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事件 平成 23年 (ワ) 3361号 意匠権侵害差止等請求事件
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裁判所 大阪地方裁判所 
判決言渡日 2012/11/08
権利種別 意匠権
訴訟類型 民事訴訟
判例全文
判例全文
平 成24年11月8日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

平成23年(ワ)第3361号 意匠権侵害差止等請求事件

口頭弁論終結日 平成24年7月20日

判 決

原 告 株式会社ニチエイ

同 訴訟代理人弁護士 三 山 峻 司

同 井 上 周 一

同 木 村 広 行

同 松 田 誠 司

同 訴訟代理人弁理士 小 森 久 夫

同 小 澤 壯 夫

被 告 株式会社美友

( 以下「被告美友」という。)

被 告 ami株式会社

( 以下「被告ami」という。)

被告両名訴訟代理人弁護士 冨 永 博 之

被告両名訴訟代理人弁理士 鎌 田 和 弘

主 文

1 被 告美友は,別紙被告商品目録記載の立体フェイスマスクを販売し,

販売の申出をしてはならない。

2 被告amiは,別紙被告商品目録記載の立体フェイスマスクを輸入

し,販売し,販売の申出をしてはならない。

3 被告らは,原告に対し,各自金105万8608円及びこれに対す

る平成24年4月30日から支払済みまで年5分の割合による金員

を支払え。

4 訴 訟費用は,これを5分し,その1を被告らの負担とし,その余を
原 告の負担とする。

5 こ の判決は,第1項ないし第3項に限り,仮に執行することができ

る。

事実及び理由

第1 請求

1 主 文第1及び2項と同旨

2 被告らは,原告に対し,連帯して金1381万2500円及びこれに対す

る平成24年4月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払

え。

3 被 告らは,それぞれ所有する別紙被告商品目録記載の立体フェイスマスク

を廃棄せよ。

第2 事案の概要

1 本 件は,後記本件各意匠権を有し,かつ,別紙原告商品目録1,2記載の

各立体フェイスマスク(以下,順に「原告商品1」 「原告商品2」といい,


総称して「原告各商品」という。)を製造販売する原告が,別紙被告商品目

録記載の立体フェイスマスク(以下「被告商品」という。)の輸入販売等を

する被告ら各自に対し,被告らには,民法719条1項前段又は同条2項の

関係があるとして,以下の請求をした事案である(なお,同一内容の請求に

ついては選択的併合の関係にある。 。


(1) 意匠権侵害を理由とする請求

ア 意匠法37条1項,2項に基づく被告商品の輸入販売等の差止め・廃

棄請求

イ 意匠権侵害の不法行為に基づく損害賠償金1381万2500円及

びこれに対する不法行為の後の日である平成24年4月30日から支

払済みまで年5分の割合による遅延損害金の請求

(2) 不正競争防止法2条1項3号の不正競争該当を理由とする請求
ア 同 法3条1,2項に基づく被告商品の輸入販売等の差止め・廃棄請求

イ 同法4条に基づく損害賠償金1381万2500円及びこれに対す

る不法行為の後の日である平成24年4月30日から支払済みまで年

5分の割合による遅延損害金の請求

2 判断の基礎となる事実

以下の事実は,当事者間に争いがないか,掲記の各証拠又は弁論の全趣旨

により容易に認められる。

(1) 当事者
ア 原告は,化粧品・医薬部外品・化粧雑貨・衛生材料・医療機器等の製

造販売を業とする会社である(甲1)。

イ 被告美友は,化粧品の製造,販売及び輸出入等を業とする会社である

(甲2)。

ウ 被告amiは,医薬品,医薬部外品,化粧品,健康食品等の製造販売

などを業とする会社である(甲3)。

(2) 原告の意匠権

原告は,立体フェイスマスクに関する次の意匠権を有している(なお,

以下の本件意匠権1〜3を総称して「本件各意匠権」という。 。


ア 本件意匠権1(甲4。以下,その登録意匠を「本件本意匠」という。)

登 録 番 号 第1371301号

登 録 日 平成21年9月11日

意匠に係る物品 立体フェイスマスク

登 録 意 匠 別紙意匠公報1記載のとおり。

イ 本件意匠権2(甲5。なお,本件意匠権2の登録意匠は,本件本意匠

関連意匠であり,以下「本件関連意匠@」という。)

登 録 番 号 第1371578号

登 録 日 平成21年9月11日
意 匠に係る物品 立体フェイスマスク

登 録 意 匠 別紙意匠公報2記載のとおり。

ウ 本件意匠権3(甲6。なお,本件意匠権3の登録意匠は,本件本意匠

関連意匠であり,以下「本件関連意匠A」という。)

登 録 番 号 第1371579号

登 録 日 平成21年9月11日

意匠に係る物品 立体フェイスマスク

登 録 意 匠 別紙意匠公報3記載のとおり。

(3) 原告商品の販売

原告は,化粧品会社にOEM商品として納入することを予定して,遅く

とも平成21年4月頃までに,原告各商品を開発した。

訴外株式会社カネボウ化粧品は,原告から納入された原告商品1を「イ

ンプレス コンセントレートマスク3D」という商品名で,遅くとも同年

9月4日頃までに,一般消費者に販売開始し,また,訴外株式会社エキッ

プは,原告から納入された原告商品2を「SUQQU リファインド フ

ロウ ストレッチマスク」という商品名で,遅くとも同年11月20日頃

までに,一般消費者に販売開始した(甲15〜17)。

(4) 被告らの行為

ア 被告美友は,平成22年9月頃から,韓国で製造された被告商品を日

本国内で販売しており(甲7,8),被告amiは,その製造販売元(輸

入元)とされている(甲7)。

イ 被告商品の構成は,別紙被告商品図面記載のとおりである(以下,被

告商品に係る意匠を「被告意匠」という。 。


3 争点

(1) 意匠権侵害を理由とする請求

被告意匠は本件本意匠,本件関連意匠@,本件関連意匠Aと類似するか
( 争点1)

(2) 不正競争防止法2条1項3号の不正競争該当を理由とする請求

被告商品は原告各商品の形態を模倣した商品であるか(争点2)

(3) 被告amiの侵害行為の有無及び共同不法行為の成否(争点3)

(4) 原告の損害額(争点4)

第3 争点に係る当事者の主張

1 争点1(被告意匠は本件本意匠,本件関連意匠@,本件関連意匠Aと類似

するか)について

【 原告の主張】

(1) 本件各意匠の構成

ア 本件本意匠の構成は,別紙本件各意匠の構成(当事者の主張)記載「1

本件本意匠の構成」の【原告の主張】欄のとおりである。

イ 本件登録意匠@の構成は,別紙本件各意匠の構成(当事者の主張)記

載「2 本件関連意匠@の構成」の【原告の主張】欄のとおりである。

ウ 本 件登録意匠Aの構成は,別紙本件各意匠の構成(当事者の主張)記

載「3 本件関連意匠Aの構成」の【原告の主張】欄のとおりである。

(2) 被告意匠の構成

被告意匠の構成は,別紙被告意匠の構成(当事者の主張)記載【原告の

主張】欄のとおりである。

(3) 類否について

ア 意匠の要部

以下の(ア)ないし(エ)の事情によれば,本件各意匠の要部は,主に,額

から鼻口と顎の下までのラインと額から耳側にかけてのラインにあり,

より具体的には,正面図において,@鼻及び唇の周囲に対向する部分を

除いた右側外形線及び左側外形線で画される略釣鐘状の形状(上端から

下顎上端部に対向する部分の高さまで),A右側外形線のうち顎部の下
部 の略直線を除く全体としての具体的な形状,B右側外形線及び左側外

形線と略楕円形状の孔部とによって表れる具体的な形状,C右側外形線

に沿って多数の矩形が構成され,これが縞状に視認される形状である。

(ア) フェイスマスクの性質,使用目的,用途及び使用実態

フェイスマスクは保湿効果などのために顔に装着して使用される

もので,顔へのフィット感が商品の価値を左右する。フェイスマスク

の使用実態からすれば,使用者がフェイスマスクを顔に装着させて使

用している状態での形状や外観が,使用者や周囲の者の目に触れる状

態である。意匠の美感は,このような使用状態を踏まえて判断される

べきである。

本 件各意匠を実施した原告の立体フェイスマスクにおいては,正中

線と額から耳側にかけてのラインが意匠の美感に大きな影響を与え

ており,これによって,コンパクトでまとまり感があり,見栄えがし

つつフィット感のある外観となっている。

な お,首部は顔面部に比して付随的なものであり,用途上も看者の

目に止まりにくい部分である。

( イ) 意匠の創作過程

また,意匠の創作経緯は,要部認定の重要な間接事実となる。

本件各意匠は,額から鼻口と顎の下までのライン(上下に走る正中

線)及び額から耳側にかけてのラインの形状の創作に,多大な費用と

労力及び時間が傾注されている(甲24)。

(ウ) 関連意匠

本件本意匠と本件関連意匠@Aとは,額から鼻口と顎の下までのラ

イン(上下に走る正中線)及び額から耳側にかけてのラインの形状

おいて共通している。

(エ) 公知意匠,周知意匠
フ ェイスマスクの意匠は,基本的には物品の構成に従うが,ある程

度の自由度がある。

フェイスマスクの意匠にも様々なものがあるところ(甲16),本

件各意匠を実施した原告のフェイスマスクは,立体フェイスマスクと

して,パイオニアと位置付けられる物品である。

イ 本件各意匠と被告意匠との比較

本件各意匠と被告意匠を対比すると,下側外形線の形状が異なり,切

込線の形状も多少異なる。また,本件関連意匠@Aに限っては首部の有

無も異なる。しかし,これらの相違点は,いずれも本件各意匠の要部に

係るものではない。

一 方,その他の構成について,本件各意匠と被告意匠は,その寸法比,

角度に至るまで,誤差程度の差異を除いてほぼ完全に一致しており,要

部に係る点は,これらの一致点に全て含まれている。

ウ 小括

し たがって,本件各意匠と被告意匠は実質的に同一であり,少なくと

も類似する。下側外形線及び首部に係る相違点については,フェイスマ

スクの使用時に使用者が看取し難い部分であり,上記一致点から生じる

共通の印象を覆すものではない。

【 被告らの主張】

(1) 本件各意匠の構成

ア 本件本意匠の構成は,別紙本件各意匠の構成(当事者の主張)記載「1

本件本意匠の構成」の【被告らの主張】欄のとおりである。

イ 本件登録意匠@の構成は,別紙本件各意匠の構成(当事者の主張)記

載「2 本件関連意匠@の構成」 【被告らの主張】
の 欄のとおりである。

ウ 本 件登録意匠Aの構成は,別紙本件各意匠の構成(当事者の主張)記

載「3 本件関連意匠Aの構成」 【被告らの主張】
の 欄のとおりである。
( 2) 被告意匠の構成

被告意匠の構成は,別紙被告意匠の構成(当事者の主張)記載【被告ら

の主張】欄のとおりである。

(3) 類否について

ア 意匠の要部

(ア) 本件各意匠の出願前の公知意匠(乙1,2)を斟酌すると,本件各

意匠の要部は以下のとおりである。

@ 鼻頭部について,外側に凸となる曲線で構成され,鼻頭部と上顎

部の交点から順次,直線,内側に凸の曲線,及び垂直上方に向かう

直線に連結された鼻翼の外形を示す切込線を有し,その先端は鼻頭

先端の高さまで達している点(構成C5,E2)

A 水平方向から約20度右上向きに配置された上部の曲率半径が小

さく下部の曲率半径が大きい凸レンズ断面状の開口部を備えてお

り,開口部の左右端のそれぞれには,切込線があり,右端の切込線

は右上約20度方向に下側に凸の曲線,左端の切込線は左下約20

度方向の直線で構成されている点(構成D,E3)

B 下側の略1/4の位置で,かつ左寄りの位置から左側外形線に達

する「へ」の字状の切込線を備えている点(構成E1)

なお,原告は,各切込線は需要者が気付きにくいものであり要部と

捉えることはできないと主張するが,切込線は,フェイスマスクを顔

に貼り付ける際に重要な役割を持つものであり,需要者が注目するも

のである。

(イ) また,顔面部と首部の境界部分は,用途上,看者の目にとまりやす

い部分である。

すなわち,顔と首はその境界(下顎端)で急激な角度がついており,

しかも顔の向きは首に対して大きく動く。そのため,顔面部と首部を
一 体にした立体フェイスマスクにおいては,顔面部と首部との境界を

どのように形成するかによって首部へ密着性が大きく異なる。したが

って,顔面部と首部の境界部分は看者の注目を惹く部分といえる。

イ 本件本意匠と被告意匠との対比

(ア) 共通点

本件本意匠と被告意匠は,構成B1−2とb1−2,C1とc1,

C3とc3,C4とc4において共通する。

しかしながら,これらはいずれも本件本意匠の要部に関するもので

はない。

(イ) 差異点

@ 本件本意匠と被告意匠は,B1−1とb1−1(左側外形線)に

差異がある。本件本意匠が滑らかかつ一体的な連続した曲線で構成

された左側外形線を呈するのに対し,被告意匠は左側外形線を中断

する二つの切込線を有することにより看者に異なる美感を生ぜし

める。

また,被告意匠は突起部を備えるのに対し,本件本意匠は突起部

を備えない。被告意匠の突起部は,左側顔面と右側顔面に対応する

各シートにおいてその形状が異なっており,看者にとって最も注意

を惹く箇所の一つである。

A 本件本意匠と被告意匠は,B1−3とb1−3(下側外形線)に

差異がある。被告意匠の下側外形線は角ばった印象を与えるのに対

し,本件本意匠の下側外形線は円滑な印象を与え,美感において格

別の相違がある。

B 本件本意匠と被告意匠は,B5・E2とb5・e2(鼻頭部及び

切込線)に差異がある。被告意匠は切込線の先端が垂直上方に向か

って鼻頭先端の高さまで達しているのに対し,本件本意匠は切込線
の 先端が左斜め上方に向かい,その長さはごく僅かである。また,

被告意匠は鼻頭から切込線までの直線の傾斜が小さく,本件本意匠

は大きく,したがって鼻頭が上向きとなっている。これらの点でも

美感が大きく異なる。

C 本件本意匠と被告意匠は,B6とb6(上顎部)に差異がある。

被告意匠は外側に凸の曲線で構成されているのに対し,本件本意匠

は内側に凸の曲線と外側に凸の曲線で構成されており,美感が異な

る。

D 本件本意匠と被告意匠は,C7とc7(口部)に差異がある。被

告意匠は2本の直線がなす角度が比較的小さいのに対し,本件本意

匠は同角度が比較的大きく,両意匠の美感は相当異なる。

E 本件本意匠と被告意匠とでは,B7とb7(下顎部)に差異があ

る。被告意匠は直線的であるのに対し,本件本意匠はその上部にか

なり目立つ凹みがあり,相当異なった美感となっている。

F 本件本意匠と被告意匠とでは,Dとd(開口部及び切込線)に差

異がある。被告意匠は,本件本意匠と比較して,楕円形状の開口部

を有し,目の左右の傾斜も本件本意匠よりも緩やかである。また,

被告意匠は,本件本意匠と比較して,左右端の切込線の形状も異な

り,下部に2本の切込線を有する点でも異なる。

人の眼球に対応する開口部は,看者の心理上,わずかな相違であ

っても看者に大いに異なる美感を与える。

G 本件本意匠と被告意匠とでは,Fとf(右側外形線に対応する矩

形)に差異がある。被告意匠では,鼻頭を全て覆うように矩形部分

が形成されているが,本件本意匠においては,鼻頭の上方まで形成

されているに過ぎない。鼻頭は,立体フェイスマスクの顔面対応部

分における最も突出した箇所で目立つので,このような鼻頭におけ
形状模様,光沢の相違は,立体フェイスマスクを観察する看者

に与える印象を大きく異ならせ,全体として看者に与える美感を異

にする。

また,本件本意匠では,矩形が正面図において水平方向に配列さ

れているのに対し,被告意匠では,正中線に沿う右側外形線に対し

て直角に設けられている。すなわち,被告意匠は,右側外形線に対

応して各々縞模様の向きが異なるのに対し,本件本意匠は顔面の凹

凸に対応する複数の曲線やその向きに関係なく,常に略水平方向で

一定の横向きの縞模様として形成されており,美感は大いに異なる。

さらに,被告意匠においては,隣り合う矩形の間隔は本件本意匠

の約半分である。したがって,矩形による縞模様がより細かく見え,

美感は大いに異なる。

(ウ) 評価

以上のとおり,本件本意匠と被告意匠との共通点は本件本意匠

要部に関するものではなく,一方,相違点は被告意匠を本件本意匠

から区別すべく視覚に強く訴えるものである。

したがって,被告意匠は本件本意匠とは非類似である。

なお,被告意匠と同一の意匠が,本件各意匠の登録の後に,特許

庁において意匠登録されている(乙6)。

ウ 本件関連意匠@Aと被告意匠との対比

(ア) 本件関連意匠@との対比

本件関連意匠@と本件本意匠との主な相違点はB1−3(下側外

形線),C9(首部)の構成であるところ,被告意匠の下側外形線は

角ばった印象を与えるのに対し,本件関連意匠@の下側外形線は円滑

な印象を与え,また,被告意匠は,本件関連意匠@の首部を有してお

らず,美感において格別の相違がある。
そ の他の点は,本件本意匠と被告意匠との対比の場合と同様であ

り,被告意匠は本件関連意匠@とは非類似である

(イ) 本件関連意匠Aとの対比

本件関連意匠Aと本件本意匠との主な相違点はB1−3(下側外

形線),C9(首部)の構成であるところ,被告意匠の下側外形線は

角ばった印象を与えるのに対し,本件関連意匠Aの下側外形線は円滑

な印象を与え,また,被告意匠は,本件関連意匠Aの首部を有してお

らず,美感において格別の相違がある。

その他の点は,本件本意匠と被告意匠との対比と同様であり,被

告意匠は本件関連意匠Aとは非類似である

2 争点2(被告商品は原告各商品の形態を模倣した商品であるか)について

【原告の主張】

(1) 原告各商品の構成

ア 原告商品1の構成は,別紙原告各商品の構成(当事者の主張)記載「1

原告商品1の構成」の【原告の主張】欄のとおりである。

なお,原告商品1は,関連意匠Aの実施品である。

イ 原告商品2の構成は,別紙原告各商品の構成(当事者の主張)記載「2

原告商品2の構成」の【原告の主張】欄のとおりである。

なお,原告商品2は,関連意匠@の実施品である。

(2) 被告商品の構成

被告商品の構成は,別紙被告商品の構成(当事者の主張)記載【原告の

主張】欄のとおりである。

(3) 実質的同一性について

ア 要部について

原告商品1の要部は,本件各意匠の要部と同様に,@鼻及び唇の周囲

に対向する部分を除いた右側外形線及び左側外形線で画される略釣鐘
状 の形状(上端から下顎上端部に対向する部分の高さまで),A右側外

形線のうち顎部の下部の略直線を除く全体としての具体的な形状,B右

側外形線及び左側外形線と略楕円形状の孔部とによって表れる具体的

形状,C右側外形線に沿って多数の矩形が構成され,これが縞状に視

認される形状である。

イ 対比

原 告商品1と被告商品の形態を対比すると,@首部の有無(構成C9)

による下側外形線の形状(構成B1−3と構成b1−3),A切込線の

形状(構成Eと構成e),B右側外形線上の矩形方向(構成Fと構成f)

について相違するが,その他の構成については,誤差程度の差異を除き,

ほぼ完全に一致している。

そ して,上記相違点ABは極めて微細な相違である上,上記相違点@

については,被告商品は,原告商品1の首部をその上端から切込線(左

側外形線に達している切込線)の右端に向かって切断したものに過ぎず,

格別の工夫はみられないのであって,被告商品は,原告商品1との実質

的同一性を失わせる程度の形態の改変があったということはできない。

ま た,美感の点から見ても,需要者が注目する要部について,原告商

品1と被告商品とでは共通する。

ウ 小括

し たがって,被告商品は,原告商品1を模倣したものといえる。

な お,仮に原告商品1の模倣でなければ,同様の理由によって,原告

商品2を模倣したといえる。

【被告らの主張】

(1) 原告各商品の構成

ア 原告商品1の構成は,別紙原告各商品の構成(当事者の主張)記載「1

原告商品1の構成」の【被告らの主張】欄のとおりである。
イ 原 告商品2の構成は,別紙原告各商品の構成(当事者の主張)記載「2

原告商品2の構成」の【被告らの主張】欄のとおりである。

(2) 被告商品の構成

被告商品の構成は,別紙被告商品の構成(当事者の主張)記載【被告ら

の主張】欄のとおりである。

(3) 実質的同一性について

原告商品1,2と被告商品の形態が実質的に同一であるという主張は争

う。

なお,原告の主張は,原告商品1が本件関連意匠Aの実施品であること

を前提にするところ,両者は,右側外形線の具体的形状,口の開き方,大

きさ,開口部の位置,形状において相当異なっている。

3 争 点3(被告amiの侵害行為の有無及び共同不法行為の成否)について

【原告の主張】

被告商品の輸入販売等は,被告美友が中心となり,被告らが互いの輸入販

売行為等を認識しつつ,被告amiが輸入した商品を被告美友が仕入れて販

売するという役割分担でされている。また,薬事法上の製造販売元は被告a

miである(甲7,11)。

したがって,被告らの行為には共同不法行為が成立し,そうでなくても被

告らは互いに幇助し合う関係といえ,被告amiには侵害行為が認められる。

【被告らの主張】

被告amiは形式的な輸入・輸出元に過ぎず,実際には,被告美友が商用

インボイスの作成等の通関手続を行って,韓国の業者から輸入・輸出(返品)

し,代金も直接支払っている。

したがって,被告amiに侵害行為は認められず,共同不法行為も成立し

ない。

4 争点4(原告の損害額
【 原告の主張】

(1) 被告商品の販売による損害額(主位的主張)

ア 被告商品の総売上高は,6500万円である(50円×130万枚)。

イ 被告商品は,化粧品又化粧用調整品といえるところ,社団法人発明協

会研究センター編集の「実施料率[第5版] (甲44)によると,これ


らを含む「医薬品・その他の化学製品」における平成4年度〜10年度

までの実施料率(イニシャル無)の平均値は「7.1」であり,最高値

「50」も8件ある。

ま た,被告商品は繊維製品ともいえるところ,前掲「実施料率[第5

版] (甲44)によると,該分野における平成4年度〜10年度までの


実施料率(イニシャル無)の平均値は「6.1」であり最高値「50」

も11件ある。

さ らに,本件本意匠又は本件関連意匠@Aの各実施品は市場で高く評

価されており,その開発には莫大な時間,労力,費用が投じられている

(甲21〜30等)。また,原告は現に実施品を製造販売しており,被

告らにその実施許諾すると完全に競合するから,現実に実施許諾するこ

とはあり得ない。

以上によれば,原告が,被告に対し,本件本意匠あるいは本件関連意

匠@Aの実施に対し受けるべき金銭の額を算定するにあたり用いる相

当実施料率は19.25%を下らない。

ウ したがって,意匠法39条3項に基づく,被告商品の販売による原告

損害額は,1251万2500円(6500万円×0.1925)で

ある。

(2) 被告商品の販売による損害額(予備的主張)

なお,被告らは,被告商品の販売数量は少なくとも22万8240枚,

販売単価は1枚当たり安くとも28円であるとして,売上合計が639万
0 720円を下らないことを認めている。

したがって,意匠法39条3項に基づく,被告商品の販売による原告の

損害額は,123万0213円(639万0720円×0.1925)を

下らない。

(3) 弁護士費用相当額

弁護士費用相当額の損害については,130万円を下らない。

【被告らの主張】

(1) 被告商品の販売による原告の損害額について

被告美友による被告商品の販売量及び在庫量の合計は22万8240枚

である。また,被告商品は,平均して1枚当たり28円で販売されてきた。

し たがって,被告商品の販売価格合計は在庫品も全て販売したとしても,

上記22万8240枚に28円を乗じた639万0720円である。

また,被告商品の実施料率は,6.1%が相当である。

(2) 弁護士費用相当額について

争う。

第4 当裁判所の判断

1 争点1(被告意匠は本件本意匠と類似するか)について

当裁判所は,被告意匠は本件本意匠に類似すると判断する。その理由は以

下のとおりである。

(1) 本件本意匠の構成

ア 証拠(甲4の2)及び弁論の全趣旨によれば,本件本意匠は,別紙意

匠公報1に記載のとおりであり,意匠に係る物品を「立体フェイスマス

ク」とするもので,その構成態様は,次のとおりと認められる。

(ア) 基本的構成態様

A 薄いシート状を呈し,正面図は人の顔面の右半分,背面図は人の

顔面の左半分に対応する形状を有する。
B 正 面図における右側外形線(複数の矩形のある部分)は,顔の正

中線に対応し,外側に凸の曲線,内側に凸の曲線及び略直線を連結

して構成される。

C 正 面図における左側外形線(頂点から右側外形線の下端の矩形の

底辺を伸ばした線との交点までの部分)及び下側外形線(右側外形

線の下端と左側外形線の下端の間の部分)は,顔の周囲に対応し,

外側に凸の曲線及び略直線を連結して構成される。

D 右 側外形線及び左側外形線は,頂点から下顎上端に対応する部分

の高さまでは,鼻梁部,鼻頭部及び口部に対応する部分を除き,略

釣鐘形の外形形状を呈している。

E 正 面図における目に対応する部分に,横長の略楕円形状の孔部を

備える。

( イ) 具体的構成態様

F 右側外形線の形状

上から順に以下の部位によって構成されている。

F−1 額部は,外側に凸となる曲線で構成される。

F−2 眉間部は,内側に凸となる曲線で構成される。

F−3 鼻梁部は,略直線で構成される。

F−4 鼻頭部は,外側に凸となる曲線と略直線で構成される。

F−5 上顎部は,内側に凸となる曲線を含む略直線で構成される。

F−6 口部は,2本の直線及びこれを連結する内側に凸となる曲

線で構成される。

両直線のなす角度は略25度であり,上顎部の略直線と口

部の上側の直線とのなす角度は略直角,口部の下側の直線と

後記下顎部の上部の略直線とのなす角度は略直角である。

F−7 下顎部は,その上部の略直線と,その中部の外側に凸とな
る 曲線と,その下部の略直線とで構成される。

G 孔部の具体的な形状

水平方向から約20度右上向きで配置されている。

上部の曲率半径が小さく下部の曲率半径が大きい凸レンズ断面

状である。

H 切込線の形状

H−1 左側外形線の下方にへの字状の切込線を備える。

H−2 右側外形線の鼻頭部の略直線の延長上に,略直線及び内側

に凸の曲線からなる切込線を備える。

同切込線は,鼻翼の外形に対応する。

H−3 孔部の左右端に,切込線を備える。

右端の切込線は右上約20度方向の下側に凸の曲線により

構成される。

左 端の切込線は左下約20度方向の直線により構成される。

I 右側外形線に対応する矩形の形状

右側外形線(鼻頭部及び口部を除く。)に沿って,略同一形状

多数の微細な矩形が,その長辺がいずれも略水平となるように配置

されている。

(2) 被告意匠の構成

ア 証拠(甲12)及び弁論の全趣旨によれば,被告意匠は,立体フェイ

スマスクであって,その構成態様は次のとおりと認められる。

(ア) 基本的構成態様

a 薄いシート状を呈し,正面図は人の顔面の右半分,背面図は人の

顔面の左半分に対応する形状を有する。

b 正 面図における右側外形線(複数の矩形のある部分)は,顔の正

中線に対応し,外側に凸の曲線,内側に凸の曲線及び略直線を連結
し て構成される。

c 正 面図における左側外形線は,顔の周囲に対応し,外側に凸の曲

線及び略直線を連結して構成され,その下部に外側に凸の曲線によ

る突起形状を備える。

正 面図における下側外形線はへの字状の折れ線で構成される。

d 右 側外形線及び左側外形線は,頂点から下顎上端に対応する部分

の高さまでは,鼻梁部,鼻頭部及び口部に対応する部分を除き,略

釣鐘形の外形形状を呈している。

e 正 面図における目に対応する部分に,横長の略楕円形状の孔部を

備える。

イ 具 体的構成態様

f 右側外形線の形状

上から順に以下の部位によって構成されている。

f−1 額部は,外側に凸となる曲線で構成される。

f−2 眉間部は,内側に凸となる曲線で構成される。

f−3 鼻梁部は,略直線で構成される。

f−4 鼻頭部は,外側に凸となる曲線と略直線で構成される。

f−5 上顎部は,略直線で構成される。

f−6 口部は,2本の直線及びこれを連結する内側に凸となる曲

線で構成される。

両直線のなす角度は略25度であり,上顎部の略直線と口

部の上側の直線とのなす角度は略直角,口部の下側の直線と

後記下顎部の上部の略直線とのなす角度は略直角である(な

お,被告らはそれぞれの角度について順に21.5度,93

度,86.5度であると主張するが,いずれも最大でも3.

5度の違いに過ぎず,被告らの主張を前提にしても上記のと
お り認定できる。)。

f−7 下顎部は,その上部の略直線と,その中部の外側に凸とな

る曲線と,その下部の略直線とで構成される。

g 孔部の具体的な形状

ほぼ水平方向に配置されている。

ほぼ水平な長軸に対して対称な楕円形状である。

h 切込線の形状

h−1 左側外形線の下部に直線状の切込線を備える。

左側外形線の上部に直線状の切込線を備える。

h−2 右側外形線の鼻頭部の略直線の延長上に,略直線,内側に

凸の曲線及び略鉛直方向の略直線からなり,その先端は鼻頭

先端の高さまで達する切込線を備える。

同切込線は,鼻翼の外形に対応する。

h−3 孔部の左右端及び下部に,切込線を備える。

右端の切込線は右上約45度方向の直線により構成される。

左 端の切込線は水平方向の直線により構成される。

下 部の切込線は,下方向の直線により構成される。

i 右側外形線に対応する矩形の形状

右側外形線(鼻頭部及び口部を除く。)に沿って,略同一形状

多数の微細な矩形が,その長辺がいずれも右側外形線方向を向くよ

うに配置されている。

(3) 本件本意匠の要部について

ア 要部について

登録意匠とそれ以外の意匠が類似であるか否かの判断は,需要者の視

覚を通じて起こさせる美感に基づいて行うものである(意匠法24条

項)。
し たがって,その判断にあたっては,意匠に係る物品の性質,用途,

使用態様,さらには公知意匠にない新規な創作部分の存否等を参酌して,

需要者の注意が惹き付けられる部分を要部として把握した上で,両意匠

が要部において構成態様を共通にするか否かを中心に観察し,全体とし

て美感を共通にするか否かを判断すべきである。

イ 需要者,使用態様について

本 件本意匠及び被告意匠は,いずれも立体フェイスマスクに関するも

のであり,その需要者は美容に関心を持つ一般消費者である。

立 体フェイスマスクは,不織布等の含水性のシート体を素材として,

美容液等を含浸させた状態で顔面に貼付して使用されるものであるこ

とからすれば(甲4の2等),需要者は,顔面の正中線に対応する部分

に着目するということができる。

ウ 公 知意匠について

(ア) 公開特許公報(特開2007−330329。乙1)の図2には,

立体フェイスマスクの形状が開示されている(以下「乙1意匠」とい

う。)。

同意匠は,顔面の正中線に対応する図2の左側外形線において,額

部,眉間部,鼻梁部,鼻頭部,上顎部,口部,下顎部を備えることが

認められる。

ただし,左側外形線は,@額部は直線で構成されていること,A眉

間部は内側に凸となる鋭角であること,B鼻頭部は外側に凸となる鋭

角と直線で構成され,上顎部との間に鋭角の切込みがあること,C上

顎部は直線で構成されていること,D口部は2本の直線と内側に凸と

なる鋭角で構成されていること,E下顎部は外側に凸となる曲線で構

成されていることなどが認められる。

(イ) 公開特許公報(特開平7−194430。乙2)の図3には,立体
フ ェイスマスクの形状が開示されている(以下「乙2意匠」という。 。


同意匠は,顔面の正中線に対応する図3の左側外形線において,額

部,眉間部,鼻梁部,口部,下顎部を備えることが認められる(なお,

上顎部はなく,鼻頭部は口部と一体となっている。)。

関連意匠について

本件本意匠と本件関連意匠@Aとは,右側外形線,左側外形線,孔部,

切込線の形状,右側外形線に対応する矩形の形状において一致する。

一方,本件本意匠は,上記のとおりの下側外形線を備えるのに対し,

本件関連意匠@Aは,いずれも首部を有しており,この点において相違

する(甲5の2,6の2)。

オ 本件本意匠の要部

上記認定したところを総合して,本件本意匠の要部を検討する。

立体フェイスマスクにおいて,需要者は,顔面の正中線に対応する右

側外形線に着目するということができるところ,当該部分に額部,眉間

部,鼻梁部,鼻頭部,上顎部,口部,下顎部を備えること自体は,機能

上不可欠なものであり,本件本意匠の出願前にも当該部分を備える意匠

が存在していたことが認められる。

そうすると,本件本意匠の要部は,右側外形線の具体的な形状にある

といえる。

カ 被告らの主張について

(ア) 被告らは,顔面にフィットさせる二つ折りの立体フェイスマスク

において,顔面の凹凸に沿った形状とすること(すなわち,右側外形

線の具体的な形状)は機能上当然に導かれる形状であって,看者の注

意を惹く部分ではなく,機能上不可欠の形状であると主張する。

しかしながら,フェイスマスクの顔面に対応する部分に,額部,眉

間部,鼻梁部,鼻頭部,上顎部,口部,下顎部を設けること自体は,
立 体フェイスマスクの機能上不可欠ということができるものの,これ

らの各部位の具体的な形状は,各創作者において工夫する余地がある

のであって,この点は,乙1意匠,乙2意匠の具体的形状が本件本意

匠と同一ではないこと,平面上のフェイスマスクにおいて目,鼻,口

に対応する部分の配置及び形状に様々なものがあること(甲16)か

らも明らかというべきである。

(イ) 被告らは,切込線及び顔面と首部の境界部分が要部であると主張

する。

しかしながら,切込線自体は,意匠の外縁を形成するものではなく,

それほど目立つとはいえないし,使用実態を考慮しても,立体フェイ

スマスクは美容液等を含浸させた状態で顔面に貼付して使用される

ことからすれば,その貼付する状態はある程度自由に調整することが

でき,切込線の形状によって決定的に異なることになるわけでもない。

また,顔面と首部の境界部分(下側外形線)については,立体フェ

イスマスクは顔面を覆うことを主目的としたものであり,首部はそれ

に付随するものであることからすれば,この部分を顔面の正中線に対

応する右側外形線と同等に捉えることはできないというべきである。

し たがって,被告らの主張には理由がない。

(4) 類否について

ア 本件本意匠と被告意匠との共通点及び差異点

(ア) 共通点

本件本意匠と被告意匠とは,基本的構成態様のうち,全体的な形状

(A),右側外形線の形状(B),左側外形線の形状(Cの一部),

右側外形線と左側外形線との関係(D),孔部の形状(E)において

共通する。

また,具体的構成態様のうち,右側外形線の具体的形状(F),右
側 外形線(鼻頭部及び口部を除く。)に沿って,略同一形状の多数の

微細な矩形があること(Hの一部)において共通する。

( イ) 差異点

@ 左側外形線下部の突起形状の有無

本件本意匠には,突起形状がないのに対し,被告意匠には突起形

状がある。

A 下側外形線の構成

本件本意匠は略直線及び外側に凸の曲線により構成されているの

に対し,被告意匠はへの字状の折れ線で構成されている。

B 孔部の具体的形状

本件本意匠は,水平方向から約20度右上向きに配置され,上部

の曲率半径が小さく下部の曲率半径が大きい凸レンズ断面状であ

るのに対し,被告意匠は,ほぼ水平方向に配置され,ほぼ水平な長

軸に対して対称な楕円形状である。

C 左側外形線の切込線

本件本意匠は下部にへの字状の切込線を一つ備えるのに対し,被

告意匠は上部と下部に直線上の切込線を一つずつ備える。

D 鼻頭部の切込線

本件本意匠は,鼻頭部の略直線の延長上に,略直線,内側に凸の

曲線からなる切込線を備えるのに対し,被告意匠は,鼻頭部の略直

線の延長上に,略直線,内側に凸の曲線及び略鉛直方向の略直線か

らなり,その先端は鼻頭先端の高さまで達する切込線を備える。

E 孔部の切込線

本件本意匠は,左右端に切込線を備え,右端の切込線は右上約2

0度の方向の直線,左端の切込線は下側に凸の曲線により構成され

るのに対し,被告意匠は,左右端及び下部に切込線を備え,右端の
切 込線は右上約45度方向の直線,左端の切込線は水平方向の直線,

下部の切込線は,下方向の直線により構成される。

F 右側外形線に対応する矩形

本件本意匠は長辺がいずれも略水平となるように配置されてい

るのに対し,被告意匠は長辺がいずれも右側外形線方向を向くよう

に配置されている。

イ 類否の判断

(ア) 本件本意匠と被告意匠は,上記ア(ア)の共通点があるところ,これら

のうち特に右側外形線の具体的形状は本件本意匠の要部に関するも

のであって,両者に共通の美感を生じさせるといえる。

本件本意匠と被告意匠とは,上記ア(イ)の差異点が認められる。しか

しながら,これらはいずれも本件本意匠の要部に関するものではない。

左側外形線の下部の突起部分の有無(@)や下側外形線の構成(A)

については,意匠全体の外縁を画するもので一定の美感を形成するも

のということはいえるが,左側外形線については,全体的な形状が共

通していることからすれば下部の突起部分によってそれほど美感の

相違が生じているとはいえないし,下側外形線の構成は異なるものの,

本件本意匠の要部に関する共通点によって生じる美感の共通性を失

わせるほどの差異とまではいえない。また,孔部の具体的形状(B)

についても,孔部の位置や大きさに大差がない以上,上記程度の相違

点が美感に及ぼす影響は小さいといえる。

さらに,切込線(CDE)についても,被告意匠には,本件本意匠

の切込線とほぼ同じ位置に切込線があることからすれば,その具体的

な構成の差異は美感を異にするとまではいえない。

また,右側外形線に対応する矩形の配置(F)についても,そもそ

も矩形自体が細かい上,矩形の配置に需要者が着目するともいえない
こ とからすれば,この点が美感に及ぼす影響もまた小さいといえる。

(イ) 被告らは,本件各意匠及び被告意匠の構成に関して,各寸法比に差

異があると主張するが,被告らの主張する寸法比を前提にしても,証

拠(乙8,9)及び弁論の全趣旨によれば,両意匠の重なり合いの程

度は別紙意匠対照図の程度と認められるから,この点を理由に両意匠

は類似しないということはできない。

(5) 小括

したがって,本件本意匠と被告意匠とは,その美感を共通にするもので

あって,類似すると認められる。

2 争点3(被告amiの侵害行為の有無及び共同不法行為の成否)について

(1) 証拠(甲9,乙11〜19,21〜30)によると,被告amiは,化

粧品製造販売業者としての許可を有しており,平成21年3月頃から,被

告美友が販売する化粧品について,その化粧液の成分表に基づく成分の確

認や薬事法に係る申請手続等の業務を請け負っていたこと,被告商品につ

いては,被告amiが製造販売元として表記され,被告amiにおいて,

上記成分の確認や薬事法に係る申請手続等を行っていたことは認められ

るものの,被告amiが,被告商品の実際の通関手続まで行っていたこと,

及び被告amiが被告商品の輸入販売によって利益を得ていたことにつ

いては,これを認めるに足りる証拠はない。

(2) 以上を踏まえて検討するに,被告amiは,被告商品の輸入販売行為を

直接行うものではないにせよ,被告美友の依頼を受けて被告商品の輸入販

売に必要不可欠な手続を行っており,一般消費者にもその関与が周知され

ていたといえる。このような関与に照らせば,被告amiは,被告美友と

共同して,被告商品の輸入販売等によって意匠権侵害を行ったと認めるの

が相当である。

したがって,被告amiは,本件の意匠権侵害について,共同不法行為
責 任を負い,侵害行為も認められる。

3 争点4(原告の損害額)について

(1) 被告商品の販売による損害額

原告は,被告らによる被告商品の販売数量は130万枚,販売単価は1

枚当たり50円と主張するが,被告らが自認する22万8240枚(48

万5280枚を輸入し,25万7040枚を返品したとの主張)を超える

数量を認めるに足りる証拠はなく,前記返品(乙19,29)後になお在

庫を抱えているとするのは合理的ではないから,現時点において在庫は有

しておらず,前記争いのない数量22万8240枚については,販売済み

であると認められる。また,証拠(甲8,乙20)によれば,被告商品は,

フェイスマスク単独では1枚当たり28円で販売されていたと認められ

るから,販売単価は1枚当たり28円と認めるのが相当である。したがっ

て,被告商品の販売総額は,639万0720円である。

また,実施料率については,本件本意匠は,立体フェイスマスクの意匠

であって繊維製品といえるところ,平成4年度〜10年度までの繊維製品

の実施料率の平均値は6.1%であるが,原告が本件本意匠の開発に時間

と労力を投入したこと(甲24,25),前記のとおり,本件本意匠と被

告意匠とは類似し,商品としても,美容液を浸潤させて用いる立体フェイ

スマスクとして完全に競合する関係にあり(甲7,8,15,16,21

〜23,26〜33),上記実施料率で使用許諾する関係にあるとは解さ

れないこと,当該意匠は,商品の売上げに相当程度寄与していたといえる

ことを考慮すると,被告意匠の使用に対する使用料率としては15%をも

って相当と認める。

し たがって,意匠法39条3項に基づく,被告商品の販売による原告の

損害額は,95万8608円(639万0720円×0.15)である。

( 2) 弁護士費用相当額
本 件事案の性質,審理の経過等の諸般の事情を総合考慮すると,被告ら

による本件本意匠の侵害行為と相当因果関係のある原告の弁護士費用相

当額の損害は,10万円と認めるのが相当である。

(3) 小括

以上のとおり,本件意匠権1の侵害による原告の損害額は,105万8

608円と認められる。

第5 結論

以上によれば,被告らにおいて被告商品をなお輸入等するおそれはあるも

のの,現時点で在庫を有しているとは認められず,損害については上記のと

おりであるから,原告の請求については,主文の限度で認容し,その余につ

いては理由がないから棄却し,認容する請求については仮執行宣言を付する

こととして,主文のとおり判決する。




大 阪地方裁判所第21民事部



裁判長裁判官 谷 有 恒




裁判官 松 川 充 康




裁判官 網 田 圭 亮
( 別紙)

被告商品目録



商品名:セラムLE マスクシート

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