審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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平成22ネ10014各意匠権侵害差止等・特許権侵害差止等 | 判例 | 意匠 |
平成23ワ9476意匠権侵害差止請求事件 | 判例 | 意匠 |
平成21ネ2110損害賠償請求控訴事件 | 判例 | 意匠 |
平成21ワ13219損害賠償等請求事件 | 判例 | 意匠 |
平成22ワ13746意匠権侵害差止等請求事件 | 判例 | 意匠 |
関連ワード | 新規性 / 新規性喪失の例外 / 関連意匠(10条) / |
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事件 |
平成
22年
(行コ)
10004号
異議申立棄却決定取消請求控訴事件
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控訴人X 同訴訟代理人弁護士 田嶋春一 同 補佐人弁理士尾崎光三 被控訴人 国 同代表者法務大臣 処分行政庁 特許庁長官 同 指定代理人川勝庸史千葉智子市川勉大江摩 弥子天道正和 |
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裁判所 | 知的財産高等裁判所 |
判決言渡日 | 2011/01/11 |
権利種別 | 意匠権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
1本件控訴を棄却する。 2控訴人の当審において追加した請求を棄却する。 3当審における訴訟費用は控訴人の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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全容
第1申立て(控訴の趣旨)1原判決を取り消す。 2意願2008-023307に関し,特許庁長官が平成21年2月20日付けでした手続却下の処分に対して控訴人がした異議申立てについて,特許庁長官が平成21年8月28日付けでした異議申立てを棄却する旨の決定を取り消す。 (当審において追加した請求の趣旨)3意願2008-023307に関し,特許庁長官が平成21年2月20日付けでした手続却下の処分を取り消す。 (訴訟費用の負担)4訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人の負担とする。 第2事案の概要(略称は,原判決の略称に従う。)1本件は,原審において,控訴人が,意匠登録出願に関し,意匠法4条3項に規定する新規性喪失の例外証明書を,同条項に規定する「意匠登録出願の日から30日以内」の最終日の翌日に提出したところ,特許庁長官から,同証明書が提出期間の経過後に提出されたものであることを理由として,平成21年2月20日付けで手続却下の処分(本件却下処分)を受けたので,これに対する異議申立てをしたが,同年8月28日付けで異議申立てを棄却する決定(本件棄却決定)を受けたため,本件却下処分の違法を主張して,本件棄却決定の取消しを求めた事案である。 2原判決は,本件棄却決定の取消しを求める本件訴えにおいては,行政事件訴訟法10条2項の規定により,本件棄却決定の違法事由として控訴人が主張し得るのは,本件棄却決定の固有の違法事由(瑕疵)に限られるところ,控訴人は,本件却下処分の違法を理由として本件棄却決定の取消しを求めるものであって,本件棄却決定に取消しの理由となるべき違法事由があるとは認められないから,本件棄却決定は適法であるとして,控訴人の請求を棄却した。 なお,原判決は,念のため,控訴人の主張する本件却下処分の違法についても検討し,これを適法であるとした。 控訴人は,これを不服として控訴するとともに,当審において,原審における主張を踏まえて,本件却下処分の取消しを求める請求を追加した。 3控訴人の本件各請求について判断する前提となる事実は,原判決2頁15行目から4頁2行目までに摘示のとおりであるから,これを引用する。 4本件訴訟の争点(1)本件棄却決定は取り消されるべきものか否か(争点1)(2)本件却下処分は取り消されるべきものか否か(争点2)第3当事者の主張1原審における主張当事者の原審における主張は,原判決4頁4行目から12頁2行目までに摘示のとおりであるから,これを引用する。 2当審における主張〔控訴人の主張〕(1)本件却下処分の違法事由について原判決は,本件棄却決定の取消しを求めた控訴人の請求について,本件却下処分の違法を理由として,本件棄却決定の取消しを求めることはできないから,控訴人の主張は,主張自体失当であると判断した。 したがって,控訴人は,控訴審において,本件却下処分の取消しを求める請求を追加するものであり,同処分の違法事由は,原審において主張したとおり,「最長想定証明書提出期限」の範囲内であれば,意匠法4条3項の規定する「意匠登録出願の日から30日以内」を超えて,本件証明書の追完が認められるべきであるところ,これを却下した本件却下処分は,同条の解釈適用を誤ったのみならず,最高裁昭和45年判決にも反するものであるから,取消しを免れないというものである。 (2)最高裁昭和45年判決についてア原判決は,最高裁昭和45年判決は,新規性喪失の例外証明書の提出に関して,提出期間等が法律により明文規定が置かれていなかった旧特許法,旧規則における事案であるので,提出期間等が意匠法4条3項により明文をもって定められている本件の事案とは,その前提を異にするとする。 しかしながら,旧規則41条の「願書ニ添付スヘシ」との規定は,出願時に例外証明書を提出すべきであることを定めたものと解されるから,旧特許法,旧規則においても,例外証明書の提出期間等が明文をもって規定されていたものであって,原判決の解釈は誤りである。 イ最高裁昭和45年判決は,旧規則41条が例外証明書を願書に添付すべきものとする点については,特許出願自体が当該事案で問題となった博覧会開会の日から6か月以内は許されるのであるから,仮に出願時に必要書類の添付がないとしても,6か月以内であれば,その追完を許すものと解すべきであるとするから,同判決は,「最長想定出願期限」,「最長想定証明書提出期限」なる概念を前提とするものである。 ウ最高裁昭和45年判決によると,出願人は,旧規則41条における6か月以内の法定期間の最終日を任意の出願日として選択し得るところ,意匠法4条2項,3項では,例外証明書の提出期限について,30日の期間を加えることによって,出願人保護の強化が図られているのであるから,同条3項における法定期間の30日に関しても,同条2項における6か月の法定期間の最終日が出願日として選択された場合における,最長想定証明書提出期限までの期間が許容されると解すべきである。 原判決は,例外証明書の提出期限が,旧特許法ではなく,旧規則により規定されているとの一事をもって,最高裁昭和45年判決を無視し,意匠法4条に関し,杓子定規の文理解釈にとらわれ,旧特許法6条,旧規則41条における解釈との整合性を犠牲にし,その結果として,意匠法4条改正による出願人の保護強化の趣旨を没却させる点で,相当ではない。 (3)小括以上からすると,本件却下処分は取消しを免れないものである。 〔被控訴人の主張〕(1)本件却下処分の違法事由について意匠法4条3項の定める「意匠登録出願の日から30日以内」という例外証明書の提出期間の起算日は,その文言のとおり,「意匠登録出願の日」以外に解釈する余地はなく,「最長想定証明書提出期限」まで,追完を認めるべき理由はない。 したがって,本件却下処分は相当である。 (2)最高裁昭和45年判決についてア旧規則41条は,旧特許法6条1項の適用を受けるための要件として,願書に所定の書面等の添付を求める旨定めているところ,これを添付すべき時期について明文で定めるものではなく,最高裁昭和45年判決も,旧規則41条において,出願時に必要書類を提出することが定められていることを前提として,博覧会開会の日から6か月以内の追完を許すと判断したものではない。 イ最高裁昭和45年判決は,旧規則41条に同条所定の書面等の提出期限が定められていないことから,旧特許法6条1項所定の6か月以内の出願期間内においては,上記書面等の追完が許される旨を判示したにすぎず,それ以上,博覧会開会の日から6か月が経過しようとする日について,「最長」の「期限」であるなどという格別の意味を見いだし,同日が想定される最長の出願期限であるとか,旧規則41条所定の書面の最長提出期限であることを認めるかのような判断をしたわけではない。 ウ原判決は,例外証明書の提出期限等について,法令に明文規定がなかった旧特許法,旧規則に係る最高裁昭和45年判決の事案と,意匠法4条3項という明文規定が置かれている本件とは,前提となる事案が異なるとしたものであり,控訴人が強調する,法律と規則のいずれにおいて規定が設けられているかを特に考慮しているわけではない。 以上からすると,原判決の判断に,何らの誤りはない。 (3)小括以上からすると,本件却下処分は,何ら違法ではなく,取り消されるべきものではない。 第4当裁判所の判断1争点1(本件棄却決定は取り消されるべきものか否か)についてこの点に対する判断は,原判決12頁5行目から13頁19行目までに説示のとおりであるから,これを引用する。 2争点2(本件却下処分は取り消されるべきものか否か)についてこの点に対する判断は,原判決16頁4行目の後に,改行して,以下のとおり加えるほかは,原判決13頁24行目から16頁10行目までに説示のとおりであるから,これを引用する。 「この点について,控訴人は,当審において,旧規則41条は,例外証明書の提出期間を出願時と定めたものであって,旧特許法,旧規則においても,例外証明書の提出期間等が明文で定められていたものである,最高裁昭和45年判決は,「最長想定出願期限」,「最長想定証明書提出期限」なる概念を前提としている,例外証明書の提出期限が,旧特許法ではなく,旧規則により規定されているとの一事をもって,最高裁昭和45年判決を無視し,意匠法4条に関し,杓子定規の文理解釈をすると,意匠法4条改正による出願人の保護強化の趣旨を没却させるなどと主張する。 しかしながら,旧規則41条は,例外証明書を願書に添付することを定めたのみで,その提出期限まで明文で定めていなかったからこそ,最高裁昭和45年判決が指摘するとおり,出願自体が許される期間までであれば,上記証明書の追完を認める余地があるにすぎず,最高裁昭和45年判決は,意匠法4条のように,出願自体に一定の期間を設けた上で,さらに出願時から一定期間について例外証明書の提出期間を定めた場合において,出願が許される期間と例外証明書の提出期間とを通算して,明文規定により許された期間を逸脱した「最長想定証明書提出期限」なる概念を前提としたものということはできない。 また,意匠法4条は,6か月の出願期間に加え,出願から30日の例外証明書提出期間を設けているところ,出願期間の範囲内において,出願人自らが出願日を任意に選択し得るのであるから,その出願日から30日以内に例外証明書の提出を要求したからといって,出願人の保護に欠けることはない。」3結論以上の次第であるから,控訴人の原・当審における請求を棄却した第1審判決は相当であって,本件控訴は棄却されるべきものであり,また,控訴人の当審において追加した請求も,棄却されるべきものである。 |
裁判長裁判官 | 滝澤孝臣 |
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裁判官 | 本多知成 |
裁判官 | 荒井章光 |