告は、平成11年3月、被告旧型洗髪機の新型として、被告新型洗髪機の製造販売を開始した。
原告が自動洗髪機を開発して以降は、自動洗髪機で市場に出ているのは、原告と被告の製品だけである。また、原告洗髪機は、「Aqua Vibro(アクアバイブロ)」という商品名であり、広告やカタログには商品名が明記されているし、洗髪機自体にも本体前面に商品名が記載されている。被告旧型洗髪機の商品名「SHAMPLIZE(シャンプリゼ)」及び被告新型洗髪機の商品名「SHAMPLIZEU(シャンプリゼU)」も、同様にその広告やカタログに明記され、洗髪機の本体前面に記載されている。
(2) 商品の形態は、通常、その商品の機能を発揮させ、又は美感を高めるために選択されるものであり、必ずしも商品の出所を表示することを目的として選択されるものではないが、商品の形態が他の商品と識別し得る独特の特徴を有し、かつ、
商品の形態が、長期間継続的かつ独占的に使用されるか、又は、短期間であっても商品形態について強力な宣伝等が伴って使用されたような場合には、商品の形態が商品等表示として需要者の間で広く認識されることがあり得る。
(3)ア ところで、理美容師に代わって洗髪を行う自動洗髪機を製作する場合、仰向けになった人の頭を洗濯機のような中空の略直方体の本体の上に乗せ、その上に、髪の毛の生え際から後ろの頭部を覆う略半球形の開閉式のシャワードームを設け、シャワードームに顔の輪郭に沿った逆U字型の切り欠き部を設け、本体の上面に操作スイッチ等を設けることは、自動洗髪機の機能からして、採らざるを得ない基本的構成ということができ、菊星洗髪機、原告旧型洗髪機、被告旧型洗髪機、原告新型洗髪機、被告新型洗髪機のいずれにおいても、そのような基本的構成が採られている。そして、原告が原告洗髪機の特徴的形態と主張するところは、基本的構成をなす各構成部分の細かな特徴であり、いずれも、自動洗髪機に対して求められる機能的要請に直接応えるために採られた構成であって、その要請に応えるために各構成部分の形態として考え得る選択肢の中で、比較的容易に思い至る範囲内の単純なものである。そして、その一部は、菊星洗髪機や被告旧型洗髪機にもみられるところである。したがって、原告洗髪機の特徴的形態と主張されるところは、各構成部分についてみても、また、それらを総合しても、看者に強い印象を与えるようなものではない。すなわち、@シャワードームの形態が、半楕球をその頂点付近を通り水平面と約40度をなす平面で切断した形であることは、耳をシャワードームから出すという要請を満たすため、Aシャワードームの後部下端と本体の上底面の後部平面が金具でつながれ、そこを基点としてシャワードームが開閉されることは、シャワードームを開閉するという要請を満たすため、B逆U字型のフェイスシールが設けられ、シャワードームの穴部周囲の中央及び左右の各1か所の合計3か所にフェイスシールの位置を微調整するための円形のつまみと0字状の穴があることは、水漏れを防ぐためフェイスシールの位置を微調整するという要請を満たすため、C本体の上底面において、シャワードームの向かって右側に長方形のコントロールプレートがあり、コントロールプレートの後方に、ハンドシャワーつまみと温度調節つまみがあることは、理美容師が右手で自動洗髪機を操作するとの要請を満たすため、D本体の上底面において、シャワードームの向かって左側中央部に内蔵形式のハンドシャワーがあることは、理美容師が左手でシャワーを操作し、シャワーからの水垂れを防ぐとの要請を満たすため、ハンドシャワーの後ろにトリートメントつまみとシャンプーつまみが横並びにあり、左隅にトリートメント瓶とシャンプー瓶を置く溝があることは、トリートメントとシャンプーの調整ができるようにし、残量の確認を容易にするとの要請を満たすために採られた構成であり、いずれも、自動洗髪機に対して求められる機能的要請を満たすために各構成部分の採り得る形態として、容易に思い至る範囲内のものであり、その形態自体も単純である。
そして、@シャワードームの形態が、半楕球をその頂点付近を通り水平面と約40度をなす平面で切断した形であること、Aシャワードームの後部下端と本体の上底面の後部平面が金具でつながれ、そこを基点としてシャワードームが開閉されること、B逆U字型のフェイスシールが設けられ、シャワードームの穴部周囲の中央及び左右の各1か所の合計3か所にフェイスシールの位置を微調整するための円形のつまみと0字状の穴があること、D本体の上底面において、シャワードームの向かって左側に内蔵形式のハンドシャワーがあることは、菊星洗髪機にも見られ、C本体の上底面において、シャワードームの向かって右側に長方形のコントロールプレートがあることは、被告旧型洗髪機にも見られるところである。
したがって、原告が原告洗髪機の特徴的形態として主張するところは、看者に強い印象を与える形態上の顕著な特徴であるとはいえず、他の商品と識別し得る独特の特徴ということはできない。
イ 前記認定のとおり、原告は、原告旧型洗髪機を約2400台販売し、原告旧型洗髪機及び原告新型洗髪機については、テレビ、新聞等で報道されたほか、多くの場合、写真入りで、広く宣伝広告が行われた。しかし、原告が原告洗髪機の特徴的形態として主張するところは、他の商品と識別し得る独特の特徴ということはできないから、テレビ、新聞等で報道され、広く宣伝広告が行われても、これが、
出所を表示する周知の商品等表示になったと認めることはできない。加えて、自動洗髪機は、原告が開発して以降は、原告の製品と被告の製品だけが市場に出ていたものであり、被告旧型洗髪機もテレビや新聞に取り上げられるなどしていたものであるし、いずれの製品も商品名が広告、カタログや洗髪機本体に明記されていたものであるから、この点からみても、需要者が商品の形態によって自動洗髪機を商品として識別するものとはいい難く、原告洗髪機の形態が需要者の間で商品等表示として識別性を獲得し周知になったとはいえない。
4(不正競争防止法2条1項1号-原告クリエ、原告プライムハイテクノ) (1) 甲第10号証、第42ないし第44号証、第63ないし第66号証、第68号証ないし第110号証、第128ないし第144号証、第146ないし165号証、第167号証、第168号証、第170号証、第228ないし第230号証、
第232号証、第234号証、第236号証、第237号証、第260号証、第267号証、第268号証及び弁論の全趣旨によれば、原告は、平成3年4月ごろから原告クリエを製造販売していたこと、原告は、別紙15(クリエ宣伝目録)記載のとおり、理容関係雑誌への広告掲載及びちらしの配布等の宣伝広告を行い、その多くには、原告クリエの写真が掲載され、宣伝広告に用いられたカタログ等の作成部数は、別紙17(カタログ等作成部数目録)記載のとおりであったことが認められる。
また、甲第12号証、第44ないし第46号証、第68号証、第70ないし第72号証、第74号証、第82号証、第84ないし第87号証,第92号証、第93号証、第95号証、第98ないし第101号証、第103ないし第107号証、第109ないし第127号証、第131号証、第136号証,第141ないし第143号証,第145号証,第146号証、第170ないし第185号証、第187ないし第192号証、第268号証及び弁論の全趣旨によれば、原告は、昭和62年ごろから原告プライムハイテクノを製造販売していたこと、原告は、別紙16(プライムハイテクノ宣伝目録)記載のとおり、理容関係雑誌への広告掲載及びちらしの配布等の宣伝広告を行い、その多くには、原告プライムハイテクノの写真が掲載され、宣伝広告に用いられたカタログ等の作成部数は、別紙17(カタログ等作成部数目録)記載のとおりであったことが認められる。
(2) 前記3(2)のとおり、商品の形態が他の商品と識別し得る独特の特徴を有し、かつ、商品の形態が、長期間継続的かつ独占的に使用されるか、又は、短期間であっても商品形態について強力な宣伝等が伴って使用されたような場合には、商品の形態が商品等表示として需要者の間で広く認識されることがあり得る。
(3)ア 原告は、(a)背もたれが、上底より緩やかな曲線をもって下底にかけて絞り込まれ、前垂れは、上底が下底より長い台形状となるように直線によって絞り込まれ、足置きは、座部の幅に比して小さめであり、正面から見た形状は、全体として逆台形であること、(b)手すりは、座部後部から緩やかな角度をもって現れ、やがて手すり上面は座部傾斜とほぼ平行になり、前面上部は突出した形状をなし、その角部は丸みを帯び、前面部は、下方にかつ背もたれ側に円弧状をなしたラインを有し、座部付近の手すり基部に連なっており、手すり上面の下方には空洞部が形成されており、その内面形状は、上部がほぼ直線状で前部が曲線状であることを、原告クリエの特徴とし、このような特徴を有する原告クリエの形態は、商品等表示としての形態に当たると主張する。別紙9(原告製品目録二)、甲第10号証、第267号証によれば、原告クリエが、原告がその特徴であると主張する形態を備えていることが認められる。
また、原告は、(a)正面形状は、背もたれの肩部が上部にいくほど狭くなる緩やかな曲線であるほかは、ほぼ長方形であること、(b)側面には、座部の後部からほぼ45度の角度で板状の手すりが現れ、しばらくして座部と平行となり、手すりの下には操作部があり、手すりの前部の下方は空間となっていること、
(c)背もたれは、その左右が少し内側に折り曲げられた形状であり、背もたれのうち手すりより上の部分は緩やかな曲線で少し絞り込まれ、背もたれのうち手すりより下の部分は急な直線で絞り込まれた後垂直に座部に至っており、それに加え、
逆台形で横長の直線的なイメージを与えるヘッドレストと、台形で縦長の同じく直線的なイメージを与える背面部材からなることを、原告プライムハイテクノの特徴とし、これが商品等表示に該当すると主張する。別紙10(原告製品目録三)、甲第12号証によれば、原告プライムハイテクノが、原告がその特徴であると主張する形態を備えていることが認められる。
しかし、前記1(4)で認定したとおり、理容椅子には、具体的構成を異にする様々なものがあり、それぞれが独自の特徴を有しているものであるところ、そのような中で、ロ号物件の販売が開始された平成9年、ハ号物件の販売が開始された平成8年以降において、原告クリエ、原告プライムハイテクノの前記のような特徴が、看者に強い印象を与える形態上の顕著な特徴であったとまでは認められない。
したがって、原告が原告クリエ、原告プライムハイテクノの特徴として主張するところは、他の商品と識別し得る独特の特徴ということはできない。
イ 前記認定のとおり、原告クリエ及び原告プライムハイテクノについては、
多くの場合、写真入りで、広く宣伝広告が行われた。しかし、原告が原告クリエ、
原告プライムハイテクノの特徴として主張するところは、他の商品と識別し得る独特の特徴ということはできないから、広く宣伝広告が行われても、原告クリエ、原告プライムハイテクノの形態が、出所を表示する周知の商品等表示となったと認めることはできない。
5(結論) 以上によれば、原告の請求は、その余の点につき判断するまでもなく、いずれも理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。
追加
別紙目次別紙1イ号目録(被告新型洗髪機)添付写真別紙2ロ号目録添付写真別紙3ハ号目録添付写真別紙4意匠公報写T別紙5意匠公報写U別紙6意匠公報写V別紙7原告製品目録一-1(原告旧型洗髪機)添付写真別紙8原告製品目録一-2(原告新型洗髪機)添付写真別紙9原告製品目録二(原告クリエ)添付写真別紙10原告製品目録三(原告プライムハイテクノ)添付写真別紙11菊星洗髪機目録添付写真別紙12被告旧型洗髪機目録添付写真別紙13原告旧型洗髪機報道宣伝目録別紙14原告新型洗髪機報道宣伝目録別紙15原告クリエ宣伝目録別紙16原告プライムハイテクノ宣伝目録別紙17カタログ等作成部数目録
裁判長裁判官 小松一雄
裁判官 中平健
裁判官 田中秀幸
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