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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成19ネ10097損害賠償請求控訴事件 判例 意匠
平成19ネ253意匠権侵害差止等請求控訴事件 判例 意匠
平成21ネ2110損害賠償請求控訴事件 判例 意匠
平成17行ケ10135審決取消(意匠)請求事件 判例 意匠
平成22行コ10004異議申立棄却決定取消請求控訴事件 判例 意匠
関連ワード 物品 /  形状 /  意匠に係る物品 /  一意匠一出願(7条) /  類似する意匠 /  意匠の類否 /  登録意匠 /  差止請求(差止) /  類似性(類否判断) / 
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事件 平成 19年 (ネ) 790号 意匠権侵害差止等請求控訴事件
東京都足立区西伊興二丁目2番13号
控訴人(1審原告 )株式会社ジョイント工業
同 代表者代表取締 役A
同 訴訟代理人弁護 士木村哲也
同 補佐人弁理 士山下賢二大阪府高槻市三島江一丁目1番1号
被控訴人(1審被告 )アルインコ株式会社
同 代表者代表取締 役B
同 訴訟代理人弁護 士加藤幸江
同 近藤恭子
同 國吉雅男
裁判所 大阪高等裁判所
判決言渡日 2007/09/11
権利種別 意匠権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1本件控訴を棄却する。
2控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
全容
第1控訴の趣旨1原判決を取り消す。
2被控訴人は,原判決別紙被告商品目録記載1ないし3の各商品を製造し,譲渡し,貸し渡し,若しくは輸入し,又はその譲渡若しくは貸渡しの申出をしてはならない。
3被控訴人は,原判決別紙被告商品目録記載4ないし11の各商品を譲渡し,2貸し渡し,譲渡若しくは貸渡しのために展示し,輸出し,又は輸入してはならない。
4被控訴人は,第2,3項記載の各商品を廃棄せよ。
5訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。
6仮執行宣言第2事案の概要1事案の要旨本件は,控訴人が,@控訴人が意匠権者である金属管継手の登録意匠類似する意匠の金属管継手を販売する被控訴人の行為が,控訴人の意匠権を侵害するとして,意匠法37条1項,2項に基づき,被控訴人に対し,被控訴人の各商品の製造,譲渡,貸渡し,輸入,譲渡若しくは貸渡しの申出の禁止を求め(原審・大阪地方裁判所平成17年(ワ)第11765号,同第11766号,同第11767号の各事件についての主位的請求),A控訴人の商品である金属管継手ないし金属管取付金具と実質的に同一の形態の金属管継手ないし金属管取付金具を販売する被控訴人の行為が不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為に該当するとして,同法2条1項3号,3条1項,2項に基づき,被控訴人に対し,被控訴人の各商品の譲渡,貸渡し,譲渡若しくは貸渡しのための展示,輸入,輸出の禁止を求めた(全事件についての請求。ただし,上記平成17年(ワ)第11765号,同第11766号,同第11767号の各事件については予備的請求)事案である。
原判決は,控訴人の請求をいずれも棄却したから,控訴人が本件控訴を提起したものである。
2前提となる事実並びに争点及びこれに対する当事者の主張は,当審における当事者の補充主張を付加するほか,原判決第3ないし第5(2頁13行目から133頁8行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する。
ただし,原判決別紙意匠権目録記載1ないし3の各意匠権をそれぞれ「本件3意匠権1」,「本件意匠権2」,「本件意匠権3」といい,その各登録意匠をそれぞれ「本件登録意匠1」,「本件登録意匠2」,「本件登録意匠3」という。また,原判決別紙原告商品目録記載1ないし11の各商品を以下,例えば同1の商品については「控訴人商品1」,同2の商品については「控訴人商品2」のようにいい,控訴人商品1ないし控訴人商品11を併せて「控訴人商品」という。原判決別紙被告商品目録記載1ないし11の各商品についても,以下,例えば同1の商品については「被控訴人商品1」,同2の商品については「被控訴人商品2」のようにいい,被控訴人商品1ないし被控訴人商品11を併せて「被控訴人商品」という。そして,被控訴人商品1の意匠を「被控訴人意匠1」,同2の商品の意匠を「被控訴人意匠2」,同3の商品の意匠を「被控訴人意匠3」という。
【控訴人の当審における主張】(1)本件登録意匠1と被控訴人意匠1の類似性の有無(争点1(1))についてア乙3意匠にはそもそも止めビスが具備されていない。また,乙4意匠及び乙7意匠にはビス穴はあるものの,止めビスは植え付けられていない。
使用者が適合する止めビスを調達するとしても,植え付けられる止めビスの形態(回動する用具としてドライバーやスパナ,角棒レンチ,ボックスレンチのいずれによるかによって形態が異なる。),植え付け方法(本件登録意匠1のように円筒体の外周面から一定高さだけ垂立している形態のみならず,乙3意匠のように別個のナットを要する形態,乙30の1のように円筒体の外周面から沈没した埋込み形態もあり得る。)には各種の形態があるから,これらの意匠において止めビスを植え付けると,本件登録意匠1と同一の形態となると予断をもって認定することは許されない。
乙2意匠ないし乙7意匠には,止めビスをあらかじめ植え付けた形態が装備されていないから,本件登録意匠1の構成のうち,B(止めビスの存在),C(止めビスの位置),D(止めビスの頭部の形状)こそ要部とさ4れるべきである。
イ少なくとも,本件登録意匠1の構成のうち,E(耳状コーナー及び丸穴),F(耳状コーナー板片の形状),G(円筒体の外周面)が要部とされるならば,B(止めビスの存在),C(止めビスの位置),D(止めビスの頭部の形状)が要部とされない理由はない。本件登録意匠1の金属管継手において,止めビスは3本の金属単管を押さえつけ固定するという最も重要な機能を発揮するから,BCDを要部からはずす合理的な根拠は見いだせない。
ウ要部となるBCDの形態に最大のウェイトを置いて,本件登録意匠1と被控訴人意匠1を対比観察の上,総合判断すれば,その全体から生じる印象・美感が互いに非類似であるといえるほど顕著に異なるものではなく,類似意匠の範囲に属する。
エ本件登録意匠1と被控訴人意匠1との類比の判断において,被控訴人意匠1のF(耳状コーナー板片の形状)として「緩慢な形状であるとはいえ,3枚の花弁状の形状であること」がありふれたものであること及び被控訴人意匠のG(円筒体の外周面の形状)として,円筒体の開口先端部に若干厚みを増した帯状部となっていることもありふれたものであること(甲19ないし21,26に同様の形態がみられる。)を考慮すべきである。
(2)控訴人商品1と被控訴人商品1の各形態の実質的同一性の有無(争点1(3))についてア乙3意匠には止めビスは具備されていない。また,乙4意匠及び乙7意匠にはビス穴はあるものの,止めビスは植え付けられておらず,植え付けられる止めビスの形態(回動する用具としてドライバーやスパナ,角棒レンチ,ボックスレンチのいずれによるかによって形態が異なる。),植え付け方法(本件登録意匠1のように円筒体の外周面から一定高さだけ垂立している形態のみならず,乙3意匠のように別個のナットを要する形態,5乙30の1のように円筒体の外周面から沈没した埋込み形態もあり得る。)には各種の形態があるから,これらの意匠において止めビスを植え付けると,控訴人商品1と同一の形態となるとはいえない。
したがって,控訴人商品1と被控訴人商品1のB(止めビスの存在),C(止めビスの位置),D(止めビスの頭部の形状)の形態を従来からありふれているものと認定することはできない。
イ他方,Eの耳状コーナー板片の存在は従前からありふれている形態であり,丸穴の存在は従来からありふれているとまでいえなくとも,公知である。そして,被控訴人商品1の耳状コーナー板片は,角面取りされたほぼ正方形をしており,このような耳状コーナー板片の形態は従前からありふれた形態である(甲22ないし25,乙7意匠)。また,G(円筒体の外周面の形状)として,帯状の段差部分を有する形態はありふれたものである(甲19ないし21,26,乙31,32,35,36)。
ウしたがって,控訴人商品1の形態と被控訴人商品1の形態との相互間における実質的同一性の有無判断に当たり,その判断要素として,B(止めビスの存在),C(止めビスの位置),D(止めビスの頭部の形状)を除外し,E(耳状コーナー及び丸穴),G(円筒体の外周面の形状)と軽重差を与えて評価・判断することは不合理であり,全体から総合判断しなければならない。
エ控訴人商品1の形態と被控訴人商品1の形態は,F耳状コーナー板片の形状とG円筒体の外周面の形状において異なるから,両形態を同一とすることはできないと判断するのは誤りである。
オ控訴人商品1の形態と被控訴人商品1の形態との相互間における実質的同一性の有無判断に当たり,実際に市場で販売されている「商品」を資料とすべきであり,乙2意匠ないし乙7意匠のようにただ単なる「物品」の形状をいわゆる画餅として描いているものを資料とすべきではない。
6(3)本件登録意匠2と被控訴人意匠2の類似性の有無(争点2(1))について上記(1)における本件登録意匠1と被控訴人意匠1の類似性の有無(争点1(1))についての主張と同旨である。
ただし,(1)アにおいて,「乙4意匠及び乙7意匠」とあるのを「乙B2意匠,乙4意匠及び乙7意匠」とし,「乙2意匠ないし乙7意匠」とあるのを「乙B2意匠,乙5意匠,乙6意匠及び乙7意匠」とする。
(4)控訴人商品2と被控訴人商品2の各形態の実質的同一性の有無(争点2(3))について上記(2)アないしエにおける控訴人商品1と被控訴人商品1の各形態の実質的同一性の有無(争点2(3))についての主張と同旨である。
ただし,(2)アにおいて,「乙4意匠及び乙7意匠」とあるのを「乙B2意匠,乙4意匠及び乙7意匠」とする。
(5)本件登録意匠3と被控訴人意匠3の類似性の有無(争点3(1))について上記(1)における本件登録意匠1と被控訴人意匠1の類似性の有無(争点1(1))についての主張と同旨である。
ただし,(1)アにおいて,「乙3意匠」とあるのを「乙C2意匠(乙3意匠と同じ)」とし,「乙4意匠及び乙7意匠」とあるのを「乙C2意匠,乙B2意匠,乙4意匠及び乙7意匠」とし,「乙2意匠ないし乙7意匠」とあるのを「乙C2意匠,乙B2意匠,乙3意匠,乙4意匠及び乙7意匠」とする。
(6)控訴人商品3と被控訴人商品3の各形態の実質的同一性の有無(争点3(3))について上記(2)アないしエにおける控訴人商品1と被控訴人商品1の各形態の実質的同一性の有無(争点2(3))についての主張と同旨である。
ただし,(2)アにおいて,「乙4意匠及び乙7意匠」とあるのを「乙C2意匠(乙3意匠と同じ),乙B2意匠,乙4意匠及び乙7意匠」とする。
7(7)控訴人商品4と被控訴人商品4の各形態の実質的同一性の有無(争点4)についてア乙11,12,13の各意匠には止めビスが植え付けられているものの,受け入れるパイプを固定するものではなく,継ぎ手自体を固定するものであり,控訴人商品4の止めビスと同じ機能,形態ではない。また,乙30の1のPage3のType21に開示された継ぎ手には,止めビスがあらかじめ植え付けられているとしても,控訴人商品4や被控訴人商品4と異なって,円筒体の外周面から沈没状態に埋め込まれており,止めビスの位置,頭部の形状についても全く異なる。
したがって,控訴人商品4と被控訴人商品4のB(止めビスの存在),C(止めビスの位置),D(止めビスの頭部の形状)の形態を従来からありふれているものと認める証拠はなく,そのように認定することはできない。
イ前記(2)イ,ウ及びエと同旨(8)控訴人商品5と被控訴人商品5の各形態の実質的同一性の有無(争点5)についてア乙14,15,16の各意匠には止めビスが植え付けられていない。また,乙30の1のPage1のType15に開示された継ぎ手には,止めビスがあらかじめ植え付けられているとしても,控訴人商品4や被控訴人商品4と異なって,円筒体の外周面から沈没状態に埋め込まれており,止めビスの位置,頭部の形状についても全く異なる。
したがって,控訴人商品4と被控訴人商品4のB(止めビスの存在),C(止めビスの位置),D(止めビスの頭部の形状)の形態を従来からありふれているものと認める証拠はなく,そのように認定することはできない。
イ前記(2)イ,ウ及びエと同旨8(9)控訴人商品6と被控訴人商品6の各形態の実質的同一性の有無(争点6)についてア乙3意匠,乙4意匠,乙7意匠,乙B2意匠,乙C2意匠は,管同士を交叉状態に接続するための継ぎ手であり,その形態は控訴人商品6や被控訴人商品6と根本的に異なるから,これらをDの止めビスの存在,位置をありふれたものと認定する根拠とすることはできない。
イCの翼板の張り出し先端部の形状は,控訴人商品6は逆U字型の円弧状に縁取りされており,被控訴人商品6は角張ったハの字型の台形状に縁取りされているとしても,先細りの形態として酷似しており,その機能からも実質的に同一である。いずれの翼板の形状もありふれており,翼板における先端部の角(カド)だけを控訴人商品6の円弧曲線から被控訴人商品6のストレートな直線へ改変することも極めて容易である。そして,Bの翼板の中央部の調整長穴の形状が楕円形であること,翼板の付け根部に一対の小さな丸穴があることは両商品に共通である。
また,E(円筒体の外周面の形状)として,被控訴人商品6のように帯状の段差部分を有する形態はありふれたものである(甲19ないし21,26,乙31,32,35,36)。
ウしたがって,控訴人商品6の形態と被控訴人商品6の形態との相互間における実質的同一性の有無判断に当たり,その判断要素として,D止めビスの存在,位置とBの翼板の付け根部に一対の小さな丸穴があることという共通部分を軽視又は除外し,Cの翼板の形状とEの円筒体の外周面の形状という相違する部分だけを重視して評価することは不合理・不衡平であって,全体から総合判断しなければならない。そうすれば,控訴人商品6と被控訴人商品6は実質的に同一と判断される。
(10)控訴人商品7と被控訴人商品7の各形態の実質的同一性の有無(争点7)について9ア乙3意匠,乙4意匠,乙7意匠,乙B2意匠,乙C2意匠は,管同士を交叉状態に接続するための継ぎ手であり,その形態は控訴人商品6や被控訴人商品6と根本的に異なるから,これらをDの止めビスの存在,位置をありふれたものと認定する根拠とすることはできない。
したがって,また,止めビスを植え付けた形態とすることは,乙30の1のPage6のTypeM50にみられているとしても(ただし,円筒体の外周面から沈没した埋め込み状態としている。),それだけを根拠にDの止めビスの存在,位置をありふれたものと認定することはできない。
イ上記(9)イ及びウと同旨(ただし,「控訴人商品6」,「被控訴人商品6」とあるのはそれぞれ「控訴人商品7」,「被控訴人商品7」とする。)。
(11)控訴人商品8と被控訴人商品8の各形態の実質的同一性の有無(争点8)についてア上記(10)アと同旨(ただし,「乙30の1のPage6のTypeM50」とあるのを「乙30の1のPage6のTypeM51」とする。)イ上記(9)イ及びウと同旨(ただし,「控訴人商品6」,「被控訴人商品6」とあるのはそれぞれ「控訴人商品7」,「被控訴人7」とする。)。
(12)控訴人商品9と被控訴人商品9の各形態の実質的同一性の有無(争点9)についてア上記(10)アと同旨(ただし,「乙30の1のPage6のTypeM50」とあるのを「乙30の1のPage17のTypeMH50」とする。)イ翼板の大きな丸穴の周辺部に木材や鉄板などの固定用となる木ネジを差し込むこともできる一対の小さな丸穴があるが(各B),乙30の1のPage17のTypeMH50においてもこのような小さな丸穴は形成されておらず,控訴人商品9の特徴とする形態である。
ウまた,Fの角隅部のコーナー板片は,乙2意匠,乙5意匠,乙6意匠,10乙7意匠にみられるとしても,これらの意匠はすべて円筒体同士の角隅部に存在するコーナー板片であるから,控訴人商品9や被控訴人商品9のような円筒体の円周面と,フラットな翼板との角隅部に存在するものではなく,形態が根本的に異なっており,これらの意匠を根拠に角隅部のコーナー板片をありふれたものとみることはできない。
エ翼板自体が円筒体の開口一端部付近に偏倚した位置から径方向(横方向)へ張り出している形態も両商品に共通しており,考慮しなければならない。
オCの翼板の張り出し先端部の形状は,控訴人商品9は逆U字型の円弧状に縁取りされており,被控訴人商品9は角張ったハの字型の台形状に縁取りされているとしても,先細りの形態として酷似しており,その機能からも実質的に同一である。いずれの翼板の形状もありふれており,翼板における先端部の角(カド)だけを控訴人商品9の円弧曲線から被控訴人商品9のストレートな直線へ改変することも極めて容易である。そして,Bの翼板の付け根部に一対の小さな丸穴があることは両商品に共通である。
また,H(円筒体の外周面の形状)として,被控訴人商品6のように帯状の段差部分を有する形態はありふれたものである(甲19ないし21,26,乙31,32,35,36)。
カしたがって,控訴人商品9の形態と被控訴人商品9の形態との相互間における実質的同一性の有無判断に当たり,その判断要素として,D止めビスの存在,方向,Bの翼板の付け根部に一対の小さな丸穴があること及びFの角隅部のコーナー板片による補強という共通部分を軽視又は除外し,Cの翼板の形状とHの円筒体の外周面の形状という相違する部分だけを重視して評価することは不合理・不衡平であって,全体から総合判断しなければならない。そうすれば,控訴人商品9と被控訴人商品9は実質的に同一と判断される。
11(13)控訴人商品10と被控訴人商品10の各形態の実質的同一性の有無(争点10)についてア上記(10)アと同旨(ただし,「乙30の1のPage6のTypeM50」とあるのを「乙30の1のPage9のType62」とする。)イ上記(12)ウと同旨(ただし,「控訴人商品9」,「被控訴人商品9」とあるのはそれぞれ「控訴人商品10」,「被控訴人商品10」とする。)ウCの翼板の張り出し先端部の形状は,控訴人商品10は逆U字型の円弧状に縁取りされており,被控訴人商品10は角張ったハの字型の台形状に縁取りされているとしても,先細りの形態として酷似しており,その機能からも実質的に同一である。いずれの翼板の形状もありふれており,翼板における先端部の角(カド)だけを控訴人商品10の円弧曲線から被控訴人商品10のストレートな直線へ改変することも極めて容易である。そして,Bの翼板の中央部の調整長穴の形状が楕円形であること,翼板の付け根部に一対の小さな丸穴があることは両商品に共通である。
また,H(円筒体の外周面の形状)として,被控訴人商品10のように帯状の段差部分を有する形態はありふれたものである(甲19ないし21,26,乙31,32,35,36)。
エしたがって,控訴人商品10の形態と被控訴人商品10の形態との相互間における実質的同一性の有無判断に当たり,その判断要素として,Bの翼板の付け根部に一対の小さな丸穴があること,D止めビスの存在,方向及びF耳状コーナー板片と丸穴の存在という共通部分を軽視又は除外し,Cの翼板の形状とHの円筒体の外周面の形状という相違する部分だけを重視して評価することは不合理・不衡平であって,全体から総合判断しなければならない。そうすれば,控訴人商品10と被控訴人商品10は実質的に同一と判断される。
(14)控訴人商品11と被控訴人商品11の各形態の実質的同一性の有無(争12点11)についてア上記(10)アと同旨(ただし,「乙30の1のPage6のTypeM50」とあるのを「乙30の1のPage9のType62」とする。)イ上記(12)ウと同旨(ただし,「控訴人商品9」,「被控訴人商品9」とあるのはそれぞれ「控訴人商品11」,「被控訴人商品11」とする。)ウGの角隅部のコーナー板片の形状を被控訴人商品11のように張り出し先端を円弧面として縁取る形態は甲22意匠にもみられ,ありふれたものであるし,控訴人商品11のストレートな直線から被控訴人商品11の円弧曲線へ改変することは極めて容易である。
また,H(円筒体の外周面の形状)として,被控訴人商品11のように帯状の段差部分を有する形態はありふれたものである(甲19ないし21,26,乙31,32,35,36)。
エしたがって,控訴人商品11の形態と被控訴人商品11の形態との相互間における実質的同一性の有無判断に当たり,その判断要素として,Bの翼板と円筒体との重合面部の形状,Dの翼板の一対の小さい丸穴の存在という共通部分を軽視又は除外し,Gの角隅部のコーナー板片の形状とHの円筒体の外周面の形状という相違する部分だけを重視して評価することは不合理・不衡平であって,全体から総合判断しなければならない。そうすれば,控訴人商品11と被控訴人商品11は実質的に同一と判断される。
【被控訴人の当審における主張】(1)本件登録意匠1ないし3と被控訴人意匠1ないし3の類似性の有無についてア本件登録意匠1ないし3の要部は,公知意匠と詳細に対比すると,継ぎ手の形態の構成にF(耳状コーナー板片の形状)を全部,直角三角形とし,そのそれぞれに丸穴を形成し,G(円筒体の外周面)を段差を設けない形状とすることとの形態をすべて備えた点であることが認められ,これらを13すべて備えたことにより,本件登録意匠1ないし3は,全体として余計な凹凸も少なく,すっきりとしてスマートな美感を生じさせるものというべきである。
控訴人は,原審で,本件意匠が全体として創作性のあるものと主張しておきながら,当審において,B(止めビスの存在),C(止めビスの位置),D(止めビスの頭部の形状)が本件登録意匠1ないし3の要部であると主張を変遷させたのであって,認められない。仮に,同主張を前提としても,F(耳状コーナー板片の形状)を全部,直角三角形とし,そのそれぞれに丸穴を形成し,G(円筒体の外周面)を段差を設けない形状とすることとの形態をすべて備えた点が要部となることには変わりはない。
そして,かかる本件登録意匠1ないし3の要部に対し,被控訴人意匠1ないし3は,いずれもF(耳状コーナー板片の形状)が3枚の花弁状をなす形状であり,G(円筒体の外周面)が本件登録意匠1ないし3にはない帯状部を有しており,これらの点で相違する。
よって,本件登録意匠1ないし3と被控訴人意匠1ないし3は類似しないことは明らかである。
イ控訴人は,被控訴人意匠1ないし3がG(円筒体の外周面)において本件登録意匠1ないし3にはない帯状部を有している点について,ありふれていると主張するが,本件侵害訴訟においては,本件登録意匠1ないし3と被控訴人意匠1ないし3との類比が問題となっているのであるから,それぞれの全体的形態を比較すればよいのであり,被控訴人意匠1ないし3の形態の一部を取り上げてありふれているかどうかを論じることは無意味である。
また,控訴人は,被控訴人意匠1ないし3のF(耳状コーナー板片の形状)が3枚の花弁状をなしている点に関し,ありふれていると主張するが,甲22ないし25のどこをみても,3枚の花弁状の形状をなした耳状コー14ナー板片が表れている箇所はなく,控訴人の主張は事実に反する上,上記のとおり,被控訴人意匠1ないし3の形態の一部を取り上げてありふれているかどうかを論じることは無意味である。
(2)控訴人商品と被控訴人商品の形態の実質的同一性についてア不正競争防止法2条1項3号の「模倣」とは,既に存在する他人の商品の形態をまねてこれと同一又は実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいい,客観的には,他人の商品と作り出された商品を対比して観察した場合に,形態が同一であるか実質的に同一といえるほどに極似していることを要し,主観的には,当該他人の商品形態を知り,これと形態が同一であるか実質的に同一といえるほどに極似した形態の商品と客観的に評価される形態の商品を作り出すことを認識していることを要する。
イ控訴人は,控訴人商品1ないし5の形態と被控訴人商品1ないし5の形態の対比観察に当たり,双方とも,複数本の止めビスを具備する点(特に点在分布状態や位置,方向性),丸穴の開口する耳状コーナー板片を複数個具備する点(控訴人商品5及び被控訴人商品5を除く。)が共通するとして,強調する。また,控訴人は,控訴人商品6ないし11の形態と被控訴人商品6ないし11の形態の対比観察に当たり,双方とも,円筒体とフラットな翼板からなる形態のビス止め金具である点,翼板の中央部に楕円形として開口する連結ボルト受け入れ用調整金具を具備する点(控訴人商品9及び被控訴人商品9を除く。),同長穴周辺に開口分布する一対ずつの丸穴を具備する点が共通するとして,強調する。
しかしながら,控訴人商品と被控訴人商品双方の形態を客観的に全体として対比観察した場合,被控訴人商品は,その基本形態として円筒体の端部又は中央部に格段に厚みを増した帯状部が存在し,そのため看者に起伏のある骨太な印象を与える一方で,控訴人商品は,帯状部が存在せず,看者にスマートな印象を与えており,形態の相違は明らかである。また,耳15状コーナー板片の形状,大きさ,表面の形態においても,格段の相違があることも無視できない。
よって,控訴人商品と被控訴人商品は,実質的に同一とはいえないことが明らかである。
第3当裁判所の判断1本件登録意匠1と被控訴人意匠1の類似性の有無(争点1(1))について(1)原判決第6,1(1)(本件登録意匠1の構成),(2)(被告意匠1の構成)の事実(133頁11行目から135頁末行まで)が認められるから,これを引用する(なお,引用した原判決の説示に係る本件登録意匠1,被控訴人意匠1の各構成を,以下,単に@,A,B・・・などとして記載する。次項以下でも同様とする。)。
(2)本件登録意匠1の要部についてア上記事実を基に本件登録意匠1の形態について検討する。
原判決第6,1(3)ア,イ(136頁1行目から,143頁5行目まで)のとおり認められるから,これを引用する。
ただし,原判決137頁20行目の「これに対応するナットに植え付けられており」を「これに対応するナットに植え付けられる構造になっており」と,141頁25行目の「乙3意匠にみられる。」を「乙3意匠には,2本のボルト(止めビス)がこれに対応するナットに植え付けられる構造になっており,使用された時点では,当然にビスが存在することになる。」と各改める。
イ以上の点を基に検討すると,本件登録意匠1の構成B(止めビスの存在)は,それ自体は従来,みられなかったものであるが,乙3意匠において使用時に止めビスが存在することが開示され,乙4意匠,乙7意匠にはビス穴がみられ,使用時にはビスを植え付け金属単管を固定することが開示されているから,同形態を備えた構成Bの創作は必ずしも困難であった16とは認められないし,止めビスが全体に占める面積は小さいものである。
また,C(止めビスの位置)については,止めビスの位置がどちら側にあっても,止めビスが全体に占める面積は小さいから,微差というべきであり,D(止めビスの頭部の形状)については,正六角形の頭部はありふれた形状であることは明らかであって,大きさも小さい。したがって,BCD(止めビスの存在,位置,頭部の形状)を総合しても,これらのみをもって要部とすることは相当ではない。
また,本件登録意匠1の構成E(耳状コーナー及び丸穴),F(耳状コーナー板片の形状)についてみると,3つの耳状コーナー板片について,従来,2つが直角三角形に丸穴があり,他の1つは台形に3つの丸穴がある形態があったのに対し,3つともに直角三角形に丸穴とした点が従来みられなかった形態であるということができるものの,3つのうち2つに備わっていた形態を,他の1つにも適用すること自体は困難であったとは認められないから,やはり,EF(耳状コーナー及び丸穴の存在,耳状コーナー板片の形状)の点のみをもって要部とすることは相当ではない。
他方,構成G(円筒体の外周面に段差を設けないこと)については,公知意匠にみられ,ありふれているといえるものの,円筒体の外周面は,本件意匠のうちの広い範囲を占めるから,その形状の如何は看者の受ける印象に影響を与えると考えられる。
これらの点を考慮しつつ,本件登録意匠1について総合的に検討すると,その要部は,基本的構成であって公知であるから要部とはいえないAの構成に,止めビスを設置し(BCD),ビス穴耳状コーナー板片を3つ全部直角三角形とし,それぞれに丸穴を形成し(EF),円筒体の外周面に段差を設けないこと(G)との形態をすべて備えた点にあるといえ,これらをすべて備えたことにより,本件登録意匠1は,全体として余計な凹凸も少なく,すっきりとしてスマートな美感を生じさせるものというべきであ17る。
(3)本件登録意匠1と被控訴人意匠1の類似性の有無ア共通点及び相違点本件登録意匠1と被控訴人意匠1は,@の意匠に係る物品・用途及びA以下の構成のうち,@の意匠に係る物品・用途,Aの継手の形態,Bの止めビスの存在,Eの耳状コーナー板片及び丸穴の存在,Hの円筒体の内周面の形状において共通し,CDの止めビスの位置及び頭部の形状,Fの耳状コーナー板片の形状,Gの円筒体の外周面の形状において相違している。
意匠の類否前記のとおり,被控訴人意匠1は,本件登録意匠1の構成のうち,ABEHの構成は有しているが,CDFGの構成は有していない。そして,本件登録意匠1の要部は,前記(2)イのとおり,Aの構成を有していることを前提としてBCDEFGの構成を備えていることであるから,被控訴人意匠1は,本件登録意匠1の要部のうちCDFGを有していない。
このうち,CDの止めビスの位置及び頭部の形状の差異は微差と思われるものの,被控訴人意匠1の耳状コーナー板片の形状(F)は,緩慢な形であるとはいえ,3枚の花弁状であるところ,被控訴人意匠1は,これと,円筒体の外周面の形状(G)の帯状の段差とが相まって,本件登録意匠1と異なり,起伏のある骨太な美感を生じさせるものと認められる。
以上より,被控訴人意匠1は,本件登録意匠1と類似しているとはいえない。
ウ控訴人の主張について(ア) 原判決第6,1(5)(144頁14行目から146頁1行目まで)記載のとおり判断するから,これを引用する。ただし,145頁15,16行目の「前記(1)EFG」を「前記(1)BCDEFG」と,25行目の「前記(1)G」を「前記(1)BCDG」と各改める。
18(イ) 控訴人の当審における主張についてa控訴人は,乙3意匠には止めビスは具備されていない,また,乙4意匠及び乙7意匠にはビス穴はあるものの,止めビスは植え付けられておらず,これらの意匠において止めビスを植え付けると,本件登録意匠1と同一の形態となるとはいえないなどとして,本件登録意匠1の構成BCDこそ要部とされるべきであると主張する。
しかしながら,前記のとおり,本件登録意匠1については,構成BCDを要部に含めるべきであるものの,止めビスを伴う形態を備えたBの創作は必ずしも困難であったとはいえず,止めビスの全体に占める面積は小さく,円錐形の止めビスの頭部の形状はありふれたものであることを考えると,BCDは,これらのみをもって要部とするに値するものではない。また,ビスの植え付け方に控訴人主張の種々の方法があることは意匠の要部の判断を直接左右しない。従って,控訴人の主張は採用できない。
b控訴人は,当審において,被控訴人意匠1のFGの形態がありふれていることを考慮して,類比の判断を行うべきであると主張するが,被控訴人意匠1がありふれたものであるか否かを問わず,同意匠が本件登録意匠1と類似するか否かによって侵害の有無が決せられるのであるから,同主張の考慮はこの点の判断を左右しない。
(4)よって,被控訴人意匠1は,本件登録意匠1と類似しないから,被控訴人が被控訴人意匠1に係る金属管継手を販売しても,本件意匠権1を侵害しない。
2控訴人商品1と被控訴人商品1の各形態の実質的同一性の有無(争点1(3))について(1)原判決第6,2(146頁7行目から153頁3行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する。ただし,原判決149頁25行目の「このう19ち」から150頁2行目までを削る。
(2)控訴人の当審における主張についてア控訴人は,B(止めビスの存在)については,止めビスの植え付け方法には控訴人商品1や被控訴人商品1のように円筒体の外周面から一定高さだけ垂立している形態のみならず,乙3意匠に係る物品のような別個の溶着ナットを必要とする形態や,乙30の1に記載のような円筒体の外周面から沈没した埋め込み状態なども存在するのであり,使用前の予断をもって一律に特定することはできないとし,控訴人商品1におけるBCD(止めビスの存在,位置,頭部の形状)を特徴的な形態として重視すべきであるかのように主張する。
しかしながら,形態それ自体が問題となる本件において,止めビスの植え付け方法として複数のものが考えられることは,控訴人商品1におけるBCDという形態を特徴的なものとすることに直結するわけでなく,同形態が両商品に共通することを考慮するとともに,控訴人商品1と被控訴人商品1との異なる点をも考慮して実質的同一性の有無を判断すべきであるから,控訴人の主張は相当でない。
イ控訴人は,控訴人商品1と被控訴人商品1の形態は耳状コーナー板片の形状と円筒体の外周面の形状において異なることをもって,両形態を同一とすることはできないと判断するのは誤りである旨主張する。
しかしながら,前記引用に係る原判決判示のとおり,F(耳状コーナー板片の形状),G(円筒体の外周面の形状)の各点を含め,控訴人商品1と被控訴人商品1の形態を総合的に比較すると,控訴人商品1はすっきりしてスマートな印象であるのに対し,被控訴人商品1は起伏のある骨太な印象という,異なった印象を与えるということができるから,両者は実質的に同一ということはできない。
ウ控訴人は,控訴人商品1の形態と被控訴人商品1の形態との相互間にお20ける実質的同一性の有無判断に当たり,実際に市場で販売されている「商品」を資料とすべきであり,乙2意匠ないし乙7意匠のようにただ単なる「物品」の形状をいわゆる画餅として描いているものを資料とすべきではない旨主張する。
しかしながら,前記事実のとおり,控訴人商品1と被控訴人商品1は実際に商品とされ市場で販売されているものであり,前記控訴人商品1に基づき特徴的な部分を認定している。引用に係る原判決149頁8行目から20行目までで認定した不可欠な形態は,同記載の使用目的,構造から認定し得ることであって,控訴人指摘の公知資料からも認定し得るという性格のものである。したがって,控訴人の主張は当を得ていない。
(3)よって,被控訴人商品1の形態は,控訴人商品1の形態と実質的に同一ではないから,被控訴人が被控訴人商品1を販売しても,不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為には該当しない。
3本件登録意匠2と被控訴人意匠2の類似性の有無(争点2(1))について(1)原判決第6,3(1)(本件登録意匠2の構成),(2)(被告意匠2の構成)(153頁5行目から155頁21行目まで)記載のとおり認められるから,これを引用する。
(2)本件登録意匠2の要部についてア上記事実を基に本件登録意匠2の形態について検討する。
原判決第6,3(3)ア,イ(155頁23行目から161頁20行目まで)記載のとおり認められるから,これを引用する。
ただし,160頁20行目の「上記(1)B(止めビス)のうち,止めビス自体は乙3意匠にみられる。」を「上記(1)B(止めビス)については,乙3意匠には,2本のボルト(止めビス)がこれに対応するナットに植え付けられる構造になっており,使用された時点では,当然にビスが存在することになる。」と改める。
21イ以上の点を基に検討すると,本件登録意匠2の構成B(止めビスの存在)は,それ自体は,従来みられなかったものであるが,乙3意匠において使用時に止めビスが存在することが開示され,乙4意匠,乙7意匠,乙B2意匠にはビス穴がみられ,使用時にはビスを植え付け金属単管を固定することが開示されているから,同形態を備えた構成Bの創作は必ずしも困難であったとは認められないし,止めビスが全体に占める面積は小さいものである。また,C(止めビスの位置)については,従来,円筒体の両端の開口先端部付近(四方)に配置していたのを,一列にして3箇所に配置した点が従来みられなかった形態であるということができるものの,四方に配置していたのを一列にして3箇所に配置することは必ずしも困難ではなく,しかも,止めビスが全体に占める面積はごく小さいものであり,D(止めビスの頭部の形状)については,正六角形の頭部はありふれた形状であることは明らかであって,大きさも小さい。したがって,BCD(止めビスの存在,位置,頭部の形状)を総合しても,これらのみをもって要部とすることは相当ではない。
また,本件登録意匠2の構成E(耳状コーナー及び丸穴),F(耳状コーナー板片の形状)についてみると,従来,十字型継手において4つの耳状コーナー板片について直角三角形のものがあったが,これに丸穴を形成したものは,Y字型継手の耳状コーナー板片には存在したものの,十字型継手の耳状コーナー板片では存在しなかったところに,十字型継手においても,丸穴を形成した点が従来みられなかった形態であるということができる。しかしながら,Y字型継手の耳状コーナー板片には存在したものを,十字型継手の耳状コーナー板片にも適用することが困難であったとは認められない。したがって,EF(耳状コーナー及び丸穴の存在,耳状コーナー板片の形状)の点のみをもって要部とすることも相当ではない。
他方,構成G(円筒体の外周面に段差を設けないこと)については,公22知意匠にみられ,ありふれているといえるものの,円筒体の外周面に段差を設ければ,それなりの面積を占めることとなるから,その有無は看者の受ける印象に影響を与えると考えられる。
これらの点を考慮しつつ,本件登録意匠2について総合的に検討すると,その要部は,基本的構成であって公知であるから要部とはいえないAの構成に,止めビスを設置し(BCD),ビス穴耳状コーナー板片を4つ全部直角三角形とし,それぞれに丸穴を形成し(EF),円筒体の外周面に段差を設けないこと(G)との形態をすべて備えた点にあるといえ,これらをすべて備えたことにより,本件登録意匠2は,全体として余計な凹凸も少なく,すっきりとしてスマートな美感を生じさせるものというべきである。
(3)本件登録意匠2と被控訴人意匠2の類似性の有無ア共通点及び相違点本件登録意匠2と被控訴人意匠2は,@の意匠に係る物品・用途及びA以下の構成のうち,Aの継手の形態,Bの止めビスの存在,Cの止めビスの位置,Eの耳状コーナー板片及び丸穴の存在において共通し,Dの止めビスの頭部の形状,Fの耳状コーナー板片の形状,Gの円筒体の外周面の形状,Hの仕切壁の有無において相違している。
意匠の類否前記のとおり,被控訴人意匠2は,本件登録意匠2の構成のうち,ABCEの構成は有しているが,DFGHの構成は有していない。そして,本件登録意匠2の要部は,前記(2)イのとおり,Aの構造を有していることを前提にBCDEFGとした構成であるから,被控訴人意匠2は,本件登録意匠2の要部のうちDFGを有していない。
このうち,Dの止めビスの頭部の形状の差異は微差と思われるものの,被控訴人意匠2の耳状コーナー板片は,緩慢な形であるとはいえ,3枚の23花弁状の形状であるところ,円筒体の外周面の形状(G)の帯状の段差と相まって,本件登録意匠2と異なり,起伏のある骨太な美感を生じさせるものと認められる。
以上より,被控訴人意匠2は,本件登録意匠2と類似しているとはいえない。
ウ控訴人の主張について(ア) 原判決第6,3(5)(163頁11行目から164頁23行目まで)記載のとおり判断するから,これを引用する。ただし,164頁11行目の「前記(1)EFG」を「前記(1)BCDEFG」と,21行目の「前記(1)G」を「前記(1)BCDG」と各改める。
(イ) 控訴人の当審における主張に対する判断は,上記1(3)ウ(イ)と同旨である(ただし,上記1(3)ウ(イ)aにおいて,「乙4意匠及び乙7意匠」とあるのを「乙B2意匠,乙4意匠及び乙7意匠」とする。)。
(4)よって,被控訴人意匠2は,本件登録意匠2と類似しないから,被控訴人が被控訴人意匠2に係る金属管継手を販売しても,本件意匠権2を侵害しない。
4控訴人商品2と被控訴人商品2の各形態の実質的同一性の有無(争点2(3))について(1)原判決第6,4(165頁1行目から172頁5行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する。ただし,原判決168頁26行目の「このうち」から169頁5行目までを削る。
(2)控訴人の当審における主張について,前記2(2)と同旨であって,採用できない。
5本件登録意匠3と被控訴人意匠3の類似性の有無(争点3(1))について(1)原判決第6,5(1)(本件登録意匠3の構成),(2)(被告意匠3の構成)(172頁7行目から174頁18行目まで)記載のとおり認められるから,24これを引用する。
(2)本件登録意匠3の要部についてア原判決第6,5(3)ア,イ(ア)ないし(カ)(174頁20行目から181頁4行目まで)記載のとおり認められるから,これを引用する。
ただし,175頁9,10行目の「これに対応するナットに植え付けられており」を「これに対応するナットに植え付けられる構造になっており」と改める。
イ以上の点を基に検討すると,本件登録意匠3の構成B(止めビスの存在)は,それ自体は従来,みられなかったものであるが,乙C2意匠(乙3意匠に同じ)において使用時に止めビスが存在することが開示され,乙B2意匠,乙4意匠,乙7意匠にはビス穴がみられ,使用時にはビスを植え付け金属管等を固定することが開示されているから,同形態を備えた構成Bの創作は必ずしも困難であったとは認められないし,止めビスが全体に占める面積は小さいものである。また,C(止めビスの位置)については,止めビスの位置がいずれにあっても,止めビスが全体に占める面積は小さいから,微差というべきであり,D(止めビスの頭部の形状)については,正六角形の頭部はありふれた形状であることは明らかであって,大きさも小さい。したがって,BCD(止めビスの存在,位置,頭部の形状)を総合しても,これらのみをもって要部とすることは相当ではない。
また,本件登録意匠3の構成E(耳状コーナー及び丸穴),F(耳状コーナー板片の形状)についてみると,従来,十字型継手やY字型継手において耳状コーナー板片が直角三角形のものがあり,Y字型継手では,これに丸穴を形成したものも存在したが,T字型継手では存在しなかったところに,直角三角形の耳状コーナー板片を設けて丸穴を形成した点が従来みられなかった形態であるということができる。しかし,十字型継手やY字型継手において存在したものを,T字型継手にも適用すること自体は困難25であったとは認められないから,やはり,EF(耳状コーナー及び丸穴の存在,耳状コーナー板片の形状)の点のみをもって要部とすることは相当ではない。
他方,構成G(円筒体の外周面に段差を設けないこと)については,公知意匠にみられ,ありふれているといえるものの,円筒体の外周面に段差を設ければ,それなりの面積を占めることとなるから,その有無は看者の受ける印象に影響を与えると考えられる。
これらの点を考慮しつつ,本件登録意匠3について総合的に検討すると,その要部は,基本的構成であって公知であるから要部とはいえないAの構成に,止めビスを設置し(BCD),ビス穴耳状コーナー板片を3つ全部直角三角形とし,それぞれに丸穴を形成し(EF),円筒体の外周面に段差を設けないこと(G)との形態をすべて備えた点にあるといえ,これらをすべて備えたことにより,本件登録意匠1は,全体として余計な凹凸も少なく,すっきりとしてスマートな美感を生じさせるものというべきである。
(3)本件登録意匠3と被控訴人意匠3の類似性の有無ア共通点及び相違点本件登録意匠1と被控訴人意匠1は,@の意匠に係る物品・用途及びA以下の構成のうち,Aの継手の形態,Bの止めビスの存在・個数,Eの耳状コーナー板片及び丸穴の存在において共通し,CDの止めビスの位置,頭部の形状,Fの耳状コーナー板片の形状,Gの円筒体の外周面の形状,Hの仕切壁の有無において相違している。
イ意匠の類比前記のとおり,被控訴人意匠3は,本件登録意匠3の構成のうち,ABEの構成は有しているが,CDFGHの構成は有していない。そして,本件登録意匠3の要部は,前記(2)イのとおり,Aの構成を有していること26を前提としてBCDEFGの構成を備えていることであるから,被控訴人意匠3は,本件登録意匠3の要部のうちCDFGを有していない。
このうち,CDの止めビスの位置及び頭部の形状の差異は微差と思われるものの,被控訴人意匠3の耳状コーナー板片(F)は,緩慢な形であるとはいえ,3枚の花弁状の形状であるところ,被控訴人意匠3は,これと,縦の円筒体の外周面の形状(G)の帯状の段差とが相まって,本件登録意匠3と異なり,起伏のある骨太な美感を生じさせるものと認められる。
以上より,被控訴人意匠3は,本件登録意匠3と類似しているとはいえない。
ウ控訴人の主張について(ア) 原判決第6,5(5)(182頁25行目から184頁11行目まで)記載のとおり判断するから,これを引用する。ただし,183頁25行目の「前記(1)EFG」を「前記(1)BCDEFG」と改める。
(イ) 控訴人の当審における主張について控訴人の当審における主張に対する判断は,上記1(3)ウ(イ)と同旨である(ただし,上記1(3)ウ(イ)aにおいて,「乙4意匠及び乙7意匠」とあるのを「乙C2意匠(乙3意匠に同じ),乙B2意匠,乙4意匠及び乙7意匠」とする。)。
(4)よって,被控訴人意匠3は,本件登録意匠3と類似しないから,被控訴人が被控訴人意匠3に係る金属管継手を販売しても,本件意匠権3を侵害しない。
6控訴人商品3と被控訴人商品3の各形態の実質的同一性の有無(争点3(3))について(1)原判決第6,6(184頁15行目から191頁18行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する。ただし,原判決188頁14行目の「このうち」から17行目までを削る。
27(2)控訴人の当審における主張について,前記2(2)と同旨であって,採用できない。
7控訴人商品4と被控訴人商品4の各形態の実質的同一性の有無(争点4)について(1)原判決第6,7(191頁19行目から205頁5行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する。ただし,原判決201頁23行目の「このうち」から25行目までを削る。
(2)控訴人の当審における主張については,前記2(2)と同旨であって,採用できない。
8控訴人商品5と被控訴人商品5の各形態の実質的同一性の有無(争点5)について(1)原判決第6,8(205頁6行目から214頁8行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する。ただし,原判決211頁6行目の「このうち」から8行目までを削る。
(2)控訴人の当審における主張については,前記2(2)と同旨であって,採用できない。
9控訴人商品6と被控訴人商品6の各形態の実質的同一性の有無(争点6)について(1)原判決第6,9(214頁9行目から224頁20行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する。ただし,原判決221頁24行目から222頁1行目までを削る。
(2)控訴人の当審における主張については,前記2(2)と同旨であって,採用できない。
10控訴人商品7と被控訴人商品7の各形態の実質的同一性の有無(争点7)について(1)原判決第6,10(224頁21行目から232頁9行目まで)記載のと28おりであるから,これを引用する。ただし,原判決229頁15行目から18行目までを削る。
(2)控訴人の当審における主張については,前記2(2)と同旨であって,採用できない。
11控訴人商品8と被控訴人商品8の各形態の実質的同一性の有無(争点8)について(1)原判決第6,11(232頁10行目から240頁1行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する。
ただし,原判決235頁17,18行目に「Type51」とあるのをいずれも「TypeM51」と改め,237頁7行目の「このうち」から10行目までを削る。
(2)控訴人の当審における主張については,前記2(2)と同旨であって,採用できない。
12控訴人商品9と被控訴人商品9の各形態の実質的同一性の有無(争点9)について(1)原判決第6,12(240頁2行目から248頁6行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する。ただし,原判決245頁9行目の「このうち」から14行目までを削る。
(2)控訴人の当審における主張については,前記2(2)と同旨であって,採用できない。
13控訴人商品10と被控訴人商品10の各形態の実質的同一性の有無(争点10)について(1)原判決第6,13(248頁7行目から257頁21行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する。ただし,原判決254頁9,10行目の「このうち」から16行目までを削る。
(2)控訴人の当審における主張については,前記2(2)と同旨であって,採用29できない。
14控訴人商品11と被控訴人商品11の各形態の実質的同一性の有無(争点11)について(1)原判決第6,14(257頁22行目から266頁5行目まで)記載のとおり認められるから,これを引用する。ただし,原判決263頁15行目の「このうち」から20行目までを削る。
(2)控訴人の当審における主張については,前記2(2)と同旨であって,採用できない。
15結論よって,本件控訴は理由がないから,主文のとおり判決する。
(当審口頭弁論終結日平成19年7月3日)
裁判長裁判官 若林諒
裁判官 小野洋一
裁判官 冨田一彦
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