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関連審決 審判1997-1242
関連ワード 物品 /  形状 /  意匠に係る物品 /  先願 /  新規性 /  意匠の類否 /  類似性(類否判断) / 
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事件 平成 12年 (行ケ) 199号 審決取消請求事件
原告 アイリスオーヤマ株式会社代表者代表取締役 【A】
訴訟代理人弁理士 【B】
被告 特許庁長官【C】
指定代理人 【D】、【E】、【F】
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2000/10/31
権利種別 意匠権
訴訟類型 行政訴訟
主文 原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
原告の求めた裁判
「特許庁が平成9年審判第1242号事件について平成12年4月20日にした審決を取り消す。」との判決。
事案の概要
1 特許庁における手続の経緯 原告は、平成5年6月4日、意匠に係る物品を「植木鉢」とする意匠(その形態は別紙第一に示すとおり)について意匠登録出願をしたが(平成5年意匠登録願第16818号)、平成9年1月13日拒絶査定があったので、同年1月28日に審判請求をし、平成9年審判第1242号事件として審理されたが、平成12年4月20日「本件審判の請求は成り立たない。」との審決があり、その謄本は同年5月15日原告に送達された。
2 審決の理由の要点 (1) 審判において、本願意匠に類似するとして拒絶の理由に引用した意匠(先願意匠)は、本件出願前の昭和60年7月30日の出願に係り、平成1年5月26日に拒絶の査定がされ、その後その査定が確定した昭和60年意匠登録願第32248号であり、その願書及び願書に添付した図面の記載によれば、意匠に係る物品が「植木鉢」であり、その形態は別紙第二に示すとおりである。
(2) そこで、本願意匠と先願意匠について比較検討すると、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、その形態について、全体を、上部にフランジ状の開口部を有する有底の略逆円錐台筒状の容体とし、そのフランジ状開口部を環状の帯状に形成した基本的構成態様が共通する。また、具体的態様において、(1)容体について、上方のフランジ状開口部の外周径と高さの比を略9:10とするやや縦長の略逆円錐台筒状とし、容体本体の径が上から下にわずかずつ徐々に縮径している点、(2)フランジ状開口部について、容体本体の上方周縁をラッパ状に拡開し、その上縁部を断面略逆「U」の字状に外側に屈曲し、外周縁を細幅帯状の環状に形成している点、(3)底部について、外周径の略2/3の径で同心円状に、容体の高さの略1/8を「凸」状に立ち上げて円形状隆起部を形成し、その隆起部の上面に多数の略角形小孔をメッシュ状に設けた点、(4)底部に溝状及び水排出孔を複数設けている点、が共通する。
一方、両意匠は、(イ)フランジ状開口部について、本願意匠は、容体本体の上縁部を外側に斜状に屈曲し、上縁部の周縁に斜面を形成し、さらに上端を外側に逆「L」字状に屈曲させているのに対して、先願意匠は、容体本体の上縁部を外側に円弧状に屈曲させ、外周縁を丸面状に形成している点、(ロ)容体底部について、
本願意匠は、円形状隆起部の上面にメッシュ状を放射状に6分割して表し、その隆起部の周囲に板状のリブを放射状に6か所に設けているのに対して、先願意匠は、
形状隆起部の上面にメッシュ状を放射状に4分割して表し、その隆起部の周囲に板状のリブを放射状に8か所に設けている点、(ハ)水抜き部について、本願意匠は、円形状隆起部の左右にやや幅広の溝状を2個設けているのに対して、先願意匠は、円形状隆起部の四方に、トンネル状のものを4個設けている点、(ホ)本願意匠は、底面の周囲をやや窪ませて、底面を高台状に形成しているのに対して、先願意匠は、底面の周囲を小さな隅丸状に形成している点、に主たる差異がある(審決には(ニ)の項目が欠けているが、本判決上も(ホ)の差異点を審決の記載どおり(ホ)と表記する。)。
(3) そこで、上記の共通点と差異点について総合的に検討するに、まず、基本的構成態様の共通点、すなわち、全体を、上部にフランジ状の開口部を有する有底の略逆円錐台筒状の容体とし、そのフランジ状開口部を環状の帯状に形成した点、また、具体的態様において、(1)容体について、上方のフランジ状開口部の外周径と高さの比を略9:10とするやや縦長の略逆円錐台筒状とし、容体本体の径が上から下にわずかずつ徐々に縮径している点は、両意匠の形態に関する骨格を構成し、全体の基調をなし、看者の注意を惹くところといえ、類否判断を左右する支配的要素というべきである。また、両意匠に共通する具体的態様、特に、(2)のフランジ状部について、容体本体の上方周縁をラッパ状に拡開し、その上縁部を断面略逆「U」の字状に外側に屈曲し、外周縁を細幅帯状の環状に形成している点、さらに、(3)の底部について、外周径の略2/3の径で同心円状に、容体の高さの略1/8を「凸」状に立ち上げて円形状隆起部を形成し、その隆起部の上面に多数の略角形小孔をメッシュ状に設けた点は、基本的構成態様の共通点と相俟って、両意匠の共通感をより一層際立たせるものとなっており、その類否判断に及ぼす影響は大きいというべきである。
他方、両意匠の差異点において、(イ)のフランジ状の開口部について、本願意匠が、容体本体の上縁部を外側に斜状に屈曲し、上縁部の周縁に斜面を形成している点であるが、形態全体としては部分的差異といえ、その上縁部の周縁の斜面は、
容体全体が外側に斜状に拡開する過程の中でのものでさほど目立つものでなく、また、本願意匠は、上端を外側に逆「L」字状に屈曲させ、開口部の上面及び外側面が、平坦面状に表れるものであるが、本願意匠は、逆「L」字状の屈曲部を角丸状に面取りしており、先願意匠の外周縁を丸面状に形成したものとの差異が際立たず、その類否判断に及ぼす影響は、微弱なものといわざるを得ない。また、(ロ)の点は、容体底部について、円形状隆起部の上面にメッシュ状を放射状に表し、その隆起部の周囲に板状のリブを放射状に設けた共通点に包摂されるその数の差異であって、類否判断の要素としてさほど評価できず、その類否判断に及ぼす影響は、
微弱なものというほかなく、(ハ)の水抜き部について、そこは、この種の物品において、さほど重要視されない部位についてのもので、両意匠は、円形状隆起部の左右にやや幅広の溝状を2個設けているか、四方にトンネル状のものを4個設けているかの差異があるとしても、共に、底部に溝状及び水排出孔を複数設けている点では、共通しているもので、その類否判断に及ぼす影響は、微弱なものといわざるを得ない。さらに、(ホ)本願意匠は、底面の周囲をやや窪ませて、底面を高台状に形成している点に差異があるが、本願意匠の高台の段差は、極くわずかなもので、この種の物品において、底部を高台状に形成することに、格別の特異性がなく、その類否判断に及ぼす影響は、微弱なものというほかない。
そうして、上記の差異点が相互に相俟って、相乗効果を生じることを考慮しても、本願意匠は、意匠全体として先願意匠にない格別の特異性を発揮するまでには至っておらず、前記の各差異点が、両意匠の類否判断に及ぼす影響は、微弱なものといわざるを得ない。
以上のとおりであって、両意匠は、意匠に係る物品が共通しており、その形態について、両意匠の共通点は、類否判断に大きな影響を及ぼすものと認められるのに対し、差異点は、いずれも類否判断に及ぼす影響が微弱なものであり、共通点を凌駕することができず、両意匠は類似するものといわざるを得ない。
(4) したがって、本願意匠は、意匠法9条1項の最先の意匠登録出願人に係る意匠に該当せず、同項の規定により意匠登録を受けることができない。
原告主張の審決取消事由
1 具体的態様の共通点の認定の誤り 審決は、本願意匠と先願意匠の具体的態様の共通点として、「(2)フランジ状開口部について、容体本体の上方周縁をラッパ状に拡開し、その上縁部を断面略逆「U」の字状に外側に屈曲し、外周縁を細幅帯状の環状に形成している点」を挙げているが、誤りである。
(1) まず、「上方周縁をラッパ状に拡開し」との共通点の認定が誤りである。
ラッパ状とは開口近くが広く開いた態様を指すところ、本願意匠の開口部には傾斜面が設けられて広く開いておりラッパ状といい得るが、先願意匠は下端から上端まで直線状であり上端からフランジ状が拡開するものであるからラッパ状とはいえない。
したがって、本件両意匠の比較において、共に「ラッパ状に拡開」した点で共通するとした審決の認定は誤りである。
(2) 次に「上縁部を断面略逆「U」の字状に外側に屈曲し」との共通点の認定が誤りである。
先願意匠図面は開口部のフランジ状折り返しの断面形状が左右でやや異なる。すなわち、本体内側は開口部上端まで直線状であり、開口部上端で外側に折り曲げられ、丸面状に拡開しつつ垂下しているものであり、単なる「U」字状よりも更に本願意匠と離隔した態様のものである。
一方、本願意匠は、外方に25度傾斜した直線状傾斜面と垂直に折り返された直線状の垂下縁とで形成されているため、その形状は「U」ではない。強いていえば、逆「V」字状である。
したがって、本件両意匠を、共に断面略「U」の字状に屈曲している点で共通するとした審決の認定は誤りである。
2 差異点の認定の誤り 審決は、本願意匠と先願意匠の差異点として、「(イ)フランジ状開口部について、本願意匠は、容体本体の上縁部を外側に斜状に屈曲し、上縁部の周縁に斜面を形成し、さらに上端を外側に逆「L」字状に屈曲させているのに対して、先願意匠は、容体本体の上縁部を外側に円弧状に屈曲させ、外周縁を丸面状に形成している点」を認定しているが、不十分であり、誤りである。
(1) 本願意匠についての「容器本体の上縁部を外側に屈曲し、上縁部の周縁に斜面を形成し、さらに上端を外側に逆「L」字状に屈曲させている」との認定に関して 本願意匠は口縁部内側に垂線に対して25度の傾斜で広幅の傾斜面を形成しており、この傾斜面の上端にわずかな水平上縁面を形成し、次いで垂直に折り曲げられて外周縁を形成したものであり、該部位全体の断面形状は強いていえば略逆「V」字形である。そのため本願意匠は、開口部を上方から観察した場合に、広幅傾斜面が明瞭に観察されるばかりか、口縁部の上縁面が同サイズの通常の植木鉢(先願意匠を含む)と比較して明瞭に細幅となるものである。
(2) 先願意匠についての「容器本体の上縁部を外側に円弧状に屈曲させ、外周縁を丸面状に形成している」との認定に関して 先願意匠は下端から上端まで直線状であり、本願意匠のような傾斜面は有さず、
そのフランジ状部は、開口部上端で外側に折り曲げられ、丸面状に拡開しつつ垂下しているものである。
そのため、開口部を上方から観察した場合に、傾斜面がないばかりか、フランジ状部の、丸面状に拡開しつつ垂下する部位の大半が上縁面として看取され、結果として該部位は、本願意匠との対比においては、通常の植木鉢同様に広幅のものと看取されるものである。
(3) 底面方向からの対比の欠如について 両意匠を底面方向から観察した場合(これは植木が植え込まれている場合には観察しにくいが、需要者が商品を選択する際や、植木の植替え時等に鉢を洗浄したり運搬したりする際には充分に観察し得る観察方向である。)、本願意匠は、逆「L」字状に屈曲して垂下した折返し縁の肉厚を、通常の植木鉢の数倍の厚さにして強度を高め、通常は折り返しの裏側に配置される補強リブを付けていない。
これに対して、先願意匠は丸面状に湾曲している折り返し縁の肉厚が薄く、折り返しの裏側に等間隔五か所位置に補強リブを設けている。この点は、外観上の差異点であるとともに両意匠の使い勝手を左右する差異である。
3 総合的検討の誤り (1) 審決は、「基本的構成態様の共通点、すなわち、全体を、上部にフランジ状の開口部を有する有底の略逆円錐台筒状の容体とし、そのフランジ状開口部を環状の帯状に形成した点」は「類否判断を左右する支配的要素というべきである」と判断しているが、この構成は、この種物品における「類型」であって、それのみが需要者の注意を惹くものではなく、その共通性が類否判断に及ぼす影響は小さい。
(2) 審決は、「具体的態様において、(1)容体について、上方のフランジ状開口部の外周径と高さの比を略9:10とするやや縦長の略逆円錐台筒状とし、容体本体の径が上から下にわずかずつ徐々に縮径している点は、両意匠の形態に関する骨格を構成し、全体の基調をなし、看者の注意を惹くところといえ、類否判断を左右する支配的要素というべきである」と判断しているが、この点も、この種物品における「類型」であって、それのみが需要者の注意を惹くものではなく、その共通性が類否判断に及ぼす影響は小さい。
(3) 審決は、「両意匠に共通する具体的態様、特に、(2)のフランジ状部について、容体本体の上方周縁をラッパ状に拡開し、その上縁部を断面略逆「U」の字状に外側に屈曲し、外周縁を細幅帯状の環状に形成している点」は、「基本的構成態様の共通点と相俟って、両意匠の共通感をより一層際立たせるものとなっており、その類否判断に及ぼす影響は大きいというべきである」と判断しているが、該構成において両意匠間に大差が見られるところであり、@ラッパ状でない先願意匠をラッパ状と認定して共通視する点、A強いていえば逆「V」字状である本願意匠を「U」字状と認定して共通視する点、はいずれも誤りである。また、B「外周縁を細幅帯状の環状に形成している」との認定、すなわち、フランジ状部(外周縁)が「細幅」の「帯状」であって「環状」である点は、この種植木鉢の「類型」であって、それのみが需要者の注意を惹くものではなく、その共通性が類否判断に及ぼす影響は小さい。
(4) 審決は、「(3)の底部について、外周径の略2/3の径で同心円状に、容体の高さの略1/8を「凸」状に立ち上げて円形状隆起部を形成し、その隆起部の上面に多数の略角形小孔をメッシュ状に設けた点は、基本的構成態様の共通点と相俟って、両意匠の共通感をより一層際立たせるものとなっており、その類否判断に及ぼす影響は大きいというべきである」と判断するが、ほぼ同様の態様が甲第33号証の「’87〜’88花と緑のガイドブック」74頁に矢印で示した長鉢の左端に同様の構成が掲載されていることから、ありふれた構成であって、それのみが需要者の注意を惹くものではなく、その共通性が類否判断に及ぼす影響は小さい。フランジ状部の形状や、高台がなく、水抜き穴が本体下方側部に直接設けられている態様等、鉢内底部を除いた構成において、先願意匠とほぼ同形状の意匠であり、このような態様は本件出願前に既に知られ、ありふれたものとなっていたものである。
(5) 審決は、「他方、両意匠の差異点において、(イ)のフランジ状の開口部について、本願意匠が、容体本体の上縁部を外側に斜状に屈曲し、上縁部の周縁に斜面を形成している点であるが、形態全体としては部分的差異といえ、その上縁部の周縁の斜面は、容体全体が外側に斜状に拡開する過程の中でのものでさほど目立つものでなく、また、本願意匠は、上端を外側に逆「L」字状に屈曲させ、開口部の上面及び外側面が、平坦面状に表れるものであるが、本願意匠は、逆「L」字状の屈曲部を角丸状に面取りしており、先願意匠の外周縁を丸面状に形成したものとの差異が際立たず、その類否判断に及ぼす影響は、微弱なものといわざるを得ない」と判断するが、誤りである。
本願意匠及び先願意匠の類型の植木鉢においては、開口部の形状の如何は類否判断に大きな影響を与える「顔」というべきものである。したがって、該構成が形態全体に占める比率としては部分的であっても、該構成は、類否判断上は、形態全体に占める構成比以上に重視されるべきである。
本願意匠は開口部内側に25度の広幅傾斜面を設け、平面視におけるフランジ上縁面の幅が細くなっており、折返し垂下縁は垂直に形成されている。これに対して先願意匠のフランジ状部は直線上に形成された本体側壁の開口上端部から始まり、
外方へ折り返され丸面状に拡開しつつ垂下する形状とされており、上面視におけるフランジは従来の植木鉢同様に広幅と看取されるものである。この差異は、この種物品においては基本的構成態様における差異である。
(6) 審決は、「(ハ)の水抜き部について、そこは、この種の物品において、さほど重要視されない部位についてのもので、両意匠は、円形状隆起部の左右にやや幅広の溝状を2個設けているか、四方にトンネル状のものを4個設けているかの差異があるとしても、共に、底部に溝状及び水排出孔を複数設けている点では、共通しているもので、その類否判断に及ぼす影響は、微弱なものといわざるを得ない」と判断するが、水抜き部を内底部の構成としてのみ観察して判断しており、誤りである。
容器体を外側から観察する場合、本願意匠は高さの低い高台を備えたものであり、前後2か所の水抜き口をこの高台部のみに収まるように横長方形状に穿設している点を見逃してはならない。これに対して、先願意匠は高台を設けず、水抜き口を前後左右4か所の容器体側面に直接「隧道入口状(略半円形)」穿設している。
この構成上の差異は、両意匠に係る植木鉢を側方斜め上方から観察した際の美感を大きく左右するものであり、この種物品においては顕著な差異である。
すなわち、本願意匠は、一段引っ込んだ高台部に開口されているため、斜上方から観察した場合開口部がほとんど目に付かなくなるのに対して、先願意匠は、植木鉢本体の側面に直接「隧道入口状(略半円形)」開口が穿設されているため、斜上方から観察した場合も開口が明瞭に目に付くのであり、この点は、類否判断上重視されるべき差異である。
(7) 審決は、「(ホ)本願意匠は、底面の周囲をやや窪ませて、底面を高台状に形成している点に差異があるが、本願意匠の高台の段差は、極くわずかなもので、
この種の物品において、底部を高台状に形成することに、格別の特異性がなく、その類否判断に及ぼす影響は、微弱なものというほかない」と判断しているが、単に高台の段差のみを採り上げた点及び高台の存在を軽視しており、誤りである。
すなわち、本願意匠は、高さの低い高台を備えたものであって、前後2か所の水抜き口をこの高台部のみに収まるように横長方形状に穿設しているが、先願意匠は高台を設けず、水抜き口を前後左右4か所の容器体側面に直接「隧道入口状(略半円形)」に穿設しているのである。本体周側に直接「隧道入口状」水抜き口を4か所も開口したか、それを、本体周側から一段引っ込んだ高台のみに納めたかの差異は、側方視の美感を左右するものであり、この種物品においては重視されるべき差異である。
また、この種物品においては、高台の有無は基本的構成態様における差異とされるべきものである。
審決取消事由に対する被告の反論
原告の主張はいずれも理由がなく、「以上のとおりであって、両意匠は、意匠に係る物品が共通しており、その形態について、両意匠の共通点は、類否判断に大きな影響を及ぼすものと認められるのに対し、差異点は、いずれも類否判断に及ぼす影響が微弱なものであり、共通点を凌駕することができず、両意匠は類似するものといわざるを得ない」との審決の判断に誤りはない。
1 具体的態様の共通点(2)に対して (1) 「上方周縁をラッパ状に拡開し」の認定について 先願意匠においても、上方周縁は、胴体部からの延長線上で拡開しており、その態様を「ラッパ状」とたとえ得るものである。
(2) 「上縁部を断面略逆『U』の字状に外側に屈曲し」の認定について 先願意匠については、上端を丸面状としており、それが僅かに拡開しつつ垂下しているものであって、断面略逆「U」字状の範囲に包摂されるものといえ、「A-A断面図、B-B断面図共に開口部のフランジ状折り返しの断面形状が左右でやや異なる」点も、指摘されて初めて認識できる程度の微差であり、審決の認定に誤りはない。また、本願意匠についても、上端周縁を弧状に形成しているものであり、
その折り返し部の態様を略逆「U」字状といっても差し支えないものである。
2 差異点の認定の誤りに対して (1) 原告は、本願意匠のフランジ状開口部の態様を逆「V」字形であると主張するが、逆「U」の字状か、逆「V」字形であるかの相違は、先方が、「丸いものであるか」、「尖ったものであるか」によって分かれるものであることを考慮すると、フランジ状開口部の上端に一定の平坦面(水平上縁面)を有する本願意匠の態様を、逆「V」字形であるという主張には無理がある。また、原告が強く主張する「本願意匠は口縁部内側に垂線に対して25度の傾斜で広幅の傾斜面を形成しており、」との点は、差異点(イ)において、具体的に、「容器本体の上縁部を外側に斜状に屈曲し、上縁部の周縁に斜面を形成し、」と摘示しており、また、口縁部の上縁面が「明瞭に細幅」との主張についても、折り返し部全体としては、ほぼ同幅程度のものであるから、その上縁面を格別採り上げるまでもない。
(2) 先願意匠の「上縁部を外側に円弧状に屈曲させ、外周縁を丸面状に形成している」という審決の認定は、原告が取消事由2の(2)で主張する態様を含むものと捉え得るものであって、審決の認定に誤りはない。また、先願意匠が、本願意匠に見られる傾斜面を有していないことは、審決が差異点(イ)として認定するとおりである。
原告は、開口部を上方から観察した場合に、先願意匠は、「本願意匠との対比においては、通常の植木鉢同様に広幅のものと看取されるものである。」とも主張するが、それは、開口部を上方から観察した場合に限られるものであり、この種の物品の主たる観察方法に言及すれば、それは、「俯瞰的に観察されるもの」というべきであって、それを願書添付図面に照らせば、主として側面図及び平面図を総合して看取すべきものであり、先願意匠のものが、格別に本願意匠のものに比し、「広幅のものと看取されるものである。」との原告の主張は理由がない。
(3) 原告は、底面方向からの対比(補強リブの有無)について述べるが、本願意匠が、逆「L」字状に屈曲して垂下した折り返し縁の肉厚を、通常の植木鉢の数倍の厚さにして強度を高めているとしても、意匠の外観としては、認識できないところであって、両意匠の類否判断の要素としてさほど評価できず、また、願書添付図面のA-A断面図及びB-B断面図からは、容体本体の厚みの約2〜3倍程度のもので、格別に厚いともいえず、類否判断の要素として、敢えて認定すべき理由はない。
本願意匠は、縁部を厚くして補強リブを付けていないが、開口部にそのような縁部を現した意匠は、例えば、昭和55年2月13日発行の意匠公報記載の登録523604号意匠(乙第1号証)及び昭和61年8月16日発行の意匠公報記載の登録523604の類似1号意匠(乙第2号証)の植木鉢の開口部の縁部に示されるとおり、本願意匠の出願前から極く普通に見られるありふれた態様であって、看者の注意を惹くとはいえないものであるから、両意匠の類否判断の要素として摘示しなければならない理由はない。
3 総合認定の誤りに対して (1) 取消事由3の(1)の主張について述べると、この種の物品においては、中鉢、深鉢、懸崖鉢等種々のものがあり、本件両意匠に係る物品「植木鉢」は懸崖鉢の範疇に属するが、その懸崖鉢の意匠に限っても、例えば、昭和39年7月7日発行の意匠公報記載の登録234986号意匠(乙第3号証)、及び平成4年12月22日発行の意匠公報記載の登録856390号意匠(乙第4号証)に見られるとおり、本願意匠と先願意匠に共通する基本的構成態様とは異なる構成態様を採っているものがあり、「この種物品における『類型』であって」とはいえない。
両意匠に共通する基本的構成態様は、植木鉢としての形態に関する骨格を構成し、面積的にも大部分を占めるところであって、両意匠の全体の基調をなすところとなっており、両意匠の類否判断を左右する支配的要素というべきである。
(2) 取消事由3の(2)の主張について述べると、植木鉢の物品の分野においては、各種の外周径と高さの比のものが存在し、「やや縦長の略逆円錐台筒状」とは限られず、前記乙第4号証の意匠や昭和50年10月28日公開の公開実用新案公報所載の実開昭50-131253号「植木鉢」の意匠(乙第5号証)のように、
本願意匠と先願意匠との共通点とは異なる構成態様のものが普通に見られ、原告が主張するように、この点が「この種物品における『類型』である」とはいえない。
(3) 取消事由3の(3)のBについては、本願意匠と先願意匠の態様とは異なる、
外周に縁のないものが見られ(前記乙第3号証)、縁の幅が広いものについても、
例えば、昭和52年2月17日発行の意匠公報記載の登録第442469号意匠(乙第6号証)に示されるように従来から見受けられ、「外周縁を細幅帯状の環状に形成」することが、必ずしも「類型」であるということはできず、この点についてはそれのみが需要者の注意を惹くものではないが、「基本的構成態様の共通点と相俟って、両意匠の共通感をより一層際だたせるものとなっており、その類否判断に及ぼす影響は大きいというべき」とした審決の判断に誤りはない。
(4) 取消事由3の(4)の主張については、底部に多数の小孔をメッシュ状に設ける点がありふれた構成であったとしても、甲第33号証の74頁及び75頁には、
異なる態様の孔を設けた底部を有するものが見受けられ、植木鉢の底部を必ずしもメッシュ状に設ける必然性はなく、各種の底部が存在する中で(例えば、前記乙第2号証ないし乙第4号証の意匠)、「外周径の略2/3の径で同心円状に、容体の高さの略1/8を凸状に立ち上げて円形状隆起部を形成し、その隆起部の上面に多数の略角形小孔をメッシュ状に設けた」という点は、その点のみが格段の注意を惹くものではなくとも、他の態様と相俟って両意匠の特徴をなすところといえ、両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。
甲第33号証の「’87〜’88花と緑のガイドブック」の74頁及び75頁には、「長鉢」「懸崖鉢」「スリムポット」「輪鉢」「中鉢」「ルージーポット」と各種の態様が示されており、両意匠に共通している「容体本体の上方周縁をラッパ状に拡開し、その上縁部を断面略逆『U』の字状に外側に屈曲し、外周縁を細幅帯状の環状に形成して」「底部について、外周径の略2/3の径で同心円状に、容体の高さの略1/8を凸状に立ち上げて円形状隆起部を形成し、その隆起部の上面に多数の略角形小孔をメッシュ状に設けた」態様を必ずしも採る必然性はなく、さらに、前記乙第3号証及び昭和57年2月15日発行の意匠公報記載の登録570468号意匠(乙第7号証)のようにフランジ状の開口部を有さない、本願意匠と先願意匠との基本的構成態様の共通点とは異なる構成態様を採っているものもある。
先願意匠とほぼ同形の公知意匠が本願意匠の出願前から存在するならば、本願意匠は先願意匠に類似しているのであるから、それは、むしろ本願意匠の新規性を否定するものにほかならず、具体的態様のうち、特に(2)及び(3)の共通点は、
「基本的構成態様の共通点と相俟って、両意匠の共通感をより一層際だたせるものとなっており、その類否判断に及ぼす影響は大きいというべきである。」とした審決の評価に誤りはない。
(5) 取消事由3の(5)の主張について述べると、開口部に関し、本願意匠が上縁部の周縁に斜面を形成している点については、形態全体としては部分的差異といえ、その上縁部の周縁の斜面は、容体全体が外側に斜状に拡開する過程の中でのものでさほど目立つものでなく、加えて、例えば、前記乙第4号証、及び昭和50年12月5日発行の意匠公報記載の登録410430号意匠(乙第8号証)に極く普通に見られ、本願意匠に独自の特徴といえず、また、折り返し垂下縁が垂直に形成されているものも、例えば、平成4年12月22日発行の意匠公報記載の登録856399号意匠(乙第9号証)、及び昭和63年8月30日公開の公開実用新案公報所載の実開昭63-132552号の「植木鉢」の意匠(乙第10号証)に見られるもので、極くありふれた態様といえるものであって、当該部位における両意匠の差異が、さほどに顕著な特徴を形成するものとはいえない。
(6) 取消事由3の(6)の主張について述べると、本願意匠と同様に高台を備えた植木鉢は、本願意匠の出願前より極めて普通に見られるところであり(例えば、昭和49年6月11日発行の登録第381594号意匠、昭和58年4月12日公開の公開実用新案公報所載の実開昭58-53540号「植木鉢」の第4図の意匠、
昭和63年7月26日公開の公開実用新案公報所載の実開昭63-116046号「植木鉢用植木又は造花支え蓋」の第1図の意匠(乙第11号証ないし第13号証))、高台を備えた点に格別の特徴はない。また、本願意匠の水抜き口は、一段引っ込んだ高台部に開口されているため、斜上方から観察した場合は開口部がほとんど目に付かなくなるものであって、目立つものとはいえず、さらに、外側から観察した場合に、本願意匠は、前後2か所の水抜き口を高台部のみに収まるように横長方形状に穿設している点についても、水抜き部を本願意匠のように略横長長方形状にすることも、先願意匠のように略半円形状とすることも、いずれの態様も、本願意匠の出願前からありふれたものといえるところであって(前記乙第8号証ないし第11号証)、この点における差異が両意匠の類否判断を左右するほどの大きな差異とはいえず、形態全体から観察した場合には、細部における部分的な差異といえる。
(7) 取消事由3の(7)の主張について述べると、高台の有無については、前項で述べたとおりであるが、水抜き口が2か所か4か所かの差異についても、水抜き口が2か所ないし4か所のものは本件出願前より既に多数のものが存在し(例えば、
前記乙第1号証ないし乙第2号証、第9号証、及び平成4年12月22日発行の意匠公報記載の登録第856391号意匠(乙第14号証))、いずれの態様も普通に見受けられる点を考慮すれば、水抜き口を2か所設けた点に格別の特徴があるものとはいえず、その差異は両意匠の美感を左右するほどのものとはいうことができない。
当裁判所の判断
当裁判所も、結論として、審決の判断と同様、本願意匠と先願意匠との間には審決認定の差異点があるものの、類否判断に及ぼす影響が微弱なものであって、類否判断に大きな影響を及ぼす両意匠の間の共通点を凌駕することができず、両意匠は類似するものと判断する。以下、審決の判断の過程における原告主張の誤りの有無について検討する。
1 取消事由の1において、原告は、審決が本願意匠と先願意匠の具体的態様の共通点として「(2)フランジ状開口部について、容体本体の上方周縁をラッパ状に拡開し、その上縁部を断面略逆「U」の字状に外側に屈曲し、外周縁を細幅帯状の環状に形成している点」を認定したのは誤りであると主張し、そのうち「上方周縁をラッパ状に拡開し」の部分と「上縁部を断面略逆「U」の字状に外側に屈曲し」の部分は両意匠間で共通するものではないと主張する。
しかしながら、審決がそこで「ラッパ状」あるいは「略逆「U」の字状」と表現したのは、意匠を観察する際に表現される印象を述べたものであり、「状」と表現されるように、厳密に「ラッパ」の形状であるとか「U字」の形状となっているものと認定したものでないことは明らかである。原告がここで主張しているのは、両意匠のフランジ状開口部の形状についてであるが、審決は共通点を認定した後、フランジ状開口部については(イ)の差異点があることを認定し、これも含めて総合的に両意匠の類否を判断しているのであるから、原告が取消事由1において主張する点をもって審決の認定に誤りがあるということはできない。
2 取消事由の2の(1)、(2)において主張するのは、やはりフランジ状開口部の形状であるが、前項において審決が具体的態様の共通点の(2)として掲げた点と差異点の(イ)として掲げた点が両意匠を対比して見られる態様であり、原告が主張するのは、その態様を別の観点から表現したものということができる。この点については、後記のとおり、審決がした総合的検討の誤りの有無について判断する際に、原告が主張する表現も含めて検討する。
取消事由の2の(3)において 原告は、底面方向からの対比を審決は欠如している旨主張する。なるほど、本願意匠は、逆「L」字状に屈曲して垂下した折り返し縁の肉厚を先願意匠に比して厚くし、先願意匠と異なり補強リブを付けていないものと認めることができる。これらは両意匠を底から観察した場合の差異点であるが、
この点についても、後記のとおり、審決がした総合的検討の誤りの有無について判断する際に合わせて検討を加える。
3 そこで、取消事由の3について、すなわち、審決がした共通点及び差異点について総合的に検討した判断に原告主張の誤りがあるか否かを判断する。
(1) 甲第33号証(「’87〜’88花と緑のガイドブック」(日本家庭園芸普及協会発行))の74頁及び75頁に、植木鉢の種類として「長鉢」「懸崖鉢」「スリムポット」「輪鉢」「中鉢」「ルージーポット」が掲げられており、本願意匠及び先願意匠は「長鉢」ないし「懸崖鉢」の範疇に属するものと認められる。しかしながら、ここに掲げられているように本願意匠及び先願意匠の範疇に属さない植木鉢もあり、意匠登録された植木鉢においても、甲第8号証添付の意匠公報、甲第39ないし第42号証並びに乙第1ないし第14号証の意匠公報等によれば、本願意匠と先願意匠に共通する基本的構成態様(「長鉢」ないし「懸崖鉢」の態様)とは異なる構成態様を採っているものが数多くあることが認められる。これらの事実からすると、審決が、共通点と差異点について総合的に検討した際に「具体的態様において、(1)容体について、上方のフランジ状開口部の外周径と高さの比を略9:10とするやや縦長の略逆円錐台筒状とし、容体本体の径が上から下にわずかずつ徐々に縮径している点は、両意匠の形態に関する骨格を構成し、全体の基調をなし、看者の注意を惹くところといえ、類否判断を左右する支配的要素というべきである」とした認定部分に誤りはないというべきである。
原告は、フランジ状部(外周縁)が「細幅」の「帯状」であって「環状」である点は、この種植木鉢の「類型」であって、それのみが需要者の注意を惹くものではなく、その共通性が類否判断に及ぼす影響は小さいとも主張するが、上記書証によれば、フランジ状部(外周縁)が「細幅」の「帯状」であって「環状」である点がこの種植木鉢の大部分に共通する「類型」であるとは認められず、この主張も理由がない。
原告は、審決が「(3)の底部について、外周径の略2/3の径で同心円状に、
容体の高さの略1/8を「凸」状に立ち上げて円形状隆起部を形成し、その隆起部の上面に多数の略角形小孔をメッシュ状に設けた点は、基本的構成態様の共通点と相俟って、両意匠の共通感をより一層際立たせるものとなっており、その類否判断に及ぼす影響は大きいというべきである」と判断するが、ほぼ同様の構成態様が甲第33号証の74頁に掲載されているので、審決の上記の点はありふれた構成であると主張するが、この主張も、上記各証拠から認められる植木鉢の底部の形状の多様性からして、理由がない。
(2) 原告は、審決が、@ラッパ状でない先願意匠を「ラッパ状」と認定して共通視する点、A強いていえば「逆「V」字状」である本願意匠を「逆「U」字状」と認定して共通視する点を誤りであると主張する。
「ラッパ状」との認定については前記1において判示したとおりであり、原告の主張は理由がない。原告は、容体本体の上方周縁につき本願意匠のものは「逆「V」字状」に開拡するものであると主張するところ、本願意匠の図面の断面図を観察すれば、「逆「U」字状」というよりは「逆「V」字状」と表現した方があるいは適切かともいい得るものの、「断面略逆「U」の字状」とする審決の形状表現が明らかに誤っているとはいえず、正面図及び右側面図を観察する限り、すなわち、一般取引者ないし消費者にとっては本願意匠の容体本体の上方周縁は「逆「U」字状」に開拡するものと観察されるというに妨げない。
(3) 以上説示したところによれば、審決が、「全体を、上部にフランジ状の開口部を有する有底の略逆円錐台筒状の容体とし、そのフランジ状開口部を環状の帯状に形成した点、また、具体的態様において、(1)容体について、上方のフランジ状開口部の外周径と高さの比を略9:10とするやや縦長の略逆円錐台筒状とし、
容体本体の径が上から下にわずかずつ徐々に縮径している点は、両意匠の形態に関する骨格を構成し、全体の基調をなし、看者の注意を惹くところといえ、類否判断を左右する支配的要素というべきである。また、両意匠に共通する具体的態様、特に、(2)のフランジ状部について、容体本体の上方周縁をラッパ状に拡開し、その上縁部を断面略逆「U」の字状に外側に屈曲し、外周縁を細幅帯状の環状に形成している点、さらに、(3)の底部について、外周径の略2/3の径で同心円状に、容体の高さの略1/8を「凸」状に立ち上げて円形状隆起部を形成し、その隆起部の上面に多数の略角形小孔をメッシュ状に設けた点は、基本的構成態様の共通点と相俟って、両意匠の共通感をより一層際立たせるものとなっており、その類否判断に及ぼす影響は大きいというべきである。」とした判断は優に支持することができる。
(4) 原告が取消事由の3の(5)ないし(7)において主張するその余の審決の誤りは、(イ)、(ハ)及び(ホ)の差異点がいずれも微弱なものであるとした判断の過程に関するものであるが、原告が主張するところ及び当裁判所に提出された一切の書証を勘案してみても、審決のこれらの判断の過程に誤りがあるものとは認めることができない。
すなわち、差異点(イ)のフランジ状の開口部の形状については、なるほど上方から観察(上面視)した場合、先願意匠に比較して本願意匠の上縁面の幅がやや細く見えるなど若干印象に差が生じ得るであろうことは認められるけれども、その点が両意匠の基本的構成態様及び具体的態様における共通点の与える印象を凌駕するには至っていないものと認められる。また、差異点(ハ)の底部の水抜き口の位置、数及び形状並びに差異点(ホ)の底面における高台の有無についても、これらの位置、形状等に照らし、両意匠の共通感に影響を与えるほどの特異性ないし顕著性があるものということはできない。
(5) したがって、本願意匠と先願意匠とは、「意匠に係る物品が共通しており、
その形態について、両意匠の共通点は、類否判断に大きな影響を及ぼすものと認められるのに対し、差異点は、いずれも類否判断に及ぼす影響が微弱なものであり、
共通点を凌駕することができず、両意匠は類似するものといわざるを得ない。」とした審決の判断に誤りはない。
結論
以上のとおり、原告主張の審決取消事由は理由がないので、原告の請求は棄却されるべきである。
(平成12年9月14日口頭弁論終結)
裁判長裁判官 永井紀昭
裁判官 塩月秀平
裁判官 橋本英史
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