関連審決 |
不服2005-7314 |
---|
審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
---|---|---|
平成17行ケ10253審決取消請求事件 | 判例 | 意匠 |
平成18行ケ10492審決取消請求事件 | 判例 | 意匠 |
平成14ワ26828損害賠償請求事件 | 判例 | 意匠 |
平成10ワ11674意匠権及び実用新案権侵害差止等請求事件 | 判例 | 意匠 |
平成17行ケ10227審決取消請求事件 | 判例 | 意匠 |
関連ワード | 物品 / 形状 / 模様 / 部分意匠 / 意匠に係る物品 / 3条1項2号 / 3条1項3号 / 頒布された刊行物 / 記載された意匠 / 意匠の類否 / 願書の記載 / 登録意匠 / 類似性(類否判断) / |
---|
元本PDF | 裁判所収録の全文PDFを見る |
---|
事件 |
平成
18年
(行ケ)
10469号
審決取消請求事件
|
---|---|
原告株 式会社カネミツ 訴訟代理人弁理士鈴江正二 同 木村俊之 被告特 許庁長 官中嶋誠 指定代理人鍋田和宣 同 岩井芳紀 同 大場義則 |
|
裁判所 | 知的財産高等裁判所 |
判決言渡日 | 2007/04/25 |
権利種別 | 意匠権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 |
事実及び理由 | |
---|---|
全容
第1請求特許庁が不服2005-7314号事件について平成18年8月28日にした審決を取り消す。 第2当事者間に争いがない事実1特許庁における手続の経緯原告は,平成16年3月15日,別添審決謄本写しの別掲第1表示の意匠について,意匠に係る物品を「プーリー」とする意匠登録出願(意願2004-7553号,以下「本件出願」といい,その部分意匠を「本願意匠」という。)をしたが,平成17年3月8日付けで拒絶査定を受けたので,同年4月25日,拒絶査定に対する不服の審判を請求した。 特許庁は,これを不服2005-7314号事件として審理し,平成18年8月28日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,その謄本は,同年9月20日,原告に送達された。 2審決の理由( )審決は,別添審決謄本写し記載のとおり,本願意匠は,本件出願前に発行1された意匠公報(甲2,以下「甲2公報」という。)に所載の意匠登録第981462号の意匠(意匠に係る物品・動力伝導用プーリー)の本願意匠に相当する部分の意匠(以下「引用意匠」という。)と,意匠に係る物品が共通し,また,本願意匠の意匠登録を受けようとする部分の用途及び機能,位置,大きさ,範囲と,引用意匠の本願意匠に該当する部分が共通し,形態においても,共通点は,差異点を凌駕して類否判断を左右するというべきであるから,両意匠は類似するものであって,本願意匠は,意匠法3条1項3号に該当し,意匠登録を受けることができないとした。 ( )審決が認定した,本願意匠と引用意匠の共通点及び差異点は,それぞれ次2のとおりである。 ア共通点(審決謄本2頁第2段落)全体が,円環状を呈する細幅のリム部上面と,太幅のディスク部上面から成るものであって,ディスク部上面は,外側から内側に向けて,側方視,下方に弧状に凹嵌(注,「凹陥」の誤記と認める。)する凹面部と,上方に弧状に突出する凸面部を,下降する略波状に形成している点イ差異点(同第3段落)リム部上面の傾斜の有無について,本願意匠は,平坦面状としているのに対して,引用意匠は,内側から外側に向けて,極僅かに下降する傾斜面状としている点第3原告主張の審決取消事由審決は,本願意匠と引用意匠の差異点を看過し(取消事由1),本願意匠と引用意匠の類否判断を誤った(取消事由2)ものであって,違法であるから,取り消されるべきである。 1取消事由1(差異点の看過)( )審決は,本願意匠と引用意匠の差異点として,「リム部上面の傾斜の有無1について,本願意匠は,平坦面状としているのに対して,引用意匠は,内側から外側に向けて,極僅かに下降する傾斜面状としている点」(以下「差異点a」という。なお,以下,上下等については,審決と同様,引用意匠に係る甲2公報の図の向きにならうこととし,また,ディスク部の上面を単に「ディスク部」ともいう。)のみを認定し,「ディスク部上面の形状について,本願意匠は,凹面部と凸面部とがなめらかに接続するとともに,凸面部の内側下降面もディスク部中心寄りの平坦面となめらかに接続し,全体として見ても,内側から外側に向けてなめらかに連なり,凹面部の外寄り部分がシャープに反り上がっているのに対し,引用意匠は,凹面部と凸面部とが角張って接続するとともに,凸面部の内側下降面もディスク部中心寄りの平坦面と一定角度で角張って接続し,全体として見ても,スムーズさを欠いたギクシャクした形状で,凹面部の外寄り部分も,第2の凸面部の一部として中膨れ状に膨出して,リム部上面の下降する傾斜面と一体化している点」(以下「差異点b」という。)を看過した。この差異点bは,ディスク部上面の形状であるから,対比の対象となる部分の形態の差異点である。また,本願意匠の願書に添付したB-B,B’-B’部分拡大断面図には,凸面部の内側下降面の途中に変曲点(上に凸の状態と下に凸の状態との変わり目の点)が現されていることは明らかであり,内側下降面は下に凸の状態でディスク部中心寄りの平坦面と接続されるから,部分意匠である本願意匠の「境界」は,上記下降面がディスク部中心寄りの平坦面と接続する箇所,すなわち下降面の下端である。 差異点bに係る形態により,本願意匠においては,内側から外側に向けてなだらかに凹凸が繰り返され,リム部とディスク部とが接続される突出部である耳部がシャープに反り上がった印象が強調されるのに対し,引用意匠においては,内側から外側に向けて凹凸がギクシャクと連続し,耳部全体も丸味を帯びて鈍重な印象を与え,両意匠は,美感上も相違している。 ( )差異点bのうち,凹面部と凸面部との接続の態様の差異,及び,凸面部の2内側下降面とディスク部中心寄りの平坦面との接続の態様の差異は,図面における凸面部の径方向内外の輪郭線の有無からも明らかである。 本願意匠の正面図においては,凸面部の径方向内外に輪郭線が現されていないため,凸面部がアールを付けて接続されることが明らかであるのに対し,引用意匠の平面図においては,凸面部の径方向内外に輪郭線が現されていて,凸面部が角張って接続されることが明らかである。 図面において,輪郭線が現されていない場合はアールの付いた角丸形状と認定し,輪郭線が表されている場合は一定の角度で屈曲した角部と認定するというのが従来からの意匠実務であり,これに反する認定は,従来からの意匠実務に反するとともに,結果として,「登録意匠の範囲は,願書の記載及び願書に添附した図面に記載され又は願書に添附した写真,ひな形若しくは見本により現わされた意匠に基いて定めなければならない」ことを定めた意匠法24条の規定にも反することとなる。縦線及び横線(輪郭線)の有無が図面の「作図上の問題」にすぎないとの主張は,裁判例(大阪高裁平成17年(ネ)第570号事件の判決,甲3)においても否定されている。 この点について,被告は,凸面部の外側に現れている輪郭線を「細線状の模様」である旨主張するが,上記輪郭線が,引用意匠において,他の形状線よりも細線で現されているわけではないから,明らかに事実に反するし,「模様」も意匠の構成要素であるから(意匠法2条1項),「模様」であれば軽視し得るかのような主張は,失当である。 ( )引用意匠における凸面部の径方向外側の輪郭線は,引用意匠に係るプーリ3ーの耳部が,プーリーの素材である板金を2つ折りに折り重ねるために形成される環状の屈曲部を示すものである。すなわち,引用意匠に係るプーリーの2つ折りの耳部は,まず,円形に打ち抜き加工した板金を絞り加工することにより有底円筒状(カップ状)の中間成形体を形成し,次に,カップ状の中間成形体の底壁と周壁の境界部分である角部を絞って形成される。その際,発錆を防ぐため,折り重ねられる内側の部分を全面的に密着させて閉止しなければならないという加工上の必要性から,凸面部の径方向外側は,角張った環状の屈曲部となる。また,引用意匠の場合,径方向内側から外側に向けて凸面部と凹面部とが順に連設されているため,凹面部の最下部(最底部)を十分に加圧すると,凸面部と凹面部の接続部,すなわち,凹面部の最下部(最底部)に,より角張った屈曲部が明確に形成されることになる。 これに対し,本願意匠の耳部は,1枚ものの耳部(単層の耳部)であり,引用意匠のような2つ折りの耳部とは異なる加工方法に基づくため,引用意匠のような屈曲部は形成されていない。本願意匠は,2つ折りの耳部を備えたプーリーを予定していないものであり,引用意匠に係るプーリーとは,プーリーの構成において相違する。 差異点bは,プーリーの需要者が専門家である当業者であることにかんがみれば,本願意匠と引用意匠との差異を決定付けるものであり,差異点bを看過して類否判断を行うことは許されない。 ( )被告は,差異点について,審決が「主として」と記載して差異点を認定し4ていること,差異点は類否判断に影響を与える要素となり得るか否かを考慮した上で認定するものであることを挙げて,審決に差異点の看過はない旨主張するが,失当である。 本願意匠及び引用意匠の視覚的印象をそれぞれ決定付けているのは,差異点aではなく,差異点bに係る形態である。特に,引用意匠では,差異点aに係る形態は,それ単独で独立した印象を形成しているのではなく,差異点bに係る形態の一部である凹面部の外寄り部分と一体となり,中膨れ状に膨出した第2の凸面部を構成しているから,それのみを取り出して見た場合の意匠的意義は低いものである。 また,類否判断に影響を与える要素となり得るか否かを考慮した上で差異点を認定するという被告主張の手法は,差異点の認定に先立って差異点の評価を行うものであり,本末転倒である。意匠法3条1項3号が要求しているのは,飽くまで,出願に係る意匠が,同項1号又は2号に掲げる意匠と類似するか否かであり,差異点の認定(及び共通点の認定)は,その前提として,判断者の恣意を排して客観的かつ合理的な類否判断を担保するための手段である。類否判断に影響を与える要素となり得るか否かを考慮した上で差異点を認定すると,予断を許し,結論の客観性及び合理性が保障されない。 2取消事由2(類否判断の誤り)( )審決は,「リム部上面の傾斜の有無については,引用意匠のその傾斜は,1本願意匠に比して極僅かなものであり,その部分を注視して気付く程度の差にすぎず,異質の造形感を生じるとはいい難いものであって,格別看者の注意を引くとはいえず,その差異は,形態全体から観れば,共通するとした態様の共通感を凌駕するものとはいえないから,類否判断に及ぼす影響は微弱にすぎない」(審決謄本2頁第6段落)とし,「両意匠(注,本願意匠と引用意匠)は,・・・形態においても,差異点の類否判断に及ぼす影響が微弱の域に止まることを考慮すると,共通点は,両意匠の形態全体に著しい共通感を奏するものであり,差異点を凌駕して類否判断を左右するというべきであるから,意匠全体として観察すると,両意匠は類似するものというほかない」(同頁第7段落)と判断したが,いずれも誤りである。 ( )審決は,看者が専門家である当業者であることを考慮していない。プーリ2ーの需要者(看者)は,専門家である当業者であるから,類否判断は当業者の視点で行うべきである。 当業者の視点で見た場合,看者は,本願意匠の意匠登録を受けようとする部分である,耳部を含むディスク部の外縁部の形態に注意をひき付けられ,この部分の形態は看者の注意をひく部分である。 すなわち,特開平8-57564号公報(甲5)の記載によれば,ディスク部外縁部のフランジ部(耳部)は,強度上の問題が生じやすく,プーリー自体の耐久性に影響を及ぼす部位であり,耳部を含むディスク部の外縁部の形態を検分しないで需要者がプーリーの購入を決定することはない。特開昭62-84845号公報(甲6)の記載によれば,ディスク部外縁部の折曲部(耳部)は,亀裂や発錆が生じやすく,プーリー自体の耐久性に影響を及ぼす部位であるから,耳部を含むディスク部の外縁部の形態を検分しないで需要者がプーリーの購入を決定することはない。特開平5-154593号公報(甲7)の記載によれば,自動車のエンジンルームの狭小化の傾向に伴い,耳部は,需要者のプーリーの採択基準となっている。特開平11-285772号公報(甲8)の記載によれば,耳部は,その形成方法(2つ折り又は単層)を問わず,プーリー自体の要求性能や要求品質に大きな影響を与える。 これらによれば,耳部を含むディスク部の外縁部は看者の注意をひく部分であることが明らかであり,看者である当業者は,耳部を含むディスク部の外縁部の形態を注視してプーリーの取引を行うのであるから,同部分に係る差異点a及びbは,大きく評価され,また,当業者であれば,本願意匠と引用意匠とがプーリーの構成において相違していることを容易に理解するから,これらの差異点は,類否判断を左右するものである。 そして,引用意匠におけるリム部上面の傾斜(差異点aに係る形態)は,それ単独で独立した印象を形成しているのではなく,差異点bに係る形態の一部である凹面部の外寄り部分と一体となり,中膨れ状に膨出した第2の凸面部を構成しているから,差異点bを看過し,差異点aのみを対比判断した結果を類否判断の結論とすることは,許されない,審決の類否判断は,意匠が全体として有機的に結合されて成立している事実を考慮していないものである。 ディスク部上面について,審決が認定した共通点において本願意匠と引用意匠が共通するとしても,凹面部と凸面部の下降する波状を滑らかに形成し凸面部の内外に輪郭線を有しないという本願意匠の特徴は新規であり,引用意匠によっては乗り越えられない差異点を構成しているから,この特徴は共通点を凌駕して,看者に引用意匠とは異なる美感を与えているものである。 ( )審決は,「(請求人である原告は),さらに,両意匠(注,本願意匠及び3引用意匠)における物品の加工方法の違いを云々しているが,技術的効果はともかく,意匠上は殊更評価できないものであり,しかも,その部分は,その他の部分であるから,本件において,形態を対比すべき部分ではない」(審決謄本3頁第2段落)と判断したが,誤りである。 引用意匠は,2つ折りの耳部を有することにより,本願意匠の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分の形態について2つ折りの耳部の影響が看取できるのであり,形態が異なるのは,「その他の部分」ではない。引用意匠は,2つ折りの耳部を有する結果,凹面部と凸面部とがV字状に角張って接続するとともに(差異点b),2つ折りの名残りとして耳部全体が丸味を有しているものであり(差異点a及びb),本願意匠の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分の形態として,差異点a及びbに係る構成が現れている。 第4被告の反論審決の認定判断に誤りはなく,原告主張の取消事由はいずれも理由がない。 1取消事由1(差異点の看過)について(1)原告は,ディスク部上面の形状について,審決が,本願意匠と引用意匠の差異点bとして,「本願意匠は,凹面部と凸面部とがなめらかに接続するとともに,凸面部の内側下降面もディスク部中心寄りの平坦面となめらかに接続し,全体として見ても,内側から外側に向けてなめらかに連なり,凹面部の外寄り部分がシャープに反り上がっているのに対し,引用意匠は,凹面部と凸面部とが角張って接続するとともに,凸面部の内側下降面もディスク部中心寄りの平坦面と一定角度で角張って接続し,全体として見ても,スムーズさを欠いたギクシャクした形状で,凹面部の外寄り部分も,第2の凸面部の一部として中膨れ状に膨出して,リム部上面の下降する傾斜面と一体化している点。」を看過した旨主張するが,失当である。 (2)甲2公報に記載された引用意匠の形態を示す正面図,右側面図及びA-A断面図によれば,引用意匠のリム部上面が内側から外側に向けて,ごくわずかに下降する傾斜面状としている点を認定することはできるが,凹面部の外寄り部分は,ディスク部上面の外側の凹面部の下方に弧状に凹陥する部分に相当し,むしろ,凹面部と凸面部を下降する略波状に形成した太幅のディスク部上面を構成する要素であるから,共通点として認定すべきものである。 そして,引用意匠は,正面図及び右側面図に,リム上面の外側部分をごく僅かに下降する傾斜面状としている態様が観察できるのに対し,本願意匠は,平坦面状としている点で差異が認められるから,リム部上面の傾斜の有無について,本願意匠は,平坦面状としているのに対し,引用意匠は,内側から外側に向けて,ごくわずかに下降する傾斜面状としている点を主たる差異点とした審決の認定に誤りはない。 原告は,凹面部と凸面部の連続態様について,本願意匠はなだらかに連続しているのに対して,引用意匠はギクシャクと連続していて差異がある旨主張するが,引用意匠の願書に添付した図面(乙6)に示したA-A断面図を観察しても,その態様の細部を認定することは困難であり,さらに,甲2公報所載の図面には記載されていないが,本願意匠についての拒絶理由通知に対し,原告が平成18年5月24日付け意見書と共に提出した比較対照図(1)及び(2)(乙7の2,3)に示す引用意匠の部分拡大断面図を注視しても,具体的な態様において,本願意匠との差異が認められるとまではいい難いものであるから,審決が,差異点bを差異点として認定しなかったことに誤りはない。 また,本願意匠の意匠登録を受けようとする部分は,リム部上面と太幅のディスク部上面から成る部分であり,リム部とディスク部とが接続される突出部(耳部)についても,その上面のみを対比の対象とすべきであるのに対し,本願意匠と引用意匠の耳部全体と対比して両意匠の差異点がある旨の原告の主張は,本願意匠と対比すべき対象となる部分の特定を誤ったものであるから,原告の上記主張はいずれも失当である。 (3)審決は,「第3.本願意匠と引用意匠の対比」において,「主として,以下に示す共通点及び差異点がある。」(審決謄本1頁最終段落〜2頁第1段落)とするとおり,類否判断に影響を与える要素となり得るか否かを考慮した上で,本願意匠と引用意匠の差異点を認定している。 すなわち,細部の態様や注意をひく度合いの低い部分の態様などについての差異よりも,形態全体に支配的な影響を及ぼしている態様についての差異が意匠全体の類否判断に影響を与える可能性が大きいことから,意匠全体の類否判断に影響を与える可能性が大きい形態についての差異を主たる差異点として認定すべきである。したがって,意匠の対比においては,類否判断に影響を与える可能性が大きいか否かを考慮して,差異点を認定すべきところ,このことは,プーリーに係る意匠の分野においても異なるところはなく,本件において,本願意匠と引用意匠の類否判断の手法は,従来からの審査・審判実務に従ったものにほかならない。 (4)原告は,本願意匠の正面図は,凸面部の径方向内外に輪郭線が現されていないため,凸面部がアールを付けて接続されるのに対し,引用意匠の平面図では,凸面部の径方向内外に輪郭線が現されているため,凸面部が角張って接続されるものである旨主張する。 しかし,本願意匠において,凸面部の内側の下降面の下端とディスク部中心寄りの平坦面との間の緩やかに反り上がった部分は意匠登録を受けようとする部分ではない破線で示されているから,この凸面部の内側の下降面の下端とディスク部中心寄りの平坦面とは接続していない。したがって,引用意匠のディスク部上面の凸面部の内側下降面の下端が輪郭線で現されているとしても,その輪郭線は,本願意匠に相当する部分でないから,審決が,この部分の有無を差異点として認定しなかったことに誤りはない。 また,引用意匠の凸面部の径方向外側の輪郭線は,実線で単に円形を現したにすぎないものであって,それが,形状,模様若しくはそれらの結合として視覚を通じて美感を起こさせるほどの意匠的な効果を生じ,引用意匠を格別に特徴付けるほどの要素となり得るものとはいえない。その輪郭線は,形態の具体的な態様を現す形状線とはいい難いものであって,細線状の模様として現されているにすぎず,引用意匠の形態全体に影響を与えるほどの態様を形成しているとは到底認め難いものであり,審決が輪郭線の有無を両意匠の類否判断に影響を及ぼすほどの差異点として認定しなかった点に誤りはない。 ( )原告は,引用意匠においては,凸面部の径方向外側の輪郭線は環状の屈曲5部を示すのに対し,本願意匠においては,耳部が一枚ものであり,引用意匠のような2つ折りの耳部とは加工方法が相違し,引用意匠のような屈曲部を形成していないから,プーリーの需要者が専門家である当業者であることにかんがみれば,差異点bは,本願意匠と引用意匠との相違を決定付けるものであり,差異点bを看過して類否判断を行うことは許されない旨主張する。 しかし,差異点bが,耳部の加工方法の相違を包含しているとしても,引用意匠の凸面部に径方向外側に現されている輪郭線は,両意匠の類否判断に影響を与えるほどの差異点として認められず,プーリーの需要者である当業者においても,プーリーのリム部上面やディスク部上面の態様について,意匠の外観を上方より観察することが最も自然かつ普通である点も勘案すると,差異点bが,直ちに,本願意匠と引用意匠との相違を決定付けるものであるとすることはできない。 2取消事由2(類否判断の誤り)について(1)原告は,審決の本願意匠と引用意匠の類否判断が誤りである旨主張するが,失当である。 ( )引用意匠のリム部上面の傾斜は,原告が示した引用意匠の部分拡大断面図2によってもごくわずかな傾斜にすぎず,リム部上面のみを注視して気づくほどの傾斜であり,両意匠のリム部上面がディスク部上面よりも細幅の部分である点も考慮すると,限られた部分の態様についての極めて軽微な差異にすぎず,リム部上面の傾斜の有無が本願意匠と引用意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱にすぎない。 そして,リム部上面に連続して形成されたディスク部上面の凹面部と凸面部の連続態様について,審決において共通していると認定した,ディスク上面を外側から内側に向けて,側方視,下方に弧状に凹陥する凹面部と上方に突出する凸面部を下降する略波状に形成している態様は,リム部上面よりも広幅であるディスク部上面の構成態様に係るから,両意匠の形態全体に共通感を奏するものであり,共通点が差異点よりも両意匠の類否判断に支配的な影響を与えているというべきであるから,両意匠が類似する。 (3)原告は,「(請求人である原告は),さらに,両意匠(注,本願意匠及び引用意匠)における物品の加工方法の違いを云々しているが,技術的効果はともかく,意匠上は殊更評価できないものであり,しかも,その部分は,その他の部分であるから,本件において,形態を対比すべき部分ではない」(審決謄本3頁第2段落)とした審決の判断が誤りである旨主張する。 しかし,本願意匠と対比すべき引用意匠は,飽くまで,リム部上面及びこれに連続するディスク上面の部分であり,原告が主張する,引用意匠の折曲げの残る2重である肉厚で丸みを帯びる点及び本願意匠の板金が一体化して肉薄である点などは,その他の部分の態様に係るから,それらについて,形態を対比すべき部分ではないとした審決の判断に誤りはない。 第5当裁判所の判断1取消事由1(差異点の看過)について( )審決は,前記第2の2( )イのとおり,本願意匠と引用意匠の差異点とし1 2て,「リム部上面の傾斜の有無について,本願意匠は,平坦面状としているのに対して,引用意匠は,内側から外側に向けて,極僅かに下降する傾斜面状としている点」(差異点a)を認定したところ,原告は,本願意匠と引用意匠には,それ以外の差異点として,「ディスク部上面の形状について,本願意匠は,凹面部と凸面部とがなめらかに接続するとともに,凸面部の内側下降面もディスク部中心寄りの平坦面となめらかに接続し,全体として見ても,内側から外側に向けてなめらかに連なり,凹面部の外寄り部分がシャープに反り上がっているのに対し,引用意匠は,凹面部と凸面部とが角張って接続するとともに,凸面部の内側下降面もディスク部中心寄りの平坦面と一定角度で角張って接続し,全体として見ても,スムーズさを欠いたギクシャクした形状で,凹面部の外寄り部分も,第2の凸面部の一部として中膨れ状に膨出して,リム部上面の下降する傾斜面と一体化している点」(差異点b)があり,審決が差異点bを看過した旨主張する。 ( )本願意匠の願書に添付された図面(甲1)のA-A線断面図,B-B,B2’-B’部分拡大断面図に照らせば,本願意匠は,円環状の細幅のリム部上面と太幅のディスク部上面から成り,ディスク部上面について,側方視において,上方に弧状に突出する凸面部を環状に形成して,凸面部からリム部に向けて浅い弧状の凹面部を形成し,ディスク部の外側から内側に向けて,凹面部,凸面部を下降する略波状に形成するとともに,ディスク部外側と接続するリム部上面を平坦面状としている。また,ディスク部の凸面部は,凹面部及び内側下降面となだらかに接続している。 他方,甲2公報(甲2)によれば,引用意匠は,円環状の細幅のリム部上面と太幅のディスク部上面から成り,ディスク部上面について,側方視において,上方に弧状に突出する凸面部を環状に形成して,凸面部からリム部に向けて浅い弧状の凹面部を形成し,ディスク部の外側から内側に向けて,凹面部,凸面部を下降する略波状に形成するとともに,ディスク部外側と接続するリム部上面をディスク部の内側から外側に向けて,ごくわずかに下降する傾斜面としている。また,ディスク部の凸面部は,凹面部及び内側下降面となだらかに接続している。 これらによれば,本願意匠と引用意匠は,審決の認定のとおり,「全体が,円環状を呈する細幅のリム部上面と,太幅のディスク部上面から成るものであって,ディスク部上面は,外側から内側に向けて,側方視,下方に弧状に凹陥する凹面部と,上方に弧状に突出する凸面部を,下降する略波状に形成している点」(審決謄本2頁第2段落)で共通し,「リム部上面の傾斜の有無について,本願意匠は,平坦面状としているのに対して,引用意匠は,内側から外側に向けて,極僅かに下降する傾斜面状としている点」(同第3段落)で差異があると認めることができる。 ( )原告は,引用意匠について,ディスク部上面の凹面部と凸面部とが角張っ3て接続するとともに,凸面部の内側下降面もディスク部中心寄りの平坦面と一定角度で角張って接続して,凸面部の内側下降面においても,本願意匠と異なり,全体として見ても,スムーズさを欠いたギクシャクした形状である旨主張する。しかし,甲2公報のA-A断面図を詳細に見ても,ディスク部の凸面部の凸状の形状については,なだらかな曲線として示されていて,上記凸面部は,凹面部及び内側下降面から平坦面へとなだらかに接続しているというほかないものである。したがって,引用意匠の上記部分の形状は,同じくなだらかな曲線として示される本願意匠の凸面部の形状と異なるところはなく,この点において,本願意匠と引用意匠との間に原告主張の差異を認めることはできない。 また,原告は,本願意匠は,凹面部の外寄り部分がシャープに反り上がっているのに対し,引用意匠は,凹面部の外寄り部分も,第2の凸面部の一部として中膨れ状に膨出して,リム部上面の下降する傾斜面と一体化している旨主張する。しかし,本願意匠も引用意匠も,凹面部の外寄り部分は,上記のとおり,凸面部からリム部に向けて浅い弧状の凹面部を形成する点で共通すると認められ,甲2公報のA-A断面図を詳細に見ても,凹面部の形態において,本願意匠と引用意匠との間に原告主張の差異を認めることはできない。 なお,本願意匠の凹面部の外寄り部分は,それに接続するリム部上面が平坦面状であるため,凹面部の終了する位置が明らかであるのに対し,引用意匠の凹面部の外寄り部分は,それに接続するリム部上面が,内側から外側に向けてごくわずかに下降する傾斜面状であるから,引用意匠の凹面部は,それに接続するリム部上面の外側へのごくわずかの傾斜とつらなっているとみることができないわけではない。しかし,凹面部の凹面の形状は,本願意匠と引用意匠で異ならないこと,上記凹面部はディスク部上面の形態に係るものであること,リム部上面の内側から外側にむけての傾斜はごくわずかであることを考慮すると,上記形態について,本願意匠と引用意匠のディスク部上面の形態について,「外側から内側に向けて,側方視,下方に弧状に凹陥する凹面部と,上方に弧状に突出する凸面部を,下降する略波状に形成している点」を共通するとし,リム部上面の形態をとらえて,差異点と認定した審決に原告主張の差異点の看過はない。 ( )原告は,差異点bのうち,凹面部と凸面部との接続の態様の差異,及び,4凸面部の内側下降面とディスク部中心寄りの平坦面との接続の態様の差異は,図面における凸面部の径方向内外の輪郭線の有無からも明らかである旨主張する。 確かに,本願意匠につき,願書に添附した斜視図,正面図において,ディスク部の凸面部の形状は実線で示されていないのに対し,引用意匠につき,甲2公報所載の平面図において,凸面部には径方向内外に実線で輪郭線が示されている。 しかし,甲2公報の凸面部の径方向内外に輪郭線が示されている平面図において,A-A線の位置が示され,A-A断面図には,凸面部の形状が示されているところ,そのA-A断面図に具体的に示されたディスク部の凸面部は,なだらかな曲線として示されている。 甲2公報は,意匠公報であり,登録意匠の範囲は,願書の記載及び願書に添附した図面に記載され又は願書に添附した写真,ひな形若しくは見本により現わされた意匠に基いて定められる(意匠法24条)から,同意匠公報所載の図面は,意匠登録出願の願書に添付すべき図面の様式を定めた意匠法施行規則3条の様式第6によって作成されたものと認められる。そして,同様式第6の8の「立体を表す図面は,正投影図法により各図同一縮尺で作成した正面図,背面図,左側面図,右側面図,平面図及び底面図をもつて一組として記載する。」との規定及び様式第6の14の「8から10までの図面だけでは,その意匠を十分表現することができないときは,展開図,断面図,切断部端面図,拡大図,斜視図その他の必要な図を加え,そのほか意匠の理解を助けるため必要があるときは,使用の状態を示した図その他の参考図を加える。」との規定に照らしても,甲2公報に示された意匠においては,ディスク部の凸面部に係る形状等について,輪郭線を示す平面図だけではその意匠を十分に表現することができないことから,A-A断面図が示されていると認められるのであり,ディスク部の凸面部の具体的な形状は,正面図の輪郭線ではなく,A-A断面図によって現されていると認めることができる。 そして,A-A断面図に具体的に示されたディスク部の凸面部は,なだらかな曲線として示されているのであるから,甲2公報に示されているディスク部の凸面部は,凹面部及び内側下降面となだらかに接続していることは明らかであり,この接続の態様において,本願意匠と差異がないことは,前記( )のとおりである。 2原告は,甲2公報の正面図に凸面部の径方向内外の輪郭線が記載されていることを挙げ,凹面部と凸面部の接続の態様の差異,凸面部の内側下降面とディスク部中心寄りの平坦面との接続の態様の差異を主張するが,甲2公報において,ディスク部の凸面部の形状については,具体的な形状がA-A断面図によって現されていると認められるにもかかわらず,このA-A断面図に現された形状を殊更に無視するものであり,採用することはできない。 ( )原告は,本願意匠のプーリーと引用意匠のプーリーの加工方法が異なると5して,差異点bは,プーリーの需要者が専門家である当業者であることにかんがみれば,本願意匠と引用意匠との差異を決定付けるものである旨主張する。 しかし,本件で問題となるのは,本願意匠と,本件出願前に頒布された刊行物に記載された意匠(意匠法3条1項2号)である引用意匠との意匠相互の対比であり,意匠とは,物品(物品の部分も含む。)の形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合であって,視覚を通じて美感を起こさせるもの(同法2条1項)であるから,本願意匠に係るプーリーと引用意匠に係る動力伝導用プーリーの加工方法が異なるとしても,その加工方法の差異は,本願意匠と引用意匠の上記対比において,直ちに,需要者の視覚を通じて起こさせる美感の差異をもたらすものではないし,また,本願意匠と引用意匠との対比において,差異点bが認められないことは,前示のとおりであるから,原告の主張は失当である。 ( )以上によれば,原告主張の取消事由1は理由がない。 62取消事由2(類否判断の誤り)について( )審決は,「リム部上面の傾斜の有無については,引用意匠のその傾斜は, 1本願意匠に比して極僅かなものであり,その部分を注視して気付く程度にすぎず,異質の造形感を生じるとはいい難いものであって,格別看者の注意を引くとはいえず,その差異は,形態全体から観れば,共通するとした態様の共通感を凌駕するものとはいえないから,類否判断に及ぼす影響は微弱にすぎない」(審決謄本2頁第6段落)とし,「両意匠(注,本願意匠と引用意匠)は,・・・形態においても,差異点の類否判断に及ぼす影響が微弱の域に止まることを考慮すると,共通点は,両意匠の形態全体に著しい共通感を奏するものであり,差異点を凌駕して類否判断を左右するというべきであるから,意匠全体として観察すると,両意匠は類似するものというほかない」(同頁第7段落)としたのに対し,原告は,審決の類否判断が誤りである旨主張する。 ( )本願意匠と引用意匠は,「全体が,円環状を呈する細幅のリム部上面と,2太幅のディスク部上面から成るものであって,ディスク部上面は,外側から内側に向けて,側方視,下方に弧状に凹陥する凹面部と,上方に弧状に突出する凸面部を,下降する略波状に形成している点」で共通し,「リム部上面の傾斜の有無について,本願意匠は,平坦面状としているのに対して,引用意匠は,内側から外側に向けて,極僅かに下降する傾斜面状としている点」で差異があると認めることができること,原告主張の差異点bの看過が認められないことは,前記1のとおりである。 そして,引用意匠のリム部上面の傾斜は,ごくわずかな傾斜といえるものであって,リム部上面自体が,ディスク部上面よりも細幅の部分である点も考慮すると,引用意匠における限られた部分の態様についての極めて軽微な差異であると認められる。 そして,本願意匠と引用意匠の共通点であるディスク部上面の形態が,リム部上面よりも広幅であること,上記のとおり差異点に係る形態が極めて軽微な差異であると認められることに照らすと,共通点に係る形態が,本願意匠と引用意匠の類否判断に支配的な影響を与えているというべきであり,「共通点は,両意匠の形態全体に著しい共通感を奏するものであり,差異点を凌駕して類否判断を左右するというべきであるから,意匠全体として観察すると,両意匠は類似する」(審決謄本2頁第7段落)とした審決の判断に誤りはない。 (3)原告は,看者である当業者は,耳部を含むディスク部の外縁部の形態を注視してプーリーの取引を行うのであるから,同部分に係る差異点a及びbは,大きく評価され,また,当業者であれば,本願意匠と引用意匠とが前提となるプーリーの構成において相違していることを容易に理解するから,これらの差異点は,類否判断を左右するものであるとし,審決が差異点bを看過し,差異点aのみを切り取って対比判断したとして,ディスク上面について審決が認定した共通点において本願意匠と引用意匠が共通するとしても,ディスク部上面において凹面部と凸面部の下降する波状を滑らかに形成し凸面部の内外に輪郭線を有しないという本願意匠の特徴は新規であり,引用意匠によっては乗り越えられない差異点を構成しているから,このような特徴は共通点を凌駕して,看者に引用意匠とは異なる美感を与えているものである旨主張する。 しかし,原告の主張のうち,差異点bの存在を前提とする部分は,前記1のとおり,差異点bの看過が認められないことから,失当である。また,仮に,需要者において,本願意匠に係るプーリーと引用意匠に係る動力伝導用プーリーが,その加工方法において相違していると理解するとしても,本件において問題となるのは意匠の類否であり,意匠に係る物品が共通である本願意匠と引用意匠について,加工方法の違いが,直ちに,需要者の視覚を通じて起こさせる美感の差異をもたらすものではなく,意匠の類否に影響するものではないことは,前記1( )のとおりである。さらに,需要者において,5取引上,プーリーの耳部に注目するものであるとしても,本願意匠において,意匠登録を受けようとする部分は,円環状を呈する細幅のリム部上面と,太幅のディスク部上面から成るものであり,その太幅のディスク部上面に係る意匠が共通すると認められること,差異点に係る差異が極めて軽微なものであることに照らすと,原告主張の,看者がプーリーの耳部に注目するものであるという事実は,上記( )の判断を左右するものとは認められない。 2( )審決は,「(請求人である原告は),さらに,両意匠(注,本願意匠及び 4引用意匠)における物品の加工方法の違いを云々しているが,技術的効果はともかく,意匠上は殊更評価できないものであり,しかも,その部分は,その他の部分であるから,本件において,形態を対比すべき部分ではない」(審決謄本3頁第2段落)としたのに対し,原告は,引用意匠は,2つ折りの耳部を有することにより,本願意匠の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分の形態について,2つ折りの耳部の影響が看取でき,本願意匠の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分の形態として,差異点a及びbに係る構成が現れている旨主張する。 しかし,引用意匠に2つ折りの耳部の影響が看取できることをいう原告の上記主張が,差異点bを前提とするものであるとすれば,その前提を欠くものであるし,また,審決が認定した差異点(差異点a)が加工方法の差異により生じたものである旨の主張を含むものとすれば,同差異点の存在及び本願意匠に係るプーリーと引用意匠に係る動力伝導用プーリーの加工方法が異なるとしても,本願意匠と引用意匠が類似すると認められることは,前示のとおりであるから,いずれにしても失当である。 ( )したがって,原告主張の取消事由2は理由がない。 53以上のとおり,原告主張の取消事由はいずれも理由がなく,他に審決を取り消すべき瑕疵は見当たらない。 よって,原告の請求は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 |
裁判長裁判官 | 篠原勝美 |
---|---|
裁判官 | 宍戸充 |
裁判官 | 柴田義明 |