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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成20ワ36851意匠権侵害差止等請求事件 判例 意匠
平成21ネ2110損害賠償請求控訴事件 判例 意匠
平成20ワ8761意匠権侵害差止等請求事件 判例 意匠
平成22ワ4770意匠権侵害差止等請求事件 判例 意匠
平成22行コ10004異議申立棄却決定取消請求控訴事件 判例 意匠
関連ワード 意匠の実施 /  物品 /  形状 /  モチーフ /  意匠に係る物品 /  新規性 /  意匠の類否 /  全体観察 /  登録意匠 /  差止請求(差止) /  類似性(類否判断) / 
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事件 平成 21年 (ワ) 11520号 意匠権侵害差止請求事件
反訴原 告岩谷マテリアル株式会社
同訴訟代理人弁護士吉澤敬夫
同 新井全
同 岡崎信 太郎
同 畑良武
同 上田憲
同 阪口博教
同補佐人弁理士野口和孝
反訴被 告株式会社サンコープラスチック
同訴訟代理人弁護士本渡諒一
同 仲元紹
同 黒田厚志
同 郷原さ や香
同訴訟代理人弁理士清水義仁
裁判所 大阪地方裁判所
判決言渡日 2010/03/25
権利種別 意匠権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1反訴原告の請求をいずれも棄却する。
2訴訟費用は,反訴原告の負担とする。
事実及び理由
全容
第1当事者の求めた裁判21反訴原告(1) 反訴被告は,別紙イ号製品目録記載の各製品を製造し,譲渡し,譲渡のために展示してはならない。
(2) 反訴被告は,前項の各製品及びその金型を廃棄せよ。
(3) 訴訟費用は,反訴被告の負担とする。
(4) 仮執行宣言2反訴被告主文と同旨第2事案の概要1前提事実(1) 当事者ア反訴原告(以下「原告」という )。
原告は,合成樹脂の加工ならびにその製品と材料の販売等を業とする株式会社である。
イ反訴被告(以下「被告」という )。
被告は,家庭用日常品の製造,販売を業とする株式会社である。
(2) 本件意匠権(甲1の1)原告は,次の意匠権(以下「本件意匠権」といい,その登録意匠を「本件登録意匠」という )を有している。。
登録番号第1202327号出願日平成15年10月17日(意願2003-30766)登録日平成16年2月27日意匠に係る物品ごみ箱本件登録意匠別紙本件登録意匠目録記載のとおり(3) 被告各製品, (,「」 ア被告は 別紙イ号製品目録記載の各製品 以下 併せて 被告各製品3といい,被告各製品に係る意匠を「被告意匠」という )を製造し,平。
成19年8月から,全国で販売している。
イ被告意匠と本件登録意匠は,意匠に係る物品が同一である。
2原告の請求原告は,被告に対し,本件意匠権に基づき,被告各製品の製造・譲渡・譲渡のための展示の差止め,被告各製品及びその金型の廃棄を,それぞれ求めている。
3争点被告意匠は本件登録意匠と類似するか第3争点に係る当事者の主張【原告の主張】1本件登録意匠の構成態様(1) 基本的構成態様横幅よりも長い奥行きをもち,奥行きよりも長い高さをもつ箱状の本体と,本体の開口部を覆う蓋体とを備えており,本体の下側には車輪が設けられ,本体正面壁の底部付近には蓋体を開閉するための踏板が突設されている。
(2) 具体的構成態様ア本体(ア) 正面壁正面壁は,開口縁から略垂直に下がった後,横幅全体が中央付近で内方に傾斜して下り,下部で再び垂直に下がるようにされたクランク形状である。クランク形状の屈曲部は,傾斜角を徐々に増減する曲面である。また,正面壁が内方に傾斜することで,正面壁下端が正面壁上端の位置より18%程度奥行き方向に狭くなっている。
(イ) 開口縁(鍔部)4開口縁には,外方に伸びた鍔部が設けられている。鍔部は横直線状であり,その正面側の先端には,円棒状の取っ手が配設されている。
(ウ) 側面壁側面壁の下側角部に,四半円状の窪み部が形成されている。
(エ) 背面壁背面壁には,幅方向の中央部に,開口縁から底面にかけて細長台形状の凹部が設けられ,該凹部に縦長の背板が配置されている。
イ踏板踏板は,正面壁の底部側の切り欠き部から突出しており,正面壁の横幅方向の左右に若干だけスペースを残すようにして,横幅方向に大きく広がった矩形状である。
ウ車輪車輪は,概ね側面壁の四半円状の窪み部の内側に,車輪の中心付近が踏板と一致する高さに配置され,底部付近の約33%の直径を有する。
エ蓋体蓋体は,底の浅い箱状を裏返したようなカバー体であって,天井面が水平であり,その開口端面が鍔部に載置されている。
2被告意匠の構成態様(1) 基本的構成態様横幅よりも長い奥行きをもち,奥行きよりも長い高さをもつ箱状の本体と,本体の開口部を覆う蓋体とを備えており,本体の下側には車輪が設けられ,本体正面壁の底部付近には蓋体を開閉するための踏板が突設されている。
(2) 具体的構成態様ア本体(ア) 正面壁5正面壁は,開口縁から垂直に下がった後,横幅全体が略中央で内方に傾斜して下り,下部で再び垂直に下がるようにされたクランク形状である。クランク形状の屈曲部は,角を形成するように曲げられている(約10度の傾斜角度 。また,正面壁が内方に傾斜することで, )正面壁下端が正面壁上端の位置より11%程度奥行き方向に狭くなっている。
(イ) 開口縁(鍔部)開口縁には,外方に伸びた鍔部が設けられている。鍔部は,周縁が下方に折れたアングル状であり,長手方向の中央付近が10度ほど屈曲して略ヘの字状とされている。
(ウ) 側面壁側面壁の下側角部に,四半円状の窪み部が形成されている。
(エ) 背面壁背面壁には,幅方向の中央部に,開口縁から底面にかけて細長台形状の凹部が設けられ,該凹部に縦長の背板が配置されている。
イ踏板踏板は,正面壁の底部側の切り欠き部から突出しており,正面壁の横幅方向の左右に若干だけスペースを残すようにして,横幅方向に大きく広がった矩形状である。
ウ車輪車輪は,概ね側面壁の四半円状の窪み部の内側に,車輪の中心付近が踏板と一致する高さに配置され,底部付近の約35%の直径を有する。
エ蓋体蓋体は,底の浅い箱状を裏返したようなカバー体であって,長手方向の中央付近が10度ほど屈曲して略ヘの字状とされている。また,蓋体の開口端面がアングル状の鍔部に段部を有するように載置され,蓋体と6鍔部とで二段の階段状となっている。
3本件登録意匠の要部(1) 需要者の着目部分ア需要者本件登録意匠の実施品(以下「本件ごみ箱」という )は,一般家庭。
で使用される,小型の屋内用ごみ箱であり,その需要者は,年齢性別を問わない一般消費者である。
イ購入時における外観上の着目部分以下のとおり,ごみ箱を購入する際,前記アの需要者が最も注視するのは,本体,特に正面壁側及び側面壁側である。
(ア) 用途・使用態様からみた着目部分需要者は,ごみ箱を購入する際,まず容量に留意し,さらにごみ箱を置く場所を想定し,その場所に適したサイズのごみ箱を購入する。
したがって,需要者は,容量を決定づける本体を必ず注視する。
また,本件ごみ箱は,踏板を踏んで蓋体を開けるごみ箱(以下「踏板式ごみ箱」という )であり,手で蓋体を開けるごみ箱とは踏板の 。
有無で区別される。このため,需要者は,正面壁下側も注視する。
(イ) 販売状況からみた着目部分ごみ箱の広告や商品パンフレット類には,正面壁側及び側面壁側がよく見え,蓋体が浅い角度で見えるように撮影された写真が掲載される場合が多い。
また,屋内で使用される中型から小型のごみ箱は,販売店では,棚の中・上段に陳列されることが多く,需要者は,この状態において,正面壁側と側面壁側を注視する。
(2) 要部ア横幅全体がクランク形状とされた正面壁7横幅全体がクランク形状とされた正面壁は,前記(1)のとおり,需要者が注目する部分であることに加え,本件登録意匠の出願日以前の公知意匠はなく,本件登録意匠の要部である。
なお 甲4に示される公知意匠は 正面壁が上から下まで略垂直となっ , ,ている構成であり,本件登録意匠とは全く異なる。
イ正面壁の横方向に大きく広がった矩形状の踏板屋内用ごみ箱は,極力場所を取らないように,本体から突出する踏板は,できるだけ小型にするのが通常である。そのため,踏板に係る公知意匠(甲4〜7,13,16,17)のうち,本件登録意匠のように,踏板が正面壁の横幅方向の左右に若干だけスペースを残すようにして横幅方向に大きく広がった矩形状であるものは,甲17に示される公知意匠だけである。そして,同意匠も,踏板が正面壁の一部に設けられた凹部に収容されており,本件登録意匠のように,正面壁の下窄まりとされた部分に配置されているものではない。
,, , 上記踏板は 前記(1)のとおり 需要者が着目する正面壁下側にあり本件登録意匠の要部である。
ウ踏板の高さと同調するように側面壁に設けられた大きな車輪ごみ箱の車輪に係る公知意匠(甲8〜12)は,いずれも屋外に配置される大型のごみ箱についてのものであり,本件登録意匠の出願日以前に,屋内用ごみ箱に大型の車輪が設けられた公知意匠は存在しない。
また,本件登録意匠の出願日以前においては,屋内用・屋外用を問わず,踏板式ごみ箱に車輪が設けられている公知意匠は存在しない。
上記車輪は,前記(1)のとおり,需要者が着目する側面壁側にあり,本件登録意匠の要部である。
エ全体のまとまり感本件登録意匠は,アヒルやペンギン等といった,胸に膨らみがあって8足の大きな水鳥を印象づけるようにデザインされたものであり,前記アが胸部から足元へのラインを,前記イが足ヒレ部分を,前記ウが尾を,それぞれ表現している。そして,この「下側に大きな踏板が突設したクランク形状の正面壁から側面壁の大きな車輪にかけての全体のまとまり感」は,需要者が同時に着目する部分であり,本件登録意匠の最大の要部であって,看者に強い印象を与える。
(3) 要部といえない部分(被告の主張に対する反論)ア取っ手ごみ箱に係る円棒状取っ手は,本件登録意匠の出願日以前に発行された意匠公報(乙4の1・2)や通信販売カタログ(乙9の1)に見られる公知意匠である。
したがって,上記取っ手は本件登録意匠の要部ではない。
イ蓋体前記(1)のとおり,ごみ箱の需要者が最も注視するのは,正面壁側及び側面壁側であり,ごみ箱のパンフレット類などの写真や,販売店での展示においても,正面壁と側面壁がよく見えるように撮影されたり,陳列されたりする。確かに,ごみ箱はごみを入れる際,上から視認されるが,単に漠然と上から見られるだけであって,それが購入の際に蓋体等が最も着目される理由にはならない。
したがって,上記蓋体は本件登録意匠の要部ではない。
4本件登録意匠と被告意匠との類否(1) 共通点前記1,2のとおり,両意匠は,基本的構成態様において共通であることに加え,以下の具体的構成態様において共通である。
ア本体について(ア) 正面壁9両意匠とも,開口縁から略垂直に下がった後,横幅全体が中央付近で内方に傾斜して下り,下部で再び垂直に下がるようにされたクランク形状の正面壁である。
(イ) 側面壁, 。 両意匠とも 側面壁下側角部に四半円状の窪み部が形成されている(ウ) 背面壁両意匠とも,背面壁幅方向の中央部に,開口縁から底面にかけて細長台形状の凹部が設けられ,該凹部に縦長の背板が配置されている。
イ踏板について,, , 両意匠とも 踏板は 正面壁の底部側の切り欠き部から突出しており正面壁の横幅方向の左右に若干だけスペースを残すようにして,横幅方向に大きく広がった矩形状である。
ウ車輪について,, , 両意匠とも 大きな車輪が 概ね側面壁の四半円状の窪み部の内側に車輪の中心付近が踏板と一致する高さに配置されている。
エ蓋体について, , 両意匠とも 蓋体は底の浅い箱状を裏返したようなカバー体であってその開口端面が鍔部に載置されるようになっている。
(2) 差異点前記1(2),2(2)のとおり,両意匠は,以下の具体的構成態様において異なる。
ア本体について(ア) クランク形状の屈曲の仕方本件登録意匠のクランクは曲面であり,正面壁下端が正面壁上端の位置より18%程度奥まっているが,被告意匠のクランクは角を形成するように曲がり,正面壁下端が正面壁上端の位置より11%程度奥10まっている。
(イ) 鍔部本件登録意匠の鍔部は横直線状であるが,被告意匠の鍔部はアングル状になっており,長手方向の中央付近が10度ほど屈曲して,略ヘの字状とされている。
(ウ) 鍔部の先端(取っ手)本件登録意匠では,鍔部の先端に円棒状の取っ手が配設されているが,被告意匠には存在しない。
イ蓋体について本件登録意匠の蓋体は,天井面が水平であるが,被告意匠の蓋体は,天井面長手方向の中央付近が10度ほど屈曲して,略ヘの字状とされている。
ウ蓋体と鍔部について被告意匠では,蓋体と鍔部とが二段の階段状であるが,本件登録意匠では,階段状ではない。
(3) 類否ア共通点について前記(1)のとおり,両意匠の基本的構成態様は共通するため,両意匠に接した需要者は,一見して同じタイプのごみ箱であることを認識し,混同しやすい状況下にある。
また,両意匠は,具体的構成態様においても,正面壁,踏板及び車輪において共通し,これらの共通点は,前記3(2)のとおり,本件登録意匠の要部である。また,両意匠は,要部以外にも共通点を有する。
本件登録意匠の斬新かつ最大の要部である全体のまとまり感(前記3(2)エ)においても,両意匠は共通し,需要者の美感に大きな影響を与える。
11これらの共通点が需要者に与える影響は大きく,その共通点に係る形態から同じ美感を生じさせることは明らかである。
イ差異点について(ア) クランク形状の屈曲の仕方(前記(2)ア(ア))両意匠の差異は,視認角度によって違いを認識できなくなる程度のものであるし,実際の販売状況下でも,両意匠のクランク形状にどのような違いがあるか,一見して認識できないのが現状である。
また,被告意匠は,正面壁に屈曲線を有するが,傾斜角が10度程度であることから,際立って目立つ線が現れるわけではない上,この屈曲線は,本体が明るい色であったり,ある程度離れた距離から観察する場合は,目立ちにくい。
さらに,クランク形状の差異により,正面壁下端の奥まりが,本件登録意匠では18%程度,被告意匠では11%程度となっているが,奥まり感を特段変化させるほどの違いとはならない微差である。しかも,両意匠とも側面壁下端には大きな車輪があるため,車輪と正面壁下部とが近寄って,相対的に側面壁の下部の奥行きは短くなり,奥まり感は,さらに同じような印象になっている。
したがって,上記差異点は,クランク形状の共通点から生じる印象を覆すほどの影響を需要者に与えない。
(イ) 鍔部(前記(2)ア(イ)), , 鍔部の周縁をアングル状にする形状は 強度を高めるためであって遅くとも昭和36年には採用されていた公知のものであるし(乙5の1〜6 ,鍔部が10度ほど屈曲して略ヘの字状である点も,被告各 )製品の発売日前における公知意匠である(乙7の1〜4,乙8,乙23の2・3 。)また,鍔部は,需要者に注視される部分ではなく,上記差異点が需12要者の美感に与える影響は小さい。
(ウ) 鍔部の先端(取っ手 (前記(2)ア(ウ)) )前記3(3)アのとおり,円棒状の取っ手は本件登録意匠の出願日以前に公知であるし,取っ手が本件登録意匠の全体に占める面積もわずかである。
また,鍔部は,需要者に着目される部分ではなく,上記差異点が需要者の美感に与える影響は小さい。
(エ) 蓋体(前記(2)イ)蓋体が屈曲して略ヘの字状となっている形状は,被告各製品の発売日前には公知であったし(乙6の3,乙7の1〜5,乙8,乙23の4 ,少なくとも,折れ曲がった蓋体は,ありふれた形態である(甲 )13 。)そして,被告意匠における略ヘの字状の形状は,公知のものより屈, 。 折の角度が小さく 公知意匠に比べて特段目立つような形態でもないまた,見る角度や光線によっても目立たなくなるし,ある程度離れた距離から観察すれば,さらに目立たなくなる。
しかも,蓋体は,本体に比べて需要者に注視される程度が低く,上記差異点が需要者の美感に与える影響は小さい。
(オ) 蓋体と鍔部(前記(2)ウ)蓋体と鍔部とが二段の階段状であるごみ箱は公知であるし(乙5の1〜6 ,蓋体と鍔部を区分けせずに,ごみ箱全体として視認した場 ), (), 合 上側が二段の階段状である公知意匠は多数あり 乙6の1〜5ありふれた構成である。
また,蓋体と鍔部が共にへの字状であり,略中央で屈折しているごみ箱も公知である(乙23の1 。)13したがって,上記差異点が需要者の美感に与える影響は小さい。
(カ) まとめ両意匠の差異点は,微差ないし公知な形態に係るもので,需要者の美感を特に喚起するようなものではない。
類否判断両意匠の共通点と相違点をそれぞれ検討すると,差異点よりは共通点が重視されるべきであるところ,両意匠は,この共通点に基づいて,需要者に対して共通した美感を与える。
また,本件登録意匠に係る全体のまとまり感は,従来のごみ箱には全く見られない,極めて斬新な形態であって,その創作性の程度は高く,この点を被告意匠が共通にすることは,意匠の類否判断に大きな影響を及ぼす。
したがって,前記4(2)の差異点に係る印象は,前記4(1)の共通点から受ける印象を凌駕するものではなく,両意匠は類似する。
【被告の主張】1本件登録意匠の構成態様(1) 基本的構成態様原告の主張を認める。
(2) 具体的構成態様ア本体(ア) 正面壁正面壁は,開口縁から直ちに内方に傾斜しているし,細長いS字状曲面であって,クランク形状ではない。
その余の原告の主張を認める。
(イ) 開口縁(鍔部 ・側面壁・背面壁)原告の主張を認める。
14四半円状の窪み部は,側面壁と背面壁とが交合する位置に形成されている。
イ踏板踏板の横幅は正面壁幅の79%であり,大きく広がった形状とはいえない。
その余の原告の主張を認める。
ウ車輪・蓋体原告の主張を認める。
2被告意匠の構成態様(1) 基本的構成態様原告の主張を認める。
(2) 具体的構成態様ア本体(ア) 正面壁正面壁下端が正面壁上端の位置より奥行き方向に狭くなっている程度は12.5%であるが,その余は原告の主張を認める。
(イ) 開口縁(鍔部 ・側面壁・背面壁)原告の主張を認めるが,四半円状の窪み部は,側面壁と背面壁とが交合する位置に形成されている。
イ踏板踏板の横幅は正面壁幅の74%であり,大きく広がった形状とはいえないが,その余は原告の主張を認める。
ウ車輪原告の主張を認める。
エ蓋体蓋体は,横幅が正面壁上端の横幅よりわずかに大きく,高さは鍔部の15垂板の高さよりわずかに小さく,天井面は正面側から背面側に向けて中央部まで10度の角度で上り傾斜して,側面視においてへの字状を形成し,中央部からは水平となって,中央部において横線が看取される形状である。
3本件登録意匠の要部(1) 需要者の着目部分ア需要者原告の主張を認めるが,使用場所は屋内に限定されない。
イ購入時における外観上の着目部分,, , 以下のとおり 本件ごみ箱を購入する際 需要者が最も注視するのは原告の主張する正面壁(下部にある踏板を除く )のほか,蓋体,蓋体 。
と正面壁との境目に設置された取っ手であり,原告が主張する側面壁や正面壁下部(踏板)は注視しない。
(ア) 用途・使用態様からみた着目部分需要者は,通常,踏板式ごみ箱について,踏板が設置された正面壁側から斜め下を向くように使用する。したがって,最も目に触れるの,,, 。 は 蓋体 正面壁 蓋体と正面壁との境目に設置された取っ手である一方,需要者は,踏板について,蓋体の開閉の手段という機能面にしか関心がないし,踏板は,正面壁底辺近くにあり,床に置かれた状態では目に付きにくい。しかも,正面壁の下方に踏板を有するごみ箱は周知である。したがって,需要者は,特異な意匠でない限り,踏板自体の形状までは注視しない。
(イ) 販売状況からみた着目部分ごみ箱の広告に掲載される写真は,正面壁・側面壁・蓋体が全て見えるように撮影されており,正面壁と側面壁を際立たせて撮影されてはいない。
16また,ごみ箱が棚に陳列されて販売されることが多いという事実はないし,需要者は,特にインテリア性を重視したごみ箱については,設置予定の部屋に置いた状況を想像して購入するから,棚の中・上段に陳列されていても,これを床に置いて目視する。
(2) 要部ア正面壁の形状について正面壁の形状が本件登録意匠の要部であるとの原告の主張は認める。
もっとも,本件登録意匠の出願日以前に公知である意匠に,ごみ箱の正面壁を内方に押し込む意匠がある(甲3,4)が,面は平面である。
したがって,本件登録意匠は,緩やかな曲線により形成される曲面である点において特徴的であり新規な創作といえる。
イ取っ手の形状について前記(1)のとおり,円棒状の取っ手は,面積はわずかであっても,需要者の着目する部分である。また,車輪付きごみ箱では,ごみ箱を転がすために設置された取っ手には,より注目が集まる。
乙4の1の公知意匠に示される取っ手は,本体内部のごみ収納箱に付けられた,ごみ収納箱を引き出すためのものであるが,本件登録意匠の, , 。 取っ手は 本体そのものに付けられた 本体を動かすためのものであるまた,乙4の2の公知意匠に示される取っ手は,本件登録意匠と同様の取っ手であるか不明である。
したがって,本件登録意匠の取っ手の形状は,本件登録意匠の出願日以前に公知とはいえない。
したがって,上記取っ手の形状は本件登録意匠の要部である。
ウ蓋体の形状について,, , 前記(1)のとおり 上記蓋体の形状は 需要者の着目する部分であり本件登録意匠の要部である。
17(3) 要部といえない部分(原告の主張に対する反論)ア踏板について踏板は,ごみ箱の蓋体を開閉する機構として周知であるところ,ごみ箱の正面壁下部に踏板を配設する意匠は,本件登録意匠の出願日以前に公知であるし(甲4〜7,13,16,17 ,踏板の横幅とごみ箱本 )体の横幅との比率も様々であって,踏板の横幅は単なる設計事項に過ぎない。本件登録意匠の踏板は,特異な形状ではなく,意匠全体に占める割合は小さく,用途,使用状況,販売状況からしても,需要者から特段注視されるものではない。
したがって,上記踏板は,本件登録意匠の要部とならない。
イ車輪について需要者は,踏板式ごみ箱を使用する際,正面側から蓋体を開閉し,背面側に配置した車輪に注目することはほとんどない。また,容器あるいはごみ箱の両側壁下部に,それぞれ1個の切り欠き部を設け,各切り欠き部に車輪を配設することや,切り欠き部の形状を四半円形にすることは,本件登録意匠の出願日以前に公知である(甲8〜12)ところ,本件登録意匠の車輪は,公知意匠に係る車輪の位置・形状と変わるところ, 。,, がないし 意匠全体に占める割合も小さい さらに 家庭内のごみ箱は常時据え置きを予定しており,車輪を用いて移動させる回数は極めて少なく,需要者が車輪を注視することはない。
また,踏板と車輪の組合せも公知である(甲9 。)したがって,上記車輪は,本件登録意匠の要部とならない。
ウ全体のまとまり感について本件登録意匠の発想が水鳥からきたものであったとしても,抽象化・意匠化され,水鳥の姿を残していない本件登録意匠から,水鳥を連想することはできない。
184本件登録意匠と被告意匠との類否(1) 共通点基本的構成態様及び具体的構成態様(本体の側面壁・背面壁,踏板,車輪)に係る共通点については,原告の主張を認める。
(2) 差異点ア本体について(ア) 正面壁, , 本件登録意匠の正面壁は 開口縁から直ちに内方に傾斜して下るが被告意匠の正面壁は,開口縁から垂直に下がっている。
また,本件登録意匠の正面壁は,S字状の曲面であるが,被告意匠の正面壁は,角を形成するように曲がっており,への字状である。
さらに,本件登録意匠では,正面壁下端が正面壁上端の位置より18%程度奥まっているが,被告意匠では,正面壁下端が正面壁上端の位置より12.5%奥まっている。
(イ) 本体開口縁の鍔部本件登録意匠の鍔部は横直線状であるが,被告意匠の鍔部は,側面視において,正面壁よりも前方に突出した平板状であると共に,側面壁背面側から正面壁に向けて中央部までは水平で,中央部からは下方に約10度の角度で傾斜した,への字状である。
(ウ) 鍔部の先端(取っ手)原告の主張を認める。
(エ) 側面壁の正面壁側端線, , 側面壁の正面壁側端線は 本件登録意匠においてはS字状であるが被告意匠においてはヘの字状である。
イ蓋体について本件登録意匠の蓋体は,底の浅い箱状を裏返したような形であって,19天井面が水平であるが,被告意匠の蓋体は,天井面が,正面側から背面側に向けて,中央部まで10度の角度で上り傾斜して,側面視においてへの字状を形成し,中央部からは水平となって,中央部の平面視において横線が看取される形状である。
ウ蓋体と鍔部について本件登録意匠では,蓋体の横幅が鍔部の横幅と同じであるが,被告意匠では,蓋体の横幅が鍔部の横幅よりも小さい。
その結果,被告意匠では,ヘの字状かつ帯状の鍔部に,鍔部と相似形の蓋体が載置され,蓋体と鍔部とが二段の階段状になっているが,本件登録意匠では,横直線状の鍔部に長方形の蓋体が載置されており,階段状ではない。
(3) 類否ア共通点について両意匠の基本的構成態様に係る共通点は 「踏板式ごみ箱」という極 ,めて抽象的な印象をもたらすに過ぎず,これだけで需要者が混同しやすい状況下にあるとはいえない。
また,具体的構成態様中,本体の側面壁・背面壁,踏板,車輪に係る共通点は,いずれも本件登録意匠の要部ではない。
イ差異点について(ア) 正面壁本件登録意匠は,需要者に最も注視される本体の,商品の顔ともいえる正面壁に,それまでの意匠にない特徴を有しており,これは,看, 。, 者の美感を特に喚起する 最も重視すべき点の1つである すなわち, , 本件登録意匠の正面壁は 唯一曲線が使用されてS字状となっており全体的に女性的な印象を強く看者に与える箇所である。
逆に,被告意匠の正面壁はへの字状であり,同じくへの字状の蓋体20及び鍔部と相まって,全体的に男性的な印象を与えている。また,明確に屈曲線が看取できる。
よって,この点は,特に重要な差異点である。
(イ) 鍔部の先端(取っ手)本件登録意匠において,取っ手が載置されている鍔部の先端は,需要者の目を惹く部分であるし,車輪付きごみ箱では,ごみ箱を転がすために設置された取っ手には,より注目が集まるのであって,鍔部の先端(取っ手)は本件登録意匠の要部である。
これに対し,被告意匠の取っ手は,鍔部の一部として構成されているため,ほとんど目立たない。
したがって,この差異点も,両意匠が与える美感の違いに十分貢献する。
(ウ) 蓋体本件登録意匠の蓋体は,浅い矩形の箱をひっくり返した周知の形状である。
これに対し,被告意匠の蓋体は,天井面の中央部に横線があり,かつ,この横線よりも正面側が下方に傾斜しており,鍔部上面板の蓋体より外方部分が,帽子をひっくり返した鍔の印象を与える。さらに,, 。 被告意匠の蓋体は 鍔部垂板と合体して二階建て蓋体の印象を与えるそして,蓋体は,ごみ箱を見下ろしたときに最初に見える,第一印象を与える箇所であり,意匠全体に占める割合も大きいから,需要者の美感に与える影響は大きい。
(エ) 蓋体と鍔部, , 蓋体から正面壁にかけては 最も需要者の注意を惹く部分であって蓋体と鍔部の構造は要部である。
もっとも,本件登録意匠の蓋体と鍔部は,平坦な鍔部の上に直方体21形の蓋体を載せているだけの極めて平凡な意匠である。
これに対して,被告意匠における,本体開口縁の鍔部と蓋体が共にへの字状である意匠は,公知意匠にはない新規なものであるし,蓋体と鍔部とが相似状の二段重ねの形状を有して1個の屈折面を有する形状は,正面壁の3個の屈折面と共に,看者に強く頑丈性と複雑性を感じさせるものであって,男性的な印象を与え,新規性を有する。原告の主張する公知意匠で,蓋体と鍔部で形成される二段の階段状の意匠は,被告意匠と意匠美が全く異なるし,公知意匠間においても,蓋体の形状は,それぞれ異なっている。
,, , このように 被告意匠における 鍔部及び蓋体の複雑な二重構造と本件登録意匠における,平面状の鍔部に屈曲面のない箱状の蓋体が載置されている単純な構造とでは,需要者に与える印象や美感が大きく異なる。
(オ) 全体の美感全体的に観察した場合,本件登録意匠は,しなやかで繊細な女性的印象を需要者にもたらすが,被告意匠は,全体的に膨張して見え,しかも角張った印象を与えるので,男性的な印象を需要者にもたらす。
仮に,本件登録意匠が水鳥を連想させるとしても,被告意匠は,水鳥はおろか生物すら連想させず,人工構造物を連想させる。
,, ,。 このように 両意匠は 需要者に与える全体の印象が 全く異なるまた,本件登録意匠より後に,本件登録意匠と同様の「正面壁,踏,」 (), 板 車輪 を備えた意匠が登録されていることからしても 甲22被告意匠と本件登録意匠とは,明らかに類似しない。
類否判断両意匠の共通点は,いずれも要部に係るものではなく,差異点は,全体の美感にまで影響を及ぼすほど強烈であり,両意匠は類似しない。
22(( )) 第4当裁判所の判断 争点 被告意匠は本件登録意匠と類似するか について1本件登録意匠の構成態様(甲1の1,弁論の全趣旨)本件登録意匠は,別紙本件登録意匠目録記載のとおりであり,以下のような構成を有する。
(1) 基本的構成態様横幅よりも長い奥行きをもち,奥行きよりも長い高さをもつ箱状の本体と,本体の開口部を覆う蓋体とを備えており,本体の下側には車輪が設けられ,本体正面壁の底部付近には蓋体を開閉するための踏板が突設されている。
(2) 具体的構成態様ア本体(↓正面)右側面図(背面↑) (ア) 正面壁正面壁は,横幅全体が,開口縁から,滑らかな曲線を描きながら,ごくわずかに内方に傾斜して下がった後,中央付近でやや勾配を大きくして,さらに内方に傾斜して下り,再び勾配を小さくして下った後,下部において垂直に下がる形状であり,側面視において,右図の左端線のとおり,緩やかなS字曲線(シグモイド曲線)を描いている。
また,正面壁下端は,正面壁上端, 。 の位置より奥行き全体の18%程度 背面方向に奥まった位置にある(イ) 開口縁開口縁には,外方に伸びた鍔部が設けられている。鍔部は横直線状23であり,その正面側の先端には,円棒状の取っ手が配設されている。
(ウ) 側面壁側面壁下側角部の,側面壁と背面壁とが交合する位置に,四半円状の窪み部が形成されている。
(エ) 背面壁背面壁には,幅方向の中央部に,開口縁から底面にかけて,細長台形状の凹部が設けられ,該凹部に縦長の背板が配置されている。
イ踏板踏板は,正面壁の底部側の切り欠き部から突出し,正面壁の横幅方向の左右に若干だけスペースを残すようにして広がった矩形状であり,正面壁幅の約79%を占めている。
ウ車輪車輪は,概ね側面壁の四半円状の窪み部の内側に,車輪の中心付近が踏板と一致する高さに配置され,その直径は底面(側面側)の約33%の長さである。
エ蓋体蓋体は,底の浅い箱状を裏返しに伏せたような形であって,天井面が水平であり,その開口端面が鍔部に載置されている。
2被告意匠の構成態様(甲19の2,甲20の2,甲21の2,弁論の全趣旨)被告意匠は,別紙被告意匠目録記載のとおりであり,以下のような構成を有する。
(1) 基本的構成態様横幅よりも長い奥行きをもち,奥行きよりも長い高さをもつ箱状の本体と,本体の開口部を覆う蓋体とを備えており,本体の下側には車輪が設けられ,本体正面壁の底部付近には蓋体を開閉するための踏板が突設されて24いる。
(2) 具体的構成態様ア本体(ア) 正面壁正面壁は,横幅全体が,開口縁から垂直に下がった後,中央付近で角を形成するように(約10度の傾斜角度)内方に傾斜して,直線的に下がり,下部で再び垂直に下がるようにされた,3つの平面(略長方形に近い逆台形)から形成されるクランク形状である。
上記3つの平面は,上の面の高さが正面壁(鍔部下端部から底面まで)の高さの約50%,中の面が同じく約39%,下の面が同じく約11%であり,上の面と中の面の境界線の横線は,正面壁の中央部にあるため,明瞭に看取される。これに比べ,中の面と下の面の境界線は,多くが踏板に隠れるため,上の面と中の面の境界線に比べ,目立たない。
また 正面壁下端は 正面壁上端の位置より奥行き全体の12.5% ,,程度,背面方向に奥まった位置にある。
(イ) 開口縁(鍔部)開口縁には,外方に伸びた鍔部が設けられている。鍔部は,周縁が下方に折れたアングル状であり,正面側から背面側に向けて,中央部まで10度の角度で上り傾斜し,中央部からは水平となって,側面視において略ヘの字状を形成している。
(ウ) 側面壁側面壁下側角部の,側面壁と背面壁とが交合する位置に,四半円状の窪み部が形成されている。
(エ) 背面壁背面壁には,幅方向の中央部に,開口縁から底面にかけて細長台形25状の凹部が設けられ,該凹部に縦長の背板が配置されている。
イ踏板踏板は,正面壁の底部側の切り欠き部から突出し,正面壁の横幅方向の左右に若干だけスペースを残すようにして広がった矩形状であり,正面壁の約74%を占めている。
ウ車輪車輪は,概ね側面壁の四半円状の窪み部の内側に,車輪の中心付近が踏板と一致する高さに配置され その直径は底面 側面壁側 の約35% ,()の長さである。
エ蓋体蓋体は,横幅が正面壁上端の横幅(鍔部を除く )よりわずかに大き。
く,高さは鍔部の垂板の高さよりわずかに低く,天井面は,正面側から背面側に向けて,中央部まで10度の角度で上り傾斜し,中央部からは水平となって,側面視において略への字状を形成し,中央部において横線(への字の頂部により形成された線)が看取される形状である。
また,蓋体の開口端面が,アングル状の鍔部に段部を有するように載置され,蓋体と鍔部とが二段の階段状になっている。
3本件登録意匠の要部登録意匠とそれ以外の意匠が類似であるか否かの判断は,需要者の視覚を通じて起こさせる美感に基づいて行うものである(意匠法24条2項 。し),,,,, たがって その判断にあたっては 意匠に係る物品の性質 用途 使用態様さらには公知意匠にない新規な創作部分の存否等を参酌して,需要者の注意を惹き付ける部分を要部として把握した上で,両意匠が要部において構成態様を共通にするか否かを中心に観察し,全体として美感を共通にするか否かを判断すべきである。
以下,本件登録意匠の要部を検討する。
26(1) ごみ箱の性質,用途,使用態様ア需要者本件ごみ箱(本件登録意匠の実施品)は,一般家庭向けの,通常は屋内で使用される踏板式ごみ箱であり,その需要者は,年齢性別を問わない一般消費者である(争いがない。。)イ需要者の着目部分(ア) ごみ箱の性質,用途,使用態様からみた着目部分需要者は,ごみ箱を購入する際,一般的に,全体的な大きさ,大まかな形状(円筒状か,箱状か等 ,色彩,付加的な機能の有無(蓋付 )きか,踏板式か,車輪付きか,取っ手付きか等)などを検討する。
もっとも,付加的な機能については,需要者において,各機能の有無には関心が集まっても,各機能を生じさせるパーツ(蓋体,踏板,車輪,取っ手)の形状そのものについては,必ずしも高い注意が払われているとは限らない。本件ごみ箱についてみても,需要者の意見をまとめたものによると(乙14:インターネットで投稿されたレビュー ,むしろ,個別のパーツのデザイン性ではなく,全体的なデザ )インに着目している需要者が多いことが窺える。
(イ) 本件ごみ箱固有の着目部分本件ごみ箱は,斬新的な造形表現がなされていること,美しさのあるデザインであることなどを理由に,グッドデザイン賞を受賞しており(乙10 ,そのデザインが特に注目されていたといえる。 )需要者は,本件ごみ箱について,一般的なごみ箱選びのポイントである,全体的な大きさ,大まかな形状,色彩,付加的機能の有無以外, ,,, に 全体的なデザインに特に注意を惹き付けられ スリム シンプルスマート,スタイリッシュ,可愛い,おしゃれなどと評価して,購入している(乙14 。)27また,本件ごみ箱の制作担当者が,開発・制作過程を説明した陳述書(乙16)や需要者の立場から作成された商品解説(乙19)によると,本件ごみ箱は,水鳥をモチーフにデザインされたものであり,主力商品において,本体及び蓋体が白色とされ,取っ手,踏板,車輪が同一色(レッドあるいはブラウン)で着色されていることなどからみても,需要者に対し,底部付近において下窄まりとなった滑らかな,,,,,, 曲面である正面壁 取っ手 踏板 車輪から それぞれ 水鳥に係る胸部から足元にかけてのライン,くちばし,足,尾をイメージさせようとしたものと考えられる。
もっとも,本件登録意匠は,色彩までを対象とするものではなく,全体を同一色で着色した場合は,底部付近において下窄まりとなった,,, 滑らかな曲面である正面壁の形状は看取できるものの 取っ手 踏板車輪はそれほど目立たなくなり,上記主力商品とは異なって,水鳥のイメージは看取しにくくなる(乙3の1,乙13の1〜3 。)(2) 公知意匠ア正面壁の形状について平成11年7月22日発行の意匠公報(甲3)には,正面壁が開口縁から中央付近まで内方に傾斜して直線的に下降した後,中央付近からは垂直に下降するごみ収納箱が示されている。
イ踏板について(),, 平成7年2月22日発行の意匠公報 甲16 には 矩形状の踏板が正面壁の底部側の切り欠き部から突出しており,踏板の横幅が,正面壁の横幅の約2分の1を占める汚物入れが示されている。
また,平成9年12月16日発行の意匠公報(甲17)には,踏板が正面壁の底部の凹部において,切り欠き部から突出しており,正面壁横幅方向の左右に若干だけスペースを残すようにして,横幅方向に大きく28広がったごみ箱が示されている。
ウ車輪について平成10年9月14日公開の特許公報(甲10)には,両側面壁下部に,それぞれ1個の四半円状の切り欠き部を設け,各切り欠き部に車輪を配設した塵芥容器の図面が示されており,平成11年7月27日公開の特許公報(甲11)には,同様の構成である反転式ごみ容器の図面が示されている。
エ取っ手について昭和50年2月18日発行の意匠公報 乙4の1 には 円棒状の取っ (),手が,別の部材を介して正面壁上部と繋がり,取っ手と正面壁との間に手指を入れる隙間のあるごみ箱が示されており,2001年9月1日発行のカタログ(乙9の1)には,同様の構成であるごみ箱収納庫が紹介されている。
(3) 要部ア正面壁の形状前記(1)によると,需要者は,本件登録意匠の正面壁の,底部付近において下窄まりとなった滑らかな曲面である形状に着目することから,。, 同形状を本件登録意匠の要部ということができる 前記(2)アのとおり正面壁が下窄まりとなったごみ収納箱の意匠は,本件登録意匠の出願日(平成15年10月17日)以前に公知であるが,上記公知意匠の正面壁は,開口縁から中央付近まで急勾配で直線的に傾斜して窄まり,中央付近からは垂直面となって下がっているのであり,本件登録意匠のように,底部付近において下窄まりとなってはいないし,滑らかな曲面でもない。被告も,正面壁が滑らかな曲面であることについては,本件登録意匠新規性を認めるところである。
イ全体のまとまり感29前記アの特徴的な正面壁に,比較的大きな幅広の踏板と比較的大きな車輪を組み合わせた公知意匠は見あたらず,これらが水鳥をイメージさせる形で同時に取り入れられた結果,本件ごみ箱全体のデザインが「斬新的な造形表現」という評価を受けたことから,これらの組合せはそれ自体として,本件登録意匠の要部ということがいえる。
ウ踏板,車輪,取っ手,蓋体一方,踏板,車輪,取っ手については,前記(2)のとおり,本件登録意匠の出願日以前の公知意匠がそれぞれ存し,また,蓋体については,薄い直方体であり,極めてありふれた形状である。
以上によると,これらの部分は,それぞれ自体としては,本件登録意匠の特徴的な部分ということはできない。
エまとめ以上のことからすれば,本件登録意匠の要部は,底部付近において下窄まりとなった滑らかな曲面である正面壁の形状及びこの形状と大きな車輪と大きな踏板とを組み合わせた構成であると認められる。
4本件登録意匠と被告意匠との類否本件登録意匠と被告意匠は,基本的構成態様が共通する(争いがない )。
ところ,具体的構成態様において,前記3(3)の要部を対比すると,次の共通点及び差異点を見出すことができ,これによると,両意匠は類似しているとはいえない。
(1) 共通点両意匠とも,正面壁の横幅全体が,底部付近において下窄まりとなった形状である。また,本件登録意匠において,正面壁下端は,正面壁上端の位置より18%程度,背面方向に奥まった位置にあり,被告意匠においては,正面壁下端は,正面壁上端の位置より12.5%程度,背面方向に奥まった位置にあり,その程度はやや異なるものの,いずれも,正面壁下端30が,背面方向に奥まった位置にある。
また,上記正面壁に,大きな車輪と踏板とを組み合わせた点においても共通する。
(2) 差異点本件登録意匠では,正面壁が,側面視において緩やかなS字曲線(シグモイド曲線)を描いており,この曲線は,開口縁付近では内方にごくわずかに傾斜していたものが,中央付近でやや勾配を大きくして下り,その後再び勾配を小さくして,下部の垂直面に繋がるという,優美で流れるようなラインであって,需要者に対し,すっきりとした,洗練された印象を与えている。そして,蓋体の天井面や本体の両側面が,いずれも凹凸のない, , 平面で構成されている本件登録意匠において 正面壁は唯一の曲面でありそのラインの滑らかさと相まって,需要者の注目度は際だって高いといえる。
一方,被告意匠(甲19の2,甲20の2,甲21の2)では,正面壁が,? 上半分を占める,大きな縦長の垂直面(鍔部下端部から底面までの高さの約50%の高さ ,? 中央下に位置する,内方へ直線的に傾斜 )した略正方形状の面(同約39% ,? 最下部に位置する,小さな横長 )の垂直面(同約11%)という,大・中・小の3つの平面で構成されている上,?の面のみが傾斜しているため,3つの面が折れ線状のラインを形成し,需要者に対し,無機質的で,堅牢な構築物の印象を与えている。さらに,被告意匠の正面壁は,上の面と中の面との境界が山折り線になっており,境界線として明瞭に確認することができる。
(3) 類否ア要部観察前記(1)の共通点のうち,正面壁の横幅全体が底部付近において下窄まりである形状が共通する点は,本件登録意匠のデザイン的特徴を決定31づけている要素の1つであり,要部であるが,上記形状から受ける印象は,後述するとおり,下窄まりの具体的形状が,曲線であるか,直線であるかによって,大きく異なっており,むしろ,この相異点が正面壁の形状の印象を決定づけるということができる。
また,上記正面壁の形状と,車輪と踏板との組合せが共通する点については,車輪と踏板という機能に基づく形状である上,それ自体としては,ありふれた形状であるため,この共通点から受ける印象の程度はそれほど高いとはいえない。
これに対して,前記(2)の差異点は,本件登録意匠のデザイン的特徴を決定づけている要部に係る差異点であり,前述したとおり,本件登録,。 , 意匠の要部において 最も特徴的である この差異点から受ける印象は共通点から受ける印象を凌駕しており,両意匠は,視覚を通じて起こさせる美感を異にしているということができる。
全体観察本件ごみ箱や被告各製品を室内に置いて,ある程度離れて見た場合の,, , 全体観察においても 本件登録意匠が 蓋体の天井面や本体の両側面をいずれも凹凸のない平面とし,底部付近において下窄まりとなった滑らかな曲面の正面壁,取っ手,踏板,車輪のみで,抽象的に水鳥をイメージさせた,スマートでスタイリッシュなデザインであるのに対し,被告意匠は,正面壁及び蓋体の天井面が,いずれも,中央付近で山折り線が, ,, 看取できる 傾斜の異なる複数の面で構成されていたり 鍔部の周縁が下方に折れたアングル状となっているなど,大小の面を多用した,幾何学的で複雑なデザインとなっており,両意匠は全体としての美感も異にしている。
ウしたがって,被告意匠と本件登録意匠は類似しているとはいえない。
第5結論32以上のとおりであるから,原告の請求は,いずれも理由がない。
よって,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 山田陽三
裁判官 達野ゆき
裁判官 北岡裕章
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