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関連ワード 物品 /  物品の形状 /  形状 /  模様 /  意匠に係る物品 /  意匠の類否 /  全体観察 /  登録意匠 /  差止請求(差止) /  類似性(類否判断) /  損害額 /  逸失利益 / 
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事件 平成 18年 (ワ) 9943号 意匠権侵害差止等請求事件
宮城県柴田郡<以下略>
原告ベルストン株式会社
訴訟代理人弁護士熊田士郎
同新名広宣 福島県伊達市<以下略>
被告カンノ・トレーディング株式会社
訴訟代理人弁護士伊藤真
訴訟代理人弁理士水野博文
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2007/03/16
権利種別 意匠権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1原告の請求をいずれも棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
全容
第1請求1被告は,別紙1「イ号物件目録」及び別紙2「ロ号物件目録」記載の墓前用収納箱を製造し,販売してはならない。
2被告は,別紙1「イ号物件目録」及び別紙2「ロ号物件目録」記載の墓前用収納箱及びその半製品を廃棄せよ。
3被告は,原告に対し,2112万円及びこれに対する平成17年9月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要本件は,原告が,被告に対して,被告が製造販売する墓前用収納箱が原告の意匠権を侵害していると主張して,その製造販売の差止め及び廃棄を求めるとともに,不法行為に基づく損害金の支払を求めた事案である。
1前提事実( )当事者1, ,, 原告及び被告は いずれも墓石及びこれに付する石材製品の製造及び設計 施工販売等を業とする会社である。
(争いのない事実)( )原告の意匠権2原告は次の意匠権を有する。
ア本件意匠権1登録意匠番号第1144276号意匠に係る物品墓前用収納箱出願年月日平成13年3月15日登録年月日平成14年4月19日登録意匠別紙3「意匠公報」のとおり(以下「本件意匠権1」といい,その意匠を「本件意匠1」という。)イ本件意匠権2登録意匠番号第1148094号意匠に係る物品墓前用収納箱出願年月日平成13年4月26日登録年月日平成14年5月31日登録意匠別紙4「意匠公報」のとおり(以下「本件意匠権2」といい,その意匠を「本件意匠2」という。)(争いのない事実)( )被告の行為3ア被告は,業として,別紙1「イ号物件目録」記載の墓前用収納箱(以下「被告製品イ」という。)を付属する墓石を「セレブ」という商品名で,別紙2「ロ号物件目録 記載の墓前用収納箱(以下 被告製品ロ という )を付属する墓石を あ 」 「」。「ゆみ」という商品名で,それぞれ販売している。
(争いのない事実,甲5,6)イ被告製品イに係る意匠(以下「イ号意匠」という。)は,別紙5「イ号物件図面」のとおりであり,被告製品ロに係る意匠(以下「ロ号意匠」という。)は,別紙6「ロ号物件図面」のとおりである。
(甲5,6,弁論の全趣旨)( )物品の同一4本件意匠1に係る物品と被告製品イとは,物品が同一であり,本件意匠2に係る物品と被告製品ロとは,物品が同一である。
(争いのない事実)2主要な争点( )本件意匠1と被告意匠イとの類否1( )本件意匠2と被告意匠ロとの類否 2( )損害額33争点に関する当事者の主張( )争点1(本件意匠1と被告意匠イとの類否)について1(原告の主張)ア本件意匠1の構成本件意匠1は,次の構成を有する。
a底板,左右側板,背面板及び天板により,前面が開口した横長直方体をなす箱状に形成された箱状本体と,b箱状本体の前面開口部を開閉自在に塞ぐように取り付けられた左右の扉と,cこの左右の扉の内側部分に水平に突設した取付板と,d箱状本体の内側中央部分に取り付けられた直方体状の香炉台イイ号意匠の構成イ号意匠は,次の構成を有する。
a底板,左右側板及び天板により,前面及び後面が開口した横長直方体をなす箱状に形成された箱状本体と,b箱状本体の前面開口部を開閉自在に塞ぐように取り付けられ,斜め格子状の透かしを形成した左右の扉と,c左右の扉の内側部分に水平に突設した取付板と,d箱状本体の内側に取り付けられた直方体状で,樋状の線香置き部が設けられた香炉台ウ本件意匠1とイ号意匠との類否(ア)本件意匠1及び2の要部a墓前用収納箱の意匠である本件意匠1及び2の最大の特徴は,参拝者が墓, , 参りをした際の参拝と供養の便宜のために 収納箱前面の扉を開いた状態において@収納箱の内側中央に香炉台があり,A左右の扉の内側部分に,鈴やろうそくを設置する取付板を設けた構成になっていることである。
これらの構成を備えた墓前用収納箱は,本件意匠1及び2以前には存在しない。
したがって,これらの点が看者にとって最も注意を惹く点であり,本件意匠1及び2の要部である。
b後記被告の主張ウ(ア)bは否認する。
c( )同c( )のうち,墓前用収納箱が平成8年4月製であることは否認し,aaその余は認める。墓前用収納箱のみ,後に取り替えられた可能性がある。また,この墓前用収納箱には,香炉台が設置されていない。
( )同c( )は認める。しかし,この墓前用収納箱には,前面開口部を塞ぐ扉bb及びその内側の取付板,並びに香炉台がない。
( )同c( )は否認する。
cc。,,。 ( )同c( )は認める しかし これらの収納箱には 香炉台や取付板がない ddd同d( )及び( )は認め,( )は否認する。 abc乙1意匠は,香炉台が存在しない点に相違があり,本件意匠1及び2とは全く別の意匠である。
(イ)本件意匠1とイ号意匠との類似性a共通点本件意匠1とイ号意匠とは,上記要部を含む以下の点で共通している。
( )底板,左右側板及び天板とから,前面が開口した収納箱の箱状本体が構a成されており,天板が供物を載せる台となっていること,( )箱状本体の前面開口部の左右に,開閉自在の扉が取り付けられているこbと,( )左右の扉の内側に,鈴やろうそくを設置するための取付板が水平に突設cされていること,( )箱状本体内部の中央に直方体の香炉台が設置されていることdb相違点後記被告主張ウ(イ)bはいずれも認める。
( )全体のバランスaしかし,いずれも横長の直方体であり,縦横比の相違によって異なる意匠になるものではない。
( )天板b@基本的形状天板の前縁辺が凸状に湾曲している構成は,収納箱のデザインとしてはありふれた形状である(乙6,9,10)。
A凸状部の有無天板の側縁辺に凸状部を設けることも,収納箱のデザインとしてはありふれた形状である(乙6)。
( )扉c@基本的形状扉の正面側を凸状に湾曲させることは,収納箱の扉としてはありふれた形状である(乙9,10)。
A透かし部の有無格子加工は,墓前用収納箱に限らず,灯籠など墓前に設置する石材製品には古来より多く用いられているありふれた形状である(乙6)。
B閉じ合わせ部の相違扉を開いた状態で,重なり部があるか否かは,看者にとって,印象に残らない形状である。
C両側板の端面の被覆扉を閉めた状態で,両側板の端面が覆われているか,見えるかは,ささいな相違であり,看者に特段の印象を与えない。
( )開扉状態における相違d取付板が扉の内側に水平に突出していることは,本件意匠1とイ号意匠において全く同じであり,取付板の隅が丸みを帯びているか角張っているかなどによって,看者の印象は異ならない。
c全体観察本件意匠1とイ号意匠とは,その特徴ある要部において類似し,被告の主張する相違点は,ありふれた形状,デザインの部分にすぎず,両者が全体として類似することは明らかである。
(被告の主張)ア本件意匠1の構成原告の主張アは認める。ただし,原告の主張する構成は,基本的構成態様にすぎない。
イイ号意匠の構成同イは認める。ただし,原告の主張する構成は,基本的構成態様にすぎない。
ウ本件意匠1とイ号意匠との類否(ア)本件意匠1及び2の要部a同ウ(ア)aは否認する。
看者は,墓前用収納箱を前方上部から見下ろす形で,観察するのであり,その全, 。,, 体のバランス 天板及び扉が要部となる 箱体の物品においては 扉内側の形状は意匠の要部として重視されない。
仮に,箱を開けた状態における正面視における形状が要部となるとしても,本件意匠1及び2とイ号及びロ号意匠の具体的構成態様は異なる。
b墓前用収納箱においては,香炉を収容することが当然予定されているのであって,香炉台の有無は,墓前用収納箱の意匠において意味はない。
c( )平成8年4月ころに八戸市の霊園に建立された墓には,左右の扉の内a側部分に取付板を設けた墓前用収納箱が存在する(乙2)。
( )被告は,平成10年ころから,香炉収納部の左右に回転部を設けてそのb内側部分の底部にろうそくなどを立てる構造をした墓前用収納箱を販売していた(乙6)。
( )仏壇仏具などでは,収納扉の内側部分に取付板を設け,そこに鈴やろうcそく等を置けるようにすることは,広く知られており,これを墓石,香炉収納部において行うことは,同業者であればだれでも容易に想起できるものである。
, ( )扉を設けてその中に香炉台などを収納できるようにした墓前用収納箱はd古くから多数存在する基本的形態である(乙7〜10)。
, , , d( )原告は 本件意匠1及び2の登録出願前に 次の意匠登録出願を行いa登録された(乙1。以下「乙1意匠」という。)。
登録意匠番号第1119453号意匠に係る物品墓前用収納箱出願年月日平成12年7月27日登録年月日平成13年7月6日登録意匠別紙7「意匠公報」のとおり( )乙1意匠と本件意匠1及び2との主要な相違点は,全体のプロポーショbン(正面視の縦横比)と天板の形状であり,原告が主張する取付板の構成を共通にする。
( )本件意匠1及び2が乙1意匠とは別意匠として登録されたことは,原告cが主張する取付板を設けた構成が要部でないことを意味している。
(イ)本件意匠1とイ号意匠との類似性a認否同ウ(イ)aは認める。
原告の主張は,結局,香炉台及び取付板という基本的構成態様の類似のみをもって墓前用収納箱全体としての美感が類似すると主張し,物品の形状,構造に係る技術思想の保護を求めているに他ならない。
b相違点( )全体のバランスa本件意匠1の縦横比は,ほぼ1:2.1であるのに対し,イ号意匠のそれは,ほぼ1:1.4である。
( )天板b@基本的形状本件意匠1の天板は,平面視で長方形であり,前縁辺の約2/5が凹状に直線的に屈曲している。これに対し,イ号意匠の天板は,前縁辺が凸状に湾曲しており,その曲率は扉の湾曲と一致している。
A凸状部の有無本件意匠1の天板の天面は平坦であるが,イ号意匠は,天板の両側縁辺の前半分に,前後に直線状の凸状部を形成している。
( )扉c@基本的形状本件意匠1の扉は,平板であるのに対し,イ号意匠の扉は,正面側に凸状に湾曲し,その曲率は天板の前縁辺の曲率と一致する。
A透かし部の有無本件意匠1の扉は,何らの装飾も施されておらず,円形の突起物が各扉の中央寄りに設けられているだけであるのに対し,イ号意匠の各扉の中央部には,斜め格子状の透かし部を矩形状に形成している。
B閉じ合わせ部の相違本件意匠1の扉は,中央部に重なりがなく閉扉状態では面一となるのに対し,イ号意匠の扉の閉じ合わせ部(中央部)には,上下方向に沿って凸状に盛り上げられた端部同士の重なり部が丸みを帯びて形成されており,その盛り上がった重なり部は扉を開くときのつまみとして機能する。
C両側板の端面の被覆閉扉状態において,本件意匠1においては,扉は箱体の内側に引き込まれ,正面から両側板の端面が見えるのに対し,イ号意匠においては,扉が枠体の正面を覆い隠すような形となる。
( )開扉状態における相違d@正面視における取付板本件意匠1の取付板は,角張ったほぼ四角形の形状であるのに対し,イ号意匠の取付板は,隅を大きく丸めた形状である。
A扉の内側の形状, , 本件意匠1の扉は 各扉の内側取扉部がL字状に2度屈曲して内側に張り出され, , 開扉した場合には 取扉部が衝立状に上方まで立ち上がっている形となるのに対しイ号意匠の各扉の内側取扉部には,L字状の屈曲張り出しは存在しない。
B取付板と扉との接合本件意匠1の扉内側の取付板は,各扉の屈曲部の両面に接して設けられているのに対し,イ号意匠の扉内側の取付板は,各扉の内側中央部から水平に突出して設けられている。
c全体観察上記のとおり,本件意匠1とイ号意匠とは,具体的構成態様が異なり,看者に与える美感が全く異なる。
すなわち,本件意匠1は,全体として1つのシンプルな直方体状をなし,シャープな美感を看者に与えるのに対し,イ号意匠は,全体として凸状に湾曲し,丸みを帯びた優しい美感を看者に与える。
扉を開いた状態においても,本件意匠1では,屈曲部の張り出しが正面開口を塞ぎ,衝立状となって視界を大きく遮り,扉の内面と箱状本体の内面との一連性が損なわれ,奥行き感がなくなっている。これに対し,イ号意匠では,取付板が扉の内側中央部に突出して設けられているだけで,この取付板を支持するものは扉以外に存しないため,広がり感と奥行き感を醸し出している。
( )争点2(本件意匠2と被告意匠ロとの類否)について2(原告の主張)ア本件意匠2の構成本件意匠2は,次の構成を有する。
a底板,左右側板,背面板及び天板により,前面が開口した直方体をなす箱状に形成された箱状本体と,b箱状本体の前面開口部を開閉自在に塞ぐように取り付けられた左右の扉と,cこの左右の扉の内側部分に水平に突設した取付板と,d箱状本体の内側中央に取り付けられた逆L字型の香炉台と,e各扉の内側取扉部の上部に形成された切欠部イロ号意匠の構成ロ号意匠は,次の構成を有する。
a底板,左右側板及び天板により,前面及び後面が開口した直方体をなす箱状に形成された箱状本体と,b箱状本体の前面開口部を開閉自在に塞ぐように取り付けられ,斜め格子状の透かしを形成した左右の扉と,c左右の扉の内側部分に水平に突設した取付板と,d箱状本体の内側に取り付けられた逆L字状の香炉台ウ本件意匠2とロ号意匠との類否(ア)本件意匠2の要部前記( )(原告の主張)ウ(ア)のとおり1(イ)本件意匠2とロ号意匠との類似性a共通点本件意匠2とロ号意匠とは,上記要部を含む以下の点で共通している。
( )底板,左右側板及び天板とから,前面が開口した収納箱の箱状本体が構a成されており,天板が供物を載せる台となっていること( )箱状本体の前面開口部の左右に,開閉自在の扉が取り付けられているこbと,( )左右の扉の内側に,鈴やろうそくを設置するための取付板が水平に突設cされていること,( )箱状本体内部の中央に逆L字型の香炉台が設置されていることdb相違点後記被告主張ウ(イ)bはいずれも認める。
( )全体のバランスaしかし,いずれも横長の直方体であり,縦横比も極めて類似している。
( )天板b@基本的形状天板の前縁辺が凸状に湾曲している構成は,収納箱のデザインとしてはありふれた形状である(乙6,9,10)。
A凸状部の有無天板に凸状部を設けることも,収納箱のデザインとしてはありふれた形状である(乙6)。
( )扉c@基本的形状扉の正面側を凸状に湾曲させることは,収納箱の扉としてはありふれた形状である(乙9,10)。
A透かし部の有無格子加工は,墓前用収納箱に限らず,灯籠など墓前に設置する石材製品には古来より多く用いられているありふれた形状である(乙6)。
B閉じ合わせ部の相違扉を開いた状態で,重なり部があるか否かは,看者にとって,印象に残らない形状である。
C両側板の端面の被覆扉を閉めた状態で,両側板の端面が覆われているか,見えるかは,些細な相違であり,看者に特段の印象を与えない。
( )開扉状態における相違d@取付板等取付板が扉の内側に水平に突出していることは,本件意匠2とロ号意匠において全く同じであり,取付板の隅が丸みを帯びているか角張っているかなどによって,看者の印象は異ならない。
A香炉台本件意匠2も,ロ号意匠も,取付板と接触しないように香炉台の形状を逆L字型にしている点は同じであり,この逆L字型の形状が看者に強い印象を与えている。
香炉台の足の形状の微妙な差異は,看者に特段の印象を与えるものではない。
c全体観察本件意匠2とロ号意匠とは,その特徴ある主要部分において類似し,被告の主張する相違点は,ありふれた形状,デザインの部分にすぎず,両者が全体として類似することは明らかである。
dロ号意匠の登録後記被告の主張dは認める。
(被告の主張)ア本件意匠2の構成原告の主張アは認める。ただし,原告の主張する構成は,基本的構成態様にすぎない。
イロ号意匠の構成同イは認める。ただし,原告の主張する構成は,基本的構成態様にすぎない。
ウ本件意匠2とロ号意匠との類否(ア)本件意匠2の要部前記( )(被告の主張)ウ(ア)のとおり1(イ)本件意匠2とロ号意匠との類似性a認否原告の主張ウ(イ)aは認める。
b相違点( )全体のバランスa本件意匠2の縦横比は,ほぼ1:1.06であるのに対し,ロ号意匠のそれは,ほぼ1:1.2である。
( )天板b@基本的形状本件意匠2の天板は,平面視で長方形であり,前縁辺の左右が直角三角形状に切り取られている。これに対し,ロ号意匠の天板は,前縁辺が凸状に湾曲しており,その曲率は扉の湾曲と一致している。
A凸状部の有無本件意匠2の天板の天面は平坦であるが,ロ号意匠は,天板の両側縁辺に,前後に直線状の凸状部を形成している。
( )扉c@基本的形状本件意匠2の扉は,平板であるのに対し,ロ号意匠の扉は,正面側に凸状に湾曲しており,その曲率は天板の前縁辺の曲率と一致する。
A透かし部の有無本件意匠2の扉は,何らの装飾も施されておらず,円形の突起物が各扉の中央寄りに設けられているだけであるのに対し,ロ号意匠の各扉の中央部には,斜め格子状の透かし部を矩形状に形成している。
B閉じ合わせ部の相違本件意匠2の扉は,中央部に重なりがなく閉扉状態では面一となるのに対し,ロ号意匠の扉の閉じ合わせ部(中央部)には,上下方向に沿って凸状に盛り上げられた端部同士の重なり部が丸みを帯びて形成されており,その盛り上がった重なり部は扉を開くときのつまみとして機能する。
C両側板の端面の被覆閉扉状態において,本件意匠2においては,扉は箱体の内側に引き込まれ,正面から両側板の端面が見えるのに対し,ロ号意匠においては,扉が枠体の正面を覆い隠すような形になる。
( )開扉状態における相違d@正面視における取付板本件意匠2の取付板は,角張ったほぼ四角形の形状であるのに対し,ロ号意匠の取付板は,隅を大きく丸めた形状である。
A扉の内側の形状本件意匠2の扉は,各扉の内側取扉部がL字状に屈曲して内側に張り出され,開扉した場合には,取扉部が衝立状に上方まで立ち上がっている形となるのに対し,ロ号意匠の各扉の内側取扉部には,L字状の屈曲張り出しは存在しない。
B取付板と扉との接合本件意匠2の扉内側の取付板は,各扉の屈曲部の両面に接して設けられているのに対し,ロ号意匠の扉内側の取付板は,各扉の内側中央部から水平に突出して設けられている。
C底面板のスライドロ号意匠は,開扉状態において,底面板が前方にスライドする。
D香炉台,, , 香炉台の足の形状は 本件意匠2においては 長方形で構成されているのに対しロ号意匠においては,円弧を組み合わせた中央がくびれた形状となっている。
c全体観察上記のとおり,本件意匠2とロ号意匠とは,具体的構成態様が異なり,看者に与える美感が全く異なる。
すなわち,本件意匠2は,全体として1つのシンプルな直方体状をなし,シャープな美感を看者に与えるのに対し,ロ号意匠は,全体として凸状に湾曲し,丸みを帯びた優しい美感を看者に与える。
扉を開いた状態においても,本件意匠2では,屈曲部の張り出しが正面開口を塞ぎ,衝立状となって視界を大きく遮り,扉の内面と箱状本体の内面との一連性が損なわれ,奥行き感がなくなっている。これに対し,ロ号意匠では,取付板が扉の内側中央部に突出して設けられているだけで,この取付板を支持するものは扉以外に存しないため,広がり感と奥行き感を醸し出している。
さらに,ロ号意匠では,香炉台が底面板と共に前方に移動してきて,独自の美感を呈する。
dロ号意匠の登録ロ号意匠は,本件意匠2登録後に,意匠登録されている(乙16)。
( )争点( )(損害額)について33(原告の主張)ア販売数被告は,これまでに,イ号物件を1000個販売し,ロ号物件を100個販売した。
イ販売単価原告の平均販売単価は,イ号物件,ロ号物件共,4万8000円である。
ウ利益率原告の利益率は,イ号物件,ロ号物件共,40%である。
エイ号物件の販売による原告の逸失利益イ号物件の販売による原告の逸失利益は,1920万円である。
4万8000円×40%×1000個=1920万円オロ号物件の販売による原告の逸失利益ロ号物件の販売による原告の逸失利益は,192万円である。
4万8000円×40%×100個=192万円カまとめよって,原告は,合計2112万円の損害を被ったものと推定される(意匠法39条1項)。
(被告の主張)原告の主張は否認する。
第3当裁判所の判断1本件意匠1と被告意匠イとの類否( )基本的構成態様1ア本件意匠1の構成は,次のとおりである。これは,基本的構成態様に相当するものである。
a底板,左右側板,背面板及び天板により,前面が開口した横長直方体をなす箱状に形成された箱状本体と,b箱状本体の前面開口部を開閉自在に塞ぐように取り付けられた左右の扉と,cこの左右の扉の内側部分に水平に突設した取付板と,d箱状本体の内側中央部分に取り付けられた直方体状の香炉台(争いのない事実)イイ号意匠の基本的構成態様は,次のとおりである。
a底板,左右側板及び天板により,前面及び後面が開口した横長直方体をなす箱状に形成された箱状本体と,b箱状本体の前面開口部を開閉自在に塞ぐように取り付けられ,斜め格子状の透かしを形成した左右の扉と,c左右の扉の内側部分に水平に突設した取付板と,d箱状本体の内側に取り付けられた直方体状で,樋状の線香置き部が設けられた香炉台(争いのない事実)ウイ号意匠の基本的構成態様は 背面板(a) 斜め格子状の透かしの形成(b) ,,及び香炉台の形状(d)の点を除き,上記アの本件意匠1の基本的構成態様と同一である。
( )具体的構成態様2本件意匠1とイ号意匠の具体的構成態様を対比すると,次のとおりである。
ア全体のバランス本件意匠1の縦横比は,ほぼ1:2.1であるのに対し,イ号意匠のそれは,ほぼ1:1.4である。
イ天板(ア)基本的形状本件意匠1の天板は,平面視で長方形であり,前縁辺の約2/5が凹状に直線的に屈曲している。これに対し,イ号意匠の天板は,前縁辺が凸状に湾曲しており,その曲率は扉の湾曲と一致している。
(イ)凸状部の有無本件意匠1の天板の天面は平坦であるが,イ号意匠は,天板の両側縁辺の前半分に,前後に直線状の凸状部を形成している。
(ウ)扉a基本的形状本件意匠1の扉は,平板であるのに対し,イ号意匠の扉は,正面側に凸状に湾曲し,その曲率は天板の前縁辺の曲率と一致する。
b透かし部の有無本件意匠1の扉は,何らの装飾も施されておらず,円形の突起物が各扉の中央寄りに設けられているだけであるのに対し,イ号意匠の各扉の中央部には,斜め格子状の透かし部を矩形状に形成している。
c閉じ合わせ部の相違本件意匠1の扉は,中央部に重なりがなく閉扉状態では面一となるのに対し,イ号意匠の扉の閉じ合わせ部(中央部)には,上下方向に沿って凸状に盛り上げられた端部同士の重なり部が丸みを帯びて形成されており,その盛り上がった重なり部は扉を開くときのつまみとして機能する。
d両側板の端面の被覆閉扉状態において,本件意匠1においては,扉は箱体の内側に引き込まれ,正面から両側板の端面が見えるのに対し,イ号意匠においては,扉が枠体の正面を覆い隠すような形となる。
(エ)開扉状態における相違a正面視における取付板本件意匠1の取付板は,角張ったほぼ四角形の形状であるのに対し,イ号意匠の取付板は,隅を大きく丸めた形状である。
b扉の内側の形状, , 本件意匠1の扉は 各扉の内側取扉部がL字状に2度屈曲して内側に張り出され, , 開扉した場合には 取扉部が衝立状に上方まで立ち上がっている形となるのに対しイ号意匠の各扉の内側取扉部には,L字状の屈曲張り出しは存在しない。
c取付板と扉との接合本件意匠1の扉内側の取付板の突出は,各扉の屈曲部の両面に接して設けられているのに対し,イ号意匠の扉内側の取付板は,各扉の内側中央部から水平に突出して設けられている。
(争いのない事実)( )本件意匠1とイ号意匠との類否3ア要部(ア)意匠とは,物品の形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合であって,視,, 覚を通じて美感を起こさせるものをいうところ(意匠法2条1項) その類否判断は両意匠の構成を全体的に観察した上,当該物品の性質,目的,用途,使用態様,更に公知意匠にはない新規な創作部分の存否等を参酌して,取引者,需要者が最も注意を惹く意匠の構成,すなわち要部がどこであるかを認定し,その要部に現れた意匠の形態が看者に異なった美感を与えるか否かによって判断すべきである。
(イ)そこで,まず,本件意匠1及び2の要部について検討する。
本件意匠1及び2に係る物品は,墓石の前面に設置される墓前用収納箱であることからすると,購入者は,墓参り時の開扉状態及び墓参り時以外の閉扉状態の双方の形状に注意を惹かれるものと認められる。
そして,購入者は,参拝時と同様に,墓前用収納箱を正面の斜め上から見下ろす形で看ることになるので,その方向から看た形態が看者の注意を惹くものと認められる。
(ウ)乙7〜10によれば,扉を設けてその中に香炉台などを収納できるようにした墓前用収納箱は,本件意匠1及び2の出願以前から多く存在する基本的形態であることが認められるから,原告主張の基本的構成態様のうち,a底板,左右側板及び天板により,前面が開口した横長直方体をなす箱状に形成された箱状本体と,b箱状本体の前面開口部を開閉自在に塞ぐように取り付けられた左右の扉の点は,看者の注意をさほど惹くものではないと認められる。
(エ)弁論の全趣旨によれば,墓前用収納箱においては,収納箱の一部として作り付けるか,単に置くかの別はあっても,香炉を有することを当然予定されていると認められるから,香炉台の有無も,看者の注意をさほど惹くものではないと認められる。
(オ)a左右の扉の内側部分に取付板を設けた点は,墓前用収納箱で広く採用されている形状であるとは認められないから,看者の注意をある程度惹く点であると認められる。
b被告は,本件意匠1及び2と類似する墓前用収納箱が平成8年から存在する旨主張し,乙2を提出する。乙2によれば,墓石は平成8年4月に建立されたこと,同墓石の前面開口部の扉の内側に取付板が水平に突設された箱状の墓前用収納箱が設置されていることが認められる。しかし,甲14によれば,乙2の墓石用収納箱は,平成14年ころに現在のものに取り替えられた可能性があることが認められるから,乙2の墓前用収納箱が本件意匠1及び2の出願前に存在した意匠であると認めることはできない。
c被告が,平成10年ころから,香炉収納部の左右に回転部を設けてその内側部分の底部にろうそくなどを立てる構造をした墓前用収納箱を販売していたこと(乙6)は,当事者間に争いがないが,この墓前用収納箱には,前面開口部を塞ぐ扉がないから,左右の扉の内側部分に取付板を設けた点が開示されているものとは認められない。
d被告は,仏壇仏具などでは,収納扉の内側部分に取付板を設けそこに鈴やろうそく等を置けるようにすることは広く知られており,これを墓石,香炉収納部において行うことは,同業者であれば誰でも容易に想起できるものである旨主張するが,墓前用収納箱においてそのような形状を備えたものがさほど多くはないことは,上記のとおりであるから,被告のこの点の主張は採用することができない。
イ類否の判断上記本件意匠1の要部を前提として,本件意匠1とイ号意匠の類否を検討する。
(ア)開扉状態看者の注意を比較的惹く取付板を中心に検討すると,@本件意匠1の取付板は,角張ったほぼ四角形の形状であるのに対し,イ号意匠の取付板は,隅を大きく丸めた形状であること,A本件意匠1の扉は,各扉の内側取扉部がL字状に2度屈曲して内側に張り出され,開扉した場合には,取扉部が衝立状に上方まで立ち上がっている形となるのに対し,イ号意匠の各扉の内側取扉部には,L字状の屈曲張り出しは存在しないこととの相違点があり,これらの相違点により,本件意匠1では,取扉部が衝立状となって視界を大きく遮り,奥行き感をなくしているのに対し,イ号意匠では,衝立状の取扉部がないため,広がり感と奥行き感を醸し出していることが認められる。さらに,天板等においても,B本件意匠1の天板は,平面視で長方形であり,前縁辺の約2/5が凹状に直線的に屈曲しているのに対し,イ号意匠の天板は,前縁辺が凸状に湾曲しており,その曲率は扉の湾曲と一致していること,C本件意匠1の天板の天面は平坦であるが,イ号意匠は,天板の両側縁辺の前半分に,前後に直線状の凸状部を形成していることとの相違点があり,これらの相違点により,本件意匠1は,シャープな美感を看者に与えるのに対し,イ号意匠は,丸みを帯びた優しい美感を看者に与えるものと認められる。
(イ)閉扉状態閉扉状態においては,上記(ア)のB及びCのほか,D本件意匠1の扉は,平板であるのに対し,イ号意匠の扉は,正面側に凸状に湾曲し,その曲率は天板の前縁辺の曲率と一致すること,E本件意匠1の扉は,何らの装飾も施されておらず,円形の突起物が各扉の中央寄りに設けられているだけであるのに対し,イ号意匠の各扉の中央部には,斜め格子状の透かし部を矩形状に形成していることが加わり,なお一層,本件意匠1は,シャープな美感を看者に与えるのに対し,イ号意匠は,丸みを帯びた優しい美感を看者に与えるものと認められる。
(ウ)まとめ以上によれば,基本的構成態様における一致点の存在を考慮しても,イ号意匠が本件意匠1に類似するということはできない。
原告は,被告の主張する相違点はありふれた形状,デザインの部分にすぎず,両者は全体として類似する旨主張する。しかし,原告の主張は,個々の形状を取り出してありふれたものと形容し,それらの組合せにより新たな美感を生み出している点を無視するものであるから,採用することができない。
2本件意匠2と被告意匠ロとの類否( )基本的構成態様1ア本件意匠2の構成は,次のとおりである。これは,基本的構成態様に相当するものである。
a底板,左右側板,背面板及び天板により,前面が開口した横長直方体をなす箱状に形成された箱状本体と,b箱状本体の前面開口部を開閉自在に塞ぐように取り付けられた左右の扉と,cこの左右の扉の内側部分に水平に突設した取付板と,d箱状本体の内側中央に取り付けられた逆L字型の香炉台と,e各扉の内側取扉部の上部に形成された切欠部(争いのない事実)イロ号意匠の基本的構成態様は,次のとおりである。
a底板,左右側板及び天板により,前面及び後面が開口した横長直方体をなす箱状に形成された箱状本体と,b箱状本体の前面開口部を開閉自在に塞ぐように取り付けられ,斜め格子状の透かしを形成した左右の扉と,c左右の扉の内側部分に水平に突設した取付板と,d箱状本体の内側に取り付けられた逆L字状の香炉台(争いのない事実)ウロ号意匠の基本的構成態様は 背面板(a) 斜め格子状の透かしの形成(b) ,,及び扉の背面部の上部に形成された切欠部(e)の点を除き,上記アの本件意匠2の基本的構成態様と同一である。
( )具体的構成態様2本件意匠2とロ号意匠の具体的構成態様を対比すると,次のとおりである。
ア全体のバランス本件意匠2の縦横比は,ほぼ1:1.06であるのに対し,ロ号意匠のそれは,ほぼ1:1.2である。
イ天板(ア)基本的形状本件意匠2の天板は,平面視で長方形であり,前縁辺の左右が直角三角形状に切り取られている。これに対し,ロ号意匠の天板は,前縁辺が凸状に湾曲しており,その曲率は扉の湾曲と一致している。
(イ)凸状部の有無本件意匠2の天板の天面は平坦であるが,ロ号意匠は,天板の両側縁辺に,前後に直線状の凸状部を形成している。
(ウ)扉a基本的形状本件意匠2の扉は,平板であるのに対し,ロ号意匠の扉は,正面側に凸状に湾曲しており,その曲率は天板の前縁辺の曲率と一致する。
b透かし部の有無本件意匠2の扉は,何らの装飾も施されておらず,円形の突起物が各扉の中央寄りに設けられているだけであるのに対し,ロ号意匠の各扉の中央部には,斜め格子状の透かし部を矩形状に形成している。
c閉じ合わせ部の相違本件意匠2の扉は,中央部に重なりがなく閉扉状態では面一となるのに対し,ロ号意匠の扉の閉じ合わせ部(中央部)には,上下方向に沿って凸状に盛り上げられた端部同士の重なり部が丸みを帯びて形成されており,その盛り上がった重なり部は扉を開くときのつまみとして機能する。
d両側板の端面の被覆閉扉状態において,本件意匠2においては,扉は箱体の内側に引き込まれ,正面から両側板の端面が見えるのに対し,ロ号意匠においては,扉が枠体の正面を覆い隠すような形になる。
(エ)開扉状態における相違a正面視における取付板本件意匠2の取付板は,角張ったほぼ四角形の形状であるのに対し,ロ号意匠の取付板は,隅を大きく丸めた形状である。
b扉の内側の形状本件意匠2の扉は,各扉の内側取扉部がL字状に屈曲して内側に張り出され,開扉した場合には,取扉部が衝立状に上方まで立ち上がっている形となるのに対し,ロ号意匠の各扉の内側取扉部には,L字状の屈曲張り出しは存在しない。
c取付板と扉との接合本件意匠2の扉内側の取付板は,各扉の屈曲部の両面に接して設けられているのに対し,ロ号意匠の扉内側の取付板は,各扉の内側中央部から水平に突出して設けられている。
d底面板のスライドロ号意匠は,開扉状態において,底面板が前方にスライドする。
e香炉台,, , 香炉台の足の形状は 本件意匠2においては 長方形で構成されているのに対しロ号意匠においては,円弧を組み合わせた中央がくびれた形状となっている。
(争いのない事実)( )本件意匠2とロ号意匠の対比3ア要部前記1( )アのとおり3イ類否の判断上記本件意匠2の要部を前提として,本件意匠2とロ号意匠の類否を検討する。
(ア)開扉状態看者の注意を比較的惹く取付板を中心に検討すると,@本件意匠2の取付板は,角張ったほぼ四角形の形状であるのに対し,ロ号意匠の取付板は,隅を大きく丸めた形状であること,A本件意匠2の扉は,各扉の内側取扉部がL字状に屈曲して内側に張り出され,開扉した場合には,取扉部が衝立状に上方まで立ち上がっている形となる(ただし,取扉部の上部に切欠部が形成されている。)のに対し,ロ号意匠, ,, の各扉の内側取扉部には L字状の屈曲張り出しは存在しないこと Bロ号意匠は開扉状態において,底面板が前方にスライドすることとの相違点があり,これらの相違点は,本件意匠2では,取扉部が衝立状となって視界を大きく遮り,奥行き感をなくしているのに対し,ロ号意匠では,衝立状の取扉部がなく,底面板が前方にスライドするため,広がり感と奥行き感を醸し出していることが認められる。さらに,天板等においても,C本件意匠2の天板は,平面視で長方形であり,前縁辺の左右が直角三角形状に切り取られているのに対し,ロ号意匠の天板は,前縁辺が凸状に湾曲しており,その曲率は扉の湾曲と一致していること,本件意匠2の天板Eの天面は平坦であるが,ロ号意匠は,天板の両側縁辺に,前後に直線状の凸状部を形成していることとの相違点があり これらの相違点により 本件意匠2は シャー ,,,プな美感を看者に与えるのに対し,ロ号意匠は,丸みを帯びた優しい美感を看者に与えるものと認められる。
(イ)閉扉状態閉扉状態においては,上記(ア)のC及びDのほか,E本件意匠2の扉は,平板であるのに対し,ロ号意匠の扉は,正面側に凸状に湾曲しており,その曲率は天板の,, , 前縁辺の曲率と一致すること本件意匠2の扉は 何らの装飾も施されておらずG円形の突起物が各扉の中央寄りに設けられているだけであるのに対し,ロ号意匠の各扉の中央部には,斜め格子状の透かし部を矩形状に形成していることが加わり,なお一層,本件意匠2は,シャープな美感を看者に与えるのに対し,ロ号意匠は,丸みを帯びた優しい美感を看者に与えるものと認められる。
(ウ)まとめ以上によれば,基本的構成態様における一致点の存在を考慮しても,ロ号意匠が本件意匠2に類似するということはできない。
3結論よって,原告の請求は,その余について判断するまでもなく,いずれも理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 市川正巳
裁判官 大竹優子
裁判官 杉浦正樹