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関連審決 審判1994-1230
この判例には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
平成19ネ10097損害賠償請求控訴事件 判例 意匠
平成21ネ2110損害賠償請求控訴事件 判例 意匠
平成17行ケ10135審決取消(意匠)請求事件 判例 意匠
平成17ネ617損害賠償請求控訴事件 判例 意匠
平成22行コ10004異議申立棄却決定取消請求控訴事件 判例 意匠
関連ワード 物品 /  物品の形状 /  形状 /  模様 /  意匠に係る物品 /  意匠登録を受ける権利 /  一意匠一出願(7条) /  3条1項3号 /  意匠の類似 /  意匠の類否 /  類似性(類否判断) / 
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事件 平成 12年 (行ケ) 406号 審決取消請求独立当事者参加事件
当事者参加人 フロウィル・インターナショナル・ライ ティング・(ホールディング)・ビー・ヴィー
訴訟代理人弁理士 倉内基弘
同 風間弘志被参加事件原告(脱退) オスラム・シルバニア・インコーポレイ テッド (旧商号) ジーティーイー・プロダクツ・コーポレ イション
被 告(被参加人)特許庁長官 及川耕造
指定代理人 西本幸男
同 遠藤京子
同 藤木和雄
同 宮川久成
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2001/05/23
権利種別 意匠権
訴訟類型 行政訴訟
主文 特許庁が平成6年審判第1230号事件について平成11年11月1日にした審決を取り消す。
訴訟費用は被告(被参加人)の負担とする。
事実及び理由
当事者の求めた裁判
1 当事者参加人(以下「参加人」という。) 主文と同旨 2 被告(被参加人、以下単に「被告」という。) 参加人の請求を棄却する。
訴訟費用は参加人の負担とする。
当事者間に争いのない事実
1 手続の経緯 脱退前の平成12年(行ケ)第85号事件原告(以下「脱退前原告」という。)は、1991年(平成3年)4月3日にアメリカ合衆国においてした意匠登録出願に基づく優先権を主張して、同年10月3日、意匠に係る物品を「照明反射鏡」とする意匠につき意匠登録出願(意願平3-29715号)をし、平成4年5月26日に当該意匠の形態を示す願書添付図面を別添審決書写し別紙第1「本願の意匠」欄記載のとおりとする補正をした(以下、この補正後の図面に係る意匠を「本願意匠」という。)が、平成5年9月27日に拒絶査定を受けたので、これに対する不服の審判を請求した。
特許庁は、同請求を平成6年審判第1230号事件として審理した上、平成11年11月1日に「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をし、その謄本は同月15日脱退前原告に送達された。
脱退前原告は、平成12年3月13日に本件訴えを提起した後、同年6月26日、上記意匠登録出願に係る意匠登録を受ける権利を参加人に譲渡し、同年8月2日、特許庁長官にその旨の届出をした。
2 審決の理由 審決は、別添審決書写し記載のとおり、本願意匠を、特許庁資料館(現工業所有権総合情報館)が平成2年8月13日に受け入れた外国雑誌「LUX」1990年5月〜7月号65頁(本訴甲第3号証)記載の照明器具反射笠(特許庁意匠課公知資料番号HB03005516号)の意匠(その形態は、別添審決書写し別紙第2「引用の意匠」欄記載のとおり。以下「引用意匠」という。)と比較すると、
意匠に係る物品が同一であり、その形態についても、本願意匠は引用意匠に類似するから、本願意匠は意匠法3条1項3号に規定する意匠に該当し、意匠登録を受けることができないとした。
参加人主張の審決取消事由
1 審決の理由中、本願意匠及び引用意匠の認定(審決書2頁2行目〜16行目)、両意匠の共通点(1)、(4)及び差異点の認定(同3頁1行目〜4行目、10行目〜18行目)は認める。
審決は、本願意匠と引用意匠の類否の判断を誤った(取消事由)ものであるから、違法として取り消されるべきである。
2 取消事由(類否の判断の誤り) (1) 審決は、本願意匠と引用意匠の共通点として、「(1)全体が電球を内蔵した略椀状の反射笠部と略扁平直方体状の口金外筒部と2本の線条の端子とから成る基本的な構成態様のものである点、各部の具体的な態様について、(2)反射笠部は、略全周面に、略同心円状と放射状に規則的に線条を形成し、中心から外縁に向かって漸次大きくなる矩形状の小区画を多数表している点、(3)反射笠の外縁部は、細幅のフランジ部を形成し、外縁部に沿って透明な板体で閉塞している点、
(4)口金外筒部は、端子ピン側に向かって僅かにすぼまり状とした点」(審決書3頁1行目〜12行目)を認定した上、「前記共通するとした全体の基本的な構成態様及び各部の具体的な態様の共通点は、両意匠の全体の態様の基調を形成するもので、これらが相まって両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものである」(同4頁16行目〜末行)と判断するが、誤りである。
すなわち、上記共通点として認定された反射笠部、口金外筒部及び2本の線条端子の各構成態様並びに笠の全周面に同心円状及び放射状の線で区画した矩形の小区画を配列した構成態様は、同種のランプにおいて多く採用されている周知のものであり、このことは、イワサキ・エレクトリック・カンパニー・リミテッド発行の「LIGHTING INFORMATION ’89」との表題の1989年カタログ(甲第4号証)10頁及び11頁上段の各写真、ジェネラル・エレクトリック社発行の「THE NEW SOURCE OF LIGHT」との表題の1991年春期カタログ(甲第5号証)5頁下段の写真、タングスラム社発行の「HANOVER FAIR INDUSTRY 90」との表題の1990年カタログ(甲第6号証)7頁の写真、ローウイス社発行の「1990 Halogen Lighting Catalogue」との表題の1990年カタログ(甲第7号証)4頁及び5頁の各写真、
フィリップス社発行の「Philips Licht」との表題の1990年カタログ(甲第8号証)5頁下段及び6頁上段の各写真に示されている意匠から明らかである。
このような周知の構成態様は看者の注意を惹くものではないというべきであるから、上記共通点に係る構成態様が本願意匠と引用意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすとする審決の上記判断は誤りというべきである。
(2) 次に、審決は、本願意匠と引用意匠との差異点(イ)として、「反射笠部の小区画につき、本願意匠は、短辺側を左右に僅かにずらして略渦巻き状に形成しているのに対して、引用意匠は、略直線状に形成している点」(審決書3頁13行目16行目)を認定した上、「(イ)の点は、本願意匠が矩形状の小区画を僅かにずらしたことにより生じたものであるが、その渦巻き状の態様が小さいもので、中心から外縁に向かって漸次大きく形成している共通する態様の中での僅かな差異に過ぎず、類否判断に与える影響は微弱である」(同4頁2行目〜7行目)と判断するが、誤りである。
すなわち、本願意匠の上記渦巻き状の態様は、反射笠部の矩形状の小区画をわずかにずらした程度のものではなく、顕著な渦巻き状の配列としているものであって、引用意匠の反射笠の矩形の小区画の配列による模様とは全く異なった趣味感を創出している。また、引用意匠では、笠部の矩形の小区画が放射方向に整列しているため、これらの小区画の間には円周方向の相互傾斜角度がなく、そのため光の明部と暗部のパターンが単調になる。これに対し、本願意匠では、渦巻き状の線に沿った矩形の小区画は放射方向に角度を変えるだけでなく、円周方向にも角度が変化し、明暗により形成される模様が場所により顕著に異なる。以上の点からも、
上記渦巻き状の態様が本願意匠と引用意匠の顕著な美観の差異を生じさせていることは明らかである。
なお、被告は、本願意匠のような上記渦巻き状の構成が周知であるとして、乙第2、第3号証を援用するが、これらに記載の意匠においては、本願意匠のような渦巻き状の模様は形成されていないというべきである。
(3) 審決は、以上のような誤った判断に基づいて、本願意匠と引用意匠は、その形態において類似するとの誤った判断に至ったものであって、違法として取り消されるべきである。
被告の反論
1 審決の認定判断は正当であり、参加人主張の取消事由は理由がない。
2 取消事由(類否の判断の誤り)について (1) 参加人は、本願意匠と引用意匠の共通点の一部の周知性をいうが、両意匠の共通点に係る構成態様はもとより、差異点(イ)に係る本願意匠の構成である反射笠部の矩形状の小区画の渦巻き状の構成態様も周知というべきである。すなわち、
特開昭62-64001号公報(乙第2号証)には、「光源からの光を反射する反射曲面に、方形又は亀甲状の輪郭を有する多数の反射小曲面を同心状に配列して形成した反射鏡」(1頁左下欄5行目〜7行目)、「実施例では、反射小曲面6が亀甲状の輪郭を有する凹曲面とされているが、凸曲面としてもよく、また輪郭を方形(菱形を含む)としても良い。更に、上記実施例では、各反射小曲面6を同心状に配列し、縦方向に千鳥状に隙間なく配列している」(3頁右上欄5行目〜10行目)と記載され、第1図においてその態様が図示されており、結果的に本願意匠のような渦巻き状の態様が表されている。また、実開平2-1802号公報(乙第3号証)にも同様の反射板が記載されている。
そして、反射鏡において、同心円状で放射状の線条によって形成された矩形状の小区画が、左右にずれた状態で笠の中心部から開口部外縁に向かって徐々に大きく表されている態様は、意匠登録第632071号公報(乙第1号証)に示されており、また、本願意匠の反射笠部寄りの極細の溝の態様については実開昭49-41488号公報(乙第4号証)、実開昭63-4058号公報(乙第5号証)及び実開昭64-51260号公報(乙第6号証)に示されているから、結局、本願意匠と引用意匠の共通点及び差異点に係る態様のほとんどは、本願意匠の意匠登録出願前から見受けられるありふれた態様のものというべきである。
(2) 参加人は、本願意匠の反射笠部の矩形状の小区画の渦巻き状の態様が顕著な美観の差異を生じさせている旨主張するが、本願意匠と引用意匠とは、反射笠を構成する小区画の形状を同様のものとし、それら矩形状の小区画を同心円状と放射状に規則的に並べ、かつ、中心から外縁に向かって漸次大きくなるように多数表している点では共通しており、ただ、本願意匠では、矩形状の小区画の短辺側をわずかに左右隣り方向にずらしているため、結果的に渦巻き状の態様が表されているにすぎない。しかし、そのような構成自体、ありふれたものであることは上記のとおりであるから、その相違点を、両意匠全体の態様の基調を形成している共通点を上回るものとして格別に評価をすることはできないというべきであり、その趣旨をいう審決の判断に誤りはない。
また、参加人は、「円周方向の相互傾斜角度」の有無について主張するが、それは、矩形状の小区画をずらしたことにより生じたものであり、これが格別のものでないことは上記のとおりである。なお、参加人の主張する「光の明部と暗部のパターン」は、意匠を構成する「物品の形状模様若しくは色彩又はこれらの結合」に係るものではないから、失当である。
当裁判所の判断
1 取消事由(類否の判断の誤り)について (1) 審決の認定する本願意匠と引用意匠の共通点及び差異点中、共通点(1)(全体が電球を内蔵した略椀状の反射笠部と略扁平直方体状の口金外筒部と2本の線条の端子とから成る基本的な構成態様のものである点)及び(4)(口金外筒部は、端子ピン側に向かって僅かにすぼまり状とした点)並びに差異点(イ)(反射笠部の小区画につき、本願意匠は、短辺側を左右に僅かにずらして略渦巻き状に形成しているのに対して、引用意匠は、略直線上に形成している点)及び(ロ)(口金外筒部の平、底面につき、本願意匠は、反射笠部寄りに極細の溝を形成しているのに対して、引用意匠は、溝を形成していない点)の認定は当事者間に争いがなく、同共通点(2)(反射笠部は、略全周面に、略同心円状と放射状に規則的に線条を形成し、中心から外縁に向かって漸次大きくなる矩形状の小区画を多数表している点)及び(3)(反射笠の外縁部は、細幅のフランジ部を形成し、外縁部に沿って透明な板体で閉塞している点)は、別添審決書別紙第1、第2に示された両意匠の形態及び説明に照らして、これを共通点と認める。
そこで、以下、審決の認定に係る上記の共通点及び差異点に基づいて、検討する。
(2) まず、本願意匠の基本的な構成態様は、全体が電球を内蔵した椀状の反射笠部と扁平直方体状の口金外筒部と2本の線条の端子とから成るものと認められるところ、このような基本的な構成態様において本願意匠と引用意匠とが共通していることは前示のとおりであるが、照明反射鏡が反射笠と口金外筒部と2本の端子から成ること自体は、その物品としての性質上いわば必然的な構成である上、反射笠を椀状とすること、口金外筒部を扁平直方体状とすることも、ごくありふれた構成というべきであって、このことは、参加人の引用する甲第4〜第8号証記載の各意匠からも明らかというべきである。そうすると、上記のような本願意匠の基本的構成態様は、それ自体看者の注意を惹くようなものということはできず、意匠全体の類否の判断の上でこれをさほど重視することはできない。
次に、具体的な構成態様の共通点についても、反射笠部のほぼ全周面にわたって、同心円状と放射状に規則的に線条を形成し、中心から外縁に向かって漸次大きくなる矩形状の小区画を表している構成(共通点(2))、反射笠の外縁部で細幅のフランジ部を形成し、外縁部に沿って板体で閉塞している構成(同(3))、口金外筒部は、端子ピン側に向かってわずかにすぼまり状とした構成(同(4))は、
いずれも参加人の引用する甲第4〜第8号証記載の各意匠に示されているものであって、照明反射鏡の有する形態としては格別の創作性を見て取ることのできない周知のありふれた形態というべきである。したがって、これらの両意匠に共通する具体的な構成態様が看者に強い印象を与えるものであるとはいえず、その類否の判断に及ぼす影響は小さいといわざるを得ない。
(3) これに対し、差異点(イ)に係る本願意匠の構成は、反射笠部の矩形状の小区画をわずかにずらして配列したことによって、反射笠部の内周面と外周面に渦巻き状の模様を生じさせたものと認められるところ、照明反射鏡においては、背面に位置する口金外筒部及び端子よりも、反射笠部の方が、大きさの上でも、その使用態様に照らしても、看者の注意を惹く構成部分であると考えられる上、この渦巻き状の模様は、反射笠部の内周面と外周面のほぼ全面にわたって表された模様であるため、量的にも、質的にも、最も目につきやすい構成態様ということができる。そして、この渦巻き状の模様は、反射笠部の椀状の形態が有する放射状に広がる径方向への動感に加え、円周方向に回転する動感を付与することによって、意匠全体から受ける印象に変化を与えるものであって、単に矩形状の小区画が単調に配列されている引用意匠とは全く異なる美感を生じさせるというべきである。したがって、
差異点(イ)に係る本願意匠の構成は、引用意匠との類否の判断に重要な影響を及ぼす要部となると解するのが相当である。
被告は、上記の渦巻き状の構成は、乙第2、第3号証記載の意匠に示されている旨主張するが、これらの意匠は、反射笠部のほぼ全面に亀甲状の輪郭を有する小区画を規則的に配列したにすぎず、むしろ引用意匠と同様に小区画を直線状に形成した配列と見るべきものであって、そこから本願意匠におけるような渦巻き状の模様を看取することはできないといわざるを得ない。なお、本件全証拠を総合しても、本願意匠のような渦巻き状の模様が採用されている先行意匠は見当たらない。
また、被告は、同心円状で放射状の線条によって形成された矩形状の小区画が、左右にずれた状態で配列されている意匠は乙第1号証に示されている旨主張するが、同号証記載の意匠の矩形状の小区画の配列は、放射状の線条が上下の小区画のほぼ中央に位置するように一列おきに配列されているものであって、左右にずれた状態で配列している点では本願意匠と同じであっても、渦巻き状の模様を生じさせるものとはいえず、その与える美感は全く異なるというべきである。
さらに、被告は、本願意匠の上記渦巻き状の模様は、矩形状の小区画の短辺側をわずかに左右隣り方向にずらしているために結果的に表されているにすぎない旨主張するが、当該渦巻き状の模様を表すための技法が被告の主張のとおりであるとしても、看者において、矩形状の小区画が左右隣り方向にずれているものと認識させるにとどまらず、渦巻き状の「模様」として認識され得るものというべきであるから、被告の上記主張は、上記の判断を左右するものではない。
(4) 以上の認定判断を踏まえると、本願意匠の要部である差異点(イ)に係る構成態様、すなわち、反射笠部の矩形状の小区画を左右にわずかにずらしたことによって形成される渦巻き状の構成から生ずる美感は、上記のような周知の構成にすぎない本願意匠と引用意匠の共通点に係る構成態様を上回る強い印象を看者に与え、
全体的に考察して両意匠は類似するものではないといわざるを得ない。したがって、両意匠の類似性を肯定した審決の判断は誤りというべきである。
2 以上のとおり、参加人主張の審決取消事由は理由があり、この誤りが審決の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから、審決は取消しを免れない。
よって、参加人の請求は理由があるからこれを認容し、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 篠原勝美
裁判官 長沢幸男
裁判官 宮坂昌利
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