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関連ワード 物品 /  形状 /  模様 /  意匠に係る物品 /  条約 /  新規性 /  公然知られた(3条1項1号) /  意匠の同一 /  登録意匠 /  差止請求(差止) /  損害賠償 /  権利濫用(権利の濫用) / 
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事件 平成 16年 (ワ) 10431号 意匠権侵害差止請求権不存在確認請求事件
原告 株式会社フォア・フロント
同訴訟代理人弁護士 中田貴
被告 有限会社有富商会
同訴訟代理人弁護士 寺井勇人
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2005/02/23
権利種別 意匠権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 原告と被告との間において,被告が,意匠登録第1201825号の意匠権に基づき,別紙原告物件目録1及び2記載の各携帯電話用ストラップについて,その製造,使用,譲渡,貸渡し若しくは輸入又は譲渡若しくは貸渡しの申出の差止めを求める権利を有しないことを確認する。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
請求
主文同旨
事案の概要
本件は,原告が,原告の販売する携帯電話用ストラップの意匠が被告の意匠権を侵害するとしてその販売の停止等を求めてきた被告に対し,被告の意匠権に基づく製造等の差止請求権の不存在確認を求めた事案である。
1 前提事実 (1) 本件登録意匠 ア 被告は,次の意匠権(以下「本件意匠権」といい,その登録意匠を「本件登録意匠」という。)を有している。
登録番号 第1201825号 意匠に係る物品 装飾用下げ飾り 出願年月日 平成15年5月22日 登録年月日 平成16年2月27日 登録意匠 別紙意匠公報写し記載のとおり(争いのない事実) イ 本件登録意匠の構成 別紙意匠公報写しによれば,本件登録意匠の形態は次のとおりである。
(基本的構成態様) a 2本のタイヤを有する白バイと, b 当該白バイにまたがり,両手でハンドルを持つ姿勢で乗車するヘルメット,サングラス及び制服を着用した警察官から成り,(具体的構成態様) c 白バイの正面の風防部分に「Police」と記載され, d 当該風防部分cの下方向に,逆台形状のメインライト及び楕円状の2つの方向指示灯を有し, e 白バイの左右側面には,バイクの進行方向を前方として,前方斜め上方向を向いた楕円状の突起物を組み合わせたものから成る赤色灯が配置され, f 当該赤色灯eの後方,警察官の足の下に,丸状のステップが配置され, g 当該ステップfの後方,白バイの左右側面に,「Police」と記載された略五角形状のボックスが配置され, h 当該ボックスgの上部であり,白バイの平面から見て左右中央に,楕円形の半球から成る赤色灯が配置され, i 白バイの後方から見て,上下及び左右の中央部付近に,長方形状又は方形状に分割配置されたテーブル及び方向指示器を有し, j 当該テールランプiの右斜め下側に丸状のマフラーを有し, k 警察官のヘルメットには,正面側開口部に沿って形成されたバイザーと, l 当該バイザーkの上側中央に存在する丸状のマークと, m 当該マークlの両側から,ヘルメットの頂点に向かって伸び,頂点で一体となり,後部に向かって伸び,もう一度2本に別れ,下記線oに至る線であって,平面から見て略倒れH状に現れる線と, n 当該mの線の左右両側に配置された4つの丸状突起と, o ヘルメット側部を横方向に走る2本の線とがあり, p ヘルメットから露出する警察官の顔面上部には,サングラスが存在し, q 当該サングラスpの下に,半円状の鼻が位置し, r ヘルメットのバイザーkの左脇から,顔面下部の口下中央部に至るマイクがあり, s 警察官の制服左上腕部には,略三角形状模様が存在し, t 胴部には,横方向に伸びる1本のベルト及び略楕円状のポシェットがあり, u 脚部には,当該ベルト及びポシェットtから下記ブーツvに至る1本の線が伸び, v 足部にはブーツを着用している。
(2) 原告製品意匠 原告は,別紙原告物件目録1及び2記載の携帯電話用ストラップ(以下,これらを「原告製品」といい,その意匠を「原告製品意匠」という。)を販売している。
(争いのない事実) (3) 確認の利益 ア 被告は,平成16年4月28日,原告及びその取引先である有限会社東京銅器に対し,原告製品が本件意匠権を侵害することを理由としてその販売の停止及び損害賠償を請求する旨の通知書(甲8,9)を送付した。
(争いのない事実) イ この事実によれば,原告が被告に対し,本件意匠権に基づく原告製品の製造等の差止請求権の不存在確認を求める訴えには,確認の利益がある。
2 争点 (1) 本件意匠権の無効理由(意匠法3条1項1号)の存否 (2) 本件登録意匠と原告製品意匠との同一性 3 争点(1)(無効理由)に関する当事者の主張 (1) 原告の主張 ア 公知性 (ア) 被告は,遅くとも平成15年2月27日の時点で,被告の運営するホームページ(http:-/www.mametan2.com/ 以下「被告ホームページ」という。)上に,別紙被告物件目録1記載の「PK001 光る!白バイマスコット(青)」(甲20の1。以下「被告製品1」といい,その意匠を「被告製品1意匠」という。)及び同目録2記載の「PK006 光る!白バイマスコット(赤)」(甲21の1。以下「被告製品2」といい,その意匠を「被告製品2意匠」という。)をそれぞれ複数の角度から撮影した写真を掲載して宣伝した。
(イ) また,被告は,遅くとも平成15年2月19日の時点で,被告ホームページ上に,別紙被告物件目録3記載の「PK021 光る!白バイマスコット(黒)」(甲12。以下「被告製品3」といい,その意匠を「被告製品3意匠」という。また,被告製品1から3を併せて「被告製品」といい,その意匠を「被告製品意匠」という。)を複数の角度から撮影した写真を掲載して宣伝した。
(ウ)a 原告は,上記(ア)及び(イ)の被告ホームページについての情報を「INTERNET ARCHIVE Wayback Machine」(以下「本件ARCHIVE」という。)を利用して得た。
b 米国NPOインターネット・アーカイブは,1996年,全世界のウェブの収集を開始し,2001年,100テラバイト,1600万サイト以上の巨大なコレクションとなった本件ARCHIVEの公開をWayback Machineにより開始した(甲23)。
c 世界知的所有権機関の特許協力条約(PCT)国際出願の国際調査及び国際予備審査の実務を規定するガイドラインは,ウェブサイトに掲載された公開情報の公開日を知るための手段の1つとして,本件ARCHIVEを挙げている。
d これらの事実からすると,本件ARCHIVEの収集内容及び収集日付は,十分信用することができるものである。
e 被告は,被告ホームページには誤記が多く,信用性がない旨主張するが,被告自らが運営している被告ホームページを信用できないと主張する被告の態度は,その場しのぎの無責任なものである。
(エ) そして,被告は,平成15年2月27日以前から被告製品1及び2を,平成15年2月19日以前から被告製品3を,被告ホームページや警察署内の売店を通じて警察関係者に販売し,運転免許センター内の売店等を通じて一般人にも販売した。
意匠の同一性 (ア) 被告製品意匠は,装飾用下げ飾りに係るものであり,本件登録意匠と被告製品意匠とは,意匠に係る物品を共通にする。
(イ) 被告製品意匠は,本件登録意匠の基本的構成態様及び具体的構成態様のすべてを備えている。
ウ まとめ よって,本件登録意匠新規性(意匠法3条1項1号)を有せず,本件意匠権に無効理由が存することは明らかであるから,被告の本件意匠権に基づく権利行使は権利濫用として許されない。
(2) 被告の主張 ア(ア) 原告の主張ア(公知性)(ア)(被告製品1及び2)のうち,掲載の日付は否認し,その余は認める。
(イ) 同ア(イ)(被告製品3)のうち,掲載の日付は否認し,その余は認める。
(ウ) 同ア(ウ)(本件ARCHIVEの信用性)のうち,a〜cは不知,dは否認する。本件ARCHIVEは信用性を欠く。また,被告ホームページの記載内容は,誤記が多く,信用することができない。
(エ) 同ア(エ)(被告製品の販売)は否認する。仮に被告がそのころ被告製品を販売したとしても,販売対象者は警察関係者のみであり,公然性を欠く。また,運転免許センター内の売店等は,被告が販売する全製品を取り扱っていたものではなかった。
イ(ア) 同イ(意匠の同一性)のうち,(ア)(物品同一)は認め,(イ)(意匠同一)は否認する。
(イ) 被告製品意匠は,少なくとも本件登録意匠の具体的構成態様(前提事実(1)イ)のうち,d,e,f,g,h,i,j,m,n,q,s及びtの点を備えていない。
ウ 同ウ(まとめ)は否認する。
4 争点(2)(原告製品意匠との同一性)に関する当事者の主張 (1) 被告の主張 ア 原告製品意匠は,装飾用下げ飾りに係るものであり,本件登録意匠と原告製品意匠とは,意匠に係る物品を共通にする。
イ 原告製品意匠は,本件登録意匠に類似する。
(2) 原告の主張 被告の主張ア(物品同一)は認め,イ(意匠類似)は否認する。
当裁判所の判断
1 争点(1)(無効理由)について (1)ア 被告が被告ホームページ上に,被告製品1及び2をそれぞれ複数の角度から撮影した写真を掲載して宣伝したこと(甲20及び21の各1)は,当事者間に争いがない。
イ(ア) 甲20及び21の各1によれば,本件ARCHIVEが平成15年2月27日時点で収集した被告ホームページには,被告製品1及び2をそれぞれ複数の角度から撮影した写真が掲載されていることが認められるから,被告は,遅くとも平成15年2月27日の時点で,被告ホームページに,被告製品1及び2をそれぞれ複数の角度から撮影した写真を掲載したことが認められる。
(イ) 被告は,日付等の点について,本件ARCHIVEは信用性を欠く旨主張するが,甲22の1及び2並びに23によれば,米国NPOインターネット・アーカイブは,1996年,全世界のウェブの収集を開始し,2001年,100テラバイト,1600万サイト以上の巨大なコレクションとなった本件ARCHIVEの公開をWayback Machineにより開始したこと,世界知的所有権機関の特許協力条約(PCT)国際出願の国際調査及び国際予備審査の実務を規定するガイドラインは,ウェブサイトに掲載された公開情報の公開日を知るための手段の1つとして,本件ARCHIVEを挙げていることが認められる。また,甲20及び21の各1,2によれば,平成15年12月9日時点の被告ホームページでは,被告製品1及び2の写真に「※意匠登録申請済※」と付記されているが,同年2月27日時点の被告ホームページでは,被告製品1及び2の写真に上記のような付記がないことが認められるところ,この点は,平成15年5月22日に出願された本件意匠権の出願経過に合致している。これらの事実からすると,本件ARCHIVEの示す収集内容及び日付は,十分信用することができるものと認められる。
(ウ) また,被告は,被告ホームページの記載内容は誤記が多く,信用することができない旨主張するが,自ら意匠登録申請済と付記した被告製品1及び2の記載内容に関する限り,信用することができないことを示す事情について具体的な主張はないから,被告のこの点の主張は採用することができない。
ウ(ア) 甲11及び弁論の全趣旨によれば,被告は,平成15年2月27日以前から被告製品1及び2を,被告ホームページや警察署内の売店を通じて,少なくとも警察関係者に販売していたことが認められる。
(イ) したがって,被告製品1及び2意匠は,平成15年2月27日以前から,日本において公然知られた意匠であったものである。
(ウ) 被告は,被告製品1及び2の販売対象者が警察関係者のみであることを理由に,公然知られた意匠ではない旨主張するが,警察関係者は,被告製品1及び2をアクセサリーとして購入している単なる顧客であり,秘密を保持する義務を負っている立場にあるような者ではないから,この点の被告の主張は理由がない。
(2) 意匠の同一性について ア 被告製品1及び2意匠は,装飾用下げ飾りに係るものであり,本件登録意匠と被告製品1及び2意匠とは,意匠に係る物品を共通にすることは,当事者間に争いがない。
イ(ア) 本件登録意匠と被告製品1及び2意匠を対比すると,基本的構成態様及び具体的構成態様が共通であり,その意匠は同一であることが認められる。
(イ) 被告は,被告製品意匠は,少なくとも本件登録意匠の具体的構成態様(前提事実(1)イ)のうち,d,e,f,g,h,i,j,m,n,q,s及びtの点を備えていない旨主張するが,本件登録意匠と甲20及び21の各1から認められる被告製品1及び2意匠とを対比しても,この点の相違を認めることはできないから(被告は,被告製品1及び2の現物を提出するなどして,被告ホームページの記載のみからは分からない相違点を裏付けることをしていない。),被告のこの点の主張は採用することができない。
(3) まとめ 以上によれば,本件登録意匠は,意匠登録出願日(平成15年5月22日)より前に日本国内において公然知られた被告製品1及び2意匠と同一であり,本件意匠権に無効理由が存することは明らかである(この点は,被告製品1及び2が被告の開発に係る製品であったとしても,被告が自ら被告製品1及び2意匠を公開してしまった以上,同様である。)。したがって,被告による本件意匠権に基づく原告製品の製造等の差止請求権の行使は権利濫用に当たり許されず,原告の請求は,その余の点について判断するまでもなく理由がある。
2 結論 よって,原告の請求を認容することとし,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 市川正巳
裁判官 杉浦正樹
裁判官 ョ晋一
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