関連審決 | 不服2014-16810 |
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事件 |
平成
28年
(行ケ)
10034号
審決取消請求事件
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原告 井村屋グループ株式会社 訴訟代理人弁理士 後藤憲秋 鬼頭優希 加藤大輝 被告特許庁長官 指定代理人本多誠一 斉藤孝恵 橘崇生 田中敬規 |
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裁判所 | 知的財産高等裁判所 |
判決言渡日 | 2016/09/21 |
権利種別 | 意匠権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
1 特許庁が不服2014−16810号事件について平成27年11月20日にした審決を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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原告の求めた裁判
主文同旨 |
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事案の概要
本件は,意匠登録出願に対する拒絶査定不服審判請求を不成立とした審決の取消訴訟である。争点は,一意匠一出願の要件(意匠法7条)についての判断の当否である。 1 特許庁における手続の経緯 原告は,平成25年3月7日,意匠に係る物品を「冷菓」として,別紙記載の本願意匠につき意匠登録出願をし(意願2013-5010号。甲1の1及び2),平成26年5月29日付けで拒絶査定を受けた(甲2)ので,同年8月25日,意匠に係る物品を「容器付冷菓」と手続補正した(甲4)上で,拒絶査定に対する不服の審判を請求した(不服2014-16810号。甲3)。 特許庁は,平成27年11月20日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,その謄本は,平成28年1月6日に原告に送達された。 2 審決の理由の要点 (1) 請求人(原告)は,本願意匠が一意匠と認められるための要件として, (A)意匠に係る物品が,その実施において常に一つのまとまった対象として扱われるものであること(原告A要件), (B)意匠が,その実施において常に特定した同一性を維持するものであること が必要である(原告B要件),と主張する。 (2) 当審も,一意匠と認められるための要件として,この二つの観点で考察することを全く否定するものではないが,これらの要件を満たすだけでは十分とはいえず,これらの要件の他に,意匠の創作としての一つのまとまりという観点に立って考察されるべきものと考える。 具体的には,意匠の創作において,その全体の創作に至る各対象部位の創作の内容が,必然的に相互に関連するよう考慮,調整されるとともに,全体として総合的に設計,造形されているものであり,その各対象部位に対してなされたそれぞれの創作の内容が,まとまりのある一体のものとして捉えて評価ができるものであることが必要である。 本願に表された「容器付冷菓」を,その創作の対象の属性及びその創作の内容としてのまとまりという観点から考察すると,「冷菓」という食される物品の形態の創作内容,例えば,清涼感や甘味やうまみなど食することで得られるであろう充実感・満足感を想起させ,訴求力につなげる形態の実現への創作と,「容器」つまり流通や販売時等における内容物の保護及び保管等の便利のための用具・道具である物品の形態の創作内容,例えば,見た目の美しさに加え,耐久力やつかみやすさなどの形態への配慮等は,それぞれごとに捉えるべきものである。また,本願に表された「容器付冷菓」を,意匠の創作のまとまりとして形態的な一体性の観点で見た場合にも,単に略逆円錐台形状の「容器」の中に「冷菓」を入れた状態を表したにすぎないものであるから,やはり一つのまとまった創作と捉えることはできない。 したがって,本願に表されたものは,「容器付冷菓」という一つの物品の一つの形態,つまり一つの意匠を表したものとはいえず,「冷菓」と「容器」という二つの別の物品のそれぞれ別の二つの形態,つまり二つの意匠を表したものと認められる。 (3) 補助的に,原告AB要件についても判断する。 ア 原告A要件について 原告は,本願意匠に係る物品は,「製品として同時生産される」,「使用(流通)においても一体として使用される」ものであると主張する。 しかし,その主張する「同時生産」とは,内容物である「冷菓」を「容器」に入れて冷やし固めただけであり,製品(商品)としての冷やし固まった冷菓の形態にするべく容器を用いたのであって,容器を生産するときに冷菓を要しないのであるから「同時」生産ではない。また,その「同時生産」が「冷菓」と「容器」を「一体として」又は「一体に」生産する,という意味であるとしても,それは,容器に内容物である「冷菓」を「充填する」,「冷やし固める」,そして,その冷やし固めることによって一時的に両者がくっついた状態になる,というだけである。さらに,本願の「容器付冷菓」の場合の「容器」は,「容器付冷菓」という一体のものを構成する「部品」というよりも「冷菓(食品)」に付随して用意される物品であり,その「容器」そのものは,「冷菓」とは別途製造され,流通するものであり,あらかじめ製造された「容器」を購入し,使用しているだけであって,「冷菓」と「容器」を「物品」として一体に生産しているというものではない。 また,「使用」について検討してみると,原告は,「冷菓」は「容器」に物理的に固定されており,それを取り出して他の容器に詰め替え等はしないものであると,実施時の一体性の理由を述べているが,それは流通・販売等の便利のために容器に入れた状態を指すだけであり,かつ,「容器付冷菓」の実施における「使用」として「流通」を挙げるのは的外れであり,「冷菓」であるから,「食される」ことが「使用」である。「冷菓」は容器付であろうとなかろうと冷やした菓子であって,涼を得るため,嗜好のために食すものであり,一方で「容器」とは器であり,物品としての使用の目的,使用方法が全く異なり,併せた状態で一意匠とは認められない。本願のものは,「冷菓」としての使用である「食される」際には,飲食用容器に移し替えてもよく,移し替えずに食される場合にも,その包装用容器は,あくまで食される際に一過的に器として使用され,その後直ちに不要となる使い捨ての飲食用容器を兼ねるだけであり,その程度の関係をもって内容物の食品とその包装用(兼飲食用)の容器が,意匠法における使用(実施)において一体であるということはできない。本願に表されたものも,流通・販売時を考慮すればおのずと,本願に表された下のカップ状の容器に合った蓋を伴うことが一般的には想定され,その蓋と容器の本体とを組み合わせたものの方が包装用容器として一体というべきであって,固定されているとはいえない内容物と蓋のない(蓋を外した)状態の容器本体を一つの物品の完成したものとして捉えるのは無理がある。 したがって,意匠法においては,これを一つの物品と概念するものではないというべきである。 原告は,本願意匠の「冷菓」及び「容器」が単独で一般的に市場で流通するものとは認められないと主張するが,多くの包装用容器メーカーがつくった包装用容器を多くの企業が購入,使用していることは顕著な事実であり,また,「冷菓」を初めとする食品のほとんどは,その形状や鮮度等の維持,衛生管理等のために包装用容器を使用して「商品」として流通しているものではあるが,それは容器が流通のための補助をしているだけであって,流通しているのはあくまでも食品である。 イ 原告B要件について 本願に表されたものは,容器の形状が逆円錐台状の容器体で,その容器体全体を概ね満たすように半固体状の冷菓部材を充填した後に冷やし固めたものであって,「容器」と「冷菓」とは物理的に固定されているものではなく,「容器」は主に流通時の内容物である冷菓の保護や販売時の展示効果を目的とした包装用であり,そもそも本願に表されているように容器に冷菓を入れただけの蓋のない態様のままで流通するものでもなく,半完成の一時的な態様であって,一の物品としてのまとまった形態とはいえない。「容器」は,冷菓が使用,つまり食される際には,飲食用容器として一時的に機能するが,直ちに使い捨てられるものであり,また,「冷菓」についても,当然に,食されて,ほんの短い時間のうちになくなるものであって,その形状のまま容器に固定された状態で維持されるものではなく,実質的に同一の意匠的効果が継続的に維持される類いのものではない。したがって,同じ形態で同時使用されるとはいえない。 ウ まとめ したがって,本願の「容器付冷菓」は,意匠法において,その実施において常に一つのまとまった対象として扱われるものではなく,また,常に特定した形態の同一性を維持するものでもない。 |
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原告主張の審決取消事由
1 取消事由1(違法な審決判断基準) (1) 審決は,「一意匠の要件として,意匠の創作としての一つのまとまりという観点に立って考察されるべきもので,具体的には,意匠の創作において,その全体の創作に至る各対象部位の創作の内容が,必然的に相互に関連するよう考慮,調整されると共に,全体として総合的に設計,造形されているものであり,その各対象部位に対してなされたそれぞれの創作の内容が,まとまりのある一体のものとして捉えて評価ができるものであることが必要である。」とする(以下,この判断基準を「審決判断基準」という。)。 (2) 審決判断基準は,特許庁による「意匠審査基準」とは全く異なる基準である。そして,内容についても,意匠創作の内容という意匠の内面に入り,意匠創作のまとまりという主観的要件からなる。意匠創作のまとまりの意味は不明確である。 このような基準を用いて行政処分を行うことは,行政行為として適正を欠き,行政裁量権の濫用に当たる違法行為である。 (3) 審決判断基準は,意匠の本質的要件である「創作性」に係るものであり,この「創作性」が問題になるのは,意匠法2条1項の意匠の定義規定のうち, 「美感を起こさせるもの」の要件に関連しており, 「物品名」の記載や「図面」表示の外形的不備に係る形式的要件である「一意匠一出願」とは関係がない。 また,審決判断基準のうち, 「創作の対象の属性及びその創作の内容としてのまとまり」に関し,審決は,冷菓という食される物品の形態の創作内容と,容器つまり流通や販売時等における内容物の保護及び保管等の便利のための用具・道具である物品の形態の創作内容は,それぞれごとに捉えるべきものである,として,多機能物品の一意匠性を否定する。これは,特許庁の運用基準である「意匠登録出願の願書及び図面等の記載の手引き」が多機能物品を認めていることに反し,不当である。 (4) 被告は,審決は,一意匠一出願における可否を判断する際に,一意匠を,一物品と一形態の二つの観点で考える必要があるから, 「一つのまとまり」という言葉を使った,と主張する。しかし,審決理由には, 「一意匠を,一物品と一形態の二つの観点で考える必要がある」との記載はないから,この観点から, 「一つのまとまり」という言葉を使って審決判断基準を用いたのではない。 2 取消事由2(本願意匠の一意匠性の判断の誤り) (1) 意匠法における「物品」とは,「製造し,使用し,譲渡し,貸し渡し,輸出し若しくは輸入し,又はその譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為」の対象となる有体物たる動産であること,及び「意匠」とは, 「物品の形状等」の形態であることを踏まえると,意匠登録出願に係る意匠が一意匠と認められるための要件として,原告AB要件が必要であるとするのが合理的である。 (2) 原告A要件について 本願の意匠に係る物品である「容器付冷菓」は,市場で流通する動産であり,独立して取引の対象となる物品である。 また,本願の「容器付冷菓」は,製品として「同時生産」されるものであり,使用(喫食)においても「一体として使用」されるものであることも明らかである。 とりわけ,本願の「容器付冷菓」は,@「容器内もちアイス一体冷凍」及びA「容器内天面もち5個」という創作コンセプトを有し, 「容器部」は本願の「容器付冷菓」の「創作のためのキャンバス」であり一体不可分な構成要素であって, 「容器部」なくして本願の「容器付冷菓」の創作は成立しない。 本願の「容器付冷菓」は,「容器(部)」という機能を備えた「冷菓」である(多機能物品)。したがって, 「冷菓部」と「容器部」とは,物理的に一体固定化して「製造」されており,「流通・販売」及び「使用(喫食)」に際しても分離されたり他の容器に詰め替え等をされたりすることはないのである。 よって,本願意匠に係る「容器付冷菓」は,その実施において常に一つのまとまった対象として扱われるものである。 (3) 原告B要件について 本願の「容器付冷菓」は,容器部内に所定の状態で冷菓部材が充填され一体冷凍された形態を有する。そして,本願の「容器付冷菓」の「容器部」に「冷菓部材」が所定の形態で物理的に固定された形態は,単に販売時の展示効果を目的としたものではなく,冷菓部材を取り出して他の容器に詰め替え等するものでもなく,全体として同一の形態で「流通・販売」及び「使用(喫食)」に供されるものである。 したがって,本願意匠は,その実施において常に特定した同一性を維持するものである。 (4) 審決は,本願意匠は,原告AB要件をいずれも満たさないとするが,以下のとおり,誤りである。 ア 原告A要件について (ア) 審決は,容器を生産するときに冷菓を要しないのであるから,容器と冷菓は同時に生産されないとする。 しかし, 「冷菓」の製造時に,別生産された「容器」を部品として用いて,これを「容器付冷菓」の「容器部」として一体に生産しているのであって,これをもって「同時生産」ということに何ら差支えがない。 (イ) 審決は, 「同時生産」が「冷菓」と「容器」を「一体として」又は「一体に」生産する,という意味であるとしても,それは容器に内容物である「冷菓」を「充填する」「冷やし固める」 , ,そして,その冷やし固めることによって一時的に両者がくっついた状態になる,というだけのことである,とする。 しかし, 「冷菓」の製造時に,別製造された「容器」が「容器部」として「容器付冷菓」として一体に生産されるのであるから,これをもって「一体」に生産ということに何ら差支えがない。「冷やし固める」とか「一時的に両者がくっついた状態」だから「一体生産」ではないとする,合理的理由はない。 (ウ) 審決は,本願の「容器」は,「容器付冷菓」という一体のものを構成する「部品」というよりも「冷菓(食品)」に付随して用意される物品であり,その「容器」そのものは, 「冷菓」とは別途製造され,流通するものであり,あらかじめ製造された「容器」を購入し,使用しているだけであって, 「冷菓」と「容器」を「物品」として一体に生産しているものではない,とする。 しかし,本願の「容器付冷菓」における「冷菓(部材)」と「容器(部)」とは,「製造」「流通」「使用」の全ての段階で,物理的に固定されかつそれを取り出して他の容器に詰め替え等はされることはない。 (エ) 審決は,「冷菓」と「容器」は,物品としての使用の目的,使用方法が全く異なり,併せた状態で一意匠とは認められないとする。 しかし,本願の「容器付冷菓」にあっては,食す際に別の器に移し替えることは予定されていない。また,本願の「容器付冷菓」の「容器(部)」が,飲食用容器を一時的に兼ね,食された後直ちに不要となる使い捨ての飲食用容器を兼ねるという程度の関係だからといって、容器部としての一体的機能が失われるわけではなく、 使用(実施)において一体性が否定される理由とならない。審決は,審査基準や意匠登録例などに例示された多機能物品というものを理解していない。 (オ) 審決は,本願に表されたものも,流通・販売時には容器に合った蓋を伴うから,その蓋と容器の本体とを組み合わせたものの方が包装用容器として一体というべきであって,固定されているとはいえない内容物と蓋のない状態の容器本体を一つの物品の完成したものとして捉えるのは無理がある,とする。 本願の「容器付冷菓」は,製造された後, 「包装用蓋」が取り付けられて(ここで二物品となって) 「流通・販売」 (二物品のまま)され, 「使用」の際には前記「包装用蓋」が取り除かれて(一物品に戻って)前記「容器付冷菓」の形態で喫食に供される。 「実施」における「物品の一対象性」や「意匠の同一性」の判断は,上の流通時の「包装用蓋」を除外して「容器付冷菓」そのものについて行うのである。このような理解は,意匠登録例である「容器付固形化粧料」 (甲11の1〜21)が,流通時や保管時には包装用部材に別途包装されることと同様である。 イ 原告B要件について 審決は,「容器」と「冷菓」とは物理的に固定されているものではなく,「容器」は主に流通時の内容物である冷菓の保護や販売時の展示効果を目的とした包装用であり,本願に表されているように容器に冷菓を入れただけの蓋のない態様のままで流通するものでもなく,一時的な態様であって,一つの物品としてのまとまった形態とはいえない, 「容器」は,冷菓が食される際には,飲食用容器として一時的に機能するが,直ちに使い捨てられるものであり, 「冷菓」についても,当然に,食されて,ほんの短い時間のうちになくなるものであって,その形状のまま容器に固定された状態で維持されるものではなく,実質的に同一の意匠的効果が継続的に維持されない,したがって,同じ形態で同時使用されるという概念には当てはまらない,とする。 しかし, 「原告B要件」における「意匠の同一性の維持」は,その実施状態つまり「製造」 「流通」 「使用」の各ステージで維持され, 「使用」によって「完了」するものである。 「容器」が使い捨てられるとか「冷菓」が食されてなくなるから「意匠の同一性の維持」がされていないなどとの理屈は,意匠の同一形態の維持を永久的に要求するもので,失当である。 (5) よって,審決は,意匠法7条の1意匠の判断を誤ったから,取り消されるべきである。 |
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被告の反論
1 取消事由1について (1) 原告は,審決の判断について,「審決判断基準」と称する,特異な要件をもって判断したものであり,それは,行政裁量権の逸脱,濫用に当たり違法である,と主張する。 しかし,食品と包装用容器という異なる物品で構成される本願が「意匠ごとにされた」といえるためには,食品と包装用容器とが付いた状態で一つの用途及び機能を有し,かつ,形態的にまとまりのある一体のものとして捉えることができるものであることが必要である。用途及び機能の異なる二つの物品で,全体に形態的にまとまりがなく,一体のものとして捉えられない本件の場合は,二つの物品に係る意匠に関し登録を受けようとするものと解されるから,一意匠一出願とはいえないと判断したものである。 意匠とは物品の形態である(意匠法2条)から,一つの意匠とは,一物品の一形態である。一物品の一形態を創作するに当たっては,当然全体として一つのまとまりで表現されるものである。よって,意匠法7条の1意匠一出願における可否を判断する際に,一意匠を,一物品と一形態の二つの観点で考える必要があるのであるから,「一つのまとまり」という言葉を使ったわけであって,審決に誤りはない。 したがって,審決は,意匠法に定める一意匠一出願の規範に則り判断したのであって,何ら新たな要件を加えて判断したものではないから,行政裁量権の逸脱,濫用に当たるものではない。 (2) 原告は,審決判断基準は,意匠の本質的要件である創作性に係るものであって, 「物品名」の記載や「図面」表示の外形的不備に係る形式的要件である「一意匠一出願」とは全く関係がないから,誤っている,と主張する。 しかし,原告のいう「創作性」という言葉は,意匠法3条2項の規定によるものであって,その意匠の創作に当たり,容易であったか否か,つまり創作力の高低,程度を表すのであって, 「創作」ということとは別の意味である。意匠は物品の形態に係る「創作」だから,出願した意匠が一意匠か否かを判断するのに,その意匠に係る,物品として一つのものなのか,二以上のものなのか,二以上のものである場合,その二以上のものは一つの使用目的のために一創作としてまとまっている(トランプのように用途や機能が同様なのか,靴用バックルや衣服用ホックなど雌雄一対から成るもののように形態的に相互に密接な関連性がある)のか,その形態が物理的に一体か,一体ではない場合で,複数の構成品を合わせたものが一塊で一つの使用の目的を達成する単一のものと捉えることができる一創作としてまとまっているのか等を判断することを述べているのであって,他の意匠等と比較して判断する要件である新規性(意匠法3条1項),創作性(意匠法3条2項)の意味で, 「創作」,「まとまり」という言葉を使っているのではないことは明らかである。 原告の主張には,理由がない。 (3) 原告は,審決判断基準は,意匠法2条 1 項の「美感を起こさせるもの」の要件に関連すると考えられ,審決は一意匠の要件と意匠の定義を混同,誤解している,と主張する。 しかし,審決においては,意匠法2条の意匠の定義の「美感」の有無を問題にして,それによって保護の対象である意匠に該当するか否かを判断しているのではなく,一意匠か否かを判断するのに,一物品として,一形態として妥当かという判断に際して,物品及び形態としての「まとまり」の有無を判断しているにすぎない。 (4) 原告は,審決判断基準は多機能物品が一意匠として認められていることに反し,誤っている,と主張する。 しかし, 「多機能物品」とは,形態として一つの物品の中に,複数の機能を併せ持っている物品を指すものであるといえる。 これに対して,本願意匠に係る「容器付冷菓」のような,流通,販売時の包装用の容器に入った物品は,独立の複数の機能を併せ持っている多機能物品であるとは認識しないのであり,原告の主張は当を得ないものである。 2 取消事由2について (1) 原告AB要件は,それを満たすことによって直ちに意匠法の一意匠に該当するということもいえないものである。 (2) 原告は,本願意匠は,原告AB要件を満たすと主張する。しかし,以下のとおり,かかる主張には,理由がない。 ア 原告は, 「冷菓」の製造時に,別生産された「容器」を部品として用いて,これを「容器付冷菓」の「容器部」として一体に生産しているのであって,これをもって「同時生産」ということに何ら差支えがない,と主張する。 しかし,本願は,一物品として観念される容器は容器のみで生産した上で,容器に冷菓部材を流し込み,冷凍することにより冷菓を生産したものであるから, 「同時生産」とはいえないし,物品として「一体に生産」しているともいえない。 したがって,審決で述べたとおり,本願の「容器付冷菓」は,原告A要件「実施における物品の一対象性」を満たしておらず,よって,原告B要件「実施における意匠の同一性」も満たしているものではない。 イ 原告は,審決は,審査基準や意匠登録例などに例示された「多機能物品」というものを理解していない,と主張する。 しかし, 「容器付冷菓」は,多機能物品とはいえないことは明らかである。そして,「容器」は,本願意匠を実施する際の商品を構成するものではあっても,冷菓を構成し,食品の材料となるあんやチョコレートなどではないから,冷菓という食品の材料や部品と捉えることはできない。 ウ 原告は,本願に表したものの実施物としての蓋を付けた状態を含めた「商品」に関する「製造」-「流通・販売」-「使用・喫食」の各段階の態様を示し,「冷菓」と「容器」を併せたものを一物品とした上で,表面の一枚のシート状の蓋のある状態をもって,二物品になるという,シート状の「蓋」のみが包装であると主張する。 原告の上記主張は,本件の「冷菓」と「容器(包装用容器の本体)」を併せたものが意匠法上の一つの物品であるといえるか否かとは別のことであり,当を得ない主張である。 エ 原告は,本願の「容器付冷菓」が意匠法上の一物品として妥当であるとの主張に当たって,「容器付固形化粧料」(甲11,甲14の1〜9及び甲15)を例示する。 しかし,これらの「容器付固形化粧料」は,化粧用コンパクトの充填用,補充用あるいは詰め替え用(レフィル)の固形化粧料であって,携帯用化粧容器(コンパクト)に取り付けるもので,この分野においてはごく普通に見られる固形化粧料であり,これのみで販売されており,社会通念上一つの物品と認識されているものである。これに対して,本願意匠の「容器付冷菓」は,食用に供するものであって,訴求効果を高めるために冷菓の上面の形態を創作したものであるが,本願の包装用容器に入っていなくても,一物品(食品)としての目的を達することができるのであるから,上記容器付固形化粧料の例とは異なり,本願と同等と捉えられるものではない。 本願意匠における包装用容器は,内容物を包装のために容れるものであって,内容物を構成する部品ではなく独立したものであるし,内容物の用途と共通又は類似する用途のものでもない。また,包装用容器は,必ずしも内容物を限定されているとはいえないものである。 しかも,流通,販売される場合は, 「本願の状態に蓋を付けた状態」であって,本願の「蓋を外して容器本体に冷菓を充填したのみの」状態では流通,販売されていない。そして,社会通念上は, 「冷菓,容器本体及び蓋」の状態又は「冷菓のみ」の状態で,「一つの商品」又は「一つの冷菓」と認識されるものである。 オ 原告は,原告B要件において, 「容器」が使い捨てられるとか「冷菓」が食されてなくなるから「意匠の同一性の維持」がされていないなどとの理屈は,意匠の同一形態の維持を永久的に要求するもので,失当である,と主張する。 しかし,本願の「容器付冷菓」のような製造食品等と包装用容器を併せたものが,「製造」「流通」過程までは同一性を保持すると捉えられるとしても,最終の「使 ,用」の段階では明らかに,製造食品が食されてなくなり,容器のみが残ることになる。このことが,包装用容器と製造食品等とが別の用途,機能の物品であることを端的に表しているから,包装用容器と製造食品等を併せたものは一対象性を満たすものとはいえず,意匠の同一性が維持されるともいえない。 |
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当裁判所の判断
1 取消事由1(違法な審決判断基準)について (1) 原告は,意匠法7条の「意匠登録出願は,経済産業省令で定める物品の区分により意匠ごとにしなければならない。 との規定の判断について, 」 審決が適用した, 「一意匠の要件として,意匠の創作としての一つのまとまりという観点に立って考察されるべきもので,具体的には,意匠の創作において,その全体の創作に至る各対象部位の創作の内容が,必然的に相互に関連するよう考慮,調整されると共に,全体として総合的に設計,造形されているものであり,その各対象部位に対してなされたそれぞれの創作の内容が,まとまりのある一体のものとして捉えて評価ができるものであることが必要である。」との審決判断基準が、それ自体違法である,と主張する。 (2) そこで検討するに,意匠は,「物品」の「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合」 (以下,これらを一括して「形態」という。)である(意匠法2条1項)から,前記意匠法7条にいう「意匠登録出願は・・・物品の区分により意匠ごとにしなければならない」とは,意匠登録出願が「物品ごとに」かつ「形態ごとに」行われるべきことを規定したものと解される。 意匠に係る物品には,特定の用途及び機能があることから,「物品ごとに」とは,ある一つの特定の用途及び機能を有する一物品であることを意味するものと解される。また, 「形態ごとに」とは,意匠登録の出願図面に表される形態が,全体的なまとまりを有して単一の一形態であることを意味するものと解される。そして,一つの特定の用途及び機能を有する一物品といえるか,及び,出願図面に表される形態が全体的なまとまりを有して単一の一形態といえるかは,後記2(2)アの観点を考慮した上で,社会通念に照らして判断されるべきものである。 審決の示した審決判断基準は,表現は異なるものの,実質的には上記の判断基準と同様のものである。すなわち, 「各対象部位の創作の内容が,必然的に相互に関連するよう考慮,調整され」「全体として総合的に設計,造形されている」とは,意 ,匠に係る物品が全体としてある一つの特定の用途及び機能を有すべきことと,実質的に同義であり, 「各対象部位に対してなされたそれぞれの創作の内容が,まとまりのある一体のものとして捉えて評価ができるものである」とは,出願図面に表される形態が全体的なまとまりを有して単一であるべきことと,実質的に同義である。 したがって,審決判断基準は,意匠法7条の規定の趣旨を実質的に明らかにしたものであって,それ自体が違法であるとはいえない。 (3)ア これに対し,原告は,審決判断基準は,特許庁による「意匠審査基準」とは異なり,内容も主観的であり,意匠創作のまとまりの意味は不明確である,と主張する。 しかし,審決判断基準は,意匠法の規定から導かれる上記判断基準と実質的に同義であるから,特許庁による審査基準と異なるとか,内容が主観的であるとか,意味が不明確であるとはいえない。 原告の主張には,理由がない。 イ また,原告は,審決判断基準は,意匠法2条1項の「美感を起こさせるもの」の要件にいう「創作性」に関連しており,同法7条とは関係がない,と主張する。 しかし,審決判断基準は,意匠が創作されるものであることから, 「創作」の語を用いて,意匠法7条の規定から導かれる判断基準を表現したものであって,同法2条1項の要件の判断基準を示したものではないことが明らかである。 原告の主張には,理由がない。 ウ さらに,原告は,審決が,冷菓という物品の形態の創作内容と,容器という物品の創作内容とをそれぞれごとに捉えるべきであるとして,多機能物品の一意匠性を否定するから,審決判断基準は不当である,と主張する。 しかし,審決判断基準自体は,多機能物品が一意匠となることを一般的に否定したものとは解されないから,原告の上記主張は,審決判断基準を本件に当てはめた場合の結論が不当であるというにすぎない。同基準を当てはめた結論が不当であるか否かについては,取消事由2の判断において検討すべき問題であり,審決判断基準自体が不当であることの理由にはならない。 原告の主張には,理由がない。 (4) よって,取消事由1には,理由がない。 2 取消事由2(本願意匠の一意匠性の判断の誤り) (1) 前記1のとおり,意匠登録出願が,意匠法7条の要件を満たすには,当該出願が,@一物品について,A一形態としてなされていることが必要とされるので,以下,この点を本願意匠について検討する。 (2) 物品の単一性 ア 意匠法7条は,「意匠登録出願は,経済産業省令で定める物品の区分により意匠ごとにしなければならない。」と定め,設定される意匠権の権利内容を明確化したものである(願書に記載すべき「意匠に係る物品」の欄の記載を,意匠登録出願人の自由な意思に委ねて,例えば,「陶器」という記載を認めたのでは,「花瓶」と記載した場合に比べて,その用途及び機能において非常に広汎な意匠について意匠登録出願を認めたのと同一の結果を生じ,不都合である。)ところ,意匠法施行規則(意施規)7条(物品の区分)には,「意匠法第7条の経済産業省令で定める物品の区分は,別表第一の物品の区分の欄に掲げるとおりとする。」と規定する。そして,意施規別表第一(別表第一)の下欄に掲げる物品の区分に属する物品について意匠登録出願をするときは,その物品の属する物品の区分を願書の「意匠に係る物品」の欄に記載しなければならない(備考一)が,この表の下欄に掲げる物品の区分のいずれにも属さない物品について意匠登録出願をするときは,その下欄に掲げる物品の区分と同程度の区分による物品の区分を願書の「意匠に係る物品」の欄に記載しなければならない(備考二)。さらに,別表第一の下欄に掲げる物品の区分のいずれにも属さない物品について意匠登録出願をするときは,「意匠に係る物品の説明」の欄にその物品の使用の目的,使用の状態等物品の理解を助けることができるような説明を記載することとされている(意施規様式2備考39)。 そうすると,意匠登録出願に係る物品が上記別表第一に列挙されている物品の区分には該当しない場合に,当該物品が一物品といえるか否かは,願書における「意匠に係る物品」欄及び「意匠に係る物品の説明」欄の記載を参照した上,@意匠登録出願に係る物品の内容,製造方法,流通形態及び使用形態,A意匠登録出願に係る物品の一部分がその外観を保ったまま他の部分から分離することができるか,並びにB当該部分が通常の状態で独立して取引の対象となるか等の観点を考慮して,当該物品が一つの特定の用途及び機能を有する一物品といえるか否かを,社会通念に照らして判断すべきものである。 イ 本願意匠における意匠に係る物品は,「容器付冷菓」(甲4)であって,上記別表第一に列挙されている物品の区分には該当しない。そこで,願書の「意匠に係る物品」欄及び「意匠に係る物品の説明」欄の記載を参照すべきところ,「容器付冷菓」は,その名称からすれば,「冷菓」が主体であって,「容器」が付随しているものと解される。 また,本願意匠登録出願に係る「意匠に係る物品の説明」(甲4)には,「本物品は,参考断面図に示したように,容器部内に冷菓部材を充填し,次いで前記冷菓部材の上面全部をあん部材で覆い,次いで前記あん部材上にもち部材を点状に配設し,これらの全体を冷凍して容器部と一体に流通に付されるものである。」と記載されている。上記記載を参照すれば,本願意匠に係る「冷菓」は,容器部内に冷菓部材を充填し,その上部にあん部材,もち部材を順次配設した後,これらを冷やし固めることによって製造するものと認識される。そして,冷菓部材,あん部材及びもち部材からなる「冷菓」は,「容器」と共に流通に付されるものである。使用の場面においても,通常,「容器」に入ったままの「冷菓」をスプーン等ですくって食することが想定される。よって,製造,流通,及び使用の各段階において,「冷菓」は,「容器」に充填され冷やし固められたままの一体的状態であると認められる。 さらに,上記製造方法からすれば,本願意匠に係る「冷菓」を,その形態を保ったまま「容器」から分離することは,容易ではないものと推認される。しかも,「冷菓」は,製造の段階から,流通,使用に至るまで「容器」から分離されることはないから,「冷菓」が「容器」から独立して通常の状態で取引の対象となるとはいえない。 これらを総合考慮すれば,本願意匠に係る物品である「容器付冷菓」は,社会通念上,一つの特定の用途及び機能を有する一物品であると認められ,「冷菓」の部分のみが「容器」の部分とは独立した用途及び機能を有する一物品とはいえない。 ウ これに対して,被告は,@「容器」と「冷菓」は全く用途の異なる物品であって,「容器」は,単体の形状として独立して創作される,A内容物としての「冷菓」 同じ容器でも異なる形態の冷菓が存在し得るから, も, 冷菓の形状として,独立して創作される,B冷菓は食用に供されるが,食用に供されることのない「容器」は,冷菓を構成する部材や部品に該当しない,C実施の実情からしても,容器製造業者が容器を製造販売し,冷菓製造業者がそれを購入することもある,D冷菓を納めた容器には蓋がされているから,容器はむしろ蓋と一体となって商品としての外観形態を構成する,E消費者が冷菓を食するときには,冷菓は容器に収容された別の物品として認識する,ことを理由に,容器と冷菓とは一物品ではなく,二物品である,と主張する。 しかし,@「容器」と「冷菓」とを分離した場合のそれぞれの用途が異なることは,後記(4)の登録意匠例のように,用途又は機能が異なる物を組み合わせた物品が一物品と認められることがあることを考慮すると,本願意匠に係る物品が一物品といえないことの理由にはならず,「容器」と「冷菓」とが,社会通念上一体として一つの特定の用途及び機能を有するといえるか否かを検討すべきである。また, 「容器」が単体の形状として独立して創作されることがあるとしても,本願意匠に係る「冷菓」は,「容器」と独立しては製造,流通及び使用することが困難であり,しかも,「容器付冷菓」としての物品の主体は,「冷菓」であるから,付随する「容器」の独立性を理由として,二つの物品と認めることはできない。 A「冷菓」が,同じ容器でも異なる形態として独立して創作されることがあるとしても,物品の一部が異なる形態として創作され得るのは通常のことであり,そのことを理由として,本願意匠に係る物品が一物品であることを否定することはできない。 B前記@のとおり,用途又は機能が異なる物を組み合わせた物品が一物品と認められる場合,全体が同一の用途又は機能とならないことは当然であり,本願意匠において「容器」が食用に供されないことは,「容器」が「冷菓」と共に一物品を構成することを否定する理由とはならない。 C意匠に係る物品が複数の部分から構成されている場合,それぞれの部分を異なる業者が作成し,それらを特定の業者が組み立てることは通常あり得るし,このような物品につき,各部分を異なる者が製造販売したことにより,一物品であることが常に否定されるものではない。 D本願意匠に係る物品である「容器付冷菓」は,前記イのとおり,社会通念上,一つの特定の用途及び機能を有する一物品であり,しかも,「容器付冷菓」の物品としての主体は,「冷菓」であるから,「冷菓」に付随するにすぎない「容器」に蓋を設ける場合があるとしても,そのことを理由として,二つの物品と認めることはできない。 E本願意匠に係る物品である「容器付冷菓」は,前記イのとおり,社会通念上,一つの特定の用途及び機能を有する一物品と認められ,消費者が冷菓を食する場合であっても,冷菓を容器とは独立した物品と認識するとはいえない。 被告の主張には,いずれも理由がない。 (3) 形態の単一性 ア 本願意匠の願書に添付された図面(甲1の2)は,形式上,二以上の形態を併記したものではない。実質的にも,容器内に冷菓を入れた状態の図面であって,冷菓と容器とは隙間なく接しており,一塊になった状態のものであるから,二以上の形態を併記したとはいえない。 したがって,本願意匠に係る形態は,単一と認められる。 イ これに対して,被告は,図面の記載のうち,六面図及びA-A’断面図によって表された記載から,容器と冷菓をそれぞれ区別して認識できるから,容器と冷菓が融合した一体不可分のものとはいえない,と主張する。 しかし,物品中の一部分であっても,図面上,当該物品中の他の部分と区別して認識できる場合は容易に想定される(例えば,本願意匠に係る形態のうち,冷菓部材,あん部材及びもち部材に係る形態は,図面上区別して認識できる。)から,容器と冷菓を区別して認識できることは,形態の単一性を否定する理由とはならない。 被告の主張には,理由がない。 (4) 以上の結論は,以下のような登録意匠例にも合致するから,社会通念上是認されるといえる。 すなわち,下記アの登録意匠に係る物品は,本願意匠に係る物品と同様に,内容物である固形化粧料を容器に充填して製造され,固形化粧料と容器が共に流通し,取引されるものである。下記イ及びウの登録意匠に係る物品も,いずれも,食品に製造時から可食ではない棒や板が付加されたもので,食品と棒や板が共に流通し,取引されるものである。 ア 意匠登録第1317997号(甲11の1) 【意匠に係る物品】容器付固形化粧料 【意匠に係る物品の説明】本物品は,固形化粧料を充填した,浅い円筒皿状の容器で,「化粧料充填容器」として,同時販売,同時使用される。 【意匠の説明】右側面図は左側面図と,底面図は平面図と対称なため,それぞれ省略する。斜視図,平面図,背面図及び左側面図における浅い円筒皿状の部分の表面全体に表された線は,いずれも立体表面の形状を表す。 【斜視図】 イ 意匠登録第1154256号(甲12の5) 【意匠に係る物品】棒付き冷菓 【意匠の説明】背面図は正面図と同一であるため省略する。左側面図は右側面図と同一であるため省略する。 【正面図】(判決注:登録された図面は,カラーである。) ウ 意匠登録第1211064号(甲13の1) 【意匠に係る物品】板付き蒲鉾 【意匠の説明】背面図は正面図と同一である。左側面図は右側面図と同一である。 【斜視図】(判決注:登録された図面は,カラーである。) (5) よって,本願は,意匠法7条の要件を満たしており,取消事由2には,理由がある。 |
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結論
以上のとおり,原告の請求には理由があるから,これを認容することとし,主文のとおり判決する。 |
裁判長裁判官 | 清水節 |
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裁判官 | 片岡早苗 |
裁判官 | 古庄研 |