関連審決 | 無効2000-35002 |
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関連ワード | 物品 / 形状 / 模様 / 意匠に係る物品 / 創作容易(容易の創作) / 一意匠一出願(7条) / 新規性 / 3条1項3号 / 類似する意匠 / 物品の機能 / 部品 / 意匠の類似 / 意匠の類否 / 物品の同一性 / 登録意匠 / 類似性(類否判断) / |
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事件 |
平成
12年
(行ケ)
434号
審決取消請求事件
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原告 株式会社イノウエ代表者代表取締役 【A】 訴訟代理人弁護士 飯田秀郷 同 栗宇一樹 同 早稲本 和徳 同 秋野卓生 同 七字賢彦 同 鈴木英之 同 弁理士 日高一樹 同 渡邉知子 同 重信和男 被告 株式会社ジェム・マニュファクチャラー 代表者代表取締役 【B】 訴訟代理人弁護士 赤尾直人 |
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裁判所 | 東京高等裁判所 |
判決言渡日 | 2001/03/22 |
権利種別 | 意匠権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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当事者の求めた裁判
1 原告 特許庁が無効2000-35002号事件について平成12年9月20日にした審決を取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 2 被告 主文と同旨 |
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当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯 被告は、意匠に係る物品を「耳飾り用留め金具」とし、別紙審決書の写しの別紙第一に記載されている態様によって構成される意匠登録第1016112号に係る意匠(遡及出願日を前実用新案登録出願日である平成5年8月27日として登録出願、平成10年5月22日に意匠権設定登録。以下「本件登録意匠」という。)の意匠権者である。 原告は、平成11年12月28日、本件登録意匠の意匠登録を無効にすることについて審判を請求し、特許庁は、この請求を無効2000-35002号事件として審理した結果、平成12年9月20日に「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をし、同年10月16日に原告に送達した。 2 審決の理由 別紙審決書の写しのとおり、本件登録意匠は、カタログ「BELLE MAISON アクセサリータイム’92 WINTER」(平成4年10月1日ころに頒布されたと推認される。)の72頁の左下部所載の写真版に現された「21」と番号を付されたピアスに使用されている金具の意匠(以下「甲号意匠」という。 その態様は、別紙審決書の写しの別紙第二のとおりである。)に類似しない、と認定判断して、本件登録意匠は甲号意匠に類似し商標法3条1項3号に該当する、との請求人(原告)の主張を退けた。 |
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原告主張の審決取消事由の要点
審決の理由第1(請求人の請求の趣旨及び理由)、第2(被請求人の答弁の趣旨及び理由)は認める。同第3(当審の判断)の1(本件登録意匠)、2(甲号意匠)は認める。同第3の3(本件登録意匠と甲号意匠の類否判断)の(1)(両意匠の対比)は、両意匠に係る物品について、「『耳飾りの部品として使用される金具』と広義に捉えれば、共通する物品ということができ」(4頁17行〜19行)るとの部分、及び、両意匠の形態について、「両意匠は、丸針金を、一方に向けてややすぼめた左右対称形に折り曲げ、その端部の一方を小円環状に外方に折り曲げた態様のものとした点が、甲号意匠の天地関係を考慮せずにみれば、一見、共通するといえる」(4頁24行〜27行)ことを認め、その余は争う。同第3の3の(2)(両意匠の類否)は争う。 審決は、判断遺脱・理由不備の誤りを犯し(取消事由1)、形態の類否判断を誤った(取消事由2)ものであって、これらの誤りが、それぞれ、結論に影響を及ぼすことは明らかであるから、違法として取り消されるべきである。 1 取消事由1(判断遺脱・理由不備) 本件登録意匠に係る物品は耳飾り用留め金具であり、甲号意匠に係る物品はピアスに使用される金具であるから、それぞれの意匠に係る物品が互いに類似することは明らかである。 ところが、審決は、この点の判断を回避し、判断遺脱の違法を犯している。 また、審決は、両意匠の物品の関係を不明にしたまま、両意匠を「物品の関係そのままにおいて類似しない」などとしており、全く意味不明の理由になっている。審決には理由不備の違法がある。 2 取消事由2(形態の類否判断の誤り) (1) 意匠の類否の判断は、両意匠を全体的に観察して、物品の取引者・需要者において両者を混同するほどに似ているかどうかを基準として、すべきである。そして、その判断は、取引環境に応じ、物品の性質、形態、用途等を考慮のうえ、看者の注意を強く引く部分における両者の類似性ないし非類似性を重視して、すべきである。 (2) 本件登録意匠に係る物品も甲号意匠に係る物品も、いずれも、それ自体は、一般顧客の使用する最終形態の商品ではなく、最終形態の商品である「耳飾り」又は「ピアス」の部品(「耳飾り部品」)であるにすぎない。すなわち、これらの耳飾り部品は、装飾本体と組み合わされて初めて、「耳飾り」又は「ピアス」という最終形態の商品となるにすぎない。そして、このような耳飾り部品の取引者・需要者が、一般顧客ではなく、製造業者、卸売業者、流通業者であることは明らかであるから、本件登録意匠及び甲号意匠の類否の判断は、これらの者を基準としてすべきである。 (3) 本件登録意匠及び甲号意匠の意匠に係る物品は、部品、すなわち、あくまでも素材であって、利用の仕方は、利用者が自由に選択することが可能であり、様々な利用方法、利用の態様が考えられる。ピアス用の部品として製造されたとしても、当業者が、それを用いて耳飾り用の部品に転用することも十分考えられる。 したがって、本件登録意匠は、甲号意匠を用いて当業者が容易に創作することができる意匠に該当し、新規性のみならず創作性においても認めがたい意匠である。 (4) 甲号意匠に係る物品は、ピアス用であるかどうかを明示せずに(部品番号と商品名による指定のみで)、部品そのものとして数十個単位で発注されて、数十個単位で透明ビニール製の小さな袋に、天地の方向性は全く関係なく入れられて発注先に出荷されている。したがって、甲号意匠に係る物品は、何ら天地関係のない状況で取引対象とされ、流通過程に置かれ、耳飾り部品として利用されているということができる。そして、この状況は、甲号意匠に係る物品に限らず、ほとんどの耳飾り用金具に共通する。製造業者、卸売業者、流通業者は、天地関係と無関係に、意匠として判断し、取引対象として認識しているのである。 (5) 以上の事実を考慮すれば、本件登録意匠と引用意匠は、取引者・需要者に誤認混同を引き起こすことが明白である。 |
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被告の反論の要点
1 取消事由1(判断遺脱・理由不備)について 意匠法3条1項3号による類似の要件が成立するためには、@物品の同一性又は類似性、A形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合における類似、の成立を不可欠とする。@、Aのいずれか一方が成立しない場合には、意匠の類似は成立しない。審決は、本件登録意匠と甲号意匠についてはAの要件が成立しないから、両意匠は、@の成否いかんにかかわらず、非類似である、としているのである。審決に、判断遺脱や理由不備などが生じる余地はない。 2 取消事由2(形態の類否判断の誤り)について (1) 意匠の全体構成及びこれを形成する個別の構成は、一般に、看者によって観察される方向を基準として特定されている。これは、意匠に係る物品の機能に基づく使用による実施態様に即して観察する方向を基準として意匠の把握が行われ、 かつ、構成の特定が行われることに由来している。このような使用による実施態様を度外視して行う意匠の構成の把握は、その美観を物品に対する実施を介して統一的に惹起させるという、意匠の本質に反した取扱いというべきである。 意匠の構成が、使用による実施態様に即した観察方向を基準としたうえで、把握され特定されるべきものである以上、意匠の類否判断においても、対比される両意匠の構成は、それぞれの使用による実施態様に即した観察方向を基準として、把握され特定されなければならないのは、当然である。そうでなければ、同一の基準に基づいた意匠の把握及びこれに基づく類否判断が不可能となるからである。 (2) 意匠法3条1項3号による類似の判断は、一般需要者を基準として判断すべきである。 (3) 一般消費者において、「留め金具+装飾本体による耳飾り(イヤリング)」に接した場合、留め金具が装飾本体と耳とを結合させる媒介物であって、装飾本体とは異なる固有の機能を発揮すること、及び、留め金具を異なる装飾本体に使用することが可能であることは、当然に認識可能である。「留め金具+装飾本体によるピアス」についても同様である。 したがって、一般消費者は、留め金具の意匠の構成を、装飾本体とは独立した状態で把握する。そうである以上、一般消費者は、本件登録意匠については、 U字型を基本とした意匠の把握及びこの把握に基づく意匠の特定を行い、甲号意匠については、逆U字型を基本とした意匠の把握及びこの把握に基づく意匠の特定を行うから、両者を誤認混同することはない。 (4) たとい、本件登録意匠に係る物品及び甲号意匠に係る物品が、単独で当業者の間において取引の対象となる場合を想定したとしても、当業者は、留め具の機能に基づく使用態様を十分知っているから、当業者も、本件登録意匠の留め具及び甲号意匠の留め具につき、それぞれの使用状態に即した方向を基準としたうえで、 各意匠の把握及びこの把握に基づく意匠の特定を行う。したがって、当業者においても、本件登録意匠と甲号意匠の誤認混同を生ずることは、あり得ない。 (5) 留め具の使用状態は、耳飾り(イヤリング)におけるのとピアスにおけるのとでは相違している。そうである以上、双方の留め金具を交換することが一般的に行われているなどということは、あり得ない。ピアス用の部品として製造されたとしても、当業者が、それを用いて耳飾り用の部品に転用することも十分考えられる、という原告の主張は、客観的事実から逸脱している。 原告は、本件登録意匠は、甲号意匠を用いて当業者が容易に創作することができる意匠に該当し、新規性のみならず創作性においても認め難い意匠であると主張する。しかし、留め具の使用態様は、イヤリングにおけるのとピアスにおけるのとで相違するのであるから、一方の留め具の形態を他方に、上下関係を逆転したうえで転用するなどということは、単なる後知恵であって、決して「十分に考えられる」事態ではない。 |
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当裁判所の判断
1 まず、取消事由2(形態の類否判断の誤り)について判断する。 (1) 甲第1号証(審決書)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。 ア 本件登録意匠は、耳飾り(イヤリング)用留め金具であって、装飾本体に取り付けて、左と右にある上端部によって耳たぶを挟み付けて使用するものであって、使用時にはU字型となるものである。上下を逆にすると耳たぶを挟み付けられないため、使用時において上下を逆にすることは、考えられない。 イ 甲号意匠は、装飾本体を吊り下げて、耳たぶにあけたピアス孔に通して使用するものであって、使用時には中央部が耳たぶを貫通した状態の逆U字型となるものである。上下を逆にするとピアス孔を通した状態で保持できないため、使用時において上下を逆にすることは、考えられない。 (2) 使用時における状態を前提とすれば、基本的構成態様が、本件登録意匠は「U字型」、甲号意匠は「逆U字型」である点において、大きく異なる美感を起こさせるから、両意匠は、類似しないものというほかはない。 (3) 本件登録意匠及び甲号意匠がそれぞれそのために使用される最終製品である、耳飾り(イヤリング)及びピアスは、装身具であって使用状態における美感が非常に重視されるものであるから、その需要者(一般消費者)は、耳飾り(イヤリング)やピアスを購入するに当たって、その一部である、耳に取り付ける部分(本件登録意匠や甲号意匠に係る物品が組み込まれている部分)についても、使用状態を前提として、その形状等に注意を払って判断することは明らかである。 また、耳飾り(イヤリング)とピアスは、同じく耳に付ける装飾品ではあるものの、使用方法が異なり、また、耳に取り付けた際に痛みを伴ったり脱落したりするおそれもあるため、その需要者(一般消費者)は、それがイヤリングであるのか、ピアスであるのか、耳に取り付けた際に痛みがあったり、脱落したりしないか等、耳に取り付ける部分について、この観点からも、使用状態を前提として、その形状等に注意を払って判断することもまた、明らかである(例えば、ピアス孔のない者が使用状態において「逆U字型」となるピアスを購入しても、耳に取り付けられないから、使用不能である。)。 以上のとおり、最終製品の需要者(一般消費者)が、耳飾り(イヤリング)及びピアスを購入する際には、耳に取り付ける部分(本件登録意匠や甲号意匠に係る物品が組み込まれている部分)についても、使用状態を前提として、その形状等に注意を払って判断するため、「U字型」と「逆U字型」を、誤認混同することのないことは明らかである。 (4) 本件登録意匠に係る物品及び甲号意匠に係る物品は、装身具の部品であるから、その需要者は、これらの部品を使用して装身具を製造する製造業者である。 これらの製造業者は、製造した装身具を、最終的には一般消費者に購入してもらう必要があるから、装身具を製造するに当たっては、一般消費者がどのような点に注意を払うかについて、注意を払っていることは自明である。 そして、一般消費者は、耳飾り(イヤリング)及びピアスを購入する際には、耳に取り付ける部分についても、使用状態を前提として、その形状等に注意を払って判断するのであるから、製造業者も、耳飾り(イヤリング)及びピアスを製造するに当たっては、同様に、使用状態を前提として、その形状等に注意を払うものと認められる。 すなわち、使用状態において美感を起こさせるものでなければ、たとい上下を逆にした場合にはすぐれた美感を起こさせるものであっても、耳飾り(イヤリング)としては無意味であるため、一般消費者は購入しないであろうし、逆に、使用状態においてすぐれた美感を起こさせるものであれば、たとい上下を逆にした場合には陳腐なものであっても、一般消費者に購入意欲を起こさせるものである。また、耳に取り付ける部分が、使用状態において、耳に取り付けるうえで不都合なもの(例えば、ピアスにおいて耳に取り付ける部分がU字型であるためにピアス孔に挿入した状態で保持できない、イヤリングにおいて耳に取り付ける部分が逆U字型であるために耳たぶをはさめない等の場合)であれば、一般消費者は購入しないであろう。そうである以上、製造業者は、本件登録意匠や甲号意匠に係る物品については、一般消費者の使用状態を前提として、その形状等に注意を払うことは明らかである。 (5) そうである以上、耳飾り(イヤリング)、ピアスの製造業者は、本件登録意匠や甲号意匠に係る物品の部品を購入するに当たっても、一般消費者の使用状態を前提として、その形状等に注意を払うことは明らかである。なぜなら、耳飾り(イヤリング)、ピアスの製造業者は、一般消費者の使用状態を前提として、その使用状態においてすぐれた美感を起こさせる意匠となるように努力しているのであるから、もしも、上下関係等が逆向きに取り付られなければならない部品を購入したのでは、意図した意匠の装身具を製造することができず、折角創作した意匠が顧客の獲得につながらなくなってしまうからである。のみならず、耳に取り付ける部分については、誤って上下が逆向きの部品を購入し、そのまま(上下が逆のまま)取り付けてしまった場合には、耳に取り付けるうえで不都合が生じ、一般消費者が購入しない可能性が高いから、なおさらである。 このように、耳飾り(イヤリング)、ピアスの製造業者が、本件登録意匠や甲号意匠に係る物品を購入するに当たって、一般消費者の使用状態を前提として、その形状等に注意を払って判断する以上、「U字型」と「逆U字型」を、誤認混同することのないことは明らかである。なお、部品の需要者である耳飾り(イヤリング)、ピアスの製造業者において、誤認混同することのない以上、流通過程にある卸売業者等の流通業者が混同することも、同様にあり得ないものである(そうでなければ、需要者である耳飾り(イヤリング)、ピアスの製造業者に販売できないか、販売すれば苦情・返品を受けることになることは自明である。)。 したがって、本件登録意匠と甲号意匠は、形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合において、類似しないものというべきである。 (6) 原告は、本件登録意匠及び甲号意匠の意匠に係る物品は、部品であって、 ピアス用の部品として製造されたとしても、当業者が、それを用いて耳飾り(イヤリング)用の部品に転用することも十分考えられると主張する。 しかし、本件全証拠によっても、ピアスの耳に取り付ける部分の部品として製造されたものが、イヤリングの耳に取り付ける部分の部品に転用され、あるいは、その逆の転用がされることが一般的であると認めることはできない。かえって、イヤリングの耳に取り付ける部分の部品を、ピアス孔のように小さな孔に通したり、ピアスの耳に取り付ける部分の部品のように細く、耳たぶを挟むことを考慮せずに製造されたものを、耳たぶを挟むことに使用したりすれば、不都合が生ずると考えるのが自然である。 (7) また、原告は、甲号意匠に係る物品は、ピアス用であるかどうかを明示せずに(部品番号と商品名による指定のみで)、部品そのものとして数十個単位で発注されて、数十個単位で透明ビニール製の小さな袋に、天地の方向性は全く関係なく入れられて発注先に出荷されていると主張する。 しかし、流通過程において、天地の方向性が関係ない状態で出荷されているとしても、需要者である耳飾り(イヤリング)、ピアスの製造業者が、流通過程の状態を見て、購入を決定していると認めるに足りる証拠はないから、流通過程の状態は、前記認定を左右するものではない。むしろ、流通過程において、ピアス用であるか否かさえ明示されない状態で出荷されることは、需要者である耳飾り(イヤリング)、ピアスの製造業者が購入を決定するのは、見本やカタログによるものであって、出荷されている状態によって判断するものではないことをうかがわせるものである。 (8) なお、原告は、本件登録意匠は、甲号意匠を用いて当業者が容易に創作することができる意匠に該当し、創作性においても認めがたい意匠であると主張する。 しかし、甲第1号証によれば、原告は、審判時において、本件登録意匠が創作容易であることを無効原因として主張しておらず、審決も、この点を判断していないことが認められる。そうである以上、原告が、本訴において、このことを審決の違法事由として主張し、裁判所の判断を求めることは許されない。 (9) 以上のとおり、本件登録意匠と甲号意匠について、審決の「両意匠に係る形態(判決注・形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合のことを指すものと解する。)は、詳細に検討するまでもなく、基本的な構成態様が「U字型」と「逆U字型」であること等において全く異なるものであることが明らか」(5頁25行〜27行)とした認定判断に誤りはない。 2 取消事由1(判断遺脱・理由不備)について判断する。 前記1認定のとおり、本件登録意匠と甲号意匠は、形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合において、類似しないものである。そうである以上、両意匠は、 両意匠に係る物品が類似であるか否かを判断するまでもなく、意匠法3条1項3号にいう「類似する意匠」ではないというべきである。 審決の「両意匠は、両意匠に係る物品の関係そのままにおいて、類似しない」(5頁27行〜28行)との説示は、必ずしも理解しやすいものではないものの、結局のところ上記の理を述べるものであることは、審決自体から明白である。 したがって、審決には、原告主張のような判断遺脱、理由不備はない。 3 以上のとおりであるから、 原告主張の審決取消事由は理由がなく、その他審決にはこれを取り消すべき瑕疵は見当たらない。 |
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よって、本訴請求を棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟
法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。 |
裁判長裁判官 | 山下和明 |
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裁判官 | 山田知司 |
裁判官 | 阿部正幸 |