関連審決 | 再審2006-95001 無効2000-35055 |
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関連ワード | 物品 / 意匠に係る物品 / 組物の意匠(8条) / 一意匠一出願(7条) / |
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事件 |
平成
18年
(行ケ)
10397号
審決取消請求事件
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原告X 被告株 式会社ウチコン 訴訟代理人弁理士小島清路 同 谷口直也 被告Y2 |
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裁判所 | 知的財産高等裁判所 |
判決言渡日 | 2006/12/19 |
権利種別 | 意匠権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
1原告の請求を棄却する。 2訴訟費用は原告の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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全容
第1当事者の求めた裁判1原告(1)特許庁が再審2006-95001号事件について平成18年8月8日にした審決を取り消す。 (2)訴訟費用は被告らの負担とする。 2被告株式会社ウチコン(以下「被告ウチコン」という。)(1)原告の請求を棄却する。 (2)訴訟費用は原告の負担とする。 3被告Y2(以下「被告Y2」という。)原告の請求を認める。 第2当事者間に争いのない事実1手続の経緯(1)ア被告Y2は,意匠に係る物品を「側溝用ブロック」とする登録第1037733号の意匠(平成6年9月5日登録出願,平成11年2月26日設定登録。以下「本件意匠」という。)の意匠権者であった者である。 イ被告ウチコンは,平成12年1月19日,本件意匠を無効とすることについて審判を請求した。特許庁は,この請求を無効2000-35055号事件として審理した上,平成12年8月8日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「第1審決」という。)をした。 ウ被告ウチコンは,第1審決を不服として,その取消しを求める訴訟を東京高等裁判所に提起した(東京高裁平成12年(行ケ)第357号)ところ,同裁判所は,平成13年3月26日,「特許庁が無効2000-35055号事件について平成12年8月8日にした審決を取り消す。」との判決をした。 エ被告Y2は,上記判決を不服として,最高裁判所に上告受理の申立てをしたが,同裁判所は,平成13年9月25日,上記申立てを受理しない旨の決定をした。これにより,上記東京高裁判決は確定した。 (2)ア特許庁は,上記東京高裁判決の確定をうけて,無効2000-35055号事件の審理を再開した上,平成14年3月26日,「登録第1037733号の登録を無効とする。」との審決(以下「第2審決」という。)をした。 イ被告Y2は,第2審決を不服として,その取消しを求める訴訟を東京高等裁判所に提起した(東京高裁平成14年(行ケ)第220号)ところ,同裁判所は,平成14年9月11日,請求棄却の判決をした。 ウ被告Y2は,上記判決を不服として,最高裁判所に上告受理の申立てをしたが,同裁判所は,平成15年2月4日,上記申立てを受理しない旨の決定をした。これにより,上記東京高裁判決は確定し,第2審決も確定した。 (3)原告は,平成16年8月25日,第2審決の取消しを求めて,東京高等裁判所に再審請求をした(東京高裁平成16年(行ケ)第321号)が,同裁判所は,平成17年3月2日,訴えを却下する判決をし,この判決は確定した。 (4)原告は,平成18年2月4日,被告らを被請求人として,第2審決の取消を求めて,再審の請求をした(以下「本件再審」という。)。特許庁は,この請求を再審2006-95001号事件として審理した上,平成18年8月8日,「本件審判の請求を却下する。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,そのころ,本件審決の謄本を原告に送達した。 2本件審決の理由別紙審決書写しのとおりである。要するに,下記@ないしCのとおり認定判断し,本件再審の請求は不適法である,としたものである。 @原告(請求人)は,本件再審の理由として,「(1)民事訴訟法第338条5〜7項及び9項,(2)意匠法違反,(3)被請求人らの弁理士同士の通謀・結託,(4)特許庁審判官らの被請求人A〔判決注:「被請求人A」とあるのは,「被請求人ウチコン」の誤記と解される。〕に対する便宜等の不正行為,(5)特許庁審判課書記官で意匠担当者の妨害行為」(審決書2頁30行〜34行)を主張しているところ,原告は本件再審の対象である第2審決の当事者でも参加人でもないから,原告が再審を請求することができるのは意匠法54条1項にいう「審判の請求人及び被請求人が共謀して第三者の権利又は利益を害する目的をもって審決をさせたとき」に限られるので,上記(1)ないし(5)のうち再審の理由となり得るのは上記(3)のみである(以下「判断@」という。)。 A原告の上記(3)の主張は,具体的には,「第1回目の審決の控訴審(東京高等裁判所)〔判決注:「控訴審(東京高等裁判所)」とあるのは,東京高裁平成12年(行ケ)第357号審決取消請求事件のことをいうものと解される。〕において,被請求人らの弁理士同士の通謀・結託により,被請求人Y2の訴訟代理人弁理士である前田勘次が,請求人やリタッグから『答弁に対する主張をして重要証拠を提出してほしい』との強い依頼を受けていたにも拘わらず,重要な主張を意図的にせず,重要証拠を故意に提出しなかったことで,審決が取消しに至った。」(審決書3頁14行〜19行,以下「本件再審理由」という。)というものであるが,東京高裁平成12年(行ケ)第357号事件において,被告Y2は被告ウチコン(同事件における原告)の主張に対し反論しており,共謀して第三者の権利又は利益を害する目的をもって判決をさせたものとはいえないから,その確定判決の拘束力に従ってなされた第2審決も,共謀して第三者の権利又は利益を害する目的をもって審決をさせたものとはいえない(以下「判断A」という。)。 B「再審は,請求人が取消決定又は審決が確定した後再審の理由を知った日から30日以内に請求しなければならない」(意匠法58条で準用する特許法173条1項)ところ,原告が本件再審理由を知ったのは特許庁に「直訴陳述書」(平成14年1月21日付け)を提出した日前であり,原告は,遅くとも東京高裁平成16年(行ケ)第321号事件の判決が確定した日までには本件再審理由を知っていたにもかかわらず,その約11ヶ月後に本件再審の請求をしたものであって,本件再審は適法な再審請求期間内に請求されたものとは認められない(以下「判断B」という。)。 C原告は「その責めに帰することができない理由により該期間内にその請求をすることができなかった」旨の理由を証拠とともに述べていないから,意匠法58条で準用する特許法173条2項の規定の適用もない(以下「判断C」という。)。 なお,本件審決は,本件意匠の出願日を「平成6年9月9日」としているが(審決書1頁18行),乙1〜4に照らし,「平成6年9月5日」の誤記と認められる。 第3当事者の主張1原告別紙訴状写し(ただし,別紙訴状訂正書写し記載のとおり訂正された後のもの)の「請求の原因」及び別紙準備書面(1)写し記載のとおりである。 2被告ウチコン本件審決の認定判断は正当であって,これを取り消すべき理由はない。 原告は,無効2000-35055号事件の当事者でも,参加人でもなく,第三者であるから,原告の主張に係る本件再審の理由のうち,再審理由となり得るのは,「(3)被請求人らの弁理士同士の通謀・結託」のみである(審決書3頁6行〜19行)ところ,原告は,東京高裁平成16年(行ケ)第321号事件の判決が確定した日(平成17年3月23日)には既に上記理由を知っていたものであり,本件再審の請求はその約11月後である平成18年2月4日になされたものであるから,本件再審の請求は適法な再審請求期間内になされたものとはいえない。 3被告Y2原告の主張は認める。 第4当裁判所の判断1本件審決の判断について(1)判断@について本件は,第2審決に係る本件再審の請求を却下した本件審決の取消しを求める訴訟であるところ,乙2によれば,第2審決は,被告ウチコンを請求人とし,被告Y2を被請求人とする無効2000-35055号事件についてされたものであって,原告はその当事者でも参加人でもないことが認められるから,原告が本件再審を請求する理由として主張することができるのは,意匠法54条1項にいう「審判の請求人及び被請求人が共謀して第三者の権利又は利益を害する目的をもって審決をさせたとき」に限られることは明らかであり,本件審決の判断@はこれを是認することができる。 したがって,原告の主張のうち上記の事由以外の点に言及する部分は,それらが再審の理由に当たることを前提に本件審決の違法をいう趣旨であるとすれば,いずれも意匠法54条1項所定の再審請求の理由には当たらないというべきであるから,失当というほかない。 (2)判断Aについて乙1によれば,東京高裁平成12年(行ケ)第357号事件において,被告Y2は,被告ウチコン(同事件における原告)の主張する第1審決の取消事由に対して,具体的に反論していることが認められ,共謀して第三者の権利又は利益を害する目的をもって判決をさせたものとはいえないから,その確定判決の拘束力に従って判断された第2審決も,共謀して第三者の権利又は利益を害する目的をもって審決をさせたものとはいうことはできない。したがって,本件審決の判断Aはこれを是認することができる。 原告は,上記事件において,被告らの代理人をつとめた弁理士らが通謀・結託して,第1審決を取り消すとの判決をさせた旨主張するが,上記認定事実に照らし,採用することができない。 (3)判断Bについて意匠法58条により準用される特許法173条1項(平成15年法律第47号による改正前のもの)は,「再審は,請求人が取消決定又は審決が確定した後再審の理由を知つた日から三十日以内に請求しなければならない。」と規定している。乙5,6によれば,原告が,無効2000-35055号事件に関し,東京高裁平成12年(行ケ)第357号事件の判決確定後,第2審決がされる前に特許庁に提出した平成14年1月21日付け「直訴陳述書」には,東京高裁平成12年(行ケ)第357号事件において,被告ら(同事件における原告と被告)の代理人をつとめた弁理士らが通謀・結託して,第1審決を取り消す旨の判決をさせた旨指摘する記載があるから,原告は,上記「直訴陳述書」を作成した平成14年1月21日までには,上記指摘に係る事由を知っていたものであり,そうすると,第2審決が確定した平成15年2月4日には,本件再審理由を知っていたものというべきであるし,遅くとも本件審決が認定しているように東京高裁平成16年(行ケ)第321号事件の判決が確定した日(弁論の全趣旨によれば,平成17年3月23日と認められる。)には,本件再審理由を知っていたものというべきである。 しかるに,原告が本件再審を請求したのは,平成18年2月4日であるから,本件再審が適法な再審請求期間内に請求されたものでないことは明らかである。したがって,本件審決の判断Bはこれを是認することができる。 (4)判断Cについて原告は,特許庁が,被告ウチコンに便宜を図り,再審請求の手続を教示しないなど,再三にわたり原告に対し妨害行為を繰り返して,再審請求の機会を奪った旨主張しており,その責めに帰することができない理由により本件再審理由を知った日から30日以内に本件再審の請求をすることができなかったことを主張するものと解される。しかし,原告が再審請求の手続を知らなかったことは,意匠法58条により準用される特許法173条2項にいう「再審を請求する者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内にその請求をすることができないとき」に当たらないことは明らかであり(なお,乙4によれば,東京高裁平成16年(行ケ)第321号事件の判決においては,確定審決に対する再審の請求について意匠法53条ないし58条,特許法173条等を挙げて説示されていることが認められる。),その他,本件において,原告がその責めに帰することができない理由により本件再審理由を知った日から30日以内に本件再審の請求をすることができなかった事情は認められない。したがって,本件審決の判断Cはこれを是認することができる。 なお,意匠法58条により準用される特許法173条2項は,「再審を請求する者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内にその請求をすることができないときは,同項の規定にかかわらず,その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては,二月)以内でその期間の経過後六月以内にその請求をすることができる。」としているから,仮に原告の責めに帰することができない理由があったとしても,原告が本件再審理由を知った日から30日と6か月を経過した後は再審の請求をすることができないものというべきであるところ,上記(3)で認定したところによれば,本件再審の請求が当該期間内にされたものでないことは明らかである。 (5)以上によれば,本件審決の判断@ないしCに誤りはなく,原告の主張はいずれも採用することができない。 2なお,被告Y2は,平成18年11月9日に行われた第1回口頭弁論期日において,原告の請求及び主張を認める旨陳述したが,本件は,被告らを当事者とする確定審決(第2審決)に係る本件再審の請求を却下した本件審決の取消しを求める訴訟であり,訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定することが必要な共同訴訟(いわゆる固有必要的共同訴訟)であって,被告らの一人の訴訟行為は全員の利益においてのみその効力を生じる(行政事件訴訟法7条,民事訴訟法40条1項)から,被告Y2の上記陳述はいずれも効力を有しない。 3以上のとおりであるから,原告の主張はいずれも理由がなく,他に審決を取り消すべき瑕疵は見当たらない。 よって,原告の本件請求は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 |
裁判長裁判官 | 佐藤久夫 |
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裁判官 | 大鷹一郎 |
裁判官 | 嶋末和秀 |